【第4回】IT×不動産 急成長する「不動産テック」|特集・デジタル時代のためのファーストキャリアナビ
2024/05/30
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昨今、ITはもはや「特別なスキル」ではなく 「あらゆる業界や職業において必要不可欠な存在」 となっています。
本特集では、就活生に人気の業界・企業における、ITの様々な普及事例を紹介して参ります。
第4回であるこの記事のキーワードは、従来はDX化が遅れているとされてきた業界 「不動産」 です。
ビジネスのIT化を進める不動産業界
注目を集める不動産テックとは?
不動産テックとは、不動産×テクノロジーの略称で、英語では「Prop Tech」や「ReTech(Real Estate Tech)」と呼ばれています。
従来の不動産業界の主なコミュニケーションツールは、電話やFAXでした。さらに契約の際には顧客に対して、対面での重要事項の説明や書類の郵送などに手間がかかるため、労働生産性の低さが問題になってきました。
今後、少子高齢化が見込まれる中従来の不動産業界の経営スタイルでは安定した収益をあげることが難しくなっていくと予想されます。そのため、多くの不動産企業がコロナ禍を機にデジタル化に舵(かじ)を切っています。
電子契約サービスのイタンジ(東京・港)などが2022年6~7月に実施した調査によると、 デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいるか、取り組む予定の不動産会社は計7割に達しました。 目的(複数回答)は業務効率化が93%と最も多く、顧客満足度の向上が53%で続きます。
また、2022年5月に改正宅建業法が施行され、 不動産取引の電子契約が解禁された ことも追い風となり、矢野経済研究所は 不動産テック市場が25年度には1兆2461億円と、20年度の2倍に拡大する と予測しています。
不動産契約の際の対面での書面のやり取りを電子化するだけでなく、三井不動産と野村不動産はAIなどの先端技術を活用したビル管理システムを用いて照明や空調、電力の効率を最適化し、省エネルギーな再開発事業を展開しています。
参考:
・不動産の対面・書面を変革 スペースリーは家具配置VR
・野村不動産、日立のビル管理システム採用 芝浦再開発で
・東電系と三井不動産、AIでエネルギー制御 日本橋で(外部サイトに遷移します)
全社員にデジタル教育 急激に進む社員のDX化
不動産業界を取り巻く環境は急ピッチで変化しています。これまでは対面重視のビジネスモデルであったため、不動産業界は他の業界と比べてDX化が遅れているといわれてきました。
しかし、対面での取引が不可能だった新型コロナの流行以降、オンライン面談、VR(仮想現実)内見、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での認知獲得などのほか、業務フローを根本的に変えてBtoBサービスを導入するなど、一気にDXへの取り組みが始まったのです。
今や企業も個人もオンラインで物件探しをする時代になり、現在の不動産業界は大きな変革を迎えています。不動産サービスが大きく変化すれば、当然、不動産会社で行われている業務も、そこで働く人たちも変わらざるを得ません。
そこで、三菱地所グループは22年度、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連に投資額を前年より2割多い300億円を投資することを発表し、グループ全社員約1万人を対象にしたデジタル教育プログラムを始めています。データ分析の手法などを学ぶ約15時間の講座受講を必修としており、高い成果を出した優秀な人材を各事業所で選抜し、データを生かして顧客に効率的な提案をできるようにする狙いです。
不動産サービスのジョーンズラングラサール(JLL)が世界の不動産テックの普及度を調べたところ、日本は22年に28位と低迷しています。 世界的に見ても日本の不動産会社はデータを使ったサービスや事業展開が遅れているからこそ、デジタル人材は不動産業界にとっては高い額を投資してでも獲得したい人材なのです。
参考:三菱地所、全社員のデジタル教育発表 DX投資300億円(外部サイトに遷移します)
「街づくり」を担う多彩な事業
事業拡大に伴い「変化に強い」人材が活躍
オフィス、住宅、商業施設、ホテル、物流施設と様々な用途で不動産事業を行い、エリア全体の街づくりや複合再開発にも関わる不動産業界。
人々の生活に大きなインパクトを与える仕事であり、華やかなイメージも相まって就活生から人気の業界です。事業内容は前述のとおり幅広く、DX化に伴いIT関連の新事業の立ち上げが盛んに行われています。
不動産テックのスタートアップ企業の例として、物件の写真や図面をもとに、最短3時間でインテリアを配置した物件写真を制作する(カラーアンドデコ)、自社開発のIoTエンジンalie+により、各メーカーの住宅設備や同社提供のデバイスをコントロールするスマートホームの提供(アクセルラボ)が挙げられ、不動産テックの国内市場規模は拡大を続けています。
今まさに変革の途上にある不動産業界では、 「変化を楽しめる人」、「どんなときでも事態を前向きに受け止められる人」 が求められています。三井不動産ではコンサル会社から転職した事業会社未経験の人材に、社が運営する商業施設と連動した電子商取引(EC)サイト「&mall」の立ち上げを任せた事例もあり、不動産大手ではいろんな仕事を経験する可能性があります。
三井不動産では、新しい事業の種を見つけることを「井戸を掘る」といい、井戸を掘った人がリスペクトされる文化があるそうです。
常に新しいことに挑戦したい人や、人の暮らしに大きな影響を与える事業に関心のある人は不動産業界が向いているでしょう。
常に新しいことに挑戦したい人や、人の暮らしに大きな影響を与える事業に関心のある人は不動産業界が向いているでしょう。
参考:「三井不動産が変わるかも」とワクワクした。手探りで進めたBtoC事業で得たものとは(外部サイトに遷移します)
華やかさの裏には泥臭さも
新規事業を次々立ち上げ、街づくりを担う華やかな業界イメージに加え、高い給与水準に憧れる学生が多いのではないでしょうか。しかし、業界各社の採用人数は30〜50名程度と非常に少なく、100名以上採用することも多い他業界に比べて狭き門だと言えます。
また、協業パートナーの多い街づくりには、あらゆる人の意見をまとめ上げて調整する合意形成、日ごろから人脈を広げられるよう、週に何回もある飲み会への参加、実地調査や行政協議など泥臭い仕事も求められます。
イメージだけで志望し、入った後のミスマッチに悩むことが無いよう、実際に手がけている施設を見てみたり、OB・OG訪問を活用して企業理解を深めるのが大事です。
三菱地所や野村不動産、東急不動産など多くの会社で「自己アピール動画」が選考に用いられます。これは、 どんな事業計画も関わる人の心を動かし、「この人に任せよう」と思ってもらえる人柄が重要になってくるためです。 突破するためには、動画で自分のキャラクターがきちんと伝わるように対策をする必要があります。
倍率の高さから受けるのは無謀だと諦めてしまう方も多いですが、DX化や事業の拡大で人手不足は続いており、全体の採用数も増加傾向にあります。また、選考フローや面接でのやりとりは案外オーソドックスであることから、入念な準備をすれば選考を突破することも夢ではありません。
実際に外資就活ドットコムに掲載されている三菱地所の選考体験記にも、「面接で印象に残った質問は特にない。どちらかというとオーソドックスでした。」という感想が寄せられています。オーソドックスな質問を通して、自分と他の就活生をしっかりと差別化することが重要です。
自分が志望企業にマッチする人材であるということをアピールできるように、まずはOB・OG訪問やインターンの参加から企業への理解を深めましょう。
参考:人気の総合デベロッパー、華やかさの裏に泥臭い仕事も
就活探偵団(外部サイトに遷移します)
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