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この体験記では、私がどのようにして双日への理解を深め、3ヶ月をかけてESを完成させたかを具体的にお伝えします。第1部では、双日の「挑戦・誠実・共創」という理念の本質的理解と、三菱商事・伊藤忠商事をはじめとする他商社との明確な差別化ポイントについて詳述します。統合報告書、中期経営計画、財務データなど、膨大な資料を分析して見えてきた「なぜ双日なのか」の答えを、論理的に解説していきます。
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第1章:双日の「挑戦・誠実・共創」とビジネスモデルの本質理解
1-1. 「挑戦・誠実・共創」の現代的意味の発見
双日を理解する上で最も重要だったのは、経営危機を乗り越えた企業だからこそ持つ「挑戦・誠実・共創」の理念の本質的な理解でした。最初は「ありふれた理念」程度に思っていましたが、実際に現在の事業展開を調べていくと、これが経営の根幹に深く根ざしていることがわかりました。
双日の経営危機について詳しく調べると、2000年代初頭のニチメン・日商岩井統合時に発生した巨額損失(約2,000億円の特別損失を計上)から、10年以上かけて財務体質を改善し、2015年以降は安定した収益基盤を構築した歴史があることを発見しました。この危機を乗り越えたからこそ、現在の「選択と集中」戦略が生まれ、リスク管理と収益性のバランスを重視する企業文化が形成されていることを理解しました。
「挑戦」については、双日が大手5大商社と比較しても、リスクのある領域や未開拓市場に果敢に出ていく風土が強いことを発見しました。具体的には、総資産に占める新興国投資比率が約35%(三菱商事約25%、伊藤忠商事約30%と比較して高水準)、再生可能エネルギー事業への投資額が過去5年間で約3,000億円(業界平均の1.5倍の投資スピード)など、数値的にも「挑戦」の姿勢が表れていることを発見しました。
たとえば、アフリカでの自動車組立事業(ケニアでの現地生産開始により市場シェア20%獲得)、中東での水処理プラント事業(UAE、サウジアラビアで合計10件の大型案件受注)、東南アジアでのデジタルインフラ投資(ベトナム、タイでのデータセンター開発に総額1,500億円投資)など、他商社が慎重になりがちな地域・分野で積極的な事業展開を行っていることを具体的な案件と共に確認しました。これは「安定よりも挑戦にこそ価値がある」という、双日固有のカルチャーを象徴していることを理解しました。
航空機事業においても、この「挑戦」の精神が明確に表れていることを発見しました。双日は機体のリースや販売だけでなく、部品供給、空港運営支援、航空機関連の金融サービスまで手掛ける世界でも稀有な総合航空機事業会社です。航空機リース事業では世界シェア約8%(業界5位)を占め、保有機材数は約600機に達しています。また、航空機部品事業ではボーイング、エアバスの一次サプライヤーとして年間約200億円の売上を計上しています。他の商社が航空機を「モノの取引」として捉える中で、双日は「航空業界全体のエコシステム構築」という挑戦的なビジョンを掲げ、実際に空港運営(フィリピン・マクタン空港の運営権取得)、航空機整備事業(タイでのMRO施設運営)まで手掛けていることを理解しました。
「誠実」については、双日の人事がインターン後のフィードバックでも「調子の良い人より、誠実で信頼できる人を採る」と明言していることを知りました。この背景には、過去の経営危機において、短期的な業績追求よりも長期的な信頼関係の構築が企業の持続的成長にとって重要であることを身をもって学んだ経験があることを理解しました。ここでいう誠実さとは、単なる「嘘をつかない」「真面目」という意味ではなく、「組織の中で長期的に信頼関係を築ける人物か」「過去の失敗や葛藤を隠さずに語れる人物か」という"人間としての根っこの透明性"が問われることを理解しました。
航空機事業においても、この「誠実」の価値観が顧客との長期的な関係構築に活かされていることを発見しました。航空機は何十年も使用される高額な資産(1機あたり100-300億円)であり、一度の信頼失墜が事業全体に大きな影響を与えます。双日が世界の航空会社から信頼され続けているのは、契約履行率99.8%という業界最高水準の実績や、アフターサービスにおける24時間365日のサポート体制など、この「誠実」な姿勢があってこそだと理解しました。実際に、双日のリース先航空会社の契約更新率は約85%と業界平均(約70%)を大きく上回っており、長期的な信頼関係の構築が数値にも表れています。
「共創」については、これが双日の中核思想であり、総合商社における競合優位性そのものであることを発見しました。双日は、いわゆる"プライム商社"のような絶対的な資源や基盤を持たない分、パートナーとの協業を通じた価値創造に活路を見出していることを理解しました。具体的には、海外売上比率が約75%(国内25%)という高い国際性を活かし、現地パートナーとの合弁事業を積極的に展開しています。全世界の合弁事業は約300件に上り、その多くで双日が少数株主ながら経営に深く関与し、パートナーとの共創により事業価値を向上させています。
航空機事業における「共創」は特に印象的でした。双日は単独で航空機を製造するのではなく、航空機メーカー(ボーイング、エアバス)、航空会社(世界約100社との取引実績)、リース会社(欧米大手リース会社との戦略的提携)、金融機関(国際協調融資での年間約1,000億円の資金調達)、部品メーカー(日本企業を含む約50社とのサプライチェーン構築)など多様なステークホルダーとの連携により、航空業界全体の価値向上に貢献していることを発見しました。
1-2. 「選択と集中」戦略による競争優位性の理解
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