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はじめに
このたび、外資就活はApple本社内で、4名のアップル本社社員の方々へのインタビューを行うという貴重な機会を得ました。
インタビューを行ったapple本社は、まるで大学のキャンパスのように広く美しい場所でした。
社員もシャツにジーンズといった服装でキックボードやスケボーで移動していたり、かなりフリーダムな雰囲気です。
このような場所だからこそ、クリエイティブな製品が次々に生まれていくのかもしれません。
今回、デザイン等の機密事項以外であれば掲載しても良いとの許可を頂きました。そこでアップルの職場環境や採用情報、就活成功の鍵についてのインタビューの模様をお伝えしたいと思います。(※2010年夏収録)
自分の守備範囲を1歩越えて仕事をできる人が求められている
―まずは、アップルという企業の環境について、どう思われているかお聞かせください。
◆アップルは私達エンジニアにとって最高といっても過言ではない環境だと思っているよ。
内容によっては、時間やコストを日本では考えられないほど自分のプロジェクトにかけることができる。これは非常に大きな幸せだね。
また、他の社員が強いこだわりと誇りを持って仕事をしている。そういう人たちと一緒に仕事ができ、その結果作った製品が世界中で使われているのを見ると、本当に幸せだね。
雰囲気も非常に良い。社員全員がひとつのファミリーのように思えるね。
また、仕事の裁量が非常に広い。「ここからここまでがあなたの仕事ですよ」ということがまったく決まっていないから、とことんまでできる。
たとえば、「このパーツにはこの材質を使いたいな」と思ったとする。そのコストが高かった場合、予算オーバーなので使えないという場合が往々にしてある。
しかしアップルなら、必要とあらば自分で関連部署に交渉に行き、取引先を巻き込み製造プロセスなどにまで踏み込んでそのパーツのコストを下げ、希望した材質の採用を実現することができる。
とことん自分のこだわりを追求できて本当に楽しいね。これは一例だけど、自分の守備範囲を1歩越えて仕事ができる人が求められているかな。
―素晴らしい会社ですね。
◆そうだね。職場環境がここまで良い会社はなかなかないと思うよ。
日本の会社で働いていた時は鳥籠の中にいる様に感じていたんだよね。「こういうことがしたい!」と思っても外に行きにくい。食べ物は与えられるから不安はないけど、自由は少ない。そういう環境にずっといることは僕にはできなかったんだ。今アップルで仕事ができて、非常に満足しているよ。
―アップルの待遇は具体的にはどのようなものですか?
◆まず労働時間から話そうか。労働時間は一般的なアメリカ企業よりは長いかな。自分の場合は大体9時~21時ぐらいだし、たまに土曜日も出勤する。
もちろん嫌々やっているわけではなくて、本当に楽しいから問題はない。給料も非常に良く、シリコンバレーだけに日本と比べればやはりエンジニアの待遇は段違いにいい。休暇もかなり自由に取れる。
日本は「休暇を取る=迷惑」という考えがあるけど、アメリカは「休暇を取るのはお互いさまで、その間の仕事は助け合ってやっていこう」という考え方。
だから上司も数週間の休暇を取るときは取るし、誰もそれを批判したりしない。それが本来あるべき姿だと思うから、日本のサラリーマンが有給を全く消化できないっていう話を聞くと、「どうなのかな~」と思ってしまうね。
―日本の職業事情と比べると、アップルの待遇は素晴らしいですね。逆に、こうすればもっといいのになと思う点はありませんか?
◆まだまだ英語が不得意だからマネージャーとの意思疎通に今でも困る事があるけど、これは自分の問題だね(笑)。会社自体に不満は本当に無いんだよね。たぶんほとんどの社員がそうだと思う。エンジニア、クリエイターとして最高の環境を用意してもらってその中で存分に仕事ができているから、不満は無いかな。
アップルは規則がほとんど無くて、アウトプットを出してさえいれば、何をやっていても自由なんだ。大きなベンチャーって感じ。しかも全くギスギスしてなくて、フリーにいろんな人と話したり仕事をしたり出来る。
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新卒採用はほぼインターンから
―会社に不満が見つからない、というのは凄いですね。そういう環境は、マネージメント層が作り出しているものなのでしょうか?
◆いや、そうじゃないんだ。本当に一人ひとりが本気で仕事に取り組み、楽しんでいるからこそ出せる空気だと思う。そこに役職の差などは介入していないと僕は思うな。入社1年目の社員も、20年目の社員も、同等に良い環境を作り出していると思うよ。
―技術力や思考力はもちろん、人と関わる力も非常に重視されるんですね。そのような人材を選ぶのは並大抵のことではないと思うのですが、採用プロセスはどうなっているのでしょうか?
◆新卒はあんまり取らないね。僕も中途だし。新卒を取るのは、ほぼインターンを通してかな。工学系の優秀な学生が3カ月~1年ぐらいのスパンでインターンをして、その中で使えそうな学生をほんのちょっと取るって感じ。残念ながら日本の学生でアップル本社のインターンをしている人は見たことがない。
中途の場合は、履歴書を提出して、15、6人ぐらいにインタビューをされて、その後オファーレターを貰ったよ。英語が苦手だったからきつかった。今アップル本社にいる日本人は60人ぐらいじゃないかな。
―狭き門であることは間違いないですね。ちょっと話は逸れますが、ジョブズと会ったりすることはあるんですか?
◆うん、よくそこらへんを歩いてるよ。今日もこのカフェで何か食べてたし。
―ジョブズが普通に歩いてる環境ってすごいですね(笑)。
…では話を本筋に戻して。「この企業に行きたい!」と強く思っても就職できずに挫折することも少なくないと思うのですが、学生は何を考えていくべきだと思いますか?
◆何よりも大事なのは、入りたい企業の役員もしくは人事権を握っている人に「ぜひ来てほしい」と思われるような経験を積むことじゃないかと僕は思ってるよ。
普通に日々を過ごしているだけじゃ決まらないのはある意味当たり前だよね。ただ勉強して、ただサークル活動をして、飲んで…というだけの学生は、まずいらない。
現時点での能力は求められていなくても、どのくらい働くことについて考え行動しているかはどの会社も絶対に見ているはず。そこをどれだけ妥協せずにできるかがキモだね。
「アップルに入りたい!」と本気で思うのならば、「アップルはどのような経験を持った人を求めていて、どういうプロセスを踏めば入れるのか」ということを徹底的に調べ、考え、行動してみる。
そうすればアップルだろうがグーグルだろうが、入るのは難しくないと思うよ。「やりたい!」と思ったのならば、まず行動してみて欲しいね。
そうすることで興味も広がって、それに付随して魅力的な人材になっていくんじゃないかと思うよ。
―「やりたいことが特になくて、モチベーションも上がらない」という学生もなかにはいると思うのですが、そういう学生はどうすればいいでしょうか。
◆「やりたいことがない」ってことは本質的にはありえないと僕は思ってる。「やりたいことなんてない…」と思っていたって、好きなことは絶対にあるはず。
テレビゲームをやるのも、おいしいごはんを食べるのも、漫画を読むのも、好きだからこそやっているわけだよね。
だったら、「テレビゲームをやることでお金を生み出せないか」「おいしいごはんを食べることをビジネスにできないか」ということを考えてみるのも1つじゃないかな。そういう仕事、実はあるしね。
「やりたいことがない」→「だから動かない」だといつまでたっても何も変わらない。とにかくいろんなことに手を出して、いろんな経験をどんどん積んでみる。
そうすることで、見えてくるものは必ずあるよ。
―ありがとうございました。
おわりに
いかがだったでしょうか。
アップルの方々はとてもはつらつとしていて、心から楽しそうに仕事をしていました。
アップルの新卒採用はインターン出身がほとんどだという点で非常に難関ですが、挑戦する価値は十分にあります。
アメリカにわたり、そちらで就活をするというのも選択肢のひとつとして考えてみてもいいのではないかと私は考えています。(下記追記もご参照ください)
「外資系」という括りは完全に日本視点ですから、真にグローバルな人材を目指すのであれば、アメリカの一流企業を本気で狙ってみるのも手ではないでしょうか。
真に満足いく就職活動を行うためにも、広い視野で考えてみることが大事だと改めて気づかされた思いです。
追記
Appleインターンを実際にやっておられたmamorukさんから補足をいただきました!
Blog記事より、重要な箇所を下記に抜粋しております。
自分は去年の6月から9月までインターンシップしていたし、今年は @murawakiさんが5月から8月までインターンシップをしていたので、
日本人学生でも Apple 本社でインターンシップしている人はいる のである。ただ、数百人いるインターンの中で、日本人はたぶん(直接日本から来た人だけではなく、日本からアメリカに留学している人を含めても)1人だったように思うので、見かけることは確かに少ないとは思う……。
アメリカの「一流」企業を狙うのであれば、「アメリカに渡って就職活動をする」というのは全く間違った行動であり、「本気で狙う」どころかそれは正気の沙汰ではない。
インターンシップをしなければほとんど書類選考にも通らないくらいなのに、 日本での就職を捨ててアメリカに単身渡ってそういう企業にアプライするのは全くもって見当違い である。
本気で狙いたいのであれば、進学先は日本でもアメリカでもどちらでもいいので、博士後期課程に進学し、 インターンシップで行きたい企業に潜り込むこと である。
潜り込むためには論文をたくさん書いたりとか、もしくはオープンソース開発活動で名を馳せたりとか、あるいは学会・勉強会や開発者の集まりなどで社員の人と仲良くなるとか、そういう努力が必要である。
上記の通り、新卒でアップルに入社するためにはエンジニアとして十分な経験とコネでインターンに潜り込むことが必須とのことです。
アップルで採用されるには、日本人にとっては英語力・高度なプログラミングスキル・現地でのコネを作るといった、とてもハードルの高いお話かもしれません。
しかし、最先端テクノロジーの現場経験はとてもエキサイティングかと思いますし、これから海外インターンを経験して日本に還元するような方々が、どんどん増えてもいいのにと個人的には思っております。
この記事読者の中からインターンに参加する猛者があらわれることを期待して、筆を置きたいと思います。
ぜひ頑張ってください!
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