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戦略コンサルで求められる知識・思考法を身につけよう
良書を読むことは、戦略コンサルティングファームの選考対策や入社前準備として、とても有効な手段です。なぜなら、まだビジネス経験の乏しい学生が現場の実態や思考の枠組みをつかむことができるからです。そこで今回は、 戦略コンサルティングファームのトップファーム5社が内定者へ薦める課題図書 をご紹介します。
まず、戦略コンサルトップファーム5社のうち、複数の企業が推薦していた書籍23冊を必読書としてピックアップ。 特に最初の7冊は読まないと戦略コンサルティングファームの内定獲得は困難 と言えるレベルの必読書です。実際に読んだコンサルタント、コンサル内定者のコメントもありますので、ぜひセレクトする際の参考としていただければと思います。さらに、コラムの最後には必読書以外の推薦本121冊もリストアップしています。
推薦された書籍は、戦略コンサル志望者や新入社員に対して 「入社時にこれだけの知識・考え方は身につけておいてほしい」 という企業からのメッセージと捉えていいでしょう。
彼らプロフェッショナルと共通の枠組みで会話を行うためにも、ぜひこれらの書籍を読み込み、戦略コンサルで求められる思考法を身につけてください。
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まずは 「コンサルタントを目指すなら最初に読んで欲しい本」 を紹介します。
◆5社すべてが勧めるコンサルタントのバイブル本
考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
著:バーバラ・ミント
翻訳:山崎 康司
監修:グロービス・マネジメント・インスティテュート
(ダイヤモンド社)
明快な文章を書くことは、明快な論理構成をすることにほかならない――。 本書は、マッキンゼーをはじめとする世界の主要コンサルティングファームでライティングのコースを教えるバーバラ・ミントが、独自の文書作成術を披露した本です。本書ではまず、多くの人がわかりやすい文章を書けないのは、論理構造に問題があるからだ、と指摘。その上で自らが考案した「ピラミッド原則」と呼ばれる考え方を提示し、物事を上手に論理立てて述べるテクニックを伝授しています。
――コンサルの仕事はイコール「説得すること」なので、圧倒的に優れた説明能力が求められます。つまり、基礎的な頭の使い方や表現方法を完璧に身につけていることが大前提となるので、本書に記されている「話の流れ・根拠・言葉使い・グラフ・信頼関係構築」などは必ず極めておきたいところ。最初に読んだ時は枝葉に気が行き過ぎて難解に感じましたが、何度も読み返すうちに理解が深まる内容なので、もし初見で難しく感じたようであれば、入門編の書籍を読んでから再挑戦することもお勧めです。
◆5社中3社が勧める「これだけは」という名著
ロジカル・シンキング
著:照屋 華子 / 岡田 恵子 (東洋経済新報社)
マッキンゼーのエディターである著者による、ロジカル・コミュニケーションを身につけるための本です。読み終える頃には、話の重複や漏れ・ずれを無くすための技術である「MECE」(ミーシー)と、話の飛びを無くすための技術「So what ? Why so ?」という2つのキーワードを使いこなせるようになっているはず。論理的思考力・論理的表現力を養成するための第1歩にふさわしい1冊です。
――コンサルタントとして働く上で基礎となる論理的思考が分かりやすくまとまっており、基本的な教科書として読むのにお勧めの本だと思います。また就職後、複雑な要素が絡み合うビジネスシーンを目の前にして、混乱することもきっとあるでしょう。そんな時、基礎に立ち返りシンプルに論理的に物事を見つめるために、この本を読み直すこともお勧めです。ただ、構成や文章が少々味気ないため、就職活動中に将来に向けたワクワク感を醸成してくれる本ではないかと。他の本と組み合わせると良いと思います。
――『考える技術・書く技術』よりもやや易しい内容。時間が限られている状況であれば『考える技術~』をお勧めしますが、それぞれが同一の内容に対して違った言い方・順序でのアプローチを行っているため、両方を読めば反復学習同様の効果が得られます。
仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法
著:内田 和成 (東洋経済新報社)
ボストン コンサルティング グループ日本代表を務めた著者による、問題解決のための思考法について述べられた本。
すでに見えている問題を解決することにとどまらず、さらなる問題を発見できてこそ、早期に手を打つことができ、結果的に仕事の質も高まるというもの。本書ではスピード感をもって対処することの大切さや、自ら問題を発見しようとする姿勢の重要さを教えてくれます。
――コンサルを目指そうと決めた2年生の冬頃に読んで、「大学生活前半を捧げていた哲学に比べると、ビジネスの場面での課題解決は、制約時間を考慮して仮説を立てながらスピーディにざっくり進めるものなんだな」と納得しました。この本を読んだことで、以前は抵抗を持っていた「少ない時間でそれなりに考えながら物事を進める」というビジネス的発想を受け入れられるようになりました。
―― 著者が後に出版した『論点思考』とあわせて、強くお勧めしたい1冊です。“限られた時間の中で、徹底的に調べてから答えを出すという方法のみでは無理がある、だから常に「これまでの経験値から導かれた直感的な仮の答え仮の答え(結論)」を意識しながら進めることで、より効率的に物事を進められる“という思考法に基づいて書かれています。
戦略「脳」を鍛える―BCG流 戦略発想の技術
著:御立 尚資 (東洋経済新報社)
ボストン コンサルティング グループと著者が長年培ってきた、戦略コンサルタントとしてのノウハウを明かした本書。
戦略や戦術について書かれた書籍は数多く出版されていますが、同じ業界で働く人であれば、そのほとんどが同様の知識を持っているもの。そのような環境下で勝利を手にするために必要となる「定石を超えるユニークさ」や「イノベーションを生み出す力」を、いかに鍛え、実務に役立つ知恵とするか、細かく解説しています。
――「たとえ同一の戦法であったとしても、定石やマニュアルに則っただけの戦略で終わることなく、独自の工夫やユニークさという付加価値をつけることが成功に繋がっていく」という考え方は、コンサルタントに限らず、すべての仕事で言えることではないでしょうか。また、考え方の前提となる「定石」を学ぶための書籍なども数多く紹介されています。とても読みやすい内容なので、多くの書籍を読んで勉強しようという人なら、早い段階で読んだ方がいいかもしれません。
企業参謀―戦略的思考とはなにか
著:大前 研一 (プレジデント社)
マッキンゼー日本支社を創りあげた著者による、最善解を導き出すための思考法が書かれた本。
著者自身が実際に体験した業務をもとに、「どのように戦略的思考を駆使して経営戦略を立案するか」という内容が、臨場感をもって書かれています。
――世界的コンサルタントが経験を元に書いた名著です。コンサルタントを目指すならば一度目を通した方がいいと思います。内容は奥が深く、大変示唆に富んでおり、一度で全てを理解することは難しいのではないかと思います。10年以上経験を積んだ後で再び読むと、また違う理解ができる本です。
――かつてはこれしかないと言われたほどの戦略系書籍の先駆け的存在。個人的には、散髪はしっかりしてほしいので冒頭のエピソードには納得できていない。(気になる方は読んで確認してみましょう)
―― 1980年代に出た本ということを考えると、「戦略って昔から本質的には変わってないんだろうな」という感想。日本とアメリカの経営手法の差がどのように扱われてきたか、どういう帰結を生んだかというのはこの本ならではの内容だなと思いながら楽しく読みました。
決定版 戦略プロフェッショナル 戦略独創経営を拓く
著:三枝 匡 (日本経済新聞出版)
著者自身が経験した実話をもとに、企業の改革プロセスを小説仕立てで描いている。実際の現場がベースになっているので、臨場感とリアリティがあり、読み物として楽しみながら戦略論を学べます。
基礎を学んだあとで「机上の空論ではなく、実際のビジネスで戦略論がどう応用されているのかを知りたい」と感じた人にはぴったりの内容ではないでしょうか。
――コンサルに憧れ始めたころに読んで、「これだ!」と思った本。この本を読んでなかったら、コンサルを目指すことを途中でやめていたかもしれない。少しでも、自分が何をやりたかったか見えなくなったらその度に読み直して元気をもらった。
ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務
著:石野 雄一 (光文社)
一見、難解に感じられるファイナンスについて、基本的な概念から活用法まで、分かりやすく説明されています。「教科書的な記述では難しくて理解できなかった」という方こそ、本書で「ざっくりと」概念を学んでおけば、その後の理解度が格段に上がるかもしれません。
――M&Aファームでインターンを始めるに際し、バンカーによる研修を受ける前に予習として一夜漬けした本。この本のおかげでファイナンスの基礎を「ざっくり」押さえられた。それ以降、ビジネスにおけるものの考え方が根底から変わったように思う。
――コンサルティングの仕事は最終的に財務諸表に現れなければ成果とはなりません。そういう意味では、財務諸表の感覚をもってケーススタディに臨むことで、よりビジネス的な視点をアウトプットに加えることができます。コンサルタントとして働く以上必要な概念・知識ですので、勉強しておいて損はないと思います。
5社中2社以上が勧める14冊+資料作成のための2冊
◆5社中2社が勧める、外せない名著
――学術的な議論における論点は割と些末なものまで含める場合も多いが、ビジネスにおける意思決定では時間的制約があるため全ての論点をあげつらうことはできないという、当たり前のことを改めて痛感した。論理的思考や書く技術などは意識すれば達成できるが、論点思考・仮説思考に関しては意識することよりも、その方法を見つけるために経験を要するという面で難しさを感じている。だからこそ、継続して取り組まないといけないと改めて思わせてくれた本。
意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法
著:後 正武 (ダイヤモンド社)
情報を分析するための切り口と方法論について、豊富な事例をもとに体系的に解説しています。情報を集めたもののそこから先に進むことができない人は必読です。
著:岡本 浩一 (PHP研究所)
「上達する人としない人の違い」を、心理学をベースに、科学的な分析を持って解説した本。いわゆる「できる人」が持つ能力やそれをもたらす記憶構造の分析から、独自の上達ノウハウによって、効率の良い努力の仕方について教えてくれます。「努力を続けて中級者くらいのレベルには達したものの、上級者とはいえないまま伸び悩んでいる」という経験がある方にはぜひ読んで欲しい1冊。「努力以外の何が、上達の差を生むのか」という問いに対する答えが書かれています。
――超オススメです!この本を選んでくれた先輩には未だに感謝の念に堪えません。上達する心理・身体状況を理解した後で、いわゆるゾーンという概念と近い「フロー体験」について調べてみると、もう後には戻れなくなります。時間があっという間に過ぎてしまうので読む際はご注意を。
影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
著:ロバート・B・チャルディーニ (誠信書房)
世界中でロングセラーを続けている名著。「どのような要素が人を行動させる要因になるのか?」という疑問に、行動心理学の見地から答えています。教科書のような堅苦しい感じがなく、小説を楽しむかのように読み進めることができます。この本を読めば、街に溢れている広告がどのような意図でつくられているのかが見抜けるようになるでしょう。
――絶対に読むべきです。『マインド・コントロール』(著:岡田 尊司)とあわせて読むと、より良い。人を説得して動かす仕事につく人には必須となる、人間心理に関する知識が学べます。
イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard business school press)
著:クレイトン・M・クリステンセン
翻訳:伊豆原弓
監修:玉田俊平太 (翔泳社)
ハーバード・ビジネス・スクールでの講義をもとに著された本書。コンサルタント志望でなくとも、経営学を学ぶ人にとっての基本の1冊と言えるでしょう。
――経済学部生で技術経営を受講している人には、既知の内容が多いかもしれません。…とは言え、イノベーションのジレンマにおいて、「何と何の板挟みになっているのか」は把握しておく必要があると思うので、改めて読んでみても勉強にはなるかも。
[新版]ブルー・オーシャン戦略―競争のない世界を創造する (Harvard Business Review Press)
著:W・チャン・キム / レネ・モボルニュ
翻訳:入山 章栄 / 有賀 裕子 (ダイヤモンド社)
43カ国語に翻訳され、世界で350万部を売り上げた本書。「ブルー・オーシャン」という言葉がほぼすべてのサラリーマンに浸透するほど有名な本です。21世紀の経営戦略論に革命を起こしたと言われるベストセラー。
著:水越 豊 (ダイヤモンド社)
ボストン コンサルティング グループの経営戦略概念を1冊にまとめた本。6つの視点から、これまでに生み出してきた経営戦略ツールについて解説しています。
――「ちょっと原則本は読み飽きたからより具体的な話やケースを見たい」と感じたときに読むべき。「競争優位とは結局何なのか」を考えるきっかけとしてとても良い本ですが、一定以上の知識を既に有している方に向けて書かれた内容なので、初期に読むのはおすすめできない。
「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
著:谷岡 一郎 (文藝春秋)
しばしば発表される「社会調査」の信頼性について述べた本です。「新聞記事等のデータに対して、論理的におかしい部分を指摘しろ」という問題もついているので、読みながらも頭を使い、情報に対する批判的な見方・考え方が醸成されます。与えられた情報を鵜呑みにしてしまいがちな人に。
人を動かす 新装版
著:デ-ル・カ-ネギ-
翻訳:山口 博 (創元社(大阪))
累計1,500万部を売り上げた歴史的名著。相手に好かれる方法や、気分よく考え方を変えてもらう方法などについて述べられています。
著:スティーヴン・R・コヴィー
翻訳:フランクリン・コヴィー・ジャパン
(キングベアー出版)
国際的に高い評価を受けているリーダーシップ論の第一人者である著者が個人としての有効性と職業としての有効性について指南しています。数多くの著名人も「現代の最も優れたビジネス書」として挙げている名著です。
――自己啓発本の先駆けのような位置づけ。だが、これを読んで「なるほど」と思わされるようではまだまだかなと個人的には思います。「そうそう」と思うか、「なるほど、こう言えば説得的に語れるのか」とメタ的な読み方をするか、いずれかの読み方ができないと、読んでも意味が無いのでは。
著:齋藤 嘉則 (ダイヤモンド社)
マッキンゼー出身の著者が、ビジネスにおいて問題解決をする際の思考法をわかりやすく伝授。チャートが付いているので、考え方の流れが理解しやすく、「仮説思考」や「MECE」などの論理的思考に不可欠な概念を、包括的に学ぶことができます。実務だけではなかなか学べない「分析」の技術を身につけたい人におすすめです。
――内容は『ロジカル・シンキング』と似ていますが、平易な文章でケーススタディも含み、読みやすい本になっています。楽しく読めて知的好奇心が刺激され、業界に興味が沸いてくるので、コンサルティング業界を志して最初に読む本としてお勧めです。
著:齋藤 嘉則 (ダイヤモンド社)
『思考と技術』と対をなす本書では、「4P」という考え方を用いて、解くべき問題を特定する方法について述べています。問題発見の手法が具体的に書かれていますが、教科書的な記述なので、少し読みにくく感じるかもしれません。
著:伊丹 敬之 / 加護野 忠男 (日本経済新聞出版)
経営学についてのさまざまな概念を噛み砕いて、詳しく、且つわかりやすく述べています。経営に携わるなら知っておかなければならないことがつぶさに書かれた内容です。ページ数は多いですが、大学で経営戦略論を履修したことがある人なら容易に読みすすめられるでしょう。
著:小倉 昌男 (日本経済新聞出版)
ヤマト運輸の元社長であり「宅急便」という概念を創造した著者。「どこから発想のヒントを得たのか」ということにまで言及されている点が、他の本とは一線を画します。「謙虚に学ぶ姿勢」の大切さが伝わってくる1冊です。
◆コンサルタントになるうえで知っておきたい資料作成のための2冊
推薦図書には含まれていませんが、コンサル業務で欠かせない資料作成に関する良書を紹介します。
著:山口 周 (東洋経済新報社)
著者はボストン コンサルティング グループやA.T.カーニーなどを渡り歩くなかで、長年、新卒・中途の採用者に対しスライド作成術を教えてきました。グラフの作り方、チャートの描き方、スライドをシンプルにするためのヒントなど、グローバルで通用するスライド作成テクニックを紹介しています。
――基本的なスライドの見せ方や業界標準のお作法についてまとめた良書。 そろそろスライドづくりの基礎を押さえようと思って似たような内容の本を3冊ほど読んだが、結局これが1番参考になった。統一感という資料作成における不可欠な視点をしっかり学べたと思う。
著:慎泰 俊 (東洋経済新報社)
モルガン・スタンレーにて不動産投資ファンドの投資業務に携わっていた際、自身の作成した財務モデルや分析システムが後に同社のテンプレートとなったという著者が、Excelシートの作り方と分析手法を解説しています。
――おせっかいなくらいの良書。前半部に書かれているエクセルにおける作法は、IBDだとできて当たり前と言われるレベルのものだが、学生で徹底的にできている人間を実は未だに見たことがない。身体的に刷り込んで、守れていない資料を見たら気持ち悪くなるくらい徹底しておくと、入ってから最初の1年間はそれだけでアドバンテージになると方々で聞く。コンサル企業に内定したらすぐに読むべき本。
さらにスキルを磨くために、できれば読みたい121冊
あるMBB内定者は、 今回掲載した複数の本をすでに5周以上読んでおり、うち1冊は入社までに10周はして自分のものにしたい と話していました。コンサル志望者は皆10周読めと言うわけではありませんが、このエピソードに表れるような貪欲さや常に自己研鑽を続ける姿勢は、プロフェッショナルファームで活躍するための条件と言えるのではないでしょうか。
最後に、『23冊』にひととおり目を通したら次はこれ!という本をご紹介します。以下の7ジャンルに分けていますので、気になるものからご覧ください。
- コンサルタント入門
- 思考・分析スキル
- リーダーシップ・マインドセット
- コミュニケーション
- マーケティング
- 経営戦略
- 企業事例
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