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南場さん、DeNAを一体「何の会社」にしたいんですか?【進化版・南場智子氏に迫る(下)】

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〈Profile〉
南場智子(なんば・ともこ)
株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長。
1986年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。1990年、ハーバード・ビジネス・スクールにてMBAを取得し、1996年、マッキンゼーでパートナー(役員)に就任。1999年に同社を退社して株式会社ディー・エヌ・エーを設立。

 
ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)は、一体「何の会社」なのか?

この問いに対して、一言で答えられる人はそう多くないでしょう。就活生に限らず、世間一般からしても、イメージしづらい会社なのです。

もちろん、プロ野球球団「横浜DeNAベイスターズ」を思い浮かべる人は多いでしょうが、実は他にも、ゲーム、AIの研究開発、自動運転、遺伝子検査、仮想ライブ空間、漫画アプリ、オークションなどなど、手掛ける事業は大変多岐に渡っています。

連載の1回目では、「進化」した代表取締役会長・南場智子さんのリーダー観、そして人間観についてお伝えしました。今回は、その南場さんが目指す、未来のDeNAの姿に迫ります。【丸山紀一朗】

※【進化版・南場智子氏に迫る(上)】「南場さん、『プロフェッショナリズムの塊』じゃなくなったって本当ですか?」はこちら。

 

創業20周年の節目、リニューアルプロジェクト始動

――決算説明会資料などを見ると、ゲーム、自動運転、EC、スポーツなど事業が非常に多岐に渡っていますが、南場さんはDeNAを何の会社にしたいのでしょうか?

南場:世の中に喜びを届ける会社です!

エンターテインメントと社会課題解決型事業の両方に本気で取り組む会社は少ないようです。その両方を持つ強みを活かし、社会課題の解決も楽しくやりたい。

そして自分らしく生きるサポートをしたいです。

エンターテインメント事業はゲームや動画配信、またスポーツ観戦など余暇時間に自分らしく楽しむためのものです。同時に、余暇時間そのものを増やすために、AIやインターネットを駆使して移動を革新的に快適にするオートモーティブ事業や、健康寿命を延ばすヘルスケア事業に取り組み、すべての人が長く、人間らしく豊かに楽しく暮らせる世の中の実現を目指しています。

ポイントはAI、インターネット、そして横浜です。

突然横浜という地名が出てびっくりしたかも知れませんが、もともとネットに閉じた事業を展開していたDeNAをリアルに引っ張りだしたのは野球事業です。テックカンパニーの中でこれほどまでに地面にひっついた事業をもつ企業は多くはありません。

そしてオートモーティブやヘルスケアなど、私たちの事業範囲が物理的な空間で活躍するサービスやプロダクトにも拡大しようとしている今、私たちのビジョンを具現化し、自分らしく楽しむ体験をいち早く実感していただける場として、横浜スタジアム周辺の再開発も手掛けてみたいと思っています。

――多岐にわたっていて「DeNAは○○の会社」という表現はしづらいですね?

南場:まさにそこがポイントです。常に新しいことに挑戦し続ける永久ベンチャーを標榜しているので。DeNAのDNAは挑戦魂です。だから事業領域はこれからも変化していくでしょう。

私は、このDeNAが個人やチームのパッションを形にするためのプラットフォームであればよいと思っています。会社のミッションを「Delight & Impact」という抽象的なものにしているのは、そのためです。

このDeNAという舞台に来て、自分の振り付けで自分のダンスを踊ってほしい、そういう気持ちです。だからどんどんアイディアを持って来て欲しいです。世の中にDelightを届けるための道具は、「インターネットやAI」であるという点は明確ですが、それ以外は定めていないのです。

もともとDeNAはEコマース専業の会社として始まりましたが、それだけではなかなかお客様にユニークな価値を届けるところまで到達せず、さまざまな試行錯誤をし、異なる事業の柱を追加し続けてきました。

これら付加してきた柱は、最初から計画的に始めたものではありません。「こんなアイディアを形にしたい」という強い情熱を持つメンバーがいて、実際にその夢を事業として実現し、会社の新たな柱としてくっつける、その繰り返しでここまで来たわけですから、夢を実現するプラットフォームというあり方は、これまでの道のりからしてもとてもしっくりくるものです。

――進化している南場さんが率いていく組織として、DeNAが進化するのはどんなところでしょうか?

南場:そうですね。まず、夢を実現するためのプラットフォームとして足りない部分を、まずは謙虚に検証したい。まだまだ出来ることがあるからです。

当社は来年3月に創業20年を迎えます。20年間、私と守安が社長でやってきました。やはり、創業当時から同じ考えで運営していると、それなりにアップデートが必要になります。それを思い切って見直すために、1年間かけて会社をリニューアルするプロジェクトを開始しました。

これから1年でDeNAは相当大きくジャンプすると思います。しかも私や守安の発案ではなく、メンバー主導の動きが多くなります。すでに240のリニューアル提案が集まり、連日ワークショップが行われていますが、とても面白い案が出ています。

もっと顧客の声をきくために全社員がサポートデスクの仕事を経験できないだろうか、とか、顧客の声をシャワーのようにふらせるオフィス空間を作ろうといった提案から、M&A戦略、新規事業の提案、ものづくり力やデザイン思考を強化するケイパビリティーに関わるものも多く発案されています。

提案がまとまったら即実施のものも多いですが、大きな提案は「公開経営会議」をして採択を決めて行きます。もちろん全部実行できるわけではありませんが、実施が見送られるなら、その理由も含め、皆とシェアしたいし、間違った判断をしたら皆にボコボコにして欲しいし。

どんな結果が出るか楽しみでなりません。多分この動きは20周年をきっかけにずっと続けると思います。

 

秩序から無秩序へ、「ホラクラシー経営」にも関心

――これまでのお話を総合すると、人材の多様性もあり、また、社員が次々と改革を発案して進めていくDeNAはすごく魅力的な一方で、コントロールしにくい組織にならないでしょうか?

南場:そうですね、一人一人が主役ですから、まとまりを作ることには工夫が必要ですね。実際、何かを生み出すのに時間がかかったり、足踏みしたりすることもあるかとは思います。

ですが、それが進んだときにはこれまでの何百倍も高い目標に到達できる。全員がオーナーシップを持つチームは最強です。一人の強みも無駄にせず、これまでよりうんと高い目標に向かっていく、強い組織になると考えています。

――近い将来、新たに挑戦しようと思っていることはありますか?

南場:いろいろありますよ。挑戦してみたい事業はたくさんあるし、横浜でやりたいことも盛りだくさんです。

組織論で言えば、例えば「ホラクラシー※経営」。20周年プロジェクトでもメンバーから発案がありました。ちょうど私も勉強中で、実施した企業の方からお話を伺っていたところです。

※ホラクラシー:分散型・非階層型の組織形態を示す概念。ホラクラシー経営は、階級や上司・部下といったヒエラルキーが存在しない、フラットな組織管理体制のこと。

いきなり全社ではなく、一部でも、やってみたいです。全く無秩序でやってみて、その結果もガラス張りにして、良かったところも悪かったところもオープンにしてみたいですね。

他にも試してみたい面白い提案がたくさんあります。

なぜ、まだ働くのか? 「“持ち物”より“生き様”を遺したい」

――最後に、南場さんはマッキンゼーから独立して成功し、球団のオーナーにもなられて、私からするとすべてのものを手に入れたような方ですが、それでもまだ、企業経営という責任の大きい仕事をするのはなぜなのですか?

南場:そんなにいろんなものを手に入れてないですし、そうした「持ち物」って、大きい価値ではないと思っています。先日、ある大学生から、自分の座右の書は内村鑑三の『後世への最大遺物』だ、と言われて、読んでみたら、とてもしっくりきました。

この本は、一人の人間が後の世に何を遺せるかについて語っています。そして誰でも遺すことができ、かつ最大の遺物が、「高尚な生涯」だというんですね。高尚な生涯とは、苦しい状況になったとき、つまりドツボにはまったときに、諦めず腐らず、ずっとひたむきに前向きに進んでいく勇気ある人生です。これを「生き様」と呼んでいます。

この本で描かれている事例も興味深いです。19世紀イギリスの歴史家・カーライルが、何十年もかけて書いた手書きの原稿を、出版前に友人に貸したと。すると、大事なものと知らない友人の女中が、その原稿をストーブの燃料として焼いてしまったんです。

カーライルは初めは怒り、ぐれてしまい、歴史などほっぽり出してしまったそうです。ただ、10日ほど経ったある日、もう一度書き直そうと立ち上がり、歴史的な名著ができた、という話なのです。

この書籍の内容の偉大さよりも、火で焼かれたものを再び書き直したという彼の生き様こそが、最大の遺物であると。人の心に響き、末長く遺るものだったということなのだと思います。

私も、資産や立場などの「持ち物」を誇る人生は送りたくない。それよりも、夢に一度は挫折したけれどまた頑張ったとか、良い時も苦しい時も偽りなく真っ直ぐ生きたとか、自分の心の中で誇れる生き方をしたいです。それが世の中への貢献につながると思います。

会社にも同じことが言えますね。DeNAはこれまでもアップダウンを経験しました。そしてまだ足踏みをしている部分もあるし、成果が出るまで少し時間が必要なところもあります。しかし、すべての苦境は、どう乗り越えるかを見せるチャンスなのです。順風満帆だけで来ている会社には遺すことのできないインパクトを、DeNAは遺せる。そう思って張り切っています。


※【進化版・南場智子氏に迫る(上)】「南場さん、『プロフェッショナリズムの塊』じゃなくなったって本当ですか?」はこちら。

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