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はじめに
こんにちは、外資就活 外銀チームです。
今回は外銀の投資銀行部門・マーケッツ系の部門の選考で聞かれることの多い「気になるM&A案件は?」という質問にどうやって答えたらいいのかを解説します。
今回は、過去に行われた案件に加えて、これらの案件を外銀の面接でどう話せばいいのかも含めて解説していきます。
また、今回の記事では、漠然と自分の興味のある案件を語ることの危険性も解説しました。つまらないミスで内定を取り逃さないよう、しっかりと準備してから臨みましょう。
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選考で聞かれる「気になるM&Aは?」という質問の意図
まずは実際のM&A案件についての分析を行う前に、なぜ外銀の面接では「気になるM&A案件」について聞かれるのかについて解説します。
1)「しっかり投資銀行業界の勉強をしているか?」の確認
一つ目は、面接官がその学生の思考力の深さや金融業界への理解を確かめることを理由に質問をするというパターンです。恐らく、この観点に関してはほとんどの就活生が意識はしていると思います。ただし、重要なのは「投資銀行業界」の視点で語れるか否かです。
例えば、気になるM&A案件の回答例として、
「ニデックによるTAKISAWAへの買収が成立したニュースに関心を持っております。このニュースのポイントとして、シナジー創出を挙げます。買収によってニデックは製品ポートフォリオの拡大を目指しており、旋盤などの機械と技術でこれから既存製品ラインナップを強化していくと推測できます。また、TAKISAWAブランド活用によりニデックのグローバル市場での競争力を高めると推測されます。」
というようなものがあります。この回答をあなたならどう評価しますか?
「良いんじゃないか」と思った方は、高評価を得るには物足りない、と思った方がよいでしょう。
この解答は決して悪いものではありません。ただし投資銀行ーー特に外銀の面接官からすれば、どこか物足りなく感じます。
なぜなら、この説明ですと、 あくまでクライアント企業の視点でM&Aを評価しているだけで、「投資銀行としての評価」がないから です。
高倍率の投資銀行に入社したいのであれば、一歩進み、「投資銀行としての評価」を自分の言葉で語れるようにしましょう。
2)「しっかり面接先企業を研究をしているか?」の確認
また、上記のような回答では投資銀行が扱うM&Aに関心があることは伝えられても、面接先企業に関して勉強をしていることは伝えきれません。
そのため、面接では「興味のあるM&A案件」をただ挙げ「なぜ興味を持ったか」だけを伝えるだけでなく、「面接先企業が幹事を務めたM&A案件」を挙げ、「案件の何がポイントでどこに興味を持ったか」まで伝えられるとより良いです。
面接官「最近気になったM&A案件は?」
学生「21年に行われた日立製作所のグローバルロジック買収案件です。今回、日立の米子会社である日立グローバルデジタルホールディングス社がSPC(特別目的会社)を通じて、全額キャッシュでグローバルロジックの親会社を逆三角合併で買収するというスキームでした。このスキームは買収された企業の経営陣や技術者が残ることが多いという性質を持つため、人材と技術の確保が買収の目的だったと推測できます。また、クロスボーダー案件ということで買収成立までに多くのフローがあったことが推測でき、外資系投資銀行だからこそクロージングまで達成できた案件だと感じました。」
といったような解答方法が適切だと思われます。
この回答ですと、しっかり最近のM&A案件を調べていることが分かりますし、投資銀行部門としての視点も入っています。何より、 面接先の企業のM&A案件を述べていることから、現役の社員の方も想像がしやすい でしょう。
最近の外資系投資銀行各社が行ったM&A案件一覧
ここからは外銀2社が最近行った「M&A案件」を紹介していきます。
今回は、 ゴールドマン・サックス、J.P.モルガンの案件 を紹介します。
ゴールドマン・サックス
2022年 ・ENEOSホールディングス 道路舗装大手NIPPOを非公開化
・ENEOSホールディングスに対してジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)を売却
【スキーム紹介】
当初、ENEOSはNIPPO株を約57%保有していました。そこで残る約43%の株式をTOBでゴールドマンサックスが特別目的会社を通じて買い付けました。TOB成立後、ENEOS保有の全NIPPO株をNIPPOに売却(NIPPOによる自己株式取得)しました。さらにNIPPOを完全子会社化した特別目的会社に対し、ENEOSが50%を超える出資を行い、本買収が完了しています。
【ENEOS公式文章】
当社は、2021年9月7日付「子会社株式に対する公開買付け等に係る基本契約の締結に関するお知らせ」(以下「2021年9月7日付開示」)において公表のとおり、ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インクが間接的にその持分のすべてを保有している合同会社乃木坂ホールディングス及びエーテルホールディングス合同会社(以下、両社を併せて「GSSPC」)との間で、NIPPOの普通株式(以下「NIPPO株式」)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」)等に係る基本契約を締結いたしました。その後、本公開買付けを通じてNIPPO株式を取得及び所有することを主な目的としてGSSPCにより設立されたロードマップは、2021年12月25日付「子会社株式に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」において公表のとおり、2021年11月12日から2021年12月24日の期間をもって本公開買付けを終了いたしました。本公開買付け終了後、2021年9月7日付開示「2.本取引の内容/Ⅲ.本公開買付けの実施後」に記載する一連の取引のうち、①ロードマップに対する当社及びGSSPCからの出資、②ロードマップの組織変更を実行した後、③NIPPO株式の株式併合が2022年3月31日をもって完了し、今般、④NIPPOによる自己株式取得の決議に応じ、当社が保有するNIPPO株式のすべてをNIPPOに対して譲渡するものです。
通常、コーポレートガバナンスから問題が多いとされる子会社上場の解消には、ENEOSが直接NIPPOを完全子会社化するという方法が考えられます。しかしその場合、ENEOS単独で2,000億円程度の資金を投入する必要があります。これに対して今回のスキームを用いることでENEOSによる子会社上場の解消と成長分野への投資資金の獲得を両立できます。言い換えると、再生可能エネルギー発電の国内大手(JRE)を約2,000億円で買収する一方、上場子会社(NIPPO)の非公開化で同額に近い資金(約1,700億円)を捻出することができます。
J.P.モルガン
2023年 アステラス製薬 IVERIC bio, Inc.買収
【目的】
2023年5月1日の日本経済新聞から引用します。
『アステラスは研究開発で重点投資する領域の一つに眼科領域を挙げており、なかでも視力の維持・回復につながる新薬に力を入れている。今回の買収によりアイベリック・バイオが持つ米国での眼科領域の開発基盤を取得し、研究開発力を強化する。』
他にも、眼科領域での新薬を取得することで収益の柱として育て、27年以降に本格化する主力の前立腺がん薬「イクスタンジ」の特許切れに伴う売り上げ減少を補う狙いもあるようです。ちなみにイクスタンジの23年3月期の売上高は約6,600億円で、連結売上高の4割強を占めているそうです。
【資金調達手法】
アステラスの説明会資料より抜粋します。
・ブリッジファイナンス(つなぎ融資)として手元資金に加え、 短期借入金とコマーシャル・ペーパー(無担保約束手形)発行による 新規調達資金(計約8,000億円)を充当
・社債と長期借入金によりパーマネント化 を実施
アマテラスとしては一時的に莫大な負債を抱えることにもなります。その一方で新薬の取得や開発により注力しようという、重要な経営判断を下したともいえます。そのため、気になった点としては「どこまでM&Aの買収の際に投資銀行が関わるのか?」「どんな提案をすることができるのか?」というような内容を聞いてみるといいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「気になるM&A案件は?」という単純な質問であっても、十分に他の学生と差別化することはできます。 また、質問に対する回答も千差万別です。
しっかりとどの企業がどのM&A案件を行ったのかを把握し、高評価を得られるような回答をしましょう。
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