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クロスボーダー~外資系若手バンカーの葛藤~ 第十章 透明な一線 前編


前回までのあらすじ〉
外資系投資銀行のドイチェガン証券株式会社IBD部門に新卒で入社した、小川克貴。ロンドンでの研修を終えた克貴に教育系企業・ドリーバのM&A案件が動き始めたという知らせが。克貴は先輩の町田とともにドリーバの事業内容や、これから伸ばすべき分野について話し合う。

〈著者Profile〉
ショー・ターライ
国立大学を卒業後、外資系投資銀行に入社。退職後は起業家として活躍している。
▶Twitter:@ShowTurai_Novel

 
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注:この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

第十章 透明な一線 前編

町田さんが見せてくれた資料は、ドリーバがここ数年力を入れている既存事業を発展させた新領域が、リカレント教育だと示していた。

リカレント教育というのは、社会人になってからの学び直しのことだ。

仕事に生かせるスキルや知識、考え方について社会人になってから再度教育を受けるのだ。

昔からある似た言葉に、生涯学習がある。生涯学習も学び直しだが、趣味やボランティアなど仕事以外の生きがいの充実が主な意味だ。

元々、リカレント教育は一度社会人になってから、大学院に入るといったように仕事から学びの場に戻りまた仕事をするなど、仕事と教育を繰り返すことを指していたが、昨今では働きながら勉強をすることも指している。

例えば社会保険労務士のような資格や、英語などの語学、プログラミングなどのITスキルからパワーポイントでの効果的なプレゼン方法、エクセルのショートカットキー活用法といったシンプルなものまで、仕事上で役立つことを学び、スキルアップを図るのである。

「ドリーバがここ数年力を入れているリカレント教育ですが、新しい概念だからか順調に伸びていますね」と克貴は、町田さんが広げたマッピング図を見ながら言った。

「リカレント教育というのは既存概念の焼き直しにすぎない。社会人教育というのは昔からあった。法人向けの研修も、個人向けのスキルアップも何十年も前からある」

「じゃああまり筋が良くないってことなんでしょうか」

「いいや、言葉が変わるタイミングはパーセプションが変わるんだ」

「パーセプションですか?」直訳すると知覚という意味だが……。

「ビジネスでは顧客や世間の持っているサービスへの認識という意味だ」

「なるほど」と克貴は相づちを打った。

「要するに言葉に対する意味合いが変わるのさ。例えば昔は、法人向けの研修は会社が強制するもので、社員はいやいややるものというイメージがあっただろう。また個人向けのスキルアップはごく一部の意欲の高い人だけが必死にやるものだと思われていた」

「ということは、今はごく一部ではない多くの人が積極的にやるもの、みたいな認識になりつつあるということですかね?」と克貴が要点をまとめるように言うと、町田さんは克貴の目を見てうなずいた。

「過渡期ではあるが、確実に一般に広がりつつあるだろう。一般人がオンラインで勉強をするようになった時代の流れに乗れたといえるな」

「EdTech(エドテック)ともつながってきますね」

「社会人向けの教育コンテンツに関してドリーバは長年培ってきたものがある。MBAで学ぶようなビジネスナレッジや職種別に役立つビジネススキルとかだな。コンテンツをIT化したあとは、売上拡大を狙う段階に入る」

「堅調に顧客を増やしているとはいえ、売上拡大が一番難しいですもんね。競合他社も増えてきていますし」

「じゃあ売上拡大のために必要なことはなんだと思う?」と町田さんは克貴を試すように言った。にこにことしながらも目の奥は笑っていないように克貴は思えた。

「就活以来のケース面接っぽいですね。売上は、数量かける単価で構成されます。数量はここでは顧客数です。教育コンテンツにおいて似たような会社も出てきている中、単価を上げることは悪手な気がします。単価を上げてしまうと顧客数が減ってしまうと思うからです。それにスキル系に関しては、学ぶものが決まっている以上、個別コンテンツそのものに関しては大きな差はなく、一つ一つの値段も一定の幅に収まると思います」

「価格弾力性(※1)が高いというわけだ」

「はい、なので値上げは現実的ではないと思います。あるとしたら、毎月学び放題というサブスクリプション型か、個々で売るのではなくセット売りにするといったパッケージ型でまとめ売りをするくらいだと思います」

「それで?」

「ただしこれらのビジネスに変えるのは難しいでしょう。現状で、学び放題のサブスクリプション型、セット売りのパッケージ型には強い競合他社があり、ポジションを取られてしまっています。現状では個別売りのポジションを伸ばしていくことがベターではないかと思います」

「なぜベターだと?」

と町田さんは畳みかける。

「元々、コンテンツのノウハウがあるため、王道の内容からニッチな内容まで幅広くカバーすることができるからです。現状ではまだコンテンツは多くありませんが、コンテンツ生成には一日の長があるでしょう。セットで色を出したり、サブスクリプション型のように学び放題で薄くターゲットを取ったりするよりも、特定のスキルを学びたい人のために1回きりの講座をたくさんつくった方が大勢に刺さると考えるからです」

「単価が伸ばしにくいという前提はいいとして、じゃあどうやって顧客数を増やしていく?」

「顧客数は先ほど言ったように、多品種を幅広く取ることで、多くの人の興味をカバーでき、ニーズをつかめると思います」

「本当につかめると思うか? 本当に購買するまでに至ると思うか?」

「えっと、それはよいコンテンツがあれば買う人もいるのではないでしょうか……」と克貴は完璧な答えではないと自覚しつつも、何を見落としているかわからず不安な心持ちになった。

「それは学生がやる“ケースもどき”だよ。思考訓練や、テストとしては役に立つが、ほぼ机上の空論というか妄想でしかないさ」

「すみません」

「謝ることはない。だが、欲しがりそうというのと、本当に買うかどうかには小学生と大人くらい大きな隔たりがある。例えば克貴が今まで興味を持った分野の勉強を全てしているわけじゃないだろう?」

「たしかに、興味はあっても図書館の本さえ手に取らないことだってありますからね」

「昔ながらの購買決定プロセスのフレームワークであるAIDMAでいえば、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)というように、関心を持っても欲求につながり、記憶が継続し、行動に至らなければ購買までいかない」

「興味があるコンテンツをそろえれば売り上げになるだろうと安易に考えていました。見立てが甘かったです」と克貴は苦虫をかみつぶしたような顔になった。

「だが良い線はいっている。克貴が話していた考え方は、ロングテール戦略という。Amazonが代表的で、特定の人気商品に頼るのではなく、その他多くのニッチな商品の販売量を積み重ねることで、全体の売上向上を図る戦略のことだ」

すると町田さんはB4の大きなメモ用紙に、ささっと指数関数のようなライン図を描いた。
※1 価格弾力性 価格の変動によって、ある製品の需要や供給がどのくらい変化するかを示した数値

第十章 透明な一線 後編につづく。2022/10/28更新予定です)


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