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こんにちは。徹底した対策をもとに、三井物産をはじめ総合商社から複数内定をいただいた26卒の者です。今回から5回にわたって、三井物産のインターンで優勝した際に作成した金属資源本部の新規事業案を公開します。本番同様、1テーマにつき3日間の準備期間を設け、練り上げたものです。第1回は「MITSUI Copper Circular Hub」構想の全体像と、なぜ今「循環型銅」なのか、市場機会の分析を解説します。模範解答に使うでもよし、事業部のビジネスをさらに深く知るのでもよし、自由に読んでください。
シリーズ他コラムはこちら!
【第2回】三井物産インターン過去問対策〜銅事業編〜:既存アセットの戦略的活用と技術ロードマップ
【第3回】三井物産インターン過去問対策〜銅事業編〜:アジア4カ国の原料調達戦略と段階的財務計画
【第4回】三井物産インターン過去問対策〜銅事業編〜:ESGインパクトの定量化と5つの追加収益源
【第5回|最終回】三井物産インターン過去問対策〜銅事業編〜:リスク分析の徹底と優勝案の発想プロセス
第0章:事業スキーム概要
0-1 なぜ今「循環型銅」なのか:構造的必然性の分析
世界の銅需要は2024年の2,500万トンから2035年には3,500万トンへと40%拡大する見通しだが、この急増の背景には電動化・脱炭素化という不可逆的なメガトレンドがある。電気自動車(EV)では従来車比4倍の銅を使用し(20kg→80kg/台)、風力発電では1MWあたり3-11トンの銅が必要となる。
一方、新規鉱山開発は探査から商業運転まで平均12年を要し、2030年の需給ギャップには物理的に間に合わない。さらに、ESG投資の拡大により鉱山開発への投資ハードルが上昇し、供給制約は構造的に深刻化している。
この需給逼迫の中で注目されるのが「都市鉱山」である。2030年には世界で7,400万トンの電子廃棄物が発生し、このうち銅換算で1,800万トンの金属資源が眠っている。現在の正規回収率17.4%を30%まで向上させれば、年間400万トンの銅を市場再投入できる—これは現在の銅不足予測の約40%をカバーする規模だ。
0-2 何を提供するのか:コア・バリュー提言
MITSUI Copper Circular Hubは、電子廃棄物を「原料」、グリーン水素を「エネルギー」、デジタル証書を「価値証明」として統合し、従来のコモディティ銅を「属性付き高機能銅」に転換する循環型プラットフォームである。
従来の「鉱石をそのまま販売」するモデルから、「原料調達+製造+トレーサビリティ+金融」の垂直統合により、単位重量当たり2-3倍の付加価値を創出する。顧客企業のScope3削減目標達成を支援しつつ、カーボンニュートラル銅という新製品カテゴリーを確立する。
0-3 スキームの全体像:6モジュール循環システム
モジュール1:スマート回収 日本・韓国・台湾・ベトナムで、自治体ポイント制度やメーカー下取りを組み合わせてe-wasteを回収。回収拠点にはAI画像選別装置を設置し、即座に高銅部材を抽出する。
モジュール2:前処理&インゴット化
回収拠点内で破砕・磁選・比重分離を行い、銅含有85%のインゴットに圧縮。これによりBasel条約の有害廃棄物輸送規制を回避し、海上輸送コストを最小化する。
モジュール3:統合精錬(チリ) コジャワシ鉱山隣接の新ラインで、鉱石由来アノードスラッジとe-wasteインゴットを同一炉へ投入。AI制御により原料比率を動的に最適化し、銅99.99%のカソードを製造する。同時に金・銀・PGMを副産物として回収。
モジュール4:Copper OSによるトレーサビリティ ブロックチェーンで「原料ロット→精錬バッチ→出荷カソード」の履歴を暗号化記録。需要家はQRコードでCO₂係数と原料比率を即時確認可能。
モジュール5:グリーン供給&プレミアム契約 EV・再エネ大手と、CO₂削減係数・原料リサイクル比率に連動した長期購入契約を締結。Scope3排出削減証書はCopper OSが自動生成し、ダブルカウントを防止する。
モジュール6:社会包摂 アジアのインフォーマル回収業者を技術訓練6か月で正規雇用へ移行。安全装備と最低収入保証をセットで提供し、国際NGOの第三者監査を受ける。
0-4 三井物産の戦略的優位性
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