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マーケ職採用で課される「ジョブ選考」とは?
こんにちは、外資就活 外資メーカーチームです。
外資メーカーのマーケターはコンサルタントやバンカー同様、若手時代から高い専門性を身につける事のできるプロフェッショナル職として就活生から高い人気を集めています。そのため選考のレベルが非常に高く、一部企業では戦略コンサル同様に選考ステップの一環としてグループワーク形式のジョブを実施しています。
ジョブ採用を実施している企業の一例
また、日系メーカーのマーケ職採用においても、ジョブ選考は今後増加していくと予想されます。
ジョブに参加するために~選考ステップごとのポイント~
今回のコラムでは、世界最大級の日用品消費財メーカーであるP&Gジャパンの冬季選考ジョブで見事内々定された22卒生のTさんにインタビューを行い、ジョブ選考で高評価を得るためのポイントを聞いて参りました。
エントリーからジョブ参加までの選考はどのような流れでしたか?
エントリーシート→筆記試験→1時間の個人面接が3回という流れでした。
トップ校生でも苦戦する「長文エントリーシート」の罠
エントリーシートはどのような点が評価されていると思われますか?
P&Gジャパンのエントリーシートは600字×3問と非常にボリュームがあり、また各設問で全く毛色の違うエピソードが求められます。そして それぞれのエピソードにおいて、意思決定の背景に一貫したリーダーシップ性があるか が特に重視されています。
エントリーシートで落ちてしまった場合、どのような原因が考えられますか。
まず、これはマーケ職に限らず全ての業界に言えることですが、そもそもロジックが通っていない文章はほぼ確実に落とされます。特にメーカーのマーケティング職は長文のエントリーシートを課す企業が多いため、トップ校の理系院生でも書くのに苦戦すると思います。
また、通過者は皆多様なバックグラウンドを持っていたため、ユニークなエピソードのエントリーシートの通過率は高かったと思います。チェーン店でのアルバイト経験や新歓の主催経験など「ガクチカ」としてあまりに「あるある」なエピソードは社員の目に留まらず、落ちてしまうのではないでしょうか。
ありがとうございます。とはいえ、コロナ禍の影響で思うような活動ができず「ガクチカ」を作れなかった学生は多いと思いますが……
派手なエピソードが無い場合でも「リーダーとしての視座の高さ」を十分にアピールすることができれば大丈夫です。私も学生の立場なので明確な言語化は難しいのですが……サークルの幹部やスタートアップの代表など、厳密に役職としての「リーダー」ではなく「組織の中で人を動かした経験」だと良いですね。人間関係を深く理解し、双方の利害関係を把握した上で結果を出したエピソードである事が重要です。
コンサル選考とは一味違う、P&Gジャパンのケース面接
面接はどのような流れで行われましたか?
3回とも序盤の40分はエントリーシートのエピソードの深掘り、残り20分でケース面接のような質問が課されました。3回目は英語面接でした。
面接ではどのような点が評価されていたと思いますか?また、落ちてしまった場合どのような原因が考えられますか。
リーダーシップをもった行動における意思決定パターンが一貫しているか、またそれが論理的であるか が見られていたと思います。面接官のウケを狙おうとして過激なエピソードを話したり、それぞれのエピソードで行動基準に矛盾があったりした人は落ちていましたね。
ケース面接はコンサルと同様のものでしたか?
ゴリゴリに戦略を詰めるだけではなく、より「人間のココロ」を理解してチームを管理できるソフトスキルが必要であると感じました。
コンサルのケース面接のお題は「特定の企業の経営状況についての情報を与えられ、事業戦略を考える」というものが多い一方、P&Gジャパンで課されたお題は「マネージャーとしてどのようにチームをまとめるか」など、もっと抽象的なテーマでした。日頃の「手触り感」のある仕事の中でいかに論理的思考力を発揮しつつ、組織を管理できるかが見られていたと思います。
3回目は英語面接だったとのことですが、英語力はどの程度のレベルが求められますか?
英語力に関しては勿論それなりに重視していたと思いますが、そこまでクリティカルではないと思います。得意な人は1時間ずっと英語での質疑応答だったようですが、前半の10分程度で日本語での面接に切り替わっていたにもかかわらず、選考を通過したという人もいました。話す内容が筋道立っているか、諦めずにコミュニケーションを取ろうとする姿勢があるかの方が重要だと思います。
「ロジカルシンキング」だけでは落ちる?P&Gジョブ選考で問われる「リーダーシップの本質」とは
3日間の流れについて教えてください。
個人ワーク→グループワーク→最終日のプレゼンという流れで行われました。
まず初日に取り組むのは個人ワークです。お題は「生活消費財の売上向上」で、最初に大量のグラフデータのパケットを渡され、それを3~4時間かけて分析しながら施策を考えるというものでした。2日目の午前中に、1日目で行った個人ワークの成果を社員の方に1対1で発表し、5分程度のディスカッションを行いました。
序盤の個人ワークは「データ分析能力」がカギ
個人ワークのフェーズではどのような要素が求められますか?
コンサル選考並みの「データ分析」ができる能力が求められると思います。 大量のデータを読み解けるかどうかだけではなく、それらの分析と分析同士を繋げ、アナリティクスに繋げられるか どうかが重要です。日頃から各種資格試験の勉強などを通じ、定量データの読み取りとストーリーラインの形成を行う練習をしておくと良いと負います。
ロジカルシンキングだけではNG。P&Gジャパンの選考で問われる「リーダーシップ」の本質とは
グループワークはどのような流れで行われましたか?
2日目のディスカッションののち、個人ワークと同じ「生活消費財の売上向上」というお題が課されました。チームメンバーの発表ののち、各チームに担当の製品(シャンプー、洗剤、髭剃りなど)が1種類2グループずつ割り振られ、メンバーと一緒に再度考えていくという流れでした。
その後2日目の18時に中間発表があり、3日目の最終日にプレゼンを行いました。また、ワークの途中で都度社員に1対1で進捗を伝えるミーティングの時間がありました。
グループワークではどのような要素が求められますか?
「リーダーシップをとり、メンバーを動かせるか」「左脳的な思考ができるか」の2点が特に高く評価されていると思います。
1点目の「リーダーシップ」が重要視されていると感じたのは、どのような場面ですか?
1対1で進捗を伝えるミーティングの際、ワーク自体の進捗に加えて「自分のチームの各メンバーの評価をしてください」という質問をされました。
まずは各メンバーの強み・弱みに対する他者評価が的を射ていることが前提条件となりますが、続けて、課題に対して彼らの強みをどのように使うか、どう動かせばよいと思うかを聞かれます。
2. 自分のチームのメンバーの強み・弱みを把握し、1の作業に適任者を充てられるか
3. 2を実行するために、相手をうまく動かせるコミュニケーションが取れるか。
以上3点が、 P&Gジャパンのグループワークで評価されている「リーダーシップ」の本質 だと思います。いくらパフォーマンスが振るわない人がいても、一部のメンバーのみでワークを進めてしまうのはNGです。社員の方にはしっかり見抜かれます。(実際、私のチームも同様のフィードバックを最終日のプレゼン後にいただきました)。
「メンバーを動かす」為にはどのようなアクションを心がけるとよいでしょうか?
ポジティブなコミュニケーションが取れるかどうかが非常に重要です。タスクの分割と「誰を充てるか」と同じぐらい「どうやって相手に動いてもらうか」には留意しましょう。
勿論、高圧的な態度をとるのは論外です。また、コンサルの選考だと時々起こりがちな現象ですが、ロジックを詰めようとするあまりお互いに批判しあうような雰囲気にならないようにも注意しましょう。
いくら戦略を詰めるのが得意でも「どのように振舞えば相手の心が動き、人を巻き込んで仕事を動かせるか」が分かっていないと落とされると思います。常に明るくポジティブな態度を心がけ、タスク分担の際も「これは○○さんがやってくれたら良いと思う」など、嫌味の無い口調で依頼できると良いと思います。
やはり学生時代に実際に組織のリーダーを務めたりなどの経験がある人は、このノウハウを心得ている人が多いですね。
2点目の「左脳的な思考ができるか」とは具体的にどのような事でしょうか?
「 自分の提案内容がすべて論理的に根拠づけられた内容であるか 」という事です。P&Gはストレートかつロジカルな思考を重んじるため、このコミュニケーションスタイルにフィットするかしないかが特に選考で重要視されていたのだと思います。
ありがとうございます。P&Gジャパン以外の企業の選考においても重要なポイントのように思えますね。
企業によると思いますが、少なくとも グループワークでパフォーマンスを上げるためには、一定以上のレベルの「左脳的思考」スキルは必要 だと思います。日本ロレアルの選考では「左脳的思考」だけではなく、アイデアやセンスなどといった「右脳的思考」とのバランスも重視されていましたが、これも社内のコミュニケーションスタイルにフィットするかどうかが見られていたのではないでしょうか。
なお、一点注意するべきは、 カルチャーフィットと志望度の高さはイコールではない ということです。
私の知人のメーカー志望者で、特定の企業への志望度が非常に高かったにも関わらず、ジョブで落とされてしまっていた人がいました。隙あらば「御社が好きです、第一志望です」とアピールしていたものの、社員からの反応も芳しくなかったようです。ベンチャーの選考などでは当人の情熱や気概が高く評価される場合もあるようですが、少なくとも外資メーカーの選考では当てはまらないでしょう。
最後に、最終日のプレゼンについて教えてください。コンサルの選考だとマネージャーやパートナーの前でのパフォーマンスがほぼ合否を分けると思いますが、P&Gジャパンの選考ではどのように振舞えばよいでしょうか?
コンサルの選考に比べ、このプレゼンがジョブ選考全体に占めるウェイトは比較的軽い印象を受けました。またフィードバックはありましたが、チームごとの勝敗・順位付けなどはありませんでした。
それよりも堂々とチーム全体のスタンスを一貫させることや、ディスカッション中のメンターの考察・評価の方が重視されていると思います。
ありがとうございます。
おわりに:マーケ職インターンのジョブについて
外資メーカーマーケ職のジョブにはコンサルのジョブ同様ハイレベルな論理的思考力が求められますが、評価されるポイントや視点はコンサルと大きく異なります。今回取り上げたP&Gジャパンのジョブ選考でも、チームマネジメント能力やコミュニケーションスタイルを包含した「リーダーシップ」の本質を非常に深掘りされ、重視されています。
外資就活 外資メーカーチームでは引き続き各企業の選考対策情報を調査して参りますので、引き続き選考対策にお役立ていただければ幸いです。
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