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2020年1月1日にA.T. カーニー日本代表に就任した関灘茂氏。
この混迷の時代にA.T. カーニーがどこを見据え、何を実現しようとしているのか、そして関灘氏自身が何を考えどのようなことを実践してきたのか、関灘氏自身が語ります。
※本コラムは外資就活ドットコムにて開催したイベント「Job Discovery ONLINE」での基調講演の様子をまとめた記事の後編となっています。
前編はこちら
- 入社後経験した最大のチャレンジは何ですか
- ジョブズのようなリーダーになるためには、若いうちに何をすべきで、どの部分に情熱を持てば良いと思いますか
- ベンチャーやユニコーン企業に対して、今後コンサルタントはどのような価値を発揮できると思いますか
- 関灘さん個人として、追いかけている理想は何かありますか
- この人と一緒に仕事をしたいと思う人は、どのような個性を持っていますか
- 世界を変えるとは、具体的にどういった状態を目指しているのでしょうか
- 最後に皆さんにメッセージをお願いします
入社後経験した最大のチャレンジは何ですか
関灘:ほぼ毎日チャレンジの連続というのが正直な感想です。その中でも、あえて一番チャレンジングだったことを挙げるなら、入社して3~4年目に担当した、ある小売企業の事業再生の仕事です。当時まだ25歳くらいでしたが、このプロジェクトのリーダー役を担当しました。クライアント企業の経営陣の方々との会議で、「会社を本当に変える覚悟はあるか」という論点に対して、「変えたくない」という方が過半を占めていました。赤字ではあるけれど、会社を変えることに対しては抵抗感があり、変えなければいけないこと自体に腹落ちして頂くところから取り組みが必要でした。
事実をしっかり集めて、解釈をして、本当に変える必要があるということを経営陣の皆さんにもご認識を頂きました。
その後、タスクフォースを組み、全体で数十人の改革チームを作り、タスクフォースの方々と毎週3回ぐらい膝詰めで数時間の議論を重ね、改革を進めていきました。その中では、抵抗勢力もありましたが、1人1人に仲間になって頂きながら進めていくのは、本当にチャレンジングな仕事でした。
-なるほど。冒頭で赤字だということは分かってはいるけれど、変えたくないというお話が出ましたが、つまりは数字やデータだけでは、腹落ちしない方々が当然いらっしゃるということだと思います。その方々を説得するときに一番大事なことは何だとお考えですか?
関灘:簡単ではなく、ケースバイケースだと思っています。
先のクライアント企業には、1~2割の変革意欲の高いリーダーがいらして、その方々とわれわれが出会うことができた点が大きなきっかけでした。方向性を共有できた1~2割の人たちを起点に、共感や改革のモメンタムが生まれていきます。この組織の場合では、数カ月で過半数の方々と、「A.T. カーニーと変革をする機会を逃したら、もう後がないのではないか」という危機感を共有できました。
繰り返しになりますけれども、“創造と変革のリーダー”とプロジェクトの最初に出会えたことが、非常に大きかったと思っています。
ジョブズのようなリーダーになるためには、若いうちに何をすべきで、どの部分に情熱を持てば良いと思いますか
関灘:私もジョブズのようになれているわけではないので僭越ではありますが、私自身も重要視している情熱・パッションは、持とうとしてすぐに持てるものではないと思っています。
どの人が、どのタイミングで、どのようなパッションを持てるか、見付けられるか、その過程は個人差が大きいのではないかと思っています。弊社のコンサルタントの中でも、パッションが明確な人たちは、やはりマネージャー以上に多いです。
一方で、入社して2~4年の若いコンサルタントの中には、パッションを持てる対象が見当たらないという人もいます。
なので、学生の皆さんがもしパッションを持てる対象、具体的な業界、具体的なテーマ、具体的な課題が見つかっていないのであれば、様々な会社に触れてみる、様々な業務に触れてみる。その過程で、どういった仕事に関わっている時に、どういったテーマに関わっている時に、自分はわくわくするのか、楽しいと感じるか、どういった人と関わっているときに、やる気がみなぎってくるのか、といったことへの感覚を研ぎ澄ませて、20代を過ごすことで「自分はこっちだな」という方向が見えてくるタイミングがあると思います。
逆に、それまでの期間は焦らずに、自分自身が何に反応する人なのか、何に価値を感じる人なのかを見つめる、そんな時間が大事なのではと思っていますし、若手コンサルタントにもそういう機会を作っていきたいと思っています。
-先ほどのご講演の中で、ご自身もさまざまな職種を見られていたというお話がありましたが、やはりさらに情熱が高まった、パッションが高まったのは、お仕事を開始されてからですか?
関灘:間違いなくそうですね。やはり学生時代にいくら書籍を読んでも、インターネット上の情報を見ても、あるいはOB訪問・会社訪問をしても、分からないことが本当にたくさんあると思います。
私は入社して初日に、与えられるPCからアクセスできる情報を見て、はじめてコンサルティングファームのクライアント企業やテーマの多様さや壮大さを実感できましたし、実際にクライアント企業の経営層の方々のお話をお伺いし「どのような悩みがあるのか」「どのような課題認識があるのか」「なぜ解決ができなかったのか」といった話に触れていく中で、経営コンサルタントという仕事の奥深さをようやく実感できました。
ベンチャーやユニコーン企業に対して、今後コンサルタントはどのような価値を発揮できると思いますか
関灘:様々な貢献の仕方があると思っています。1つ目は、ベンチャー、ユニコーン企業の中でも、われわれが大企業の方々に対して貢献するためのプロジェクトと同様の形で貢献していくパターンです。今年も長期間に亘るプロジェクトを実施してきましたし、過去にも同様の事例があります。
ただ、正直申し上げて、大企業の方々とのプロジェクト数に比べると、ベンチャー、ユニコーン企業の方々とのプロジェクト数は多くないのも事実です。
2つ目は、ベンチャー、ユニコーン企業へ出向することで貢献していくパターンです。2050年までに日本発のベンチャー、ユニコーン企業、グローバルのロールモデルとなるような新しい企業200社を生み出すことに貢献したいと考えています。これらの200社の中には、プロジェクトを組成するほどではないものの、われわれがビジネスの観点から支援できる場面が多々あります。それらの企業に寄り添って、一緒に仕事をしていくという働き方を始めています。
出向先の企業にも貢献し、出向するコンサルタントにとっても貴重な経験の場となるように場の設計にこだわっています。志を共にする企業と、こういった取組みを継続することによって、大企業の皆さんとベンチャー企業の皆さんとのブリッジ役も果たしていきたいと考えています。
関灘さん個人として、追いかけている理想は何かありますか
関灘:私自身は、A.T. カーニーに入社する前から、最終的に長期に亘って追いかける領域は、教育領域だと考えています。このきっかけは私の中学生時代の恩師との出会いです。この方の影響で経営学やマーケティングに興味が持てるようになりましたし、彼のガイドがなければ経営コンサルタントにはなっていなかったと思います。
自身が中高生のときに受けた影響にはとても感謝していて、微力ながら同じような貢献、できれば中高生などの教育領域で貢献したいと思っています。
そういった思いもあって、A.T. カーニーに入社してからも教育領域にはタッチポイント持っておきたいと思い、25歳のときからは様々な社会人大学院やNPOで講師を勤めています。
基本的には週末、場合によっては平日の夜の時間を未来の“創造と変革のリーダー”を輩出するために使っています。A.T. カーニー以外の時間のほぼ全てを投下するだけの価値を感じており、A.T. カーニーを卒業してからも続けたい役割だと思っています。
関灘さんにとって、この人と一緒に仕事をしたいと思う人は、どのような個性を持っていますか
関灘:そうですね、これまでにお会いしてきた方を思い出していたのですが、皆さんばらばらだと思いました。それぞれの方が本当に個性の方向性が違っていて、魅力的です。
たとえば、さきほどまで打ち合わせをしていた経営者の方を思い浮かべながらお話をすると、まさに、“創造と変革のリーダー”と強く感じる方です。いつも理想を高く掲げておられ、初めてお会いした10年前から変わりません。10年も歳を重ねれば、理想が萎むこともあると思うのですが、変わらず高い理想をちゃんと掲げ続ける。
それどころか、むしろその理想をアップデートされ続けている。一緒にお話をしていて大変刺激も頂けるし、私自身もそれに応える刺激を提供したいと思える。そのような関係が続き、現在進行形で仕事をしています。
その方の理想は、会社組織としての売上や利益の向上はもちろんなのですが、その組織は社会のためにあること、社会に対して新たな価値創造をすることに真正面から向き合い、全従業員向けにも発信されています。従業員の皆さん、お客様、社会全体を非常にバランスよく考えていらっしゃるのは、その方の特徴だと思います。学生の皆さんからすると当たり前だと思われるかもしれませんが、この当たり前のことに高いエネルギーレベルで取り組めるリーダーの個性に、魅力を感じています。
世界を変えるとは、具体的にどういった状態を目指しているのでしょうか
関灘:非常に難しい問いだと思っています。私が恵まれているのは、こういった議論を真正面から一緒にできるクライアント企業の方々・仲間がいることだと思っています。
実際に、あるクライアント企業の方々とは「2050年の未来はどうなっているのか?」「その時の人々にとっての幸せとは?」「それに対して企業の役割は?」といった論点の議論を続けてきました。
当然、それぞれの立場、思いがあり、意見を完全に一致させることは難しいのが現実です。
例えば、われわれのように仕事にかなりの時間を注げるようなタイプの人たちもいれば、仕事に取り組む余裕がないような環境にある方もいます。ご両親の介護にあたらなければいけない方、ご自身の病を治さなければいけない方、様々な環境の方々が、この国、この世界にはいらっしゃいます。
そういった方々、お一人お一人が、自己肯定感を持てる、幸福感を持てる状態を作り出すという方向性には、共通認識を持つことができました。このような経験を通じて、働きがい、生きがいを感じ、自己肯定感、幸福感を持ちながら、1人でも多くの人が生活できるといった状態を作り出すことに貢献できればと思っています。
最後に皆さんにメッセージをお願いします
関灘:1時間にわたり、ありがとうございました。皆さんがまさに、“創造と変革のリーダー”になっていく方々だと私は思っています。
就職活動をしていると、いろんなことがあります。「自分に合っている」と思える企業は、企業から見ても「ここに合っている」と思われて、選んでくれるのだと思います。その出会いを探し、社会人になってからも“創造と変革のリーダー”になるという目線を持って、活動していただけるととても嬉しいです。本日はどうもありがとうございました!
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