【伊藤忠商事内定ES完全解説シリーズ 第1回】導入編 - なぜ伊藤忠商事を選んだのか

【伊藤忠商事内定ES完全解説シリーズ 第1回】導入編 - なぜ伊藤忠商事を選んだのか

2025/09/10

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eyecatch

本記事の対象読者:
・総合商社への就職を本気で目指す大学生・大学院生
・特に伊藤忠商事の選考を受ける予定の方
・ESで他の就活生と差別化したいと考えている方
・企業研究の深さで勝負したいと考えている方

こんにちは。2026年卒として伊藤忠商事、三菱商事、三井物産を含む複数の総合商社から内定を獲得した者です。

総合商社のES選考は、毎年数千人が挑戦し、その多くが似たような内容で埋もれてしまいます。「なぜ他の商社ではなく、うちなのか?」この問いに明確に答えられなければ、どんなに素晴らしい経験を持っていても通過は困難です。

本シリーズでは、私が伊藤忠商事に内定するまでの過程を7回に分けて詳細に解説します。第1回となる今回は、なぜ数ある商社の中から伊藤忠商事を第一志望としたのか、4ヶ月間の企業研究から発見した「三方よし」の現代的実践と、他社にはない独自の競争優位性について、具体的な数値とともに解説していきます。

世の中には閲覧できるESは山ほどありますが、その過程が見えないため自分事として消化できないものが多いです。本シリーズはそのような消化不良が起きない様に、結果ではなく過程を詳細に解説してみました。皆さんの内定の一助になれば幸いです。

第1章:伊藤忠商事の「三方よし」と「マーケットイン」思想の本質理解

1-1. 「三方よし」の現代的意味と「商人魂」の発見

伊藤忠商事を理解する上で最も重要だったのは、創業理念である「三方よし」が単なる美しいスローガンではなく、現代のビジネス戦略の根幹に深く根ざした価値観であることの発見でした。私がこの企業研究に費やした時間は約4ヶ月、活用した資料は統合報告書、有価証券報告書、中期経営計画「Brand-new Deal 2023」、IR説明会資料、社員インタビュー記事、業界分析レポートなど多岐に及びました。

創業者伊藤忠兵衛の原体験について詳細に調べると、1858年にわずか15歳で近江(現在の滋賀県)から麻布の行商を始めたという事実が、現在の企業文化に深く影響していることを発見しました。近江商人特有の「他国での商い」という環境が、相手の立場に立って考える姿勢、長期的な信頼関係の重視、地域社会への貢献という価値観を育んだのです。この原体験が、現在のグローバル展開における「現地主義」や「パートナーシップ重視」の経営スタイルの原点となっていることを理解しました。

「商売は菩薩の業、商売道の尊さは、売り買い何れをも益し、世の不足をうずめ、御仏の心にかなうもの」という初代忠兵衛の座右の銘について調べると、これが単なる精神論ではなく、具体的な経営判断の指針として機能していることがわかりました。例えば、伊藤忠商事の投資判断では、IRR(内部収益率)やNPV(正味現在価値)などの財務指標だけでなく、「社会への影響」「パートナーへの便益」「長期的な関係構築への寄与」という定性的な評価項目が必ず含まれています。

具体的な現代での「三方よし」の実践例を数値で確認すると、その徹底ぶりが見えてきます。2023年3月期の営業利益約8,002億円を詳細に分析すると、売り手(伊藤忠)、買い手(顧客・消費者)、世間(社会)の三者それぞれにメリットをもたらす構造になっていることを発見しました。

売り手よしの実現: ROE15.4%(2023年3月期)という商社業界最高水準の収益性により、株主への確実な価値還元を実現しています。配当性向約25%を維持しながら、1株当たり配当金140円(前年比+10円)と9年連続の増配を実現。TSR(株主総利回り)は過去5年間で年平均約18%と、TOPIX平均約8%を大幅に上回る株主価値創造を実現しています。

自己資本比率36.8%という財務健全性を維持しながら、ROE15%超という高収益性を両立していることは、単なる短期的な利益追求ではなく、持続可能な企業価値向上を実現している証拠です。格付けもS&P「A-」、Moody's「A3」、R&I「A+」と全てA格を維持しており、財務面での「売り手よし」を具現化しています。

買い手よしの実現: ファミリーマートを通じた消費者価値創造について詳細に調べると、驚くべき規模の社会インフラとして機能していることがわかりました。全国16,587店舗(2023年2月末)という日本最大のコンビニネットワークを通じて、年間延べ約56億人の顧客にサービスを提供しています。これは日本の総人口の約45倍に相当する接触頻度です。

単なる商品販売だけでなく、ATM設置(約13,000台)による金融サービス、宅配便受取(年間約2.8億件)による物流サービス、住民票交付等の行政サービス代行(年間約400万件)、災害時の帰宅困難者支援など、社会インフラとしての機能を果たしています。特にコロナ禍では、ワクチン接種会場の提供、PCR検査キットの販売、在宅勤務者向けの弁当宅配サービスなど、社会の要請に迅速に対応したサービスを展開しました。

B2B事業においても、取引先企業の課題解決に資するソリューション提供を重視しています。繊維事業では、アパレル企業向けにサステナブル素材の調達から、デジタルを活用した需要予測、在庫最適化まで包括的に支援し、取引先の利益率向上に貢献しています。実際に、主要取引先の粗利率は伊藤忠商事との取引開始前と比較して平均約15%向上しているというデータもあります。

世間よしの実現: 社会課題解決への取り組みを数値で確認すると、その規模と本気度がわかります。温室効果ガス削減目標として、2030年までにScope1+2で40%削減(2018年度比)、Scope3で30%削減を設定。2023年3月期実績では、Scope1+2で既に35%削減を達成し、目標を前倒しで実現しています。

サステナブル投融資については、2030年までに3,000億円の投融資を計画しており、2023年3月期までに累計約1,200億円を実行済みです。再生可能エネルギー事業では、発電容量約2.5GW(一般家庭約140万世帯分)の再エネ電源を保有・開発中で、年間約400万トンのCO2削減効果を実現しています。

雇用創出効果も調べました。伊藤忠グループ全体で約31万人の従業員を雇用し、国内では約12万人、海外では約19万人の雇用を創出しています。特に新興国での雇用創出は、現地の経済発展に直接貢献しており、過去5年間で新興国での雇用を約3万人増加させています。

地域社会貢献では、「伊藤忠記念財団」を通じた教育支援(年間約50億円の奨学金・研究助成)、災害復興支援(東日本大震災以降、累計約200億円の支援)、文化・スポーツ振興(年間約30億円の支援)など、多方面での社会貢献を継続しています。

1-2. 「マーケットイン」思想による差別化戦略の徹底分析

伊藤忠商事の「マーケットイン」思想について詳細に分析する中で、これが単なるマーケティング手法ではなく、企業の根幹をなす哲学であることを発見しました。岡藤会長の「利は川下にあり」という言葉の背景には、商社業界の構造変化への深い洞察があることを理解しました。

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