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私たちの身の回りにある製品を製造しているメーカー業界。馴染みのある製品の企画や研究開発に携わりたいと考えている学生の方も多いのではないでしょうか?
この記事では、メーカー業界の仕組みや仕事内容、就職するメリット・デメリット、就職に向いている人の特徴について解説しています。
メーカー業界を志望している方は、ぜひ業界研究や選考対策の参考にしてください。
メーカーとは?業界の現状と仕組みについて
私たちの身の回りにある自動車や化学製品、食品、日用品、医薬品など、あらゆる製品の製造を担うのがメーカー業界であり、製造業とも呼ばれます。業種と代表的な企業をまとめた以下の表を見ても分かる通り、メーカーが製造しているモノは多岐に渡ります。
業種 | 代表的な企業 |
---|---|
自動車 | トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、デンソーなど |
鉄鋼 | 日本製鉄、JFEスチールなど |
食品 | 味の素、サントリー、明治、キリンなど |
製紙 | ユニ・チャーム、日本製紙、大王製紙など |
化学 | 花王、旭化成、富士フイルムなど |
製薬 | 武田薬品工業、大塚製薬、アステラス製薬など |
日本は「モノづくり大国」と言われているように、 製造業は日本の国内総生産の約2割を占めており、日本の経済を支える基幹産業 です。特に、日本のお家芸である自動車メーカー・電機メーカーは、その高い技術力が世界的に評価されています。
この日本が誇る技術力を継承していく、さらに高めていくという観点から、大手メーカーでは理系出身者を多く採用する傾向が見られます。一例として、トヨタ自動車の2021年度採用実績では技術職302名※、事務職53名※と、 理系出身者の採用が顕著に多い です。
出典:トヨタ自動車「トヨタ自動車、1,045名が入社」 ※サイト外ページに遷移します
※中途採用含む
また、企業側の理系出身者採用だけでなく、研究者やエンジニアとして活躍したい理系学生の就職先として人気が高いのもメーカー業界の特徴です。もちろん、身の回りにある製品の営業や広報、企画などの仕事を志望する文系学生からも人気があります。
業界の現状と今後の動向
前項で紹介した国内メーカーは日本の基幹産業として発展し続け、就職活動をする学生からも人気が高いですが、国際競争力は低下しつつあるのが現状です。これは、海外メーカーとの激しいコスト競争、材料費の高騰、人材不足が原因だと考えられます。
しかしながら、国内メーカーの国内での存在感は圧倒的であり、日本の基幹産業であることに変わりはありません。国際競争に負けないよう「AIやIoT の導入によるデジタル化」「開発に要する時間を短縮化するオープンイノベーション」を推進することで、効率化、生産性・収益性の向上を目指しています。
一方で、P&Gジャパンやボッシュ、ネスレ日本などの外資メーカー(本社が海外にあり日本に進出している企業)は国際競争力が高まっているといえます。就職活動をする際、存在感の強さから国内メーカーばかりに目が行きがちですが、業界の現状なども考慮に入れながら外資メーカーを検討してみるのも一つの手です。
業界の仕組み
あらゆる製品の製造を担うのがメーカーですが、製品の製造過程の違いによって以下の4つに分類されます。
素材メーカー |
原材料から製品の基となる素材を製造 企業例:日本製鉄、JFEスチール、旭化成など |
部品メーカー |
素材メーカーが製造した素材を加工し、電子部品や金属製品など製品の一部を製造 企業例:京セラ、デンソーなど |
加工・組立メーカー |
素材や部品の加工・組立を行い最終製品を製造 企業例:トヨタ自動車、ソニーなど |
自社生産メーカー |
製造の上流から下流までの全工程を自社で行う 企業例:花王、武田薬品工業、資生堂など |
さらに、製品を「一般消費者向けに販売するBtoC」、「企業向けに販売するBtoB」というビジネスモデルの違いもあります。例えば、花王は一般消費者に対して日用品を販売しているのでBtoCモデルであり、素材メーカーや部品メーカーは企業に対して製品を販売するのでBtoBモデルです。ただし、花王のケミカル事業の様に、事業内容によってはBtoCモデルであったりBtoBモデルであったりするので注意が必要です。
就職を志望しているメーカーがどの工程に位置している企業なのか、どんなビジネスモデルで販売しているのかを事前に把握しておくことが重要です。メーカー業界の仕組みと合わせてしっかり調べておきましょう。
メーカーでの仕事内容
メーカーでは様々な部署が連携し、製品企画→製造→出荷(販売)までを行います。
業種 | 代表的な企業 |
---|---|
製品企画 | 市場のニーズ調査や分析を行い、顧客の要望なども加味しながら新製品の開発や既存製品の改良を企画する。 |
研究開発 | 既存技術をより高度なものへ進展させるため、企業の新規分野・新製品に活かすための技術研究を行う。 |
製造 | 工場で製品の加工・組立や、製造機械のメンテナンスなどを行う。 |
生産管理 | 製品の品質を保つために、製造現場の人、時間、コストを管理・コントロールする。 |
資材調達 | 製品を製造するのに必要な原材料や素材を国内外から調達する。 |
営業 | 製品を、新規/既存取引先企業や商社、小売店などに提案、販売する。 |
広報 | 企業の経営戦略に則りながら、企業や製品のPR活動を行う。 |
総務 | 来客対応、オフィスの備品や建物の管理、社内行事の企画運営、防災防犯対策など企業全体に関する業務を幅広く対応する。 |
経理 | 利益、資産、経費など企業のお金の流れを正確に管理する。製造業においては、原価計算(工業簿記)が必要とされる場合もある。 |
実際の採用においては、研究開発や製造に関わる部署(研究開発・製造・生産管理・資材調達)では理系出身者が活躍しており、それ以外の職種(営業・広報・総務・経理)では文系出身者が活躍している傾向にあります。
特に研究開発は、より専門的な知識や高度な技術、論理的思考能力が必要とされるため、理系出身者が多く活躍している職種です。
また、セールス、マーケティング(製品を世に広める・PRする)、ファイナンス(企業のお金の流れを正確に管理する)、コーポレート(従業員のマネジメント・職場環境の改善)など、文系出身者のジョブも重要な役割を担っています。
そして、一概に理系職/文系職と言えないのが製品企画の仕事です。理系/文系問わずというよりは、両者の知識・経験・アイデアが必要な職種と言えます。文系出身者が経済動向や市場ニーズを調査したうえで考えた企画を、理系出身者がいかにコストを抑えながら製品化できるかを検討するといった具合に、両者の強みを上手く組み合わせながら仕事を進めていきます。
ですので、新卒入社で製品企画に携わるということは少なく、ある程度の経験・実績を積んだ人材が抜擢される形で配属されることが多いようです。
メーカーへ就職するメリット・デメリット
特に理系出身者の採用が多いメーカーですが、就職した場合はどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?理系職と文系職それぞれについて解説します。
メリット
理系職/文系職に関わらず、共通するメリットは以下の3つです。
・平均年収が高く、待遇面の良さも期待できる
・ワークライフバランスが実現しやすい
例えば大手自動車メーカーの平均年収は約750万円であり、大手家電メーカーA社は約720万円、同じく大手家電メーカーB社は約890万円であることから、大手メーカーであれば特に平均年収が高く、経営が安定しているといえます。
また、最近ではコンプライアンスを重視している企業が多いため、残業し過ぎることなく、ワークライフバランスを実現しやすいのも大手メーカーで働くメリットです。
※ この想定平均年収は先輩就活生のES・選考体験記などを元に、外資就活スタッフが調査、集計を行って算出いたしました。
以下では理系職と文系職それぞれの場合でのメリットを紹介します。
▼理系職の場合
・企業の高い技術力に触れることで、自身の成長につながる
・特に大手メーカーで働いた実績があればその道の専門家として認識されるため、転職が有利になる場合がある
▼文系職の場合
・大手メーカーであれば顧客が企業のことを知ってくれていることが多いため、営業職であれば新規顧客開拓のハードルがいくらかは下がる
理系職の場合はメーカー独自の技術力を習得しながら仕事ができ、文系職の場合はメーカーのマーケティング力やブランド力に触れながら仕事ができる点が大きなメリットであるといえます。
デメリット
以下では理系職と文系職それぞれの場合でのデメリットを紹介します。
▼理系職の場合
・製品の開発規定や社内規定がきっちり決められており、仕事の自由度が低い場合がある
▼文系職の場合
・ベンチャー企業のように成果を残せばどんどん出世できる訳ではない場合もある
いずれも企業や職種によって違いがあるため一概にはいえませんが、これらのデメリットが存在する場合があります。デメリットとして挙げはしましたが、逆を言えば安定した経営、製品の品質維持、着実な人材育成のために必要なメーカー特有の考え方であるともいえます。
理系職の場合で言えば、消費者の安全性を守るため、コスト管理を行い製品を適正価格で提供するために、規定の制定や多くの承認作業が必要になります。文系職の場合で言えば、多くの消費者に製品を利用してもらうため、着実に人材育成を行い強固な組織を作り上げるために、転勤やある程度経験を積んでからの昇進を企業方針としていることもあります。
メーカーへの就職に関するQ&A
ここでは、メーカーへの就職に関するよくある質問とその回答を紹介します。
Q&A メーカーで働くのはどんな人が向いているか?
一概には言えませんが、理系職と文系職それぞれで向いている人の特徴を以下に挙げます。
▼理系職の場合
・一人での作業が苦にならない人
・仮説立て→検証→分析→改善のサイクルを繰り返し行うことができる人
・難易度の高いプロジェクトにも諦めずに取り組める人
・プロジェクト関係者との上下関係に臆することなく、技術的側面から意見を述べることができる人
・論文や特許など専門的な文献を理解しようと努力できる人
特に研究開発の仕事では、地道に実験や検証を行う作業が求められるため、手先が器用で一人での作業も苦にならない人が向いているといえます。さらに、実験や検証は失敗に終わる場合も多いので、仮説立て→検証→分析→改善のサイクルを回しながら諦めずに研究開発を完遂する力が必要になります。
また、この世にまだ存在しない研究結果や技術を生み出すことが求められるため、難易度の高いプロジェクトに参加することが多いといえるでしょう。プロジェクトでは多くの関係者と連携することになりますので、研究開発者としての責任を持ち、技術的側面から意見を述べることができる必要があります。ときには、論文や特許などの専門的な文献を元に仮説を立てたり、意見を述べたりすることもありますので、難しい内容の文献であっても理解しようと努力することが必要です。
▼文系職の場合
・他部署の人とでもコミュニケーションが取れる人
・顧客や消費者の声を拾い上げ、社内に周知できる人
製品を販売したりPRする仕事であっても、製品の性能や技術的要素を理解しておく必要があります。難しいことは分からないと投げ出すような人はメーカーの文系職には向いていないといえます。確かに、技術的要素を理解するのは難しいですが、他部署ともコミュニケーションを取れる能力があれば教えてもらうことも可能です。
また、理系職の場合は顧客や消費者と接する機会が少ないため、接する機会の多い文系職が顧客や消費者の声を拾い上げることで、売り上げアップやユーザー満足度の向上に貢献できます。
Q&A 大学での専攻とメーカーの事業内容は同じでないといけないの?
理系の場合、大学での専攻とメーカーの事業内容が必ずしも同じである必要はありませんが、メーカーの募集要項に記載されている推奨学部・学科とは同じであることが望ましいです。もちろん、大学での専攻とメーカーの事業内容が同じであれば面接官も働くイメージが湧きやすいので、内定に有利に働く可能性はあり得ます。
文系の場合は、大学での専攻とメーカーの事業内容が同じであることが少ないので、特別気にする必要はありません。大学で学んだ知識や経験を仕事にどのように活かせるかを面接官がイメージできる伝え方をするのがポイントです。
ただし、経理など専門知識を必要とする職種については、大学での専攻内容と募集職種の仕事内容が同じである方が望ましいといえます。
Q&A 身に付けておくと就活に有利なスキルはある?
グローバル化が進む中、英語ができる人材はプラス評価されることもあります。英語ができないという理由だけで不採用となることはありませんが、外資メーカーや海外配属を志望している場合は英語で意思疎通できることがマストになりますので、しっかりと英語スキルを身に付けておきましょう。
ここまで、メーカー業界の仕組み、仕事内容、就職するメリット・デメリット、向いている人の特徴について解説してきました。メーカー業界は理系出身者の採用が多く、経営が安定している企業が多いことや平均年収が高いことから就職を志望する人が多い業界です。
就職志望者が多いということは、必然的に就職難易度が上がるということになります。
さらに、メーカー業界は専門性の高い業界であることから、業界研究や選考対策を入念にしておかなければ企業からの内定を勝ち取るのは難しいといえるでしょう。
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