総合商社・デベ内定者が教える「戦略と覚悟」の就活ロードマップ〈最終回〉選んだ道を正解にする地図作り

こんにちは。総合商社、デベロッパー、広告代理店から複数内定をいただき、最終的にデベロッパーの道を選んだ慶應生の者です。

ES、Webテスト、動画選考、GD、面接、OB/OG訪問、そして最終決断。この長く険しい就職活動という名のロードマップを走り抜き、内定という一つの目的地にたどり着いた皆さん、本当にお疲れ様でした。安堵感と共に、これから始まる新しい世界への期待と、少しばかりの不安が入り混じっているかもしれません。

しかし、内定はゴールではありません。それは、新たな地図作りの始まりです。最終回となる今回は、内定後の思考の転換、すなわち 「消費者」から「当事者」へ というマインドセットのシフトと、 「選んだ道を、自分の力で正解にする」 ための具体的なアクションについてお話しします。

視点の転換：街の「消費者」から「当事者」へ

これまでの私たちは、街を 消費者 として見てきました。「この商業施設はお洒落だ」「この公園は居心地が良い」「このタワーマンションに住めたら素敵だろうな」。それは、ごく自然な視点です。

しかし、デベロッパーの内定を得た瞬間から、あなたは街を見る視点を180度転換させなければなりません。あなたはもはや、街のサービスを享受するだけの消費者ではありません。その街を創り、育て、未来へと繋いでいく 当事者 の一人となるのです。

私自身、内定後に改めて自分が選んだデベロッパーが手掛けた街を歩いてみた時、以前とは全く違う景色が見えてきました。

以前は「素敵なカフェだな」としか思わなかった場所で、今はこう考えます。「なぜ、この一等地に、席数の少ない、単価の安いカフェを誘致したのだろう？もしかしたら、短期的な収益よりも、街全体の『滞在時間』を延ばすことを優先したのかもしれない。このカフェがあることで、隣の書店の売上にも好影響が出ているのではないか？」

以前は「綺麗な並木道だな」と感じた場所で、今はこう考えます。「なぜ、この通りには桜ではなく、葉の落ちにくい常緑樹を選んだのだろう？景観だけでなく、落ち葉の清掃コストや、夏場の日差しを遮る効果まで計算されているのではないか？この歩道の幅は、車椅子やベビーカーが余裕を持ってすれ違えるように、意図的に広く設計されているな」。

このように、街のあらゆる要素に対して 「なぜ？」 を問い、その裏側にある 事業性 （どうやって儲けているのか）、 作り手の意図 （どんな思想が込められているのか）、そして 運営の現実 （維持管理にどれだけの労力がかかっているのか）を想像する。この 当事者 としての視点を持つことこそが、学生とプロフェッショナルを分ける、決定的な違いなのです。

入社までの期間、ぜひ意識的にこの「視点の転換」トレーニングをしてみてください。普段何気なく歩いている街の景色が、無数の「問い」と「発見」に満ちた、知的なフィールドワークの対象に変わるはずです。

思考の転換：「正解」から「最適解」へ

就職活動の面接には、ある意味で「評価される答え」という 正解 に近いものが存在しました。しかし、リアルの仕事、特にデベロッパーの仕事に、唯一絶対の 正解 はありません。あるのは、予算、法律、工期、そして多様な人々の想いといった、無数の制約条件の中で見つけ出す、泥臭い 最適解 だけです。