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たった1人でつくったゲームが大ヒットする世界。インディーゲームづくりの面白さは個人の発想を大事にできること 

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「たった1人が自由な発想でつくったゲームが、世界中の人にプレイされて大きな市場をつくる。独自の発想で打って出て、大きくなっていく姿は、スタートアップの成長とよく似ているんです」と語るのは売り上げ100万本以上を誇るインディーゲーム「クラフトピア」を制作したポケットペア社長の溝部拓郎さん。

ゲーム市場の拡大とともに、大手企業が制作したゲームだけでなく、「Minecraft」や「UNDERTALE」といったインディーゲームも、時に数百万本以上の規模で売れるようになっている。

そのインディーゲームとはそもそも何なのか、どんなトレンドがあるのか。ゲーム会社の経営者であり、また“ゲーマー”でもある溝部さんに聞いた。【南部香織】

〈Profile〉
溝部拓郎(みぞべ・たくろう)
ポケットペア 代表取締役社長。
1988年生まれ。2012年東京工業大学工学部卒業。同年、新卒でJ.P.モルガン入社。エンジニアとして、テクノロジー部門で会計システムや特権アカウントのセキュリティシステムを担当する。同年、レジュプレス(現コインチェック)を共同創業し、その後、暗号資産取引サービス「Coincheck」を提供開始。2015年、ゲームの企画・開発・運営会社であるポケットペアを立ち上げ、現職。

※内容や肩書は2023年8月の記事公開当時のものです。

 

インディーゲームとは制作人数が少なく“インディースピリット”を持った開発者がつくっているもの

――そもそも、インディーゲームとはどんなゲームのことを指すのでしょうか。

溝部:明確な定義はなくて、あくまでもこのようにいわれることが多い、というものになりますが、特徴は2点あると思います。

1つ目は大手企業ではなく、少人数で制作されたものという点です。昔はゲームといえば、大手企業が少なくとも数百人規模の人を動員してつくるものでした。それが技術の発展によって、1人でもゲームをつくれるようになった。

もう1点は、インディースピリットを持った開発者たちがつくっているゲームということです。

――インディースピリットとは。

溝部:大手がつくる本流からはずれていたとしても、開発者個人が面白いと思うならつくろう、クリエーティビティーを存分に発揮しよう、という姿勢といえばいいでしょうか。別の角度からいうと、大手企業では企画が通らないような独創的なアイデアにもチャレンジする精神ですね。

一人でつくったゲームが世界的に大ヒット。これまでにない発想が市場を築いてきた

――インディーゲームが大ヒットした例を教えてください。

溝部:有名なタイトルがいくつかあります。その一つが「Minecraft」です。このゲームはマルクス・ぺルソン(通称:Notch)という個人開発者が2009年に試作版をつくって個人サイトで販売したのが始まりです。

それが人気を博して、今までに世界中で2億3000万本以上売れています。2014年にはマルクスが立ち上げたMinecraftの開発企業、Mojang(現Mojang Studios)はMicrosoftに25億ドル(当時のレートで約2600億円)で買収されました。

――なぜ、そこまでヒットしたのでしょうか。

溝部:サンドボックスというジャンルなのですが、その名の通り「砂場」のような自由な空間で、決まった目的や手順がなく遊べる特徴が支持を集めたんです。ブロックを使って村や建物など何を作ってもいいし、モンスターと戦ってもいい。その自由度が新しかった。前からインディーゲームはありましたが、Minecraftのヒットが最初の盛り上がりをつくったのではないかと思います。

他には「UNDERTALE」というゲームも革新的でした。こちらもトビー・フォックスという
開発者がほぼ1人でつくったものです。「誰も死ななくていいやさしいRPG」というキャッチコピーがついていて、モンスターを倒さなくても進められる設定や、ドット絵を使った独特のグラフィック、質の高い音楽などが特徴ですね。個人のクリエーティビティーを発揮しながらつくり上げられている、すごいゲームです。2015年に発売され、世界中でヒットしました。

このように、ヒットゲームが出るごとに市場が広がって、インディーゲームというジャンルが確立されていったと思います。

たった1人、あるいは数人が自由な発想でつくったゲームが、世界中の人にプレイされて、大きな市場をつくる。それまで見過ごされていたニーズが、一大市場にまで発展する。独自の発想で打って出て、大きくなっていく姿は、スタートアップの成長とよく似ているんです。

――そういったインディーゲームの市場が拡大した背景には、Steamのような販売プラットフォームやゲームエンジンの発展も関係していると感じます。

溝部:確かに、その2つは、市場拡大に大きく影響していると思います。UnityやUnreal Engineのようなゲームエンジンのおかげで、より簡単にゲームをつくれるようになり、参入しやすくなりました。また、Steamのような販売プラットフォームのおかげで、世界に向けてゲームを販売でき、話題にもなりやすくなりました。

また、インディーゲームというとPCゲームを想像しがちなのですが、モバイルゲームもあり、AppStoreやGooglePlayなどの巨大なプラットフォームの下で発展してきました。

一方で、Minecraftは個人サイトで販売されていましたし、ゲームエンジンは使われていません。UNDERTALEも今普及しているような整ったエンジンは使っていませんでした。でも爆発的に売れた。そういう意味では、環境も重要ですが、作品の根幹となる発想が結局大事なんだと思います。

新人クリエーターが経験を積めない。その問題解決にもインディーゲームが一役買っている

――2023年はどのようなインディーゲームが流行っているんですか。

溝部:面白い動向としては魚を捕るゲームが2本もヒットしたことが挙げられます。1つは「DREDGE」というゲームで、これまでにないダークな世界観でつくられています。不穏な雰囲気の中で釣りをする設定で、プレイヤーが操るキャラクターに近づいてくる村人もちょっと怖いんです。

もう一つは、「デイヴ・ザ・ダイバー」で、昼に海に潜って魚を捕り、夜はその魚で寿司屋を運営するという、アクションと経営の要素が合わさった今までにないゲームです。魚を捕るという古典的なコンセプトからこのような新しいゲームが生まれたことに驚かされましたね。

――デイヴ・ザ・ダイバーは韓国の大手ゲーム会社のネクソンが、サブブランドである「MINTROCKET」から出したインディーゲームですよね。

溝部:はい。このように、大手がインディーゲームに参入するという流れが、少しずつ出てきました。現状、成功例は多くないのですが、デイヴ・ザ・ダイバーはヒットしましたね。

また大手企業では新人がゲームづくりの経験を積むために、インディーゲームをつくっているところもあります。その理由として、ゲーム市場の拡大によって、1つのゲームの開発予算が、時に数十億円以上の規模に達するようになってきたことが挙げられます。

そういったゲームは1本つくるのに、少なくとも3年、場合によっては5~7年くらいかかります。結果として新人がゲームづくりのサイクルを経験するのに時間がかかってなかなか育たない。

今のトップクリエーターの人たちが若手だった時代は、半年くらいでゲームをつくることも多かったので、経験をたくさん積めた。その結果、そういった人たちがトップを走り続け、新しいクリエーターがなかなか出てこないという業界全体の課題があるんです。

――開発手法に関してトレンドはありますか。

溝部:アーリーアクセス版、つまり開発中の作品を出してプレイしてもらい、フィードバックをもらってゲームをよりよいものにしていくという手法は、かなり多くなってきました。

ユーザーと一緒にゲームをつくっていけますし、アーリーアクセス版だけでも一定の売り上げが立つので、ビジネス面で低リスクという利点があります。また、クラウドファンディングを行う企業も多いですね。

ゲームづくりに携わりたいのなら、とりあえずつくること。環境は整っている

――溝部さんも「クラフトピア」をはじめとしたインディーゲームを制作していますが、その醍醐味(だいごみ)はどんなところでしょうか。

溝部:自分がよいと思う、独創的なゲームをつくりやすくて、場合によっては面白がってもらえる土壌があるところですね。

インディーゲームを好む層、いわゆるコアな“ゲーマー”というのは、ビジュアルなどが整っていることよりも、ゲーム性の面で優れた作品を好む傾向にあります。

――ゲーム業界において注目している職種はありますか。

溝部:どこの業界も同じですが、エンジニアは需要が旺盛ですね。開発系でなければ、マーケティングや販売促進などビジネスサイドから入るのも面白いと思います。

開発者になりたいなら、とりあえずゲームをつくることです。今はよいエンジンもあるし、環境はそろっています。ゲームが好きならとりあえずやってみることです。逆にいえば、ゲーム開発は「好きじゃないとできない仕事」だと思います。

他の分野の開発と比べると難度が高いと思いますし、何よりもプレイヤーの見る目が肥えているため、こだわっていないものは見抜かれるからです。

――ゲーム業界に興味を持つ学生にメッセージをお願いします。

溝部:ゲーム業界はエンターテインメント市場の中でかなり大きな割合を占めていて、今後も拡大し続けると思います。自分が面白いと思うものをつくり、それを人に喜んでもらえるという経験は、何物にも代えがたいのではないでしょうか。

本当に好きなものに携わる生き方はとても楽しいです。私もいろいろな仕事をしましたが、「やはりゲームづくりをやりたい!」と思ってゲーム会社を立ち上げました。学生のうちは収入やキャリアパスに注目しがちですが、自分の人生において何が重要かを考えてみてほしいです。

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