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外資系投資銀行リストラの実情|現役I-bankerが語る業界事情(2)

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外銀のリストラはどこまでが本当?

外資系金融といえば高給な仕事として知られておりますが、リストラが多いということでも有名です。

一般的にアメリカの雇用慣習としては、”Employment-at-will”という観念のもと、解雇・離職が自由にできる環境となっているので、米国流雇用が日本でも適用されている状態であるともいえます。(とはいえ本国アメリカでも訴訟リスクや人材流出リスクを恐れ、クビには慎重な企業も多いです)

実態はどうなっているのでしょうか。現役I-bankerが語る業界事情第2弾、お楽しみ下さい。

前コラムはこちら↓
平均年収3000万円?!外資系投資銀行で働くバンカーの給与|現役I-bankerが語る業界事情(1)

人件費は変動費?!リストラをする背景

外資系金融機関を語る上で避けて通れないのが、リストラです。

端的にいって、外資系と日系の最も大きな違いは、「最終的な人事決定権が日本法人社長にあるのか、本社(米英独などの)経営陣にあるか」という点にあります。

すなわち、採用に際して「何人採用/解雇するのか(ヘッドカウント)」は、現地法人限りでは決定できません。

上記の理由から、面接の際には、「正式なオファーレター(雇用契約書)はニューヨークの人事部が作成するので一週間かかる」とか、「アナリスト/アソシエイトは東京限りで採用できるが、バイスプレジデント以上は海外チームや本国の上長(ラインマネージャー)との面接が必要」といったことがしばしば聞かれます。

外資系金融機関の経費は、平時で売上高の40-60%が人件費です。

例えばゴールドマン・サックスはリーマン・ショック前までは、売上高の約45%を従業員報酬として計上する、という明確な経営指標がありました(足許では圧縮傾向にあります)。

製造業と異なり工場や流通・倉庫への投資を必要とせず、電話とPCがあればビジネスができる金融機関にとって、付加価値の源泉は優秀な人材です。

収益を稼ぐ優秀な人材を確保し流出を防ぐためには、相当の対価を払い続ける必要があり、最大のコストが人件費となっています。

業況の良い時は人件費が40%程度で収まるものの、仮に売上が半減すると途端に人件費比率はいっきに80%へ跳ね上がります。

そして翌年度に売上を回復できる見込みがない場合は、経営合理化のために、最大の経費である人件費(ボーナス削減・基本給カット)を行う必要がでてきます。

ただし単純にボーナスや基本給を一律カットしてしまうと、収益を上げているバンカー/セールス/トレーダーなどは処遇に不満を抱き、他社に引き抜かれてしまう恐れがあります。

そこで経営陣は、全体の従業員の人数を削減することで人件費を圧縮しつつ、稼いでいるバンカーらへの報酬は維持しようと努めます。

また海外上場会社の場合、CEO/COOなど本国経営幹部に対して株主から強力なプレッシャーがかかっており、同業他社との業績比較などを受けて、四半期で株主から締め付けられるため、株価上昇のためには赤字回避必須、より即効性のある経費削減策を示す必要に迫られているという背景もあります。

アナリストからMD・日本法人代表までリストラ対象

では誰がリストラの対象となるのでしょうか。

まずリストラ(lay-off)の対象となるのが、不採算部門や人事評価の低い従業員です。

管理会計上はバックオフィス(コストセンター)と考えられるIT部門や業務部門、投資調査部門(リサーチ)から始まり、フロントオフィスにおいては予算達成度の低いセールスや案件落とし気味のバンカーなどが対象となります。

職級(タイトル)でいえば、契約社員から日本法人社長(=現地法人の雇われ社長)に至るまで、業況や各人のパフォーマンス評価により、リストラの対象となります。

バイスプレジデント以上であれば1人5本(US $5mn)以上は稼ぐ、といった数値目標(ノルマ)があり、会社への貢献度の測定は明確ですし、またそもそも数値目標を持っていないアナリスト/アソシエイトも削減目標達成のためリストラ対象となります。

リストラの目標人数については本国経営陣の専決事項であり、足許の収益状況、今後の事業環境の見通しなどを各国各部門のヘッドとの会議を重ねて決定します。

本国人事部で年次人事評価や収益貢献度を考慮しながら「具体的なリストラ対象者リスト」を送付してくることもあれば、「東京の投資銀行本部で2024年6月までにヘッドカウントを35削減。解雇対象者の選定は東京における投資銀行本部長に一任する」といった通達が出されることもあります。

この場合は、アナリストを1、アソシエイトを2、バイスプレジデントを4、マネージングディレクターを6とカウントするといった社内基準に則って、対象者が選定されます。

またそもそも不採算部門自体の閉鎖や、日本における投資銀行業務の30%縮小、バックオフィスの3年以内のシンガポール移転、といった戦略的な決定がなされることもあります。

近年の2022年度の案件停滞などの影響で、大手投資銀行のモルガン・スタンレー、ゴールドマンサックス、バンク・オブ・アメリカなどは数千人規模のリストラを実行しておりコスト削減を進めていまいます。

リストラは10-12月の金曜日か木曜日に行われる

「予算達成が不可能であることが明らかになった四半期の翌月以降」に行われるのが一般的です。

例えば1-9月期の時点での予算達成状況30%で、10-12月期の残り3ヶ月間での予算達成はまず絶望的な状況となると、「いかに収益を上げるか」から「赤字回避のためのコスト合理化策(人員の合理化を含む)」に経営陣の焦点がシフトしてきて社内に不穏な空気が漂い始めます。

この場合、1~2月のボーナス支払い日より前にリストラを実施したいので、10-12月のどこかでいわゆるエックスデー(リストラ実施日)がやってくることになります。

東京における投資銀行本部長は、人員削減を迫る本国経営陣に対して「東京の数字が今期未達なのは構造的なものではなく、東日本大震災によるリスクテイク後退による一過性のもので・・・」とか「来年度以降の市況改善や収益見通しは非常に明るく、東京は現状の事業規模(従業員数)を維持すべき。具体的にはXXといった大型上場案件の主幹事のマンデートや、大手通信会社の米国企業買収案件のエグジットが予定されており・・・」といった説得によりプッシュバックに尽力する訳ですが、本国経営陣が納得しないと、前項で述べたような人員削減決定がなされます。

本国により正式な人員削減通知が下りてくると、もはや東京の現地雇われ社長や投資銀行本部長レベルでは押し戻しが難しい状況となります。

またBloombergやWall Street Journal紙、英FT、スイスのゾンターク紙などで、「XX銀行では近々、人員削減が実施される見込み」といったリーク報道が繰り返し報道され、現地従業員は戦々恐々とし、現場の雰囲気は最悪なものとなります。

なおリストラ実施日には特徴があり、金曜日や木曜日に通知される傾向が多いようです。

真偽は定かではありませんが、金曜日の根拠は「リストラ通知日は、残された社員の士気も下がって仕事にならないので、土日を挟んで気分転換して翌週からの勤務に備えてもらう」とか、木曜日通知は「金曜日にリストラを通知すると自殺率が高いという研究があり木曜日としている」など、各社の人事部ごとのしきたりがあるようです。

人事部から呼ばれたら、会議を経て、そのまま帰宅

人事部同席の下で、部門長からリストラ通知がされることが一般的であるので、現場社員は、部門長のスケジュールを見て、「X月X日(木)は外出一切なくて、6時間会議ブロックされていて怪しい」とか、「X月X日(金)は来賓用会議室が人事部にブロックされていて怪しい」などと噂します。

リストラ当日は、リストラ対象者がデスクにいる時に、来賓用会議室にいる部門長から、電話やメールで「ちょっと今、XX会議室に来てもらえますか?」といった連絡が来て、1人ずつ通知がなされていきます。

通知を受けた者は、腹を立ててその場で帰ってしまう人もいれば、”This is my last day…”といったお別れメールを送って帰っていく人、何食わぬ顔でそのまま席に戻って業務を続け普通に退社していく人もいます。

通常、リストラ通知を受けた日が「最終出社日」となる訳ですが、リストラ通知と同時に、その場で社員証やブラックベリー、名刺を回収してIDをロックしてしまう会社もあります。

なおここでは詳述しませんが、日本労働法における解雇の要件はハードルが高いため、外資におけるリストラは法的には「整理解雇の四要件」を満たしていないことがほとんどで、いわゆる「会社都合のリストラ」ではなく、「個人都合での合意退職」という形態を取ります。

リストラ通知の席では、部門長から、「昨今の厳しい経営状況を考慮して、東京の我が部門でも再び人員削減を実施しなければならなくなった。そして今回、君が対象となってしまった。私も本国と果敢に戦ったが守りきれず申し訳ない。対象となったので在職し続けてもボーナスは支給されない。」といった説明があり、続いて人事部から「本日から3-6ヶ月分の基本給は払うので、次の就職先を探して下さい。その間の各種保険や各種保険・年金は通常通り利用できます。現時点での退職金算定額はX円です」という説明を受け、金銭支払いに合意の下、退職合意書にサインする、といった流れです。

ボラティリティの高さを理解してから入社しよう

外資系金融機関では日常茶飯事的に行われるリストラですが、新卒で最初にお世話になった先輩方がリストラされていく光景を目の当たりにした時は、衝撃を受けたものでした。

しかしながら何度も経験するうちに慣れて、身近なものと感じられるようになってきます。

小説『巨大投資銀行』(黒木亮, 2006年)『ライアーズ・ポーカー』(マイケル・ルイス, 1990年)など投資銀行を舞台にした作品で描かれている「リストラ通知当日の様子」も、2013年現在とほぼ同様であり、少なくとも20年以上前から反復的に同様のリストラが実施されてきたということがわかります。

ゴールドマン・サックスのように従業員の新陳代謝を目的として、「年次人事評価で下から3%を毎年解雇していく」というポリシーを持った会社もありますが、それ以上に証券業界は構造的に収益のぶれ(ボラティリティ)が大きく、翌年度以降の業績を見極めながら、経費をうまくコントロールしていくことが非常に難しい業界であります。

例えば野村ホールディングスなどの国内証券会社であっても、決算短信には「当社は各国の資本市場において多角的に投資金融サービス業を展開しており、また当該市場には経済情勢、相場環境等に起因するさまざまな不確実性が存在しております。このため当社は、業績予想の記載は行っておりません。」と記載していることは広く知られています。

新卒であれば、自身が配属された部門の収益状況を理解した上で、「外資系金融では、人件費は固定費ではなく変動費」、「この業界は非常にボラティリティが高い」という割り切りを持つことが必要です。

業績が良い時は存分に稼いで、業績が悪い時はふるい落とせないよう組織にしがみ付く「握力」、またはボーナスを払えない会社を見切って他社に移る能力が試されます。

リストラは覚悟して臨む

いかがでしたでしょうか。なかなか壮絶なリストラ事情、ご理解頂けたかと思います。

次回はリストラにあった方、または自ら辞めた方がどこに転職していったのかなど、投資銀行マンのネクストステップについてまとめていきます。

次回記事はこちら→外資金融で働く投資銀行マンの転職事情|現役I-bankerが語る業界事情(3)

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