私たちが毎日口にしている食品を製造している食品メーカー。お菓子やアイス、飲料水、アルコールなど、馴染みのある商品の企画や研究開発に携わりたいと考えている学生の方も多いのではないでしょうか?
企業・商品ともに知名度が高く、人気の高さから就職が難しいと言われている食品メーカーですが、この記事では、食品業界の現状と今後の動向、業界の仕組みや仕事内容、採用難易度、就職対策、企業評価ランキングについて解説しています。
食品メーカーは、国内メーカーだけでなく外資メーカーの評価も高いので、就職を志望している方は業界研究や就職対策としてぜひ参考にしてください。
目次
食品メーカーとは?業界の現状と仕組みについて
食品メーカーは、私たちが毎日口にしている食品を製造し、販売する企業のことを指します。下表に代表的な企業を記載していますが、どの企業も一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
順位 | 企業名 |
---|---|
加工食品 | 明治、日清食品、森永製菓、ネスレ日本、グリコ、ロッテなど |
食品原料 | 日本ハム食品、味の素、日清オイリオ、ニチレイなど |
飲料・嗜好品 | サントリー、アサヒ飲料、サッポロビール、キリンホールディングス、日本コカ・コーラ、ユニリーバ、日本たばこ産業(JT)など |
そんな食品業界は、菓子・乾燥麺・冷凍食品・乳製品等・調味料などの「加工食品」をはじめ、水産品、食肉製品や小麦粉などの「食品原料」、清涼飲料水・アルコール・たばこなどの「飲料・嗜好品」に分類されます。
製品例を見ても分かる通り、日々の生活の中で手に取る商品を扱っているだけに、各企業の知名度は高いです。就職活動に関しても、食品メーカーへの就職志望者は多い傾向にあり、特に研究職や開発職を志望する理系学生からの人気が高い傾向にあります。
食品業界の現状と今後の動向
食品は生活する上で欠かすことができないため、業績が大きく変動する可能性は低いイメージがありますが実際のところはどうなのでしょうか。
結論、日本の食品市場は減少傾向にあり、世界全体では成長傾向にあります。この傾向の要因は、市場の人口増減が大きく関係しています。単純に考えて、食品を口にする人口が増えれば市場規模も大きくなり、人口が減ると市場規模も小さくなるというわけです。
総務省のデータによると、日本の人口は2011年頃から減少し続けており、10年連続で減少していることから、日本の食品市場は減少傾向にあるといえます。一方で、世界の人口は増加し続けており、国連は2050年に世界の人口が97億人になるという予測を発表していることから世界全体の食品市場は成長傾向にあるといえます。
今後は、食品メーカーが、人口が増加している国へ進出していくことがカギとなるでしょう。特に人口の増加が著しいインドや中国ASEAN諸国への注目が高まっています。
出典:総務省統計局「 人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)結果の要約」
国際連合広報センター「世界人口は2022年11月15日に80億人に達する見込み」
食品業界の仕組み
先ほど解説した「加工食品」「飲料・嗜好品」に分類される食品メーカーでは、第一次産業や商社から原料を調達し、加工して小売業者もしくは消費者に販売するという形態をとっています。
一方で「食品原料」に分類されるメーカーでは、原料を食品メーカーもしくは小売業者、消費者に販売する形態をとっています。
食品メーカーが製造している食品を私たちは直接手に取り購入できるため、食品業界はBtoCのビジネスモデルだと思われがちですが、BtoBのビジネスモデルであるケースが多いです。特に「食品原料」に分類されるメーカーは、食品メーカーが顧客となるケースが多いのでBtoB色が強いといえます。
食品メーカーでの仕事内容
食品メーカーでは様々な部署が連携し、商品企画→製造→出荷(販売)までを行います。
職種 | 仕事内容 |
---|---|
商品企画 | 市場のニーズ調査や分析を行い、顧客や消費者の要望なども加味しながら新商品の開発や既存商品の改良を企画する。 |
研究開発 | 既存技術をより高度なものへ進展させるため、企業の新規分野・新製品に活かすための技術研究を行う。 |
製造 | 工場で製品の加工・組立や、製造機械のメンテナンスなどを行う。 |
生産管理 | 製品の品質を保つために、製造現場の人、時間、コストを管理・コントロールする。 |
資材調達 | 製品を製造するのに必要な原材料や素材を国内外から調達する。 |
営業 | 製品を、新規/既存取引先企業や商社、小売店などに提案、販売する。 |
広報 | 企業の経営戦略に則りながら、企業や製品のPR活動を行う。 |
総務 | 来客対応、オフィスの備品や建物の管理、社内行事の企画運営、防災防犯対策など企業全体に関する業務を幅広く対応する。 |
経理 | 利益、資産、経費など企業のお金の流れを正確に管理する。製造業においては、原価計算(工業簿記)が必要とされる場合もある。 |
実際の採用においては、研究開発や製造に関わる部署(研究開発・製造・生産管理・原料調達)では理系出身者が活躍し、それ以外(営業・マーケティング・総務・経理)では文系出身者が若干大きい割合を占める傾向にあります。
特に研究開発は、より専門的な知識や高度な技術、論理的思考能力が必要とされるため、理系出身者が多く活躍している職種です。
また理系専門職だけではなく、マーケティング(商品を世に広める・PRする)、ファイナンス(企業のお金の流れを正確に管理する)、コーポレート(従業員のマネジメント・職場環境の改善)などの職種も各社で新卒採用を行っています。
そして、一概に理系職/文系職と言えないのが商品企画の仕事です。理系/文系問わずというよりは、両者の知識・経験・アイデアが必要な職種と言えます。文系出身者が経済動向や市場ニーズを調査したうえで考えた企画を、理系出身者がいかにコストを抑えながら商品化できるかを検討するといった具合に、両者の強みを上手く組み合わせながら仕事を進めていきます。
「日清のカップヌードルが好きすぎて、私も世界中の人に愛されるカップ麺を作りたい」「毎晩アサヒのビールを飲んでいて、究極の一杯となり得るビールを世に出してみたい」
などの理由で商品企画を志望する人も多いと思いますが、新卒入社で商品企画に携わるということは少なく、ある程度の経験・実績を積んだ人材が抜擢される形で配属されることが多いようです。
食品メーカーへの就職は難しい?難易度と採用倍率について
特に大手食品メーカーの就職難易度は高いといえます。企業と商品ともに知名度が高く、就職を志望する学生が多いのが理由です。
東洋経済新報社が運用するシキホー!Mineのデータによると、大手食品メーカーの採用倍率は約150~300倍であることから、就職難易度は非常に高いことが分かります。
理系の場合、研究開発や総合技術職ではより専門的な知識や高度な技術、論理的思考能力が求められ、選考の過程においても厳しくチェックされます。文系の場合は、応募者数の数が極端に多いが採用枠は少ないという傾向があり、年度によっては事務系総合職の採用倍率が約2,700倍になる企業もあるほどです。
また、サンデー毎日が調査した大手メーカーの採用大学実績を見てみると、大手食品メーカーで採用実績のある大学は慶應義塾大学、早稲田大学、京都大学、東北大学、大阪大学、九州大学、明治大学など高学歴の大学が多いです。高学歴の大学でなければ採用されないというわけではありませんが、多くの応募者の中から優秀な人材を採用しようとした結果、このような傾向が現れているようです。理系では農学部や工学部などの採用が多い傾向にあります。
出典:シキホー!Mine「倍率が高い100社」
参考:サンデー毎日 2022/9/4号
食品メーカーに就職するための対策
就職難易度が高い食品メーカーですが、私には無理かもと諦めるのはもったいないです。対策をしておけば内定への道が開けますので、以下の内容を参考にしっかりと準備をして選考に臨むようにしましょう。
ES(エントリーシート)
食品メーカーのES(エントリーシート)は以下の構成の場合が多いです。
・学生時代経験したこと、頑張ったこと
・自身の強み
・この会社を選んだ理由
・この会社に入って挑戦したいこと
学生時代に経験したこと・頑張ったことについては、理系の場合は研究室での研究内容、文系の場合はゼミでの研究内容を選ぶ学生が多いです。留学やアルバイトなど他のエピソードを用いる際には「自分がどのような取り組みをして、その結果どのような成果が出たか」をロジカルかつ簡潔にまとめることを心掛けましょう。
「この会社を選んだ理由」や「この会社に入って挑戦したいこと」は、志望動機にあたります。ただ単純に「貴社の商品が好きだから」だけで押し切るのではなく「同業他社ではなくなぜこの会社を選んだのか」「食を通してどのようなことに挑戦したいのか・世の中にどのように貢献できるのか」を具体的に書くのがポイントです。そのためには、企業の事業内容、同業他社、求める人物像、仕事内容を研究し理解することが重要です。
いずれにしても、実際のESを見て見る方がイメージが湧きやすいと思います。
外資就活ドットコムでは、大手食品メーカー(外資/日系)の選考で内定もしくは最終面接まで進んだ人の実際のESを閲覧することができます。以下のページで企業名を検索し、ESの内容、各企業特有の設問、選考フローなどを見てみてください。
資格・スキル
食品関連の資格には、「フードアナリスト」「食品表示検定」「危険物取扱者」などがありますが、選考時に特別有利になることはないようです。業務上必要であれば基本的に就職後に取得することが多いです。
この記事でも解説しましたが、業界の動向として人口の増加が著しいインドや中国ASEAN諸国への注目が高まっていますので、英語(TOEICスコア)は有利になる可能性が高いです。特に外資食品メーカーにおいては英語で意思疎通できることがマストになりますので、外資食品メーカーを志望している人やグローバルに活躍したいと考えている人は英語スキルを身に付けておきましょう。
食品メーカーの企業評価ランキング
以下はOpenworkの独自の調査による「食品メーカーの待遇面、風通しのよさ、成長環境、人材育成、人事評価の適性」などの評価をもとに作成したランキングです。
出典:openwork「食品、飲料業界の総合評価ランキング」
順位 | 企業名 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | サントリーホールディングス | 747万円 |
2位 | 味の素 | 923万円 |
3位 | マースジャパンリミテッド | 870万円 |
4位 | キリンホールディングス | 702万円 |
5位 | アサヒビール | 770万円 |
6位 | LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン | 821万円 |
7位 | 日本たばこ産業(JT) | 734万円 |
8位 | カゴメ | 684万円 |
9位 | ネスレ日本 | 632万円 |
10位 | 森永製菓 | 548万円 |
サントリーや味の素などの著名な国内食品メーカーに限らず、マースジャパンリミテッドやネスレなどの外資食品メーカーを検討するのも一つの手です。
就職後の働きやすさや年収、キャリアアップのことを考え、こういった情報も参考にして就職先を決めるようにしましょう。
ここまで、食品メーカー業界の仕組み、現状と今後の動向、仕事内容、採用難易度、選考就職対策ついて解説してきました。世界全体の食品市場は成長傾向にあり、人口増加が著しい国への進出がカギとなってくることから、グローバル人材の活躍が予想されます。
グローバルに活躍したいと考える人にとっては、国内の食品メーカーだけでなく、外資食品メーカーも検討することで選択肢の幅が広がるでしょう。
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