【就活の逆説 第9回】OB訪問30人の学生が、3人で終えた学生に負ける──AI時代、リアルな接点の価値は「量」から変わった

【就活の逆説 第9回】OB訪問30人の学生が、3人で終えた学生に負ける──AI時代、リアルな接点の価値は「量」から変わった

2026/09/02

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eyecatch

大手デベロッパーで働く社会人1年目です。就活の「直感に反する現象」を採用側の論理から解剖する連載、第9回です。

OB訪問には、古くからの信仰があります。「会った人数が、志望度と情報量の証明になる」。実際、選考期になると「もう30人会いました」という学生が現れ、周囲を焦らせます。ところが結果を見ると、30人型が3人型に負ける場面が、珍しくありません。しかもこの逆転は、AIが就活に浸透した今、むしろ加速しています。今回は、訪問の「量の信仰」がなぜ崩れたのかを、受ける側の視点も交えて解剖します。

📌 この記事の要点(30秒サマリー)
・OB訪問30人の学生が、3人で終えた学生に負ける
・その背景・理由:AI時代、リアルな接点の価値は「量」から変わった

30人会った彼と、3人で終えた彼女

就活仲間に、対照的な二人がいました。

一人は、訪問数の鬼でした。手帳には社員の名前がびっしり並び、同じ会社だけで十数人。「ここまでやってる学生はいない」というのが彼の自信の源で、実際、その熱量は本物でした。もう一人は、同じ業界を志望しながら、訪問は数人で切り上げていました。「聞きたいことが聞けたから、もういいかなって」。当時の私は、正直、彼のほうが受かると思っていました。

結果は逆でした。本命群の内定を取ったのは彼女で、彼は面接のたびに「志望度は伝わるんだけどね」という煮え切らないフィードバックをもらい続けました。

念のため書いておくと、彼の30人が無駄だったわけではありません。業界の全体像の把握や、場慣れという意味では、確実に彼の血肉になっていたはずです。問題は、その30人分の蓄積が、面接で換金できる形になっていなかったことでした。

彼の面接での訪問トークを、模擬面接で聞いたことがあります。「御社の社員の方々十数名にお会いし、皆さまが口を揃えて仰るのが、風通しの良さと挑戦を後押しする文化で──」。噓ではありません。でも、聞いていて気づきました。十数人分の話が、綺麗に平均化されて、誰の顔も見えない一般論に溶けている。皮肉なことに、それは会社案内に書いてある文言と、ほぼ同じでした。

「量は無駄」ではない。価値の置き場所が変わっただけ

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