【7大商社】三菱商事の社長メッセージと人材戦略から読み解く、特徴・求める人材像①

【7大商社】三菱商事の社長メッセージと人材戦略から読み解く、特徴・求める人材像①

2025/06/27

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eyecatch

2025年現在、日本の総合商社は歴史上最も大きな変革期を迎えています。従来のトレーディング(仲介貿易)中心のビジネスモデルから、事業投資を通じた価値創造企業への転身を図り、世界規模での影響力を拡大し続けています。7大商社と呼ばれる三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商、双日は、それぞれ独自の戦略と企業文化を持ちながら、グローバル市場で激しい競争を繰り広げています。

この記事では、総合社商社から複数の内定を獲得した私が、各社の社長メッセージと人材戦略を詳細に分析し、企業の本質的な特徴と求める人材像を明らかにします。これらの分析を通じて、就活を進める方にとって有益な企業理解の指針を提供するとともに、商社業界全体の動向と将来展望についても考察したいと思います。

まずは、第1章として 三菱商事 への考察を紹介します。

三菱商事 中西勝也社長が描く企業像とビジョン

三菱商事の中西勝也社長は、2022年4月の就任以来、同社の変革を「 アドベンチャースピリット 」というキーワードで表現しています。この表現には、激変する世界情勢を成長機会として捉え、新たな価値創造に挑戦する強い意志が込められています。

三菱商事の最大の特徴は、「インテリジェンス」という概念を経営の中核に据えていることです。中西社長は「世界ベースのネットワークから得られるインテリジェンスを最大限駆使して、半歩先、一歩先の取組みを通じて企業価値を向上させ続ける不断の努力がいつにも増して重要になっています」と述べています。この「インテリジェンス」という用語を経営戦略の中心に据えているのは7大商社の中で三菱商事だけであり、同社の独自性を象徴しています。

社会課題解決を通じた共創価値の実現

中西社長が目指す三菱商事は、 「社会、日本、そして世界をより良くしていきたいという意識の高い会社」 です。これは単なる企業理念の表明ではなく、具体的な行動指針として機能しています。同社の「三綱領」に込められた「所期奉公」の精神に基づき、その時代の要請に応える形で社会のために何ができるかを常に考え続ける企業を目指しています。

この理念を具現化するのが「 MCSV(MC Shared Value) 」という概念です。これは、既存事業領域の枠組みを超えた三菱商事グループならではの価値創造を意味し、複数の関連する強い事業の「新結合」によって実現されます。「複雑化する社会課題の解決に向けて、既存事業領域の枠組みを超えた三菱商事グループならではのMCSVを実現することで新たな未来を創り上げていくことが私たちの目指しているものです」と中西社長は述べています。

2025年度の戦略的位置づけ

中西社長は2025年度を「更なる飛躍に向けたスタートの年」と位置づけています。中期経営戦略2024の成果をベースに、「事業領域の垣根を超えて、三価値(経済価値・社会価値・環境価値)を実現していく」ことを目標に掲げています。

三菱商事の総合力とは、「あらゆる産業接地面を持つ多様な事業ポートフォリオを有し、更に事業のオペレーションに深く関与していることによって、生きた情報を全社で共有し、様々な角度から将来を見通していくこと」と定義されています。この総合力強化による更なる共創価値の創出こそが、他社に対する決定的な競争優位を構築する戦略として位置づけられています。

三菱商事の人材戦略の変遷と「DEAR」ビジョン

20年ぶりの人事制度改革から始まった変革

三菱商事の人材戦略は、2019年4月に実施された20年ぶりの人事制度改革を起点として大きく進化しています。この改革の背景には、同社が約1,200社という商社最多のグループ会社を有し、それらの企業価値や事業価値を極大化するために「経営人材」が必要となったことがあります。

改革の核心は、「経営人材を継続的に育成・輩出する仕組み」の構築にありました。これまでの三菱商事は経営人材の育成に注力してきましたが、さらに一歩踏み込んだ内容として、以下の要素が組み込まれています。

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