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早期化する就職活動。今や2年生から就職活動を始める人も少なくありません。とはいえ、いつから就職活動を始め、何からしたらいいのか分からない人も多いかと思います。
今回のコラムでは、就職活動を童話「アリとキリギリス」に例え、27卒の学生に就職活動の全体スケジュールと早めに動くべき理由、やるべきことについてお伝えします。
このコラムを読んで、27卒の皆さんが就職活動をいつから、何から始めたらよいのかざっくりと把握しましょう!【橋本成哉】
登場人物紹介
アリ(A里):某都内私大経済学部4年生。2個上の兄に急かされる形で就職活動を2年生の12月から始める。結果、外資コンサル2社と日系大手金融3社から内定を獲得した。
キリギリス(K桐):アリ(A里)と同じ某都内私大法学部4年生。「体育会かつ帰国生の肩書きで何とかなるはず」と就活を甘く見ていた。就職活動は3年生の7月から始めた。結果、4年生8月段階で内定は未だ0社。
とある2人の大学4年生~2025年夏の某日~
K桐の夏
「就職留年、しようかな……」
K桐は自室でぽつりと呟いた。就職活動を3年生7月から始めたが、いまだ自身の満足する結果を得られておらず、彼の心は焦りと絶望でいっぱいだった。
いまのところ、就活の実績と呼べるものはITベンチャー1社の、最終面接に進めたのみ。しかしそれさえも最早、K桐にとって良い記憶ではなかった。
その日、30代で起業したという代表取締役は怪訝な目つきで「君は結局うちで何がやりたいの?」と呟くなり、彼の業務理解の甘さや、発言の矛盾を徹底的に看破してみせたのだ。「この規模の企業だったら、滑り止めとして悪くないだろう」と思っていたK桐の自信はあっという間に打ち砕かれた。
しかし、大学同期が誰もが知る各業界のトップ企業への就職を決めた中「自分も大手企業に入りたい」というプライドにしがみつき、未だに就職活動を続けている。
「A里の奴、今何しているんだろうか」
A里とは、2年生の時バイト先で知り合った。同じ大学に通っていることや同じ一般教養科目を取っていたことから意気投合し、月に1回ほど会う仲の友人になった。
3年の梅雨ごろからお互い多忙で疎遠になっていたが、何故かふとこの時A里の顔が頭に浮かんだ。
K桐は、スマホを手に取った。
A里の夏
「どちらの会社に行こうかな」
A里は自室でぽつりと呟いた。就職活動を2年生の12月から始め、日系金融大手3社と外資コンサル2社から内定を獲得した。どの会社も魅力的だが、自身のやりたいことから入社先を日系金融大手2社のどちらかに絞った。
メンター社員や内定者同期に進路相談をしても、逆に給料や福利厚生、将来性など様々な判断基準を示され悩みは深まるばかりだった。
「K桐の奴に相談してみようかな」
バイト先で知り合った大学同期。A里にとってK桐はそんな存在だった。確か彼は体育会に所属していた上に帰国生。就職活動も上手くいっているはず。しばらく会っていない彼だからこそ、何か有益なアドバイスを貰えるかもしれない。
A里は、スマホを手に取った。
A里とK桐の夏
7月30日、18時の渋谷ハチ公前広場。うだるような暑さと人混みの中で、K桐はスーツ姿でA里を待っていた。未だに続く就職活動のためだ。もはや自身の周りには、公務員志望以外の就活生はいない。そんな中でかろうじて飛びついた、大手損害保険会社の追加募集だった。ただもう後がない。その緊張感を抑えることで精いっぱいで、肝心の面接の手ごたえは全く無かった。
「すまん、遅れた」
スーツ姿のK桐とは対照的に、柄シャツに短パンというラフな格好でA里は現れた。服装からして対照的なふたりが、渋谷の街へと繰り出す。渋谷には、彼らのよく通った居酒屋があった。そこで一杯やりながら近況報告をし合おう、とK桐は考えていた。
「実はさ、M銀行かD証券のどっちに行くか、悩んでるんだ」
店に着き乾杯後すぐのA里の一言で、K桐の考えは打ち砕かれた。未だに就活を続けている自分と、日系最大手金融の2社で悩むA里。肩を並べていたはずの友達と、大きな差がある。K桐は考えるふりをしながら動揺を隠すのに精いっぱいだった。自分に話が振られても、ごまかすことしか出来なかった。その日、酒の味はしなかった。アルコールが頭を回ることは無かった。
「どうしてこんなに差がついてしまったのだろう」
K桐の頭の中では、それだけがグルグルと回っていた。
前半戦:27卒の夏インターンシップ
天下分け目の天王山。本能寺の変後の羽柴秀吉と明智光秀の戦いに由来するこの言葉は、勝負を決する大事な場面によく使われる。 大学受験の天王山は夏だとよく言われるが、それは就職活動においても例外ではない。 3年生の夏が、就職活動の勝負を決する。
大きく差の開いたアリ(A里)とキリギリス(K桐)は、3年生の夏をどう迎えたのか。彼らの就活天王山を見ていく。
A里:綿密な準備に選考結果はついてくる
「A里、就活どうするとか考えてんの?」
12月のA里家の食卓で、2個上の兄がA里に聞いた。11月の学園祭を思いっきり楽しみ、大学生活を謳歌していたA里にとって「就職活動」の4文字は遥か遠い彼方に存在していた。
「兄ちゃん、俺2年生だよ。まだまだ大学生活これからだってば。そういうのは3年生からだろ」
来年の4月から社会人になるA里の兄は気が早い。昔からそうだった。大学受験の準備と称して高1の冬から予備校に通い、大学では入学直後から長期インターンを始め、3年生になってからすぐ就活に着手していた。それで兄が結果を出す様を見ていたため、A里も兄に倣って生きてきた。
とはいえ、大学2年生の俺に就活の話は早すぎる。A里は少し呆れながら、味噌汁を啜った。
「いや、今じゃ3年から始めても遅いくらいだ。何も知らないまま夏インターンの選考を受ける羽目になるぞ。業界や企業、自分のやりたいことを知る。そういう前準備はこの時期から始めた方がいい」
やけに真剣な目で兄はA里に語りかける。
「まずは就活サイトに登録してみろよ。リンク送っとくから」
兄はそう言うとスマホでLINEを開き、いくつかの就活サイトのリンクをA里に送った。
その後、半信半疑ながらも就活サイトに登録したA里は驚きを隠せずにいた。
「もう既に、自分の卒業年度の募集が始まってる……!」
2年冬、外資系の選考時期が早い企業であれば既にその情報が出始める。 それに対し、A里はまだ就活のことを何も知らない。知らなくては、という焦りがA里の脳内を駆け抜ける。
思い返してみれば、外資コンサルに入社する兄も、この 2年生の冬という時期から就職活動を始めていた。このタイミングから始める必要がある のかもしれない。
その日、A里は就活のスケジュールや始め方などのコラムを読み漁った。3年の夏インターンに参加する大切さ、自己分析、業界研究、企業研究、webテストの対策、ESの書き方、面接で話す内容の整理――。多くのことをやらねばならない。
「幸いまだ時間はあるから、業界研究と自己分析からやっていくか」
27卒A里の就活がここから始まった。2年生の12月のことだった。
大学2年生の春休み。A里は自己分析を進めつつ、各企業が行う会社説明のセミナーを受講していた。自分にはどういった仕事が向いているのだろう。そして、社会にはどういった仕事があるのだろう。就活における基本のキと言える部分を、少しずつ固めていった。
そして、それと並行して行っていたのが、webテスト対策だ。このテストの点数が足りないことで選考を落とされることほどもったいないことはない。
こうしたA里の地道な努力は、3年生の7月に一挙として結果に表れた。大手各社のサマーインターン日程で埋まる自分のカレンダーを見て、A里は就活の忙しさに恐れおののいていた。
「就活、こんなに忙しくなるものなのか……」
その夏、A里は外資コンサル3社・日系大手金融4社などを合わせた計9社の複数日程開催インターンシップに参加した。
なかでもA里にとって特に印象深かったのは、のちに内定先の1社となるM銀行のインターンシップだった。
A里自身が就活の軸にしていた「何かに熱中する人を、そばから支え、ともに成長したい」という想いを実現するべく、国内トップレベルのバンカーである社員達が真剣に働いている様子に、彼はいたく感動した。ジョブ中何度もフィードバックをくれたメンター社員も最初は厳しかったが、最終日には「君には金融業界が一番向いているよ」と笑顔を見せていた。
A里のその後の就活は、日系大手金融を第一志望として進むこととなる。
K桐:格差を知るすべも知らず……
「K桐、就活どうするとか考えてんの?」
12月のサークルの忘年会で、OBの4年生がK桐に聞いた。この頃のK桐にとっても「就職活動」の4文字は遥か遠い彼方の存在だった。
しかしK桐は「先輩、俺まだ2年生ですよ。大学生活を就活で浪費する意味って何ですか?」と、半ば先輩をバカにするかのように笑った。「いや、今じゃ3年から始めても……」まだ話を続けたそうな先輩を無視して、K桐は同期と新年会の店選びを始めた。
新年の始まりや、3年生への進級をきっかけに動き出す同級生たちを尻目に、K桐は3年生の6月まで大学生活を謳歌していた。
7月になって、今までつるんでいた同期がほとんど飲み会の約束を就活を理由に断り始めたころ、やっと彼はしぶしぶ適当な就活アプリをインストールした。
しかし、 多くの企業はこの時点でサマーインターンへのエントリーを締め切っている。 就職活動の第一歩とされる夏インターンに、ほとんど参加できないことが確定していた。K桐はその事実に、ただただ愕然とするしかなかった。
結局、K桐が夏に参加できたインターンシップはたったの2社。それもどこの誰でも参加できる、内容のよく分からないつまらないWebセミナーだけだった。
この時点で、 2年生の12月から就職活動を始めたA里と既に圧倒的な差 がついてしまっていた。
【解説】27卒就活生の「サマーインターン前対策」はいつから始めるべきか
一般的に就職活動は3年生のサマーインターンシップからスタートします。夏休み期間に企業が実施する就業体験プログラム、というのがインターンシップの内容ですが、このインターンシップに参加するにあたっての選考が存在します。そのため、 インターンシップ開催直前から就職活動を始めると、その選考にすら参加できない という事態に見舞われます。
多くの企業は3年生4月から3年生6月あたりの時期に選考募集を行います。選考に勝ち抜いてサマーインターンシップに参加するためには、遅くとも3年生の6月までにその選考対策を終わらせなければいけません。
では、サマーインターンシップまでに終わらせなければならない選考対策には何があるのでしょうか。インターンシップの選考フローとともに紹介します。
エントリー/プレエントリー:年内の冬から受付をスタートする企業も
まずはインターンの募集をかけている企業に応募するところから始まります。ですが、多くの企業・業種がある中で全ての企業に出すのは不可能です。そこで、自身の応募する企業を絞る必要が出てきます。
その企業を絞るために、自己分析および業界・企業研究が必須となってきます。 己を知り、企業や業界などの社会を知るところから就職活動はスタート します。その上である程度の目星がつけば、応募先企業の選定が可能になります。
自己分析の進め方は、以下のコラムを参考にするとよいでしょう。
【26卒必見!】就活での自己分析は意味がない?自己分析が必要な理由と進め方
書類選考:進級前の時間があるうちに対策を始めておこう
インターン選考の第一関門が書類選考です。この選考は主に①自己PRやガクチカ(学生時代に力を入れたこと)などの文章作成、②webテストの2つに大別されます。
前者の文章はエントリーシートと呼ばれ、その後の面接における質問材料になります。
後者のwebテストは、その名の通りオンライン上で学力テストを受験するものです。内容としては中学受験レベルですが、時間制限や形式慣れを要するため事前の対策が必須です。企業によってはボーダーと呼ばれる合格点ラインの設定が厳しくされており、 東大京大や早慶の学生でも油断できません。
面接:サマーインターン選考が始まるまでに場数を積むことが重要
書類選考を通過すれば、次は面接です。就活において 面接は最も経験値による差がでる選考フロー となります。面接官の反応や通過数によって「どういった話がウケがよいのか」「自身の説明の仕方が適切か」を把握することが出来るためです。
そのため、早くとも日系大手のインターン選考が集中しだす6月までに、数回面接を経験しておきたいところです。
このように、 サマーインターンシップまでにすべき選考対策は多岐にわたります。 そのため、早くからの準備が必要になります。アリ(A里)は2年生の冬から自己分析や業界・企業分析を行っていたため、その後のインターンシップ選考を順調に突破することが出来ました。
対して、キリギリス(K桐)は夏インターンシップの選考が締め切られた7月から就活を始めたため、選考経験すら詰めず、自身が大幅に遅れを取っていることにすら気づけていません。
後半戦:サマーのその後
A里:早期選考、そして内定へ
多くの夏インターンを駆け抜けたA里に訪れたのは、目まぐるしい量のメールだった。
どれもこれも、夏インターンに参加した企業からのものだった。
中でもA里の気を引いたのは、外資コンサル3社からの早期選考案内だった。
「もう本選考が始まっちゃうのか、気を引き締めないと」
A里は就活サイトで、その外資コンサルの選考体験記を調べ始めた。
その後のA里の就活は、順風満帆そのものだった。早期選考を受けた外資コンサル3社は、綿密な対策が功を奏し、2社から内々定を獲得した。
その後は本来の第一志望であった日系大手金融に絞り、就活を継続。サマー及びウィンターインターン経由で、メガバンクのM銀行と大手証券会社のD証券から内々定を獲得した。
K桐:迷走、そして……
「何がしたいのか、分からん!」
3年生の8月。K桐は大量の募集カレンダーを前に叫んだ。とりあえずで登録した就活サイトに表示される、企業のインターン募集締め切り日を記載したカレンダー。そこには多くの企業が並んでいた。
けれども、K桐は自身のしたいことも、企業のことも分からなかった。明らかに準備不足だった。自己分析や業界・企業研究といった基本すらままならず、とりあえず締め切りが近い企業に応募する。
ただ、そのような付け焼き刃で通用するほど就活は甘くない。自己分析も業界研究も足りなかったK桐は、面接の壁を突破できなかった。面接官達が「それ、ついさっき聞いた志望動機と真逆だけど」と困惑したり「君のやりたい『DX』って結局何なの?」と怪訝な顔をしたりするたびに、K桐の心は擦り減っていった。
いつしかK桐は、好転しない自身の就職活動から逃げ始めた。日に日に減る応募数と、ただただ過ぎていく時間。就活をせずに空いた時間を、飲み会とバイトに費やす日々。
気が付けば、日系大手の本選考応募が締め切られる3月を過ぎ、K桐は4年生に進級していた。
【解説】サマーインターンシップ後の動き方
サマーインターン後、企業は参加者に対して早期選考や選考優遇、特別座談会や人事部社員との面談など「採用に向けての囲い込み」活動に入ります。早い企業であれば、サマーインターン参加者に対して10月には内定出しを行います。
早期選考にて内定を獲得できれば、獲得した企業より 志望順位が高い企業の選考に集中することが出来、その後の就活が非常にやりやすくなります。 このため、夏インターンシップへの参加が重要となるわけです。
対して、サマーインターンに参加できなくてもオータム・ウィンターのインターンシップもあります。
オータムは9月~11月開催、ウィンターは12月~2月開催が主となります。これらインターンシップの参加者にも企業は採用に向けての囲い込み活動を実施します。 サマーに参加できなかった学生は、オータム・ウィンターから自身の就活を修正していきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。就活童話「アリとキリギリス」の例から分かるように、就職活動は早めの動きだしが何よりも肝心です。このコラムを読んだあなたなら、最初の「いつから始める?」「まずなにをしたら?」の答えが分かりますね。
【教訓】
就職活動は今から始める。そしてまずは情報収集から。
外資就活ドットコムには約2100本もの就活コラムがあり、情報収集から始めるのに最適です。
まずは外資就活ドットコムに登録して、情報収集から始めませんか?あなたが次に読むべきコラムはこちら!
【26卒向け】就活を始める前に見ておきたいコラム
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