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国家総合職試験に独学で合格!?
こんにちは、外資就活 編集部です。
外資就活ユーザーのみなさんの中にはもともと「外交官になりたい!」「中央省庁で働きたい」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。しかし、国家公務員になるために避けて通れないのが「 公務員試験 」です。特にエリート官僚になるための国家総合職試験では毎年非常に難しい試験が課されるため、大学2年生・3年生から予備校に通って勉強する方も少なくありません。
今回は見事中央省庁の一つから内定を獲得した学生のKさんに、国家公務員総合職になるまでのフローについて、試験対策から官庁訪問まで具体的にうかがいました。Kさんは教養区分1次試験に合格(2次試験は不合格)、専門試験(政治・国際区分)では1次・2次とも合格しています。
「国家公務員に興味はあるけれども、どのような対策が必要なのかわからない・・・」という方は必見です!
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内定者ご紹介
今回インタビューに協力していただいたのは、都内の大学に通い、国家公務員総合職試験「政治・国際区分」に独学で合格した18年卒のKさんです。
教養区分、政治・国際区分とも「広く・深い」試験対策が必要
教養区分と政治・国際区分では何を勉強するのか
ーーKさん、本日はよろしくお願いします。長期にわたって試験勉強を続けていたようですね。お疲れ様でした。
Kさん:ありがとうございます。私は大学3年次の7月末から勉強を始め、2回受験しました。まず9月末の 教養区分 を受験し、こちらは2次試験で落ちてしまいました。その後も勉強を続け、大学4年次の4月末に 政治・国際区分 を無事にパスしまして、それから7月上旬の官庁訪問で最終的な合格となりました。
ーー試験科目について教えてください。
Kさん:まず教養区分1次試験は、
知能分野 (文章理解、判断・数的推理)、
知識分野 (自然科学、人文科学、社会科学)、
そして 総合論文 です。
2次試験は、
小論文とその内容についてのプレゼン 、
政策立案に関するグループ討議 、
人物試験 です。
次に政治・国際区分ですが、1次は 知能・知識分野 に加えて、
政治学、国際関係、憲法 が必修問題で、
行政法、行政学、国際事情、財政学 を選択問題で選択しました。他にも民法や国際法、経済学、経済政策を選択することも出来ます。
2次は、
政治学、国際関係、憲法の論述試験 、
政策立案に関する論文試験 、
人物試験 です。
通常の法律区分と比べて、教養区分では知識分野が多めに出題され、総合論文やプレゼン、グループ討議もあります。一方政治・国際区分では法律科目の代わりに、政治学などの政治・行政科目が課せられているというイメージですね。
教養区分と政治・国際区分ではどれくらい勉強する必要があるのか
ーー科目数は本当に多いですね。教養区分はどのように対策をしていたのですか?
Kさん:知能分野は1日2時間ほど、知識分野は試験1カ月前に集中的にやっていました。
私は中学受験をしており、大学時代も塾講師として働いていたんです。そのため、人文科学の世界史や中学受験の算数に似た問題が出る数的推理などにそうした経験が活用できました。
ーー「数的・判断推理が苦手!」という受験生は多いですよね。何かコツはありますか?
Kさん:数的・判断推理は関野 喬さんの『公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ』という参考書を使っていました。
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1日1セクションずつ解いていき、次の日にもう一度解きました。この時、2回目も間違ってしまった問題は 「間違えた問題ノート」 を作って書き留めていきます。
このように 定着していなかった問題や論点をノートにまとめるという作業は、当たり前のように思われますがすべての科目において非常に大切だと思います。 なぜなら、国家総合職試験は範囲が膨大なので、試験直前期に「どこができないのか」を効率的に把握する必要があるからです。
あと、勉強を始めた当初、知能分野は初見の問題がなかなか解けるようになりませんでした。しかも、国家総合職試験は例題を暗記しただけでは一筋縄に行かない難しい問題が多いですからね。しかし、 泥臭く例題のパターンを覚えていくと「考え方の引き出し」が増えて、初見の問題に対しても「あの例題のあのやり方を試してみようかな!」と試行錯誤できるようになります。 私もそうすることで少しずつですが解けるようになっていきましたね。あの難しい平面図形・立体図形の問題も例外ではありません。
ーーなるほど。国家公務員たる者、地道な努力は必須ということですね。知識分野も泥臭く勉強していましたか?
Kさん:知識分野はすべてやろうとしたら知識の海に溺れてしまいます。私は正直自然科目は捨てていました(笑)。物理・化学・生物・地学のうち1問当たれば良いかなという感じだったので、教養区分の過去問題集の解説を覚える程度に止めました。
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しかし、 苦手な分野の勉強量を減らす分、得意分野の人文科学や社会科学は徹底的に攻めました。 私の場合、世界史や地理、思想は大学受験で選択していたり塾講師として教えていたりしたので大丈夫でした。
一方、日本史は最低限の知識を詰め込むために『教科書よりやさしい日本史』を使っていました。
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社会科学は『公務員試験新スーパー過去問ゼミ』シリーズを2周ほどやりました。
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もちろん、いずれも間違えた問題はノートにまとめて覚えました。
アカデミックな科目の対策は?
ーー次は政治・国際区分について伺います。どのようなスケジュールだったのですか?
Kさん:教養区分が終わって12月から勉強を始めて4月末の1次試験を迎えました。専門科目は各科目バランスよく1日10時間ほどやっていました。もちろん5月下旬の2次試験前は専門論述の憲法・政治学・国際関係を重点的に勉強しました。
ーーなるほど。例えば憲法などの法律科目であれば、すでに市販の問題集が充実していて、判例や論点を理解して覚えていくという指針になると思います。しかし、政治学や行政学など、大学の先生が時間をかけて研究するような学問をどうやって効率的に勉強していったのですか?
Kさん:確かに、法律科目と比べると対策しづらいと思います。とにかくまずは各科目の基本的な語句の意味を押さえることが大切ですね。私は実務教育出版の『公務員試験 行政5科目まるごとパスワード neo』の該当科目を使っていました。
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あとは先ほども紹介した『公務員試験新スーパー過去問ゼミ』シリーズで問題演習です。
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出版:実務教育出版
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政治・行政科目とはいえ1次試験の多肢選択問題は、語句や学者の名前の正誤を判断するものが多いので対応できると思います。
問題は政治学と国際関係の専門論述ですね。まず専門科目の過去問題集で出題形式を確認します。
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そして実際に大学の授業で使われるような研究書をひたすら何周も読んでいきます。私は”New Liberal Arts Selection”というシリーズに入っている、『政治学 補訂版』と『国際政治学』の2冊を何度も何度も読み込みました。
政治学(補訂版) New Liberal Arts Selection
久米郁男
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国際政治学 (New Liberal Arts Selection)
中西 寛
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国際政治学を初めて学ぶ方はジョセフ・S.ナイ ジュニアの『国際紛争ー理論と歴史』をおすすめします。
国際紛争 -- 理論と歴史 原書第10版
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ある程度知識が定着したら、過去問の答えを自分なりに作成して先輩に添削してもらいました。私は大学で政治学を専攻しているので、所属している研究会の院生の方に見て頂きました。
法律科目は事例問題に対して三段論法のような「論点を書くときの型」がありますが、政治学にはあまり決まった型はありません。学説の長所・短所を指摘したり、論点を比較したり、適切な関連語句に論及したりなど、 問題文の指示に従って柔軟に論述する必要があります。 あとは受験する年の試験委員を務める教授の研究分野など確認するのも良いでしょう。
こうした勉強法が「効率的」かどうかは分かりません。しかし、泥臭く学説や論点を吸収していったからこそ、専門論述だけでなく総合論文や政策立案に関する論文試験においても、付け焼き刃の知識では書けない、しっかりとした主張をすることができたと思います。
国家公務員総合職への面接試験
人事院面接とは?
ーー政治・国際区分の2次試験に「人物試験」とありますね。これがいわゆる官庁訪問ですか?
Kさん:いいえ、この「人物試験」は人事院と呼ばれる行政機関が行う「 人事院面接 」のことです。筆記試験と人事院面接をパスした後に晴れて霞ヶ関へ官庁訪問をすることができます。
人事院HPによれば人事院面接では「人柄、対人的能力などについての個別面接」と位置づけられています。「なんだ、官庁訪問前の練習みたいなものか」というのは大きな間違いです。人事院の職員と現役の官僚の方からしっかりと面接され、何よりそれが試験全体の配点比率の5分の1を占めるのです。
公務員試験の面接ではエントリーシートの代わりに「 面接カード 」というものを提出します。内容としては「学生時代に頑張ったこと」「自分の過去の経験から、国家公務員としてどのように貢献できるか」の2点に集約されると思います。
「自分の過去の経験」については、幼少期から学生生活にかけて人それぞれだと思います。両親が国家公務員でその影響を受けたという方も、「たまたまこの省庁に行きたい、と思った!」という方もいると思います。
「国家公務員としてどのように貢献できるか」という部分はなかなか難しいと思いますね。抽象的に「〇〇な日本を作りたい!」「△△についての政策を実現したい!」というのでは説得力に欠けます。例えば、「平和な日本を作りたい」という想いがあるのなら、一市民として平和を望むのではなくどうして国家公務員として公共財としての平和にこだわるのか、そのためにはどういう危機管理政策を行うべきか、というところまで考えるべきです。
もちろん、こうした細かい部分はある程度「面接での突っ込みどころ」として面接カードに書かずにとっておくのもテクニックの一つです。
いよいよ官庁訪問へ
ーー人事院面接をパスしたら官庁訪問ですね。
Kさん:はい、そうです。民間就活でしたら本選考が始まれば最終面接まであっという間だと思いますが、人事院面接後には少し期間が空きます。官庁訪問の前に1次試験合格者対象の業務説明会に参加して、改めて志望動機を練り直すこともできます。
平成29年度の官庁訪問は7月に行われ、第1クールが5日~7日、第2クールが10日~12日、第3クールが13日~14日、第4クールが18日、第5クールが19日でした。
各クールで複数の省庁に訪問することが可能です。私は第1志望だったところから第1クールで「残念ながら・・・」といわれてしまいました。それでも他の省庁から「第2クールもぜひ来てよ!」といっていただきました。このように、選考がうまく進んでいるか否かははっきりと分かります。
訪問した日は基本的には終日拘束されて、個人面接や集団面接、集団討論などを行います。私の場合は、「~というような緊迫した状況のときに、官僚としてどういう対応しますか?」と聞かれたり、まったく笑わない面接官から「君の言っていること一つひとつは分かるけど、なんか一貫性がなくない?」と問い詰められたりしました。 ロジカルと視野の広さ、ストレス耐性 が求められていると感じましたね。
ーー官庁訪問でのアドバイスはありますか?
Kさん:そうですね、試験対策のところでもお話ししましたが、筆記試験対策で政治学や国際関係を泥臭く時間をかけて学んだ知識は確実に官庁訪問でも力になりました。例えば、政策論議の場で面接官や他の法律区分の学生に対して、しっかりとした主張を述べることができたのです。
自分の区分や大学での専攻で学んだことを活かすのは当然ですが、他にも直近のニュースを確認すること、他の学生の話をしっかりと聞いていることも大切です。
国家総合職試験は得意な試験科目で勝負できる
公務員試験と聞くと「とにかく法律科目がある」「法学部の進路」というイメージがあるかもしれません。しかし、実際には他の区分で申し込むことで法律分野とは別の分野で勝負をすることができるのです。
もちろんKさんが言うように、楽ができるわけではなくそれなりの勉強量は必要でしょう。就職活動の軸として「自分が学んできた学問を活かしたい!」という想いがある方は目指してみてはいかがでしょうか。
なお今回取り上げた「政治・国際区分」に加え、2024年度試験から新たに「政治・国際・人文区分」が創設されます。このように試験区分や試験内容、試験実施時期などに関しては毎年変更が起きうるため、受験を考えている方は常に最新の情報をチェックするようにしてください。
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