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はじめに
海外の大学院で学びたい・・・そういう思いを胸に秘めている学生はかなり多いのではないでしょうか。
実際、就活においても、社内の留学制度が充実しているかどうかは起業選びの一つのポイントだといえます。
しかしながら、卒業後すぐに海外の大学院に進学し、十分な専門性と世界で通用する英語力を身につけて社会人としてのキャリアをスタートする、という道も十分に魅力的ではないでしょうか。
実際に、外資系投資銀行やコンサルの第一線で活躍されている方に「今の学生は卒業後にどんな進路を選ぶとよいか」という話を聞くと、「できるのなら卒業後すぐ海外の院に行き、ダブルディグリーで学位を取得するといい」という答えをされる方が何人もいました。
今回は、日本の大学を卒業後、米国カーネギーメロン大学の修士課程に進学した著者が、どうすれば海外(特にアメリカ)の大学院に進学できるのかについてご説明いたします。
©Carnegie Mellon University
米国大学院進学を目指したきっかけ
留学という選択肢について、大学入学の時点でぼんやりとは考えてはいました。
ただ、それは誰も一度は抱くであろう英語が話せることに対する憧れや、海外に対する好奇心のようなものでしかなく、具体的なものではありませんでした。
しかし、大学3年の冬にふと参加した留学に関する説明会(米国大学院学生会)に参加したことで、ぼんやりとしていた憧れや好奇心しか持っていなかった当時の自分に海外大学院進学という選択肢が具体的な可能性に変わりました。
実際に海外大学院に進んだ先輩方の話を聞いて、大いに触発され、憧れ、実際の行動に移すきっかけになりました。
卒業後に海外の大学院に進むという選択は日本ではまだまだ一般的ではありません。
なんとなくそういう道を考えていても、具体的にどう準備するのか、どのような手続きを踏めばよいのかがよくわからず、足踏みしてしまう場合も少ないくないのではないかと思います。
今回、自身の経験を踏まえ、海外大学院に出願するための具体的な準備や現地での学生生活について説明します。
具体的な準備
受験に向けた情報収集
基本的な情報源は、志望大学のホームページになると思います。そこで教授の研究内容や受講できる講義名、内容などを見て、具体的に関心のある内容を勉強できるかを検討するとよいでしょう。
また、偏差値、という概念があまりないので、第三者機関が発表している大学の総合ランキングや、分野ごとのランキングも参考になると思います。
米国大学院学生会とカガクシャネットは、人とのつながりを作るという意味でも、先輩などからアドバイスを聞くという意味でも重宝します。
前者は志望書の添削をしてくれる無料サービスもありますし、後者は理系の人に限らず、具体的な質問にも回答してくれます。
説明会のようなものも定期的に開催されているので、とりあえず参加してみるのもいいかもしれません。
出願前の夏休みなどを利用して、事前にアポを取った上で、実際に研究室に訪問する人もいます。
これをすることで、合否にプラスの影響がでることもあるようです。また、直接連絡して質問すると意外に返事をくれたりします。
出願と選考の基準
海外大学院の出願・受験は日本の大学院のそれらとは大きく異なっており、合否は基本的に5つの指標で決まります。
TOEFL、GRE、志願動機書、推薦状、履歴書 の5つです。
TOEFLは英語力、GREは、国語力、文章力、数学力を試す試験であり、いずれもコンピューターに入力する形式で行われます。
TOEFLは近年、IELTSという試験で代替できる大学が増えてはいますが、いずれにしても、書く力や話す力を含めた英語力を試される試験で、母国語が英語以外の受験生に課せられます。
それに対してGREはアメリカの大学院を受験する際には必要な試験で、英語が母国語の人も含めて、全員が受験するため、多くの日本人はここで苦労することになります。
志望動機書は、今まで自分は何をやってきたのか、自分がその大学で具体的に何を勉強したいのか、卒業後は何をしたいのか、などを端的に書くことが求められます。
推薦状は、指導教官などからの推薦文で、各受験校に3通程度ずつ提出する必要があります。履歴書は学部時代の成績を含めた今までの実績や経歴などを記述するものです。
この5つ以外に、面接や他の筆記試験の受験が求められることもあります。また、大学院側がどの指標にどの程度重きを置いて選考しているか、というのは、公開されていません。
日本の受験とは異なり、結果を開示することもできないので、なぜ合格したか、あるいは、不合格だったのか、というのは知ることができません。
ただ、個性や情熱を表現できる志望動機書や客観的な学生の評価である成績や推薦状の比重は比較的大きいように思います。
なお、これらの準備と並行して、通常の講義や卒業研究をこなす必要もあるし、仮に合格した場合の金銭的な負担を軽減するため、多くの海外大学院志望者は奨学金申請の書類準備も並行して行うことになります(大学院側が授業料等を代わりに負担してくれる場合もある)。
さらに、海外大学院があくまで一つの選択肢であり、日本国内の大学院も受験する場合は、そちらの勉強も並行して行う必要があります。
これらの準備は決して楽なものではなく、多大な労力と時間が必要ですが、日本国内ですべて準備できるので、海外にわざわざ足を運ぶ必要はありません。
アイビーリーグレベルの大学院を目指すのであれば、学部、学科によっても異なるので一概には言えませんが、100点程度の得点は必要になります。
こういう情報に関しては、公開されている学科もありますし、見つからなくても、直接メールとかで問い合わせれば、意外に回答がもらえます。
クリアする方法も一概には言えませんし、人それぞれに合った勉強法があるとは思いますが、Listening, Reading, Writing, Speakingの4分野の成績が分かれて出るので、自分の弱い部分を参考書などを使って重点的に勉強すればいいと思います。
ListeningとReadingは選択問題なので、日本の受験勉強と似た部分があると思いますが、WritingとSpeakingに関しては、正解はないにしても、点数がつけられる以上、評価軸がしっかりあるので、それを勉強する意味でも、一冊ずつくらい通して読むことをお勧めします。
おそらく、それを知っているか知らないかで結果は全然違うので、伸びる余地は大いにあると思います。
新しいこと、今までとは違うことを初めてやろうとするとき、それに対する積極的な理由より、消極的な理由の方が多く見つかるものです。
海外大学院進学という新しい道についても消極的な理由はいくらでも見つかるでしょうが、少なくとも多くの人に取って選択できない道ではないと思っています。
・TOEICスコア900点を獲得するリスニング強化法
・【英語】5日でTOEICスコアを50点上げる方法
・海外経験なしでも英語が話せるようになる3つの弱点克服法
現地での学生生活
上記の準備を終え、合格通知をもらうことができれば、晴れて現地の学生と対等な立場で学生生活を送る権利を得ることになります。
現地の学生生活は大学や専攻によっても様々ですが、日本とは異なる点がいくつもあります。
たとえば、学生の国籍や考え方などは日本とは比べものにならないほど多様ですし、講義のシステムや評価される能力、教育の焦点も全く違います。
また、講義時間外の課題として、圧倒的な読書量や記述量が求められ、グループメンバーとの議論や資料作成、発表練習などを要するグループワークも多数課されることになります。
このような多くの違いがある環境で一学生として生活する中で、筆者は多様性や環境の大切さを改めて実感しました。
自身とは異なる能力や価値観を持つ人間とともに、日本とは全く違う環境で過ごすことで、以前は当たり前だと思って考えもしなかったことを考えるきっかけを数多く得ることができるのです。
そういう機会を通じて、自身を客観的に見ることで非常に多くの気づきや学びがあります。
たとえば、日本では普通・平凡だと思っていた能力が、現地の水準と比較すると優れていたり、あるいは、劣っていたりします。
具体例を挙げると、日本の大学受験で求められているような、ミスなく短時間で正解にたどりつく能力などは、現地の学生と比較して優れていると感じた一方で、グループワークの進め方やテーマについて自身の考えを説得力のある形で述べることなどは他の学生の能力に圧倒されました。
このような多くの違いが存在する環境で学生生活を送ることができ、多くの気づきを得られることが海外大学院に進学することの非常に大きなメリットの一つだと思います。
アメリカの大学院卒業後の就活状況
海外大学院への進学という選択肢を検討する上で、多くの人が気にするのは、卒業後の進路でしょう。アメリカにおける就活状況についても少し説明したいと思います。
海外大院からの就職について相談してみよう
・最短2日で内定? 海外大生の就活事情(1)7つの就活チャンス
・最短2日で内定? 海外大生の就活事情(2)就活プロセスの全貌
・海外大生のための就活攻略法
・日本より学歴主義?!アメリカでの新卒就職活動事情
・就活に縛られない!海外大学院を選んだワケ
就活事情も学生生活同様、アメリカと日本では大きく異なっています。
たとえば、日本では、就活の開始時期を巡って議論が起こっているように、ほぼ一斉に就活が開始されますが、アメリカの就活は一年を通じて行われています。
そもそも、日本のように新入社員全員が4月に入社するわけではなく、働き始める時期も多様です。新卒か否かは重要視されず、新卒が転職者と同じ職を巡って争う、という状況が普通にあります。
就活方法も多様で、日本のようにエントリーシートを提出し、面接を受ける、という方法もあれば、友人知人などの紹介で職を見つける、という方法もあります。
日本人が現地で就活をすることはもちろん可能です。
ただ、アメリカにおいても就職難は一つの大きな問題であり、そこに外人である日本人が、現地の人と競争して職を得ることは容易なことではありません。
言語や文化の観点から見ても、日本人は不利であるし、アメリカ人以外を雇う場合は就労VISAの取得のために安くない金額を支払う必要も生じます。
特定の能力に秀でている人を除いて、日本人が新卒として現地で採用されるのは極めて難しいのが現状です。
ただ、海外の大学院に進学したからといって、必ずしもそのまま海外で現地の人と同じ土俵で就活をする必要はありません。
海外大学院に進学するようなグローバル志向で積極性のある人材を求める日本の企業は多く、そういった企業と海外大学院に進学した学生の双方のニーズを満たす就活イベントもいくつもあります。
中でも200社以上の企業が参加する大きなイベントでは、企業説明会と面接が同時に行われます。情報収集のため、企業のパンフレットをもらい、直接社員の方から話を聞くこともできるますし、筆記試験や面接を受けることもできます。その場で内定を出す企業も多数あります。
こういったイベント以外にも、連絡すれば個別に対応してくれる日本の企業はありますし、海外大学院進学者向けのセミナーなども多数存在しています。
このように、海外大学院卒業後の就活環境もある程度整備されており、海外の大学院に進学したから絶対的に就活に不利である、ということは全くありません。
おわりに
ここまで、日本の大学を卒業後、海外の大学院に進学する、という新しい選択肢について紹介しました。
先述の通り、今まで自分が育った国・言語・文化とは異なる環境で学生をやる以上、当然と言えば当然ではあるが、そこには多くの困難と苦労が伴います。
しかし、その違いこそが海外大学院の大きな魅力の一つともいえるでしょう。
グローバル化の進行やインターネットの普及などに伴い、社会の不確実性は増大し、今まで王道だと思われていた選択肢の信憑性も揺らぎつつあります。
一方で、多くの新しい選択肢が登場し、多様な生き方が選択できるようにもなりました。
そんな多様化した社会において、大学卒業後に国内の大学院進学や就職以外に、今回紹介したもう一つの選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。
最後に、参考書籍を掲げます、ぜひご参照ください。
最新版 大学院留学のすべて 入学後絶対後悔しないための10のステップ (アスカカルチャー)
佐藤 庸善
明日香出版社
(Amazonで詳細を見る)
新装版 大学院留学のためのエッセーと推薦状 (留学応援シリーズ)
カーティス S チン
アルク
(Amazonで詳細を見る)
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