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この時点で内定が出ていなければ一流層ではない
お久しぶり、19卒の諸君。迷える就活生の味方、「何者」である。久しぶりの登場となるが、就活生諸君がそろそろ退屈な記事に飽きて刺激を欲している頃だろうと、こうして舞い戻ってきた次第である。私事になるが、自分の手元の事業群が新たなステップに踏み出すものが多く、テンヤワンヤで手を引かれしばらく諸君の相手ができなかったというのが実情だ。大変申し訳無い。諸君らは叱咤されないとやる気の出ない生き物なのはこの「何者」、重々承知しているので、今日はのんべんだらりとしている19卒の諸君に一発喝を入れるようなことを話そうと思う。
19卒の就活戦線はもう夏の就活前半戦は終わり、秋の後半戦に突入せんというタイミングである。現状就活を終了する者・冬の本命外資企業への内定を見据えて着実に第一候補以外の内定を収集する就活生等がいるのに対し、予想外に夏インターンが全滅し本選考ジョブのはるか手前にすらたどり着けず就活恐怖症に陥った諸勢もちらほら居て、勝敗くっきりというところであろうか。いくら就活市場が売り手強しといえど、トップティア企業の採用枠は悲しいかな、枠数の変動など微塵もないのである。
突然だが筆者の周りには学年上下問わず、いわゆる「就活市場0.01%人材」と呼ばれる人々が多数いる(というより「何者」が交友関係を維持する努力をこの層に該当する人にしかしていないからなのではあるが)。今日はその中でも、諸君らと同じく19卒でありながら、難関戦略コンサルティングファームにて内定を早々に勝ち取り、現在エンジニアリングを身に着けアプリ開発に注力し始めた、「何者」のかわいがっている後輩の一人にインタビューをして、彼の生涯のキャリア設計や内定を勝ち得たコツを洗いざらい聞いてみた。おそらく現在まで内定が出ていない19卒の諸君にとっては同じ19卒に就活のアドバイスをされるというのは憤懣ならない状況ではあろうが、はっきり言わせて貰えばこの時点で内定が出ていない諸君はもうすでに一流層ではないのだ。ここは諦めて秋冬の選考に備えて臥薪嘗胆するしか無いと思って最後まで記事を読もう。
企業選びの軸「自分より優秀な人が大半」
夜8時。待ち合わせ場所の、恵比寿駅のとあるチェーン喫茶店の前にさっそうと現れた好青年の彼――Dくんが今回のインタビュイーだ。Dくんは現在某私大の3年で、来年度から戦略コンサルティングファームで働くことに決まっている(筆者インタビューは9月中旬)。Dくんは人懐っこそうな笑顔で何者に会釈すると、無事内定が決まったことを直接報告してくれた。彼はこのファームでほぼほぼ働くつもりではあるが、今冬はとりあえず物見遊山程度に外資系投資銀行のアセットマネジメント部や、難関メガベンチャーを受けるかもしれないそうだ。何者とDくんは喫茶店に入り、コーヒーを注文し席に着いた。
何者はまず、彼に就活においてどのように受ける企業を絞っていったのかを聞いてみた。すると彼は即座に返してくれた。
「僕が大切にしていた企業選びの軸は2つあります。1つは、僕より優秀な人が大半である会社であること、もう1つは新しい価値を産もうと挑戦する人を近くでサポートしたいということです」
おそらく2つ目の軸はベンチャー企業へのコンサルティングをしたいということなのだろう。聡い読者は彼の内定先に概ねのアタリが付いてしまいそうだな・・・苦笑しながら何者はDくんに聞き返してみた。
――その要件ってVC(ベンチャーキャピタル)とかベンチャー企業自体への就職じゃあ満たされなかったの?
「はい。1つ目の僕より優秀な人が大半という環境が、それらの場所では満たせそうにありませんでしたから、“戦略”コンサルティングファームに就職を決めました。あっいえ、先輩のことではなくですね・・・」
これまた即座に彼はハキハキと返してくれた。この何者を前にして随分な言い草ではあるが、筆者何者自身のコラムでも前回(「ベンチャー新卒入社で本当にいいのか?~『何者』が語る、ベンチャー企業の影と光」)申し上げたとおり、優秀な人間がベンチャー業界に極めて少ないのは事実だ。少なくとも彼の会社選びの理由には矛盾はない。このような思考フローでベンチャー以外の業界に優秀人材が流れてしまうのは大変残念なことであると何者はつくづく思う。更に続けて質問してみた。
――Dくんなら普通に外銀とか外資の戦略コンサルでも良かっただろうに、なんでわざわざベンチャーへのコンサルティング案件が多い戦コンに就職を決めたの?
少し思い出すように宙を眺めたあと、さっきまでの理知的な返答とは打って変わって懐かしむような表情で彼は語り始めた。
「僕、就活とか意識するずっとずっと前、ちょうど1年生の時にバイト感覚でベンチャーでインターンし始めたんです。ベンチャーっていってもその頃は自分を入れてたかだか6人くらいのドベンチャーだったんですけど、そこでずっと広報をしてました。当時流行ってたキュレーションメディアだったので、記事編集のディレクションもやらせてもらったなあ。最初は本当にバイト感覚だったんですけど、自分がプランニングして実行に移した施策でユーザー動向が変わったりする様をみるのはとても痛快でしたね。結局そのベンチャーは2年前まで6人の小さな企業だったのに、僕がやめて半年ぶりに内定報告に伺った時にはその会社は60人にまで社員数を増やして、関西支社もできていました」
――それは随分ベンチャーらしいところにいたね。貴重な経験ができた?
「それはもう・・・何かをゼロから組み立てていく過程を見るのは、やっぱり刺激的でしたね。そこの社長さんの熱病に取り憑かれたかのようなひたむきさを見ていて僕も『こういう世界で生きていたい!』と思ったんです。こういう熱い経験をこの先ずっとしていたい、というのが先程お話した1つ目の企業選びの軸の背景です」
何者はメモの手を止め、ふとこの未来ある19卒のDくんに、意地悪な質問をしてやろうという気持ちがムクムクと生まれてしまった。最初は穏便に記事を書こうかと思ったが、筆者何者、底意地が悪いことにもまま定評があり、ついに抑えきれなくなってこう質問してみた。
――そんだけベンチャーでやれたことが気に入っていたのに、なんで事業会社(ここでいう事業会社は主にベンチャーを指している)に就職することを検討しなかったの? キミが見たベンチャー勃興の瞬間はベンチャーにいる事で最も間近で感じることができると思うんだけど。
Dくんは少し寂しそうな顔をして、ただし淀みなくこう返してくれた。
「それはおっしゃるとおりだと思います。ただ僕には、これに命をかけられる! っていう僕の元インターン先の社長さんみたいな強い想いを持てるだけの賭けたいプロダクトが思いつきませんし、実際その社長さんが持っていたある種狂的なまでの強烈な自我が僕にはなかったんです。やっぱり間近で見てそれくらい強い想いの人しか勝負できない世界なんだなっていう理解はしていました。だけども、僕はそういう世界の中で何らかの役割を持って飛び込みたい、という想いは変わりませんでした。だからこそ僕は沢山のベンチャーを支援し、成功への『知』を蓄積してそういう新しい価値の想像を志す人の最強のサポーターでありたいです。そして、あわよくばコンサルタントとして多くの社長と対等に議論する中で自分の中にも強い自我が生まれたときは・・・その時は挑戦してみたいです。それまではひたすら修行です」
何者は意地悪な質問をしたことを申し訳なく思うと同時に、こういう志もあり得たのだと大きな感銘を受けた。何者にとって、創業とはDくんの言うとおり強烈な自我と確かな知性を持つものしか志してはならないものだと強迫観念のようにすりこまれてきた認識だ。この認識をし、エリート街道をかなぐり捨て戦いに身を投じるのには「何者」とてずっと葛藤し、考えすぎて眠れない夜を沢山過ごした。一方で、私のような強烈な自我を持つタイプの創業者を支えて理知的に尽くす、彼のようなサポーターがいるからこそ事業は上手くいき、視野が開けるのである。こうした意見を聞いて、何者は今更ながらに一人で起業し、操業するわけではない事実に後輩のDくんに気付かされ、ちょっと恥ずかしくなって喫茶店でコーヒーをブクブクした。
戦コン出身者のケース面接対策会で猛特訓
――話を変えるけど、就活対策みたいなのはいつくらいから、どんな風にした?
「まずは先輩から推薦された書籍を数冊読み込みました。これでフェルミとか個別にある程度過去問は解きましたね。最低限恥ずかしくない程度のケース能力をつけたあとは、某就活支援団体でケース対策をつけてもらったんですがいまいちシックリ来なくて・・・」
――まず本を読むのは正しいね。でもその後の就活支援団体はいただけないね。やっぱり内容も低レベルだったでしょ?
「あまり成長を感じることはできませんでしたね・・・結局僕は個人的な知り合いの紹介で外資系戦略コンサルティングファームから外資系投資銀行に転職した方がクローズで行っているケース面接の対策会に幸運にも参加させてもらって、みっちり1カ月しごいてもらいました。その時は考えるという根本作業が如何に今まであやふやだったか気付かされましたね。毎日復習ノートもつけて、猛勉強といって差し支えない努力をいたしました」
これは早期にファームから内定を貰う就活生の特徴だが、彼らは必ずと行っていいほどDくんのように業界で「バイブルとされる書籍」(筆者が昔コラムで取り上げた『イシューからはじめよ』等もそのうちの一つであるが)でひたすら勉強した後、必ずといっていいほど優秀な戦略ファーム出身の社会人の方に修行をつけてもらうのである。根も葉もないが、こういう秘匿されたノウハウにリーチするのも就活の重要な戦略の1つである。こればかりは正直知性云々というより情報戦に対してどこまで鋭敏な感覚を持っているかであり、実際に多くのファームを志す就活生ができていない大きな課題の一つだろう。怪しい就活支援団体に頼るのは結構なことだが、結局“ネコしか飼っていない人間にトラの飼い方を人に教えることはできない”のであり、商社やベンチャー、非戦略ファーム上がりの人間にできるケース面接講座などたかが知れているのである。ぜひとも外銀・戦略ファームなどの本場のゴリゴリな方のケース指導を受けよう。
内定が出ていない19卒東大生にメッセージ
さて、話を戻して彼に一応最後の質問を投げかけてみた。
――まだ内定が出ていない19卒の、特に東大生になんか言ってやってくんない?
Dくんは苦笑しながら「煙草良いでしょうか?」と聞いて、ここで初めて煙草に火をつけ、深く紫煙を呑んでこう答えた。
「やっぱり、僕は(僕自身が)基本的に賢くはないと思います。東大生と喋っていても、彼らのほうが十分賢いと本当に思う。けれど、東大に入るだけの知性があって努力もできたはずなのに、戦略ファームや外銀、その他難関をぼーっと受けて落ちていく東大生を見ていると、自分を追い込む才能がもはや欠落していると思います。彼らは決定的に現在の自己の戦力分析ができていないと思いますし、もっと言えば分析した上で理想と現実の差分を埋める努力がまったくできていないと思います」
なかなか辛辣かつクリティカルな意見だ。これを見た内定が出ていない学生諸君は、東大生以外も含めて存分に焦ろう。最後にまとめになるが、筆者が今回彼Dくんと喋っていて感じたのは、「優秀な人材ほど何か自己の本質に関する質問された時、即座に答える」「優秀な人材ほど、どこまでも自己分析が深淵」という2点である。この2点は結局論ではあるが、自分自身が歩むであろうキャリアについて、これまでの人生でどれだけ死ぬほど真面目に自問自答を繰り返せているか、ということを即座に推し量ることができる確認ポイントとして何者が付き合うべき人の見極めに使うツールでもある。
また、余談になるが、「何者」は今回の記事で将来起業するなら必ずベンチャー上がりであるべきだという考えを少し改めた。彼のように、私のようなバーサーカー-タイプの創業者を諌めつつサポートしてくれるような存在も、初期の創業メンバーにはきっと必要だろう。むしろベンチャーに新卒入社でないほうがDくんのようなタイプの就活生にとっては良いのかもしれない。ベンチャー業界の人材の質を憂う「何者」にしても、こういう形でベンチャー業界に帰ってきてくれるのならば御の字、文句はない。
この後Dくんが内定から就職までにバイアウトしようとしている鋭意製作中の動画アプリについて、夜通し事業構造やROIについて熱い議論が繰り広げられた。ペケペケに何者がダメ出ししたので、ちょっとDくんはしゅんとして帰っていったのだが、それはまた別の機会に記事にするとしよう。ただ確かなのは、諸君が就活ごときでヒーヒー言っている間に同期のトップティア学生は、既に戦略コンサルに内定を決め、エンジニアリングを身につけ、事業開発に着手し始め新たな力の蓄積をしているという事実を知っておこう。今日はここまでだ。ではでは。
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