圧倒的なハードワークと高年収で知られる外資系投資銀行。専門性も高く実力主義ということもあり、サブプライムローン危機などの金融ショックを経た今でも、トップ校の学生が次々に門を叩いていきます。
しかし入社後の実情についてはあまり知られていないのが実際。いったいどんなワークスタイルや日常が待っているのでしょうか?
今回はジュニアからシニアまで、外資系投資銀行 の投資銀行部門(以下IBD=Investment Banking Division)で働かれている方複数人にインタビューを行い、実態を「あるある」としてまとめました。まずは気になる生活面からお伝えします。
目次
外銀IBDで働く多忙なバンカーの生活
会社やマーケット状況によって変動はありますが、外銀IBDの初任給はだいたい年収700〜900万円、入社3年目に1500万円、5年目には2000万円に達し、10年サバイブすれば5000万を超えるとも言われています。
職位の階層は会社にもよりますが、下からアナリスト、アソシエイト、ヴァイスプレジデント(VP)、ディレクター、マネージングディレクターとなります。
IBDという部署ではM&A・資金調達の提案・アドバイザリーから実行(エグゼキューション)まで幅広く手がけており、クライアント企業の非常に重要な意思決定に関わることからとても多忙です。平均睡眠時間2〜3時間はざらであり、そんな日常ゆえか、非常にエッジの立ったライフスタイルを確立しています。
1.飲み会開始時刻に店についたら1人
友人や先輩・後輩との飲み会では皆さん忙しいふりをするのが好きで、遅刻する輩が多数見受けられます。遅刻とはちなみに夜23時・24時頃を指します。
ただでさえ忙しいのに、さらに忙しいふりをするため、時間通りに全員揃うことはめったにありません。業界人同士の飲み会だと22時スタートも多いのに、このありさま。そして1時間滞在したら社用スマホなどで呼び出され、オフィスに戻る方も多いです。
話の内容はメンバーによっても大きく変わりますが、若手が集まれば基本的に上司の悪口が大半を占めます。どこの会社も同じでしょうか。
2.とにかく眠いので、寝る場所を求め放浪
当初の3年くらいは疲れ果てたらデスクで寝るケースが多発。見つかりたくない場合は、トイレで寝ています。10分意識を飛ばしたら、多少スッキリします。
また少しシニアになると、カフェによく行くようになり、そこで社内のプレッシャーから逃れたりも多々。労働時間が長いので、業務時間中にちょくちょく抜け出すことに抵抗感はあまりありません。中にはマンガ喫茶で寝ている人もいました。
カレンダーに何も入っていないのに2時間くらい席を外すのはさすがに勇気がいるため、空のアポイントメントを入れたりする人もいます。
3.食事補助代を使い切る量のメシを食べる
会社にもよりますが20時以降働くメンバーに向けて、MAX2000円くらいで食事代が支給されます。若手にとっては大事なエネルギーの源ですが、とにかく限度額まで食べ切ろうとして、豪華な定食を食べるケースが多々。ビル内の飲食店にいくと遅くまで働く社会人向けに、天ぷら定食やとんかつ御膳などがあったりするんですよね……
こういった食生活を送っていると、みるみるうちに腹回りは大きくなっていきます。
4.運動不足でスーツが破ける?
服装について言うと、基本的にダークスーツで働いています。2年目くらいからダブルカフスのシャツを着始め、基本的にカフスをつけるようになります。靴にこだわる人は多く、定価15万円を超えるジョンロブやエドワードグリーンなどのブランド靴を履く方も多いです。
若いうちは特に体にぴったりとしたスーツを好んで着ますが、運動不足と上記理由によりすぐ太るので、スーツが破けるなんてことも!とくにジュニアは座っている時間が長くなりますので、アーロンチェアのメッシュにスーツがこすりつけられて、気がつけばお尻の下に大きい穴が空くこともあります。
5.社内に生活用品を完備してしまう
オフィスに日用品をたいてい完備しており、案件が佳境でしばらく帰れなくても十分生活できます。また、ヒューレットパッカード(HP)の関数電卓は欠かせません。通常の電卓のほうがラクなのですが、 持っているだけで高揚感があります。
綿棒、耳かき、爪切り
歯ブラシ
整髪剤 (社内にシャワーがあります)
おかし、カップ麺などの食料
替えのワイシャツ
ネクタイ
サンダル
6.最初はだいたい麻布十番
若いうちは麻布十番、白金高輪に住む方が多いのではないでしょうか。少しでも会社に近い所に住みたいというニーズと、ちょっと調子に乗った感じの土地柄が絶妙にマッチしています。もちろん最初は日本橋や銀座、恵比寿に住む方もいらっしゃいますが、数年経つと港区に引っ越していきます。
30代になると、麻布十番より白金台や広尾、そして銀座と月島の間くらいから汐留くらいのウォーターフロント、世田谷も増えてきます。結婚して所帯持ちとなることが主な理由で、家を購入するケースもあります。
参考までに現在の日本拠点情報を付加しておきます。モルガン・スタンレー が恵比寿から離れたのがビッグニュースでしたね。
東京駅付近:モルガン・スタンレー 、JPモルガン、シティグループ、UBSグループ、BNPパリバ
日本橋付近:バンク・オブ・アメリカ
汐留付近:クレディ・アグリコル
また、大体は高級賃貸マンションとされるところに住むケースが多いです。こういったマンションにはフロントサービスという宅配を代わりに受け取ってくれたり、クリーニングを代わりに出してくれるサービスをしてくれるところも多く、多忙な外銀マンを徹底サポートしてくれます。
若手の頃はおおよそ家賃10~15万円程度のところに住んでいますが、3~4年目に20万+αの高層で1人では多少持て余す広めなマンションに引っ越します。5年目以上は未婚の場合は30万を超えることも多く、MDクラスですと家賃100万円も珍しくありません。
具体名を挙げると、最近ではパークアクシス青山一丁目や白金タワー、赤坂Top of the hill等が人気なようです。
ちなみに六本木ヒルズレジデンスにはゴールドマンアナリスト御用達とまで言われた1ルーム30平米26万円くらいの物件があったりします。びっくりするほど高いように見えますが、フロントもありジムもあり、オフィスまで数分という、すべてを仕事に捧げるアナリストとしては最高の環境といえます。
7.20代で婚期を逃すと、40過ぎまで結婚できない?
IBDは今のところ男性が比較的多い社会です。ジュニアからシニアまで幅広いポジションで活躍し、キャリアを積んでいる女性も多いですが、あまりにも過酷な労働が多いため、体力的に厳しく離職していく人が多いのが実情です。
男性の場合は、以下2点に集約化されます。
パターン2:落ち着かず、短い付き合いを繰り返して40くらいまで独身。派手な女性、ミーハーな女性に流れがち。ホステスとの浮名を流すケースも
前者の場合は、若い時からほとんど家にいないだけに結婚が難しいという背景があります。職場で知り合った女性であれば、多忙への理解があるケースが多いためにスムーズにいくでしょう。
いずれにせよ入社初年度から生活水準がかなり上がってしまうため、ジュニアメンバーの大半が1回は金銭感覚がおかしくなります。そして多忙な時間の合間に合コンに励みます。そういった狂った金銭感覚を冷めた目で見つめられることも多いので、「自分だけは違う」と必死に否定するなど、奇妙な争いも見られます。
上司や先輩社員がモデルやCA等のネットワークを持っているケースも多く、自己過信により狂ってしまうケースも多いですが、そこから現実・堅実な人生設計に戻ってこれるかどうかが大きな差だと思います。もちろん狂ったままの人もおり、その場合は、パターン2の人生を歩みます。
女性の場合は、同じ業界同士か学生時代からの友人が最も多いパターンのような気がしています。上司との結婚もたびたび見られるケースですね。
タフなバンカーだからこそできる生活
いかがでしたでしょうか。ハードなワークスタイルとバランスを取るかのように生活面を含めた人間形成がされているようですね。少々辛口にご紹介しましたが、こうしたライフスタイルはあくまで一面であり、タフでスキルの高い、魅力的な人間が揃っていることも最後に付け加えておきます。
さて、続いてはいよいよ業務面について切り込んでいきます。
後編「温泉に浸かっていたら、出社呼び出し⁈」外資系投資銀行で働くバンカーにありがちな7つのこと 業務編 もどうぞ!
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