外資就活の相談室は、外資系やトップクラスの日本企業を目指す学生向けの就職活動支援プラットフォームです。あなたの悩みを業界の先輩が回答してくれます。

京大工学部の学生です。質問をさせてください。
仮に、研究室に配属された4回生が、「修士以降は別の研究室(しかも他大学・他学部ではなく同専攻内の研究室)に移る予定で、自分の視野を広げるため、あるいは、この研究室の課題に取り組むことで獲得できる何らかのスキルを獲得するために、卒論をこの研究室で書くことにしました。」と言ったとします。
この場合、研究室の先生方はどういう印象を持たれるのでしょうか。
可能であれば、アカデミアにおける一般論と加納先生のお考えの両方をお聞きしたいです。
また、加納先生の研究室に上記のような4回生が配属された場合と、加納先生の研究室が、その4回生の修士からの希望の研究室だった場合の両方について、先生のお考えを知りたいです。
長文になり、申し訳ありません。よろしくお願い致します。

この質問への回答 1

相談室回答者

学生時代から30年以上京都大学に在籍しています.2018年に共同創業者として大学発ベンチャー企業を立ち上げました.

正直なところ,何が一般的かが私には分からないのですが,2つの考え方(感じ方)があると思います.

1つは,学部4回生から大学院にかけて同じ研究室で同じ研究テーマに取り組んでもらいたいというものです.国際会議での発表やジャーナルへの論文投稿をするほどの研究成果を出すとなると,卒業研究で取り組んだ研究に大学院でも取り組むのが有利です.また,ゼロから教える/勉強するのは大変なので,教育コストの観点からも,同じテーマに取り組んでもらう/取り組むのがいいわけです.このような考え方は合理的だと思います.質問は教員が受ける印象あるいは感じ方ですが,この第1の考え方を強く持っている教員であっても,研究室を移るのは学生の自由であって好きにすればいいと思っている教員と,それを露骨に嫌悪する教員がいると想像します.

もう1つは,在学中に様々な経験を積むのがよいので,学部と大学院では積極的に研究室を変わるのがいいという考え方です.私が在学した化学工学専攻はこのスタイルで,博士後期課程への進学を宣言しない限り,全員,大学院進学時に研究室を変わることが義務づけられていました.今はなくなりましたが,素晴らしい規則だったと思います.このような規則を採用している教員は,専攻内で研究室を変わることは良いことだと思っているわけです.私は,4回生では実験中心の研究室に所属し,大学院では計算中心の研究室に所属し,まったく異なる研究スタイルを経験することができました.今振り返っても,とても良かったと思っています.

というわけですので,私は自分の経験を踏まえて,研究室を変えるメリットを学生に伝えています.同じ研究室に進学する場合でも,研究テーマを変えるといいとも伝えています.それでも,研究室を変える学生はほとんどいません.このため,「上記のような4回生が配属された場合」には,新天地でもっと伸びてくれることを祈りつつ送り出します.他方,「その4回生の修士からの希望の研究室だった場合」は歓迎します.実は,私の研究室の場合,学部4回生の定員よりも大学院の定員の方が多いため,毎年,他学部や他大学からの進学者がいます.そういう学生は,内部進学する学生とは異なるバックグラウンドを持っているため,研究室にとって良い刺激をもたらしてくれます.

なお,ここで明確に伝えておきたいのは,自分が進みたい道に進めということです.盆暗かもしれない教員の機嫌を伺って自分の進路を決める必要などありません.

ちなみに,大学院進学に際して考えてみてもらいたいことを,以下の記事に書きました.参考になるところがあれば,取り入れてみて下さい.

大学院入試に向けた活動指針 ー 他大学も視野に
https://note.com/dr_kano/n/n3c4df9f9cab2

回答日:2020/09/04

header description

会員限定コンテンツ多数!