【第3回】三井物産インターン過去問対策〜銅事業編〜：アジア4カ国の原料調達戦略と段階的財務計画

こんにちは。徹底した対策をもとに、三井物産をはじめ総合商社から複数内定をいただいた26卒の者です。連載第3回では、事業の実現可能性を示す具体的な実行計画を解説します。日本・韓国・台湾・ベトナムでの回収モデルの設計、前処理フローの最適化、そして3段階の事業拡大による財務戦略。特に700億円の投資でROE15-18%を実現する財務モデルの組み立て方は、インターンでの定量分析の参考になるはずです。リサーチ可能な三井物産インターンの強みを最大限活かす方法もお伝えします。

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第4章：原料確保と物流モデル

4-1 国別戦略：各国の特性を活かした回収モデル

日本：制度活用型モデル（年間15万トン目標）

日本は世界第3位の電子廃棄物排出国として、年間257万トンの電子廃棄物を発生させているが、そのうち循環型銅事業でターゲットとするのは年間15万トンである。これは既存の家電リサイクル法の枠組みを拡張し、新たなインセンティブ制度を組み合わせることで実現可能な現実的な目標である。

既存制度の拡張活用として、1998年の家電リサイクル法により、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の4品目について製造業者にリサイクル義務が課されている。2026年施行予定の改正案では、対象品目の拡大と回収率目標の引き上げが検討されており、この制度変更を先取りした回収システムを構築する。

具体的には、現在対象外となっているPC、スマートフォン、小型家電を優先的に回収し、これらの機器に含まれる高品位銅を効率的に抽出する。PCのマザーボードには1台あたり約15-20gの銅が含まれており、スマートフォンでも約10gの銅が使用されている。これらの機器は更新サイクルが短く、継続的な回収が期待できる。

自治体連携とポイント還元制度として、全国1,741の自治体と協力協定を締結し、住民が電子機器を回収拠点に持参した場合に地域ポイントを還元する制度を構築する。このポイントは地域の商店街や公共施設で利用可能とし、1kg当たり50円相当の価値を設定する。これにより住民の回収参加インセンティブを高めるとともに、地域経済の活性化にも貢献する。

韓国：企業直接契約モデル（年間8万トン目標）

韓国は既にWEEE制度（廃電気電子機器指令）が整備されており、企業の拡大生産者責任（EPR）が明確に規定されている。この制度環境を活かし、サムスン、LG、SK等の大手IT企業のEPR担当部門と直接契約を締結する。

企業IT機器の計画的回収として、韓国企業は3-4年サイクルでPC、サーバー、通信機器を更新しており、この更新スケジュールに合わせた計画的回収を実施する。企業のIT部門と年間契約を締結し、更新予定の6ヶ月前から回収準備を開始することで、効率的な回収オペレーションを実現する。

特に重要なのは、サムスン電子やSKハイニックスなどの半導体製造企業との連携である。これらの企業では製造工程で発生する銅配線の端材や不良品が大量に発生しており、純度の高い銅を安定的に回収できる。

台湾：EMS連携モデル（年間3万トン目標）

台湾は世界最大級のEMS（Electronics Manufacturing Services）ハブであり、TSMC、Foxconn、Pegatronなどの製造企業が集積している。これらの企業では製造工程で大量の電子部品残渣が発生しており、高純度の金属を効率的に回収できる。

台湾のEMS企業との連携では、製品の生産残渣を月間ロットで一括買取する契約を締結する。プリント基板の製造工程では、銅箔の打ち抜き残渣が大量に発生し、これは純度95%以上の高品位銅として回収可能である。

ベトナム：政府協力モデル（年間10万トン目標）

ベトナムは急速な経済発展に伴い電子廃棄物の発生量が急増している一方、適切な処理インフラが不足しており、政府が制度整備を急いでいる。この状況を踏まえ、ベトナム政府の天然資源環境省と包括協力協定を締結し、技術移転と併せた回収事業を展開する。

ベトナム政府との協力では、電子廃棄物の適正処理技術を移転することで、回収許可と優遇措置を獲得する。ハノイ、ホーチミン、ダナン、カントーの4都市に回収・前処理拠点を新設し、各拠点では現地人材100名を雇用する。

4-2 前処理フローの最適化設計