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「ロールモデルにとらわれない」。野村證券の女性総合職第一号、ゴールドマン出身の起業家の生き方

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外資系投資銀行といえば学生からの人気の高い業界の一つだ。また、将来の起業を視野に入れている読者も少なくないだろう。連載「外銀出身女性起業家~わたしの過ごした20代」では、トップクラスの外資系投資銀行勤務を経て起業し、現在も一線で活躍する世代の違う3人の女性起業家に自身の20代を振り返ってもらった。

第1弾に登場してもらうのは、野村證券やゴールドマン・サックスを経て30代半ばでフォルシアを起業した屋代浩子さん。就職活動中にはよく「自分のロールモデルとなるような人を見つけるといい」といった言葉を耳にするが、屋代さんはむしろ「ロールモデルにとらわれるな」と説く。自らキャリアを切り開いてきた彼女の思いとは――。【中村香織】

〈Profile〉
屋代浩子(やしろ・ひろこ)
フォルシア代表取締役社長・最高経営責任者(CEO)。1988年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村證券に入社。金融工学を利用したデリバティブの開発に携わった後、マサチューセッツ工科大学でMBA(経営学修士)を取得。ゴールドマン・サックスでデリバティブの開発、マーケティングに従事した後、2001年、フォルシアを起業。ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011受賞。Japan Venture Awards 2011 IT特別賞受賞。2020年版日本における「働きがいのある会社」ランキングに、5年連続入賞。

 

 

結婚も、子供も、仕事も。夢は「世界を股にかけるビジネスパーソン」

ーーどのような学生時代を過ごされていましたか。

屋代:大学時代は経済学部に所属していました。「経済はどうやって動いているんだろう」「なぜ貿易は行われているんだろう」という自分の疑問がそのまま学問になっている経済学が好きだったので、興味の向くまま真面目に勉強していたと思います。

もちろん数学や統計など分野によっては難しくて苦労した科目もありましたが、友人たちと分からないところを教え合ったりするのも楽しかったです。

ーー経済学に興味を持ったきっかけはお父様の影響でしょうか。

屋代:多分そうでしょうね。

以前に別の記事でもお話ししましたが、商社勤務の父の海外駐在中、同僚たちが毎日のように我が家に集まって食卓を囲み、「為替が動いた」「あそこで石油が出た」と活発に情報交換している様子を見て、幼いころから関心が芽生えていたんだと思います。

ーー将来はどんな人生を送りたいと思っていましたか。

屋代:結婚もしたい、子供もたくさん欲しい、仕事も一生やっていきたい……と、当たり前の夢をいっぱい持っていましたね。

キャリアに関しては漠然と「世界を股にかけるビジネスパーソン」になりたいと思っていました。商社の人たちの活躍を見て「私もあの仲間に入りたい」「男性のサポート役ではなく自分でビジネスを作っていけるような仕事がしたい」という思いがありました。

新人で黎明(れいめい)期のデリバティブ開発の世界に。女性総合職第一号として想定外の苦労も

ーーそれまで想定されていなかったことで20代に苦労されたことはありますか。

屋代:当時は女性総合職の受け入れがなかったため、商社への就職は断念しました。そこで女性の受け入れがあり、グローバルな仕事ができそうな野村證券に女性総合職第一号として入社しました。

想定外だったのは、当時の企業にとって女性の受け入れは私の想像以上に困難だったということです。私はただ男性と同じように仕事がしたいのに、女性というだけで「制服は着なくていいのか」「お茶はくまないのか」といちいち議論になるのを見て、非常に衝撃を受けました。

今思えば、受け入れのために皆さんが最大限の努力をしてくださったことで今の私があるという感謝しかありませんね。

ーー野村證券ではどのような業務を担当されていたんでしょうか。

屋代:国際業務部という部署で、デリバティブ商品の開発に携わりました。

まだ「デリバティブ」という言葉もなかった当時、新しい商品を開発してこれまでにないビジネスをグローバルに展開しようとしていたので、部署には理系の大学院卒などクオンツ的な人が多く、中には教授クラスの人も在籍していました。

ーー周りの理系の人とのギャップを感じられたこともあったのでは。

屋代:文系の私には、「デリバティブのプライシングがどうなる」とか「マーケットは右に行く」とか言われても何をしゃべっているのか、どうやって計算したらそうなるかが全く分からない。理系の人であれば感覚的に分かることが理解できず、苦労しました。

ーーそこがきっかけになってマサチューセッツ工科大学(MIT)のビジネススクールに入ったということでしょうか。

屋代:はい。やはりファイナンスではとても優れた授業をするところなので、のちに結婚する夫(注: COOの屋代哲郎氏)と「MITに行きたいね」と話していたんです。夫の企業派遣でのMIT留学が決まったタイミングで結婚、退職し、私も1年遅れでMITへの留学を決めました。

時間が足りず「もう今日はムリ」と涙。頑張れたのは仲間がいたから

ーーMITでの生活はいかがでしたか。

屋代:ボストンという環境も素晴らしかったですし、デリバティブ開発に必要な知識をじっくり勉強することで、それまでは全然分からずにもんもんとしていたことも「あ、こういうことだったんだ!」と理解できて楽しかったです。

でも夫が言うには、当時の私は日々の課題がこなせず「もう今日は無理」とよく泣いていたそうです。資料は膨大で、読むだけでも大変。自分の考えが何も思いつかないまま明け方になってしまうと、もう期限に間に合わせるのは絶望的です。

どうやったら残り時間で先生に怒られないレベルにできるかを必死で考える毎日でした。

ーーつらくて辞めたいと思ったことはありませんでしたか。

屋代:統計の試験で問題文の内容すら全く理解できず、「落ちたらどうしよう」と泣きそうになったのを覚えています。でも、私費で行っていたため、辞めるというチョイスはなかったんです。

やはりアメリカの大学は大変です。先生は優しいですし、勉強も教えてくれますが、容易には合格させてくれない。そこを乗り越えたからこそ得られるのがMBAの称号なので、必死に頑張る以外にありませんでした。

私が乗り越えられたのは、勉強を教えてくれた夫や友人の存在があったからです。本当に仲間たちの協力のおかげです。

ーービジネススクールにはたとえクラスメートでも蹴落とすような雰囲気はありませんでしたか。

屋代:MITはディベートで勝つか負けるかが重視されるタイプの学校とは違い、みんなで勉強してお互いに切磋琢磨することを大切にするカルチャーなんです。むしろ私のようなかわいそうな人を救おうとしてくれる優しさがありましたね。

卒論の担当教授はノーベル賞受賞者。本来より1学期分早く卒業した

ーースタディーグループには入っていましたか。また、メンバーにはどんな国の人がいたんでしょうか。

屋代:はい、入っていました。私の周りには、アジア系や、ヨーロッパ系の人など生まれ育った環境が異なることにより、語学力や文化の違いなどの点で苦労の多い外国人が多かったですね。

ちなみに私のルームメイトは、カルメンという名前のスペイン人だったんですよ。彼女とはとても気が合い、共同で卒業論文も書きました。一緒に夜中まで論文を書くのはすごく楽しかったです。

ーー2人でうまく分担したのですね。

屋代:日本のデリバティブに関することが論文のテーマだったので、大まかな内容は私が考えました。それを2人で議論しながらまとめ、それらしい文章にするところはコンサルティングファーム出身の彼女が担当してくれたんです。筆が立つ彼女には、本当に助けてもらいました。

ちなみにMITのビジネススクールは本来卒業までに4学期あるんですが、私はなるべく早く卒業したかったので、必要な単位を早めに取得して3学期だけで卒業することにしたんです。

ーーだとすると、すごくハードではありませんでしたか。

屋代:論文を仕上げるためには通常の時期より特別に前倒しで教授に見ていただく必要もあったので、担当してくれる先生を探したんです。すると、信じられないことにノーベル経済学賞も受賞した有名な経済学者でもあるフランコ・モディリアーニ先生が私の論文の担当教授を引き受けてくださることになったんですよ。

教授はとても人間味あふれる優しい人で、授業がないときは特別にご自宅でも指導をしてくださり、なんとか論文を書き上げることができました。普通では会えないような人が身近にいて、かつ学生にも対等に接し、指導をしてくれる。そんなアメリカの懐の深さにも感激しましたね。

いま20代に戻ったら、ゴールドマンであの生活をもう一度する

ーー留学後はゴールドマン・サックスに入社されたのですよね。

屋代:MITで得た知識を生かそうとゴールドマン・サックスのデリバティブのチームに入りました。その後退職するまでの7年間は、月曜から土曜日の明け方まで文字通り24時間を仕事に捧げ、トップギアで働く生活を続けました。

ーー今もし20代に戻ってもう一度就活をするとしたら、ゴールドマンに入りたいですか。

屋代:今のマーケット環境は分かりませんが、「もしあの時代で他の企業を選ぶチャンスもあったとしたらどうしますか」と聞かれたとしても、私はゴールドマンを選んであの生活をもう一度します。

ゴールドマンで過ごした日々は大変でしたが、すごくエキサイティングで楽しかったです。非常に勉強になりましたし、当時得たものが今の自分の職業人生をかたちづくる基礎になっていますので、ゴールドマンを選んで良かったと思います。

日系企業ではとても丁寧に扱ってもらいましたが、当時は仕事以外の面でいろいろと心労がありました。ゴールドマンではその心労はほぼゼロです。私が出張に行くからといって特別な配慮もゼロ。ただ一方で、結果を出すことへのプレッシャーはすごかったです。

ーー女性起業家の中には外資系金融機関出身者の人が多いように感じます。何かゴールドマンでしか得られないものはあるのでしょうか。

屋代:強いて挙げるならゴールドマンは相当ハードな職場ですので、それなりの覚悟がなければ入社できません。また、実際に入ってみるとその大変さは想像以上。皆優秀ですし、仕事で求められるクオリティーも高いです。

クライアントや上司からのどんなに困難な要求であっても、常にアウトプットすることを問われる職場です。それが一定程度こなせた人であれば起業であれ何であれ、その後いかなる難局に遭遇しても良い結果を出せるのかもしれませんね。

ーーもしまた20代に戻ることができたら、あのときあれをやっておけばよかったと思われることはありますか。

屋代:大学で学ぶことのできる基礎的な知識をきちんと身に付けておけばよかったと思います。今思えば、どんな知識も無駄ではありませんから。

人生も50を過ぎるといろいろな局面に遭遇します。知識がベースにあるかないかでは、判断力や機動力が全然違うんですよ。即座にジャッジが必要な場面での判断力のベースになるのは、50年間で身に付けた知識や感覚値の蓄積なんですね。正しく判断するためには、それは少しでも多いほうがいいんです。

とりあえず卒業証書がもらえたらそれでステージクリアした気分になるんですが、例えばそれで「100」をゲットしてクリアした人と、一応卒業証書はもらえても結局「10」しか自分の中に蓄積しなかった人とでは、長い目で見るとこんなに違うのかと思います。

さまざまな知識は後天的に身に付けられるものです。そうした学びの蓄積をしっかりやった人とそうでない人とでは、後に瞬時の判断が求められる場面で大きな差がつくと思います。

「成長できるもの」ではなく、何でもいいから「今やりたい」と思えることを

ーーご自身は起業されましたが、後輩やお子さんにも起業をすすめますか。

屋代:起業も大変ですし、誰でも成功できるわけではないので全員にはすすめません。

最終的にお金を稼ぎたいのか、世の中の人を幸せにしたいのか。成功できるかどうかは、その人が起業で何を達成したいのかに左右されます。最終的に何を達成したいのかも考えず、「人に使われるのは嫌だから」と単に起業自体が目的になってしまっているような発想には感心しません。

ーー後輩やお子さんが就活生だったとしたら、就職先としてはどんな業界をすすめますか。

屋代:特にこれにすべきというものはありません。理屈じゃなく楽しめて自分の身になるような仕事であれば、業界を問わず何でもすべきだと思います。もちろん外資系金融機関に行くのもいいですが、もし最近ゴールドマン出身の起業家が増えているとすれば、違う起業スタイルのほうがヒットするかもしれないですよね。特にあれはいいとか、日系は良くないとかは全く思わないです。

よく「自分が一番成長できるものは何だろう」という発想の仕方をする人がいますが、それだと途中でしんどくなって結局ほとんど身に付きません。ロールモデルにはとらわれず、何でもいいので自分がすごく魅力を感じ「今やりたい」と思えることをやればいいと思います。


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