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地頭よりも、当事者意識と適応力。名門PEファンドが重視する「RIFA力」の正体

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特集「『地頭がいい』とは何か」の第4回で取り上げるのは、投資銀行や戦略コンサル出身者の転職先として人気のPE(プライベート・エクイティ)ファンドの中でも、1992年設立で国内屈指の実績を誇るアドバンテッジパートナーズ。取材に先立ち「地頭」についてコメントを求めると、実は採用でさほど重視していないのだという。場合によっては掲載断念もあり得る前提条件だが、今回はインタビューを敢行。結果、採用に携わるパートナーの市川雄介さんとディレクターの鈴木雄斗さんが、地頭より大事にしている当事者意識や適応力などについて語ってくれた。

注目すべきは、その当事者意識などを象徴するものとして、市川さんの口から飛び出た「RIFA(リファ)力」という造語。新型コロナウイルスの影響などで事業環境が大きく変わる中、投資ファンドのほか、他業界も含む幅広い領域で高パフォーマンスを生むための、キーワードといえるかもしれない。【藤崎竜介】

〈Profile〉
写真右/市川雄介(いちかわ・ゆうすけ)
アドバンテッジパートナーズ パートナー。
一橋大学法学部卒業。日本興業銀行(現みずほ銀行)でデリバティブプロダクツ、M&Aアドバイザリー業務のマーケティングなどに従事した後、2003年3月、アドバンテッジパートナーズに参画。日本海水、カネボウ(現クラシエホールディングス)、東京スター銀行、メガネスーパー(現VHリテールサービス)、イチボシ、ネットプロテクションズ、おいしいプロモーション、日本銘菓総本舗、マテリアルグループ、ワールドコーポレーション、キットを担当。経済ニュースメディア「NewsPicks」プロピッカー。
 
同左/鈴木雄斗(すずき・ゆうと)
アドバンテッジパートナーズ ディレクター。
東京大学大学院工学系研究科修了。ボストン コンサルティング グループ(BCG)でメディア、商社、メーカー、電力、鉄道といった業界の企業支援に携わった後 、2019年6月、アドバンテッジパートナーズに参画。日本パワーファスニング、エスエルディー、Eストアー、キャンバスなどの投資案件を担当。

 

MBBやバルジ・ブラケットの出身かは関係なく、「関与し順応する動的な知性」を評価する

――採用では、地頭のよさをさほど重視していないと聞きました。

市川:明確に評価軸の1つにしているわけではないので、「重視していない」という答えが実情に近いでしょうね。世間でいわれている「地頭」に近い力を見てはいますが、あくまで数ある要素のうちの1つです。

鈴木:そうですね。地頭といわれているような力を見てはいるものの、取り立てて重視しているとはいえないですね。ファンドマネージャーの仕事は、それ以外の力の方が求められますし。

市川:そもそも地頭は定義が曖昧ですよね。重要な評価軸にする場合、明確に定義・構造化しないと採用に携わる一人一人が「私の地頭論」みたいなものに基づいて判断する感じになって、評価結果などにバラつきが生じてしまいます。なので、地頭という言葉自体、使うべきではないのだと思います。

――ちなみに、貴社は例外ですが、なぜ地頭という言葉が採用関連でよく使われるようになったと考えますか。

市川:あえて「地」が付くようになったのは、「頭がいい」、つまり学力が高い人を採って失敗に終わるケースが一定割合生じてきたからじゃないでしょうか。それで地頭という言葉が“発明”されたのではないかと。

鈴木:人材の流動性が高まっていることも大きいでしょうね。新卒入社した会社で60歳近くまで働くのが一般的だった時代は、地頭のような概念は論点にならなかったはずです。一方、私も2度会社を変えていますが、今や転職が当たり前の時代。時に即戦力が求められる中、学歴に象徴される「頭のよさ」と区別してポテンシャルを評価する意図で、使われるようになったのではないでしょうか。

――その話でいうと、貴社も地頭ではないものの、学歴・職歴や表面的なスキルに直接つながらない力を採用時の評価対象に入れているのではないでしょうか。鈴木さんの話にあったような、ファンドマネージャーに求められる地頭以外の力につながると思うのですが。

市川:そうですね。少し前にnoteに書いたのですが、「関与し順応する動的な知性」をすごく重視しています。

米ブラックストーン・グループの共同創業者であるスティーブ・シュワルツマン氏が、著書でこう記しているんです。

「金融、とくに投資は新しい情報や人や状況にすばやく順応しなければならない動的な世界だ。会話という限られた範囲内でつながりを持ち、積極的に関わり、方向を変える能力を示さない志望者は、おそらくブラックストーンでうまくやっていけない」(*1)
*1 「ブラックストーン・ウェイ PEファンドの王者が語る投資のすべて」(翔泳社)より

これに触発されてnoteで発信したのですが、採用ではその前から大事にしています。

鈴木:内容を詳しく明らかにできないのですが、当社では数年前から言語化された統一の採用基準を設けています。そして、その中にも市川のいう「関与し順応する動的な知性」を重んじる考え方が盛り込まれています。

市川:ちなみにこの基準に基づく評価は、学歴や職歴といった属性情報とは“区分け”して行っています。職歴などと直接結びつかない内在的な力といっても、やはり普通に見極めようとすると、MBB(*2)やバルジ・ブラケット(*3)の出身者などがよく見えてしまいますよね。そうした属性情報によるバイアスが、なるべく生じないようにしています。
*2 名門戦略コンサルティングファーム3社(マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ、ベイン・アンド・カンパニー)
*3 ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなどグローバル上位の投資銀行

コロナにDX……変化の激しい「VUCAの時代」に対応するための「RIFA力」

鈴木:「関与する」についていうと、ファンドマネージャーの仕事は投資先選定から投資後の成長支援まで一気通貫で関わるものです。時に投資先の人たちと密にコミュニケーションを取り、相手の心を動かしながら成果を出すため、主体的に関わっていく力は必須ですね。

――関与する力、当事者意識とも言い換えられそうですね。

鈴木:ええ。投資前はロジカルさが問われることが多いのですが、ロジックだけだと机上の空論になる。特に投資後の仕事を「血の通ったもの」にするため、必要な力だと思います。

――「関与」に加えて「順応」も重視しているということですよね。

市川:あるシンクタンクによる調査では、国内企業に属するいわゆるハイパフォーマーの構成因子を分析・整理し、多いものをリストアップしているんです。それによると、パフォーマンスに最も影響している要素が「創意工夫」。「創意」という部分からクリエーティブな力を連想しがちですが、私は適応力、柔軟性と解釈しています。

シュワルツマン氏がいう「新しい情報や人や状況」に、既存の計画を変えつつ対応する力ですね。

鈴木:計画を変えるという意味では、今まで以上に求められている力でしょうね。要因の1つが新型コロナウイルス。従来の中期経営計画で重点領域としていた市場がコロナの影響で一転縮小に向かったならば、速やかに方針を変えなければなりません。

市川:数年前にいかに精緻に分析した結果でも、コロナによって無意味になったりしますからね。自分を変え、周りを変える力は必須になっているかもしれません。

――それで「関与」と「順応」というわけですね。

市川:はい。今は「VUCA(ブーカ)の時代」、つまりVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)に満ちた状況といわれます。

関与し順応する動的な知性は、こうした時代で価値を出すために必要なものです。もう少し分解すると、Resilience(回復力)、Involvement(関与すること)、Flexibility(柔軟性)、Adaptability(順応性)の4要素でしょうか。いうなれば、頭文字をとって「RIFA力」ですね。

――RIFA力。地頭より定義を共有しやすそうですね。

鈴木:そうかもしれません。先ほど述べたコロナの話以外でも、DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れですごく求められる力ですね。

グループ会社のアドバンテッジアドバイザーズは、NTTドコモと提携して投資先のDXを後押ししているのですが、従来型の経営支援と違う部分が大きいと感じています。ここで求められるのはいわゆるアジャイル型というか、多様なオプションを素早く検証しつつ、まさに創意工夫しながら方向性を定めていくやり方ですね。そうした新しい形の投資先支援で試される力といえます。

コロナで顕在化した経営者のRIFA力。高めるのに必要なのは「能動的に考えること」

――ただ、採用時にその力を見極めるのは簡単ではなさそうです。

市川:そうですね。重視して見極めようと試みていますが、正直言って最適な面接のやり方などを、確立しきれてはいません。例えばブラックストーンのシュワルツマン氏だと、面接で自身が最近携わってエキサイティングだった仕事についてしゃべり続けて、候補者がそれにどう応じるかを見たりするようです。一つの考え方として興味深いですが、そうしたアプローチが我々にとって適切なのかは、まだちょっと分からないですね。

コミュニケーション力というよりも、行動特性に近いと思いますし……。

――“動的”な知性ですからね。

鈴木:難しいですよね。まだ試行錯誤しているところです。現段階で言えるのは、我々もFlexibilityなどを発揮して最適なやり方を確立しようとしている、といったくらいのことですね。採用チームもRIFA力が問われているというか……。

――では、例えばどんな人がRIFA力に満ちた人といえますか。

市川:元投資先でメガネ販売チェーンなどを傘下に持つビジョナリーホールディングスの星崎尚彦社長は、典型的な例ではないでしょうか。同社は2020年4月、(初回の)緊急事態宣言への対応として、メガネ・補聴器の出張訪問サービスの体制を整えました。対外発表したのは、緊急事態宣言が発令された4月7日。この速さに、経営トップのFlexibilityやInvolvementなどが表れているといえます。

――そのような適応力は、パーソナリティーに左右される面もあるんでしょうかね。

市川:生まれつきというより育った環境の影響が大きいのかもしれませんが、ある程度あるでしょうね。いわゆる「アイデア→即実行」のタイプというか。しかも、その“即”のスピード感がずば抜けて速い。場合によっては朝令暮改と受け止められるかもしれませんが、とにかく正しい方向に向けて絶えず軌道修正する人たちです。

――パーソナリティーが影響するとはいえ、大人になってからもそうした力を高められる方法がありそうならば、聞いておきたいです。

鈴木:簡単に答えが出ないものについて、思考する経験を増やすことでしょうか。柔軟性を発揮して、何度も考え直す必要がありますから。

あくまで例えばですが、コロナ対応で緊急事態宣言の期間を延ばすか否かなどは、非常に難しく容易に答えを出せない問題です。仮に自分が国のトップだったとして、国民を納得させる答えをどう出すかを考えてみる、場合によっては友人らと議論してみるのもいいかもしれません。

市川:簡単なところでは、最低1カ月に1回、現状の改善や新しい施策を先輩や上司へ提案したかと、問い直すことですね。改善提案は、当事者意識や柔軟性があってこそのことですから。

案が採用されるかされないかは問題ではなく、コンスタントに提案しているかを意識することが大事だと思います。

あとは、コロナ下だと問題の終息を待って“受け身”になりやすいですが、自分自身や関わっているプロダクトをどう変えて適応していくかを、能動的に考えることでしょうか。卑近な例ですが、私がそれまでやっていなかったnoteを始めたのは、コロナがきっかけでした。結果、リアルな接点が減った中でも、仕事で関わる人などと相互理解を深めることができています。


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