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大手デベロッパーで働く社会人1年目です。就活の「直感に反する現象」を採用側の論理から解剖する連載、第13回です。
就活指導の定番に、「早く軸を決めて、業界を絞れ」があります。あれこれ手を出すな、一点集中こそ本気の証。もっともらしい教えです。ところが現実の選考では、奇妙な逆転が起きます。最初から一業界に絞った学生の志望動機が浅く、複数の業界を渡り歩いた学生の志望動機が深い。絞った本人が一番驚くこの現象を、今回は解剖します。
・業界を絞った学生の志望動機が、5業界見た学生より浅い
・その背景・理由:「軸を絞れ」という指導の副作用
📖 シリーズ目次(全20回)はこちら
◀ 前回:第12回 「売り手市場」を信じた学生から、脱落していく
▶ 次回:第14回 「ゆるい会社」を選んだ友人が、激務の友人より先に辞めそうにな
一途な彼の志望動機が、面接で崩れた瞬間
就活仲間に、最初からデベロッパー一筋の男がいました。原体験も明確で、地元の再開発への思い入れを、熱く語れる。業界研究もその一点に集中投下し、「浮気せずに掘り下げた深さでは負けない」というのが彼の自負でした。実際、志望動機の熱量は、仲間内でも群を抜いていました。
彼が崩れたのは、面接のある一言でした。「熱意はよく分かった。ちなみに、街に関わる仕事なら、ゼネコンでも、鉄道でも、商社の都市開発でも、行政でもできるよね。なんで、うちの業態なの?」
彼は、答えられませんでした。比べたことが、なかったからです。彼の「デベロッパーがいい」は、正確には「街づくりがいい」であり、街づくりに関わる無数の立ち位置の中から、なぜその業態を選ぶのかという比較の作業を、一途さゆえに、一度もしていなかった。熱意の火力は本物なのに、狙いの精度を問われた瞬間、動機は輪郭を失いました。
一方、商社もデベロッパーも広告も見て回った私は、同じ質問に答えられました。優劣ではありません。私はその比較を、嫌でもやらされていたからです。皮肉なことに、志望動機の深さを決めていたのは、思いの強さではなく、捨てた選択肢の数でした。
彼の名誉のために添えると、原体験の強さと掘り下げの深さは、面接の前半では確かに武器でした。序盤の面接官たちは、彼の熱に好感を持っていたはずです。ただ、選考が進んで質問の精度が上がるほど、熱では答えられない種類の問いが増えていく。彼はいわば、火力だけで精密射撃の的に挑んでいたのです。
「なぜ、うち」は、実は「なぜ、他ではないのか」という質問
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