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こんにちは。徹底した対策をもとに、三井物産をはじめ総合商社から複数内定をいただいた26卒の者です。連載第4回では、総合商社の新規事業で必須となるESG要素の組み込み方を解説します。年間300万トンのCO2削減効果をどう算出したか、Copper Mark認証取得の意義は何か。さらに、レアアース回収・カーボンクレジット・技術ライセンスなど、銅販売以外で100億円超の収益を生む「多層マネタイズ設計」の発想法。環境価値を経済価値に転換する事業設計のポイントをお伝えします。
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第6章:ESG・CO₂削減インパクト
6-1 CO₂削減効果の科学的定量化
ライフサイクルアセスメント(LCA)による比較分析
循環型銅事業のCO2削減効果を正確に評価するため、ISO14040/14044に準拠したライフサイクルアセスメント(LCA)を実施する。この分析では、原料調達から製品出荷まで全工程のCO2排出量を詳細に計測し、従来の一次銅生産との差分を算定する。
一次銅生産のCO2排出量として、従来の鉱山開発による一次銅生産では、以下の工程でCO2が排出される:
採掘・運搬:銅1トンあたり1.2t-CO2 大型重機による採掘、ダンプトラックによる運搬 ディーゼル燃料消費が主要排出源
精錬・製錬:銅1トンあたり2.3t-CO2 溶鉱炉での高温処理、電解精錬での電力消費 石炭・天然ガス等の化石燃料使用
インフラ・その他:銅1トンあたり0.6t-CO2 道路・港湾等のインフラ整備、設備建設・維持
合計:銅1トンあたり4.1t-CO2の排出
再生銅生産のCO2排出量として、一方、電子廃棄物からの再生銅生産では、以下の通り大幅にCO2排出を削減できる:
回収・前処理:銅1トンあたり0.3t-CO2 電子廃棄物の回収・輸送、破砕・選別処理 電力使用が主要排出源(採掘作業なし)
精錬・製錬:銅1トンあたり1.0t-CO2 湿式精錬による低温処理、再生可能エネルギー活用 化石燃料使用量を70%削減
インフラ・その他:銅1トンあたり0.2t-CO2 既存インフラの活用により新規建設を最小化
合計:銅1トンあたり1.5t-CO2の排出
CO2削減係数の保守的設定
LCA分析結果では、再生銅は一次銅比で4.1-1.5=2.6t-CO2/トンの削減効果があるが、測定誤差や条件変動を考慮し、保守的に2.0t-CO2/トンをCO2削減係数として採用する。
この保守的設定により、顧客企業や第三者認証機関に対する信頼性を確保するとともに、将来的な製造条件変動に対する安全余裕も確保する。また、国際的なカーボンクレジット制度での承認可能性も高まる。
年間300万トンCO2削減の実現根拠
第3段階安定期(2035年)における年間CO2削減量は以下の通り計算される:
年間銅生産量:150,000トン(23,000トン再生銅 + 鉱山銅との統合生産) CO2削減係数:2.0t-CO2/トン 年間CO2削減量:150,000トン × 2.0 = 300万トン
この300万トンという削減量は、以下の規模に相当する大きなインパクトである:
- 日本の年間CO2排出量(約12億トン)の0.25%
- 石炭火力発電所約1.5基分の年間排出量
- 乗用車約65万台の年間排出量
6-2 国際認証制度との整合と信頼性確保
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