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コンサル内定者による模擬ケース面接・第2弾
こんにちは。外資就活ドットコム 編集部です。
今回は、外資就活アカデミアのメンターと、MBB内定者のケース面接実況の第2弾です。
前回は、MBB内定者Aさんが「ダンススクールの市場規模を求めよ」というお題のもと、フェルミ推定をしていきましたね。そして、ダンススクールの市場規模が1500億円という結果になりました。→第1弾を読んでいない人はこちら
今回は、 ダンススクールの市場規模を1.5倍にする施策 を考えていきます。ケース面接の一連の流れをそのまま追っていますので、これから選考を受ける皆さんはぜひ読んでみてください!
前回のおさらい
では施策を出す前に、軽く前回のおさらいをしておきましょう。
前回は、単価の低い子供のセグメントと、単価の高い大人のセグメントに分けていきました。また、大人のセグメントの中でもダンス教室通学率という観点で、①高校生大学生の層②社会人以降の層 という2つのセグメントに分けて計算しましたね。
このセグメント分けは、今回のケースで市場規模を上げる施策を考える際に使いますので頭に入れておいてください。では、前回のおさらいができたところで、早速施策出しのケース面接に移っていきましょう!
ダンススクールの市場規模を1.5倍にせよ
メンター:では、市場規模を1.5倍に拡大させるためにはどうすればいいかを一緒に話し合っていきましょう。
Aさん:よろしくお願いします。
まず初めに、市場規模を拡大するためには、もともと単価が高い大人のほうにアプローチする方が可能性があるのではないかと思います。
小学校と中学校のダンス必修化というトレンドがありますよね。そこにチャンスがあると思ったのですが、小中学生のダンスレッスンの料金はもともと単価が低いので、それによって市場規模を1.5倍にするのは難しいと思います。そこで、大人の方へアプローチする施策を考えていきたいと思います。
例えば大人のセグメントの売上を増やすために、ダンスのパーソナルトレーナーをつけて単価を上げるという方法が考えられます。例えば、15,000円ほどの値段が高いコースでもトレーナーがつくのであれば上達が見込めるし、シェイプアップ効果も大きいと思うので、社会人でお金を持ってる人は使ってくれるのではないかと思いました。
メンター:とても筋のいいアイデアですね。
ですが、その方法で増やそうとすると、ライザップやエニタイムフィットネスなどのジムと競合すると思います。それに対抗するため、ダンスならではの優位性をアピールする必要があると思うのですが、どうしたらいいと思いますか?
Aさん:そうですね。メンターさんは、層も価格帯も全て被ってしまっているということを仰っているのでしょうか?
メンター:そうですね。
Aさん:確かに有り得そうですね。では、単価から客数に議論を移しましょう。ライザップなどと競合するかどうかを、提供価値ベースの議論から考えます。すると客数を増やせるかどうかが見えてくるはずです。
それではまず、既存顧客が何を求めてダンスを続けているのか、言い換えると【ダンスが提供できる価値】を考えたいと思います。
(メモを書きながら)・・・ざっとこんなところでしょうか。
【① 健康・シェイプアップ】
【② かっこいい・楽しい】
【③ ソーシャルのつながり】
【④ 芸術の一貫】
先程、私が単価を上げる方法として「パーソナルトレーナーをつけるという高額なコース」を作る、ということも今フィットネスのジムが行っている事ですよね。顧客が求める価値が【①健康・シェイプアップ】であれば、この方法では、差別化を図ることは難しいかもしれません。では、その層の人をどうやってダンスのほうに注目を持たせるかというと…
まず、ダンスの【②かっこいい・楽しい】というところを前面にアピールしていく方法が考えられます。たとえば、ジムでのトレーニングは「苦しい」「きつい」といったイメージがあるということは顧客からすでに認知されているでしょう。それに対してダンスは、「きつい」というイメージはないかと思います。ダンスミュージックもとてもかっこよく、キャッチーなものが多いですし。最近ではK-POPの流行でダンスの熱が高まったりしています。ちなみに韓国や中国ではK-POPに特化したダンススクールがあり、かなり人気だそうです。
ですので、ダンスの持つ「楽しさ」は競合と比較しても価値があると思います。もちろん、ダンスをするためには筋トレやストレッチなどをしないといけませんが、フィットネスジムのように1時間ずっと走ったりと言う事はありません。
メンター:あと1つありますよね。先ほどおっしゃっていた、【③ソーシャルのつながり】ですね。やはりひとりで続けるのは大変だけど、チームだから続けられるといったものですね。
Aさん:はい。「仲間がいるから続けられる」というところは大きいと思います。ダンスは1人で楽しむものと、集団で楽しむものの2つがあると思います。
フィットネスジムでは、一応はフィットネス仲間の間での会話から広がる交流もあると思うのですが、結局トレーニングは1人で黙々と行うものですよね。
それに対してダンスですと、集団で行うものが多いです。例えば、20人のグループを構成して1カ月から2カ月練習して最後に発表する、といったステージパフォーマンスになると団結感が生まれやすいです。その場合、1人で行うトレーニングよりも【③ソーシャルのつながり】という価値が大きくなるのではないかと思います。そのソーシャルのつながりという価値を、婚活ブーム等に活かしてマネタイズしてみたりするのもありなのでは、と思いました。高い単価が取れそうですね。
メンター:どれが1番効くと思いますか?
Aさん:それを考えるため、最初の推定の際に申し上げたセグメントに立ち返りますと、現在ダンスを嗜んでいる高校・大学生が40万人、社会人の層が120万人いるということになります。
やはり持っている財力であったり、そもそもの母数を考えると、社会人のセグメントに焦点を当てるべきなのではないかと思います。となると、その彼らが何を求めているかということが大切になってきます。高校生・大学生となると学祭等で披露する場があると思うのですが、社会人がダンススクールに行ったところで、披露する場所は多くありません。ですので、その違いに着目し、【①健康・シェイプアップ】の目的を求める層に対してアプローチするのが一番筋がいいと思います。
それでは次に、この層をより取り込む上で何がボトルネックになっているかを考える必要があります。大人の層は母数がこれだけ大きいのに、ダンス教室に通っている率が少ないですよね。そこに何かボトルネックがあるに違いないと思いました。
健康目的の大人の人のセグメントを考えていきます。まずそもそも「健康になりたい・シェイプアップをしたい」という意識が芽生えると、いろいろ改善の方法を思い浮かべると思うんですよ。
例えば、【食生活を変えてみたり】、【運動の機会を増やしてみたり】、【医療系の施術を受けたり】。しかし、多くの人々は運動の機会を増やすより、食生活を改善することをまず考えると思います。なぜなら、食生活の改善はお金も時間も必要としないので、忙しい社会人にとってはそちらのほうが手軽だからです。ですので、健康を意識する人をエクササイズをするという方向に持っていくためには、【アクセス・時間】と【料金】がボトルネックになるのではないかと思います。
【アクセス・時間】の問題に関しては、例えばダンススタジオでなくとも市民館などで出張レッスンをするなどの施策で緩和することが出来ます。【料金】に関しては、市場規模を大きくするというゴールのためには、ひとまず下げないほうが良いと思います。
メンター:他に何かありますか?
Aさん:例えば…自宅でダンスができると良いのではないかと思います。ビリーズブートキャンプみたいなの、昔流行ったじゃないですか。あとは、ZOZOスーツが流行りだしましたね。あれで健康状態や各部位のサイズを知ることができるので、体格によってダンスのレッスンをオーダーメイドし、個人に合わせてモジュール化するなどの施策も考えられます。
その施策はコストがあまりかからないのに対し、パーソナライズ化された大きな価値が生まれると思います。
メンター:例えば今、ジョイフィットなどのジムはどこの店舗でも使えますよね。それに対して、ダンス教室は個人経営が多く、アクセス面が制限されがちです。なので、スタジオの数を増やして解決するか、ネットでレッスンを配信するか、さっきAさんがおっしゃったように市民館でダンスレッスンを行ってみるとか…
Aさん:ダンス教室は個人経営が多いところにも問題があります。ダンス教室は顧客から認知されづらいんですよ。ビジネスモデルを考えてみると…たとえばネットでその先生の授業を受けたいという希望を出し、先生側はそれに応えるというプラットフォームを作るといいと思います。そうすると先生側も仕事のモチベーションが増しますし、収入も今より多く見込みやすくなるのではないでしょうか。先生と生徒のマッチングみたいな感じになると思いますね。
メンター:最後に施策をまとめて頂けますか。
Aさん:はい。ダンススクールの市場規模を拡大させるための施策は、『ダンスのレッスンをネットやDVDを通して配信し、自宅でも受けることができるようなシステムを構築すること』です。
より具体的に説明すると、個々人の健康状態に合ったレッスンプランを、個人経営しているダンスのインストラクターとマッチングさせるようなプラットフォームを構築するということになります。
この施策が効果的と判断した理由ですが、セグメントに立ち返った時に、やはり大人の層がボリュームとして大きいため、市場規模を伸ばすとなるとそこにアプローチする必要があります。そこにアプローチするために、「23歳以降の社会人がダンスをしない理由」がどこにあるかというと、【アクセスと時間】なのではないかと思います。なので自宅でもサービスを利用できるようにすれば、ジムなどの競合に勝つことができるということです。すると【①健康・シェイプアップ】を目的とする層をある程度獲得でき、これに加えてダンスならではの【②かっこいい・楽しい】という差別化要因もあるため、この点でも競合優位性を得ることが出来ます。以上です。
メンター:ありがとうございました。
ケース面接実況・ポイントのまとめ
面接形式だと少しわかりにくいと思うので、最後に考え方と施策についてをまとめていきます。
では、この図をご覧ください。
Aさんは、ダンスに興味がある人を増やすため、【ダンスだからこそ得られるもの=ダンスの価値】を考えていきました。その中でも一番「健康になる」といったニーズが大きいと思い、そこにフォーカスを当てた施策を考えることにしました。
その次に、【健康になるため、人々は何をするのか】を考え、ダンスの競合を考え、健康になるという目的におけるダンスの競合として「食生活の改善」「ジムなどのダンス以外のエクササイズ」「医療」に分類していきました。
また、エクササイズの競合としてフィットネスが議論の前半で挙げられましたが、ダンスの持つ音楽性やソーシャルの繋がりと言った独自の価値を引き合いに出し、直接は競合しないとも述べています。
そして、健康になりたい人々はなぜダンスをせず、ダイエットという競合の方へ向かってしまうのか?ダンスのどこが問題なのか?というボトルネックを考えました。その結果、「アクセス・時間」「料金」であると考えました。
最後に、そのボトルネックを解消するために、「ネット配信して自宅で受講するシステムを作る」という施策になりました。
講評編
今回も、Aさんのケース面接に対する講評を行っていきます。
良かったところと改善点を解説していきますので、皆さんが実際にケース面接をするときの参考にしてください。
評価点①議論を楽しみ、面接官と共によりよい施策を出そうとしたこと
今回Aさんのケース面接では、 面接官が言っていることが正しければそれを飲み込んで、よりよい施策を出そうとしていた点が評価されました。
具体的には、フィットネスとの競合関係を指摘された際に差別化について議論を進めることができました。
ある外資系戦略コンサル内定者も、「ケース面接は、面接官を論破しようとすると絶対落ちる」と言うくらい、「面接官のフィードバックを受けて、議論を前向きに進めること」は大切です。
実際、Aさんとメンターのディスカッションは、お互いがお互いを論破しようとすることなく、和やかな雰囲気でした。
「相手が正しい時はそれをしっかり認める素直さ」や「議論を楽しむ」ということは、コンサルタントに求められる素養の一つです。ケース面接は緊張すると思いますが、皆さんもぜひ、面接官と協力しながら純粋にディスカッションを楽しんでみてください。
評価点②自分の考えに批判的になる
多くの人は、「小中学校のダンス必修化のトレンドに乗ればいい!この勢いでダンスを流行らせよう!」となりそうな所ですが、Aさんの場合は、「小中学生のセグメントでは単価が低いため、ダンス必修化の波に乗るだけでは逆に筋が悪い」と判断しました。
このように、 アイデアベース・思いつきでの安易な回答にならなかったところは大変評価できます。
Aさんのように、事前の現状分析をもとに「本当にその施策は効果があるのか?」と常に考え続け、現状と施策がリンクしているものを論理的に考えることが大切です。
改善点①「誰」がどんな「目的」を持って市場規模を上げたいかを面接官と確認するべし
「施策」には必ず「目的」があるはずです。裏を返せば、「目的」によって有効な「施策」は変化していきます。
ですので、今回の場合、 「誰が、どんな目的で市場規模を上げたいか」を先に面接官に確認してから議論に進むべきでした。
今回のケース面接のお題は「ダンススクールの市場規模を1.5倍にする施策」ですが、まず「誰が、なぜダンススクールの市場規模を上げたいのか」という「主体と目的」を考えてから施策を考えてみましょう。
例えば、①日本ダンス協会の収益を増やすため ②政府がダンス必修化を推し進めやすくするため などが考えられます。
①の場合、市場規模を拡大させるだけでなく、日本ダンス協会の収益源のもととなる会費を払ってくれる層(おそらくダンス活動にかなり熱心な層)を増やすことができる施策がよいでしょう。
②の場合、政府がダンス必修化を順調に推し進められていない理由と、それを解決するためにはどの層にどのようにアプローチすべきか?を併せて考える必要があります。
今回は市場規模という数字を単に大きくするために「財力も母数も大きい大人の層にアプローチする必要がある」と考え、大人の層に受ける施策を考えましたが、議論の前に目的を設定すると、考える道筋や最終的な施策も違うものになっていたかもしれません。
皆さんも、目的を設定すると同時に施策が変化していくということを頭に入れておきましょう。
議論を楽しむ姿勢を忘れずケース面接を攻略しよう
外資戦略コンサル内定者のケース実況、いかがでしたか?
皆さんもAさんのように、思い付きでの施策を出すのではなく、しっかりイシューを構造化し、面接官とより良い施策を出すために議論を楽しむようにしましょう。
外資就活ドットコム編集部は、皆さんのケース面接がうまくいくよう応援しています。
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