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2020年1月1日にA.T. カーニー日本代表に就任した関灘茂氏。
この混迷の時代にA.T. カーニーがどこを見据え、何を実現しようとしているのか、そして関灘氏自身が何を考えどのようなことを実践してきたのか、関灘氏自身が語ります。
※本コラムは外資就活ドットコムにて開催したイベント「Job Discovery ONLINE」での基調講演の様子をまとめた記事の前編となっています。
- 失われた30年に対する問題意識
-「20社+200社」への取り組み
- どのような人と働きたいか
- 企業として、個人としての今後の戦略
A.T. カーニーに入社した理由
まずは私自身の就職活動を少し振り返ってみようと思います。
私が経営コンサルタントという職種を知ったのは20歳の時です。その頃はマーケターにも一定の興味を持っていましたし、周りには起業家や投資銀行家など、様々な職種を目指す方もいました。まずはいろんな職種を見てみようと思い、様々な方々と直接会い、やはり経営戦略コンサルタントが一番面白そうだなと感じました。
色々なコンサルティングファームの方々とお話する機会を頂いたのですが、1つのキーワードがCEOアジェンダでした。実際にコンサルティングファームはたくさんありますし、世の中に経営戦略コンサルタントと呼ばれる人はたくさんいらっしゃいますが、CEO、つまり経営者の方々と直接に仕事をしている方というのは実は相当限られるということが分かってきました。経営戦略コンサルティングファーム、中でもいわゆる外資系企業が、CEOアジェンダをより扱っていそうであると認識し、興味を持つようになりました。
その後、様々な外資系戦略コンサルティングファームの方とお会いしました。その後、私が入社し、現在所属しているA.T. カーニーと出会いました。まず、集まっている人たちが非常に多様な個である、ということでした。これを私は動物園、と表現しているのですが、会うコンサルタントすべてが、非常に個性的だったのが特徴的でした。
さらにもう一つ、私がA.T. カーニーに決めたポイントは少数精鋭という点です。当時も少ない年には1人、多いときでも10名前後の採用となっていました。このように採用を厳選していくという考え方に共鳴しましたし、採用プロセスで指導してくださったパートナーに感動し、憧れ、こういう人と一緒に仕事ができる環境に飛び込みたいと思い、A.T. カーニーに決めたのを覚えています。
失われた30年に対する問題意識
A.T. カーニーというファームは、アンドリュー・トーマス・カーニーが創業者で、掲げていたキーワードはEssential Rightness。本質的に正しいことをし、社会に真の変革を起こすという目標が創業者以来語り継がれてきました。
私が新代表についたのちも、このEssential Rightnessを外してはいけないポイントとし、価値創造をし、社会に貢献していこうと改めて考えています。
皆さんは、これからまさに日本を変えていく、世界を変えていくことで貢献していく方々だと思っています。皆さんの中から、Amazon、Google、Appleを作ったベゾス、ペイジ、ジョブスのような人と比肩するような人物、あるいは、彼らを超える人物が生まれることが、これからの時代に必要だと強く思っています。
世界の時価総額ランキングを見ると、平成元年は日本企業がトップ50のうち多くを占めていたのに対し、平成31年では1社しかないという状況になっています。この状況は、日本の失われた20~30年、と言われていますが、このまま何もしなければさらに10年延びます。
A.T. カーニーのメンバーは、これを見守るだけでよいのだろうか、我々は何をすべきなのだろうか、と議論しています。
平成の30年に次ぐ、令和から始まる30年、2050年という時間軸を社内では共有し、その時間軸の中で、まさに日本を変える、世界が変わるという目線をもって取り組んでいこうと話しています。当然非常に大きなテーマですので、よりいっそう謙虚、かつ、大胆に取り組んでいきたいという方向性を共有しています。
「20社+200社」への取り組み
具体的には、2面で取り組もうとしており、それが、「創造」と「変革」です。
「変革」というのは、まさに大企業を変える仕事です。例えば、デジタル、テクノロジーの力を使って、会社の効率性を高める、あるいは生産性を高めるといった取り組みを指し、このような仕事は多くのコンサルティングファームにとって非常に重要な提供価値の一つになっていますし、非常に規模の大きなプロジェクトにもなりやすいという傾向があります。
一方で「創造」というのは、新しい産業をつくる、新しい業界をつくる、新しい商品・サービスを生み出す仕事です。こういった仕事は多くの場合、小さなプロジェクトから始まることが多く、チャレンジングなテーマであるために、当然難しさも付きまといます。コンサルティングファームの売上、利益成長ということだけを考えるのであれば、「変革」にフォーカスしたほうが良いのですが、世界を変えるという目線の中では、「創造」にも力を注ぎたいと考えています。
具体的な目標としては、「20社+200社」と呼んでいますが、日本企業の中から世界の時価総額トップ50に入るような企業を、2050年までには20社にする、また、日本発のユニコーン企業、世界のロールモデルとなる企業を200社に広げていきたいと考えています。
A.T. カーニーの日本オフィスには、現在従業員が200人強おり、またファームを卒業し、社外で活躍している人材もいます。卒業生の多くは大企業やNGO、ベンチャー、ユニコーン企業の経営陣として活躍していますが、おそらく2050年までに2,000人程度を輩出できるのではと思っています。
そして、現代の経営において重要性が増しているテクノロジー領域やクリエイティブ領域の一流の人財は、どのコンサルティングファームにも在籍せず個人で独立されている方も多い傾向があり、こういった本当に才能あふれる尖った個の皆さんとベストチームを組むことも意識しています。
このように、社内、卒業生、そして社外の尖った個と志を共有することで、一緒に“創造と変革のリーダー”となっていく、そしてクライアント企業の皆さんの中でもリーダーを育む、その結果として「20社+200社」を達成したいと考えています。
どのような人と働きたいか
そういった中で、どういう仲間を迎え入れるのかにはアンテナを立てて取り組んでいます。
多くの外資系コンサルティングファームは、「Up or Out」という考え方を採用していることが多いと言われますが、我々A.T. カーニーは「Progress or Out」という考え方を重要視しています。これは、それぞれの人が自身の成長を遂げていれば、A.T. カーニーの中で活躍をし続ける、ただ、成長すること自体を諦めるような場面が来たら、これは卒業していくということが選択肢になる、という考え方です。
ともすると、「Up or Out」よりも、ぬるい環境になってしまうのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、逆に、この「Progress or Out」で、プログレスをし続けるだけのポテンシャルがある、その意思がある人に入社してもらえるように、厳選採用にこだわっています。
価値観としては5つ、「Passion, Boldness, Solidarity, Generosity, Curiosity」を掲げており、このような価値観を持った方々、そしてプログレスをし続ける意志がある方、また日本を変える世界が変わるという目線を持つ方々に、我々の持てる知識、経験、知恵、様々なものを注入していくことによって強い個に。そして経営を語れる個として、大企業の経営者とも対峙ができるような個人になってもらう。その上で、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブを横断できる尖った個になっていくことを仲間には求めています。
こういった大きな理想を高く掲げると、当然大変なこともでてきます。とはいえ、現実主義者でないといけないし、理想のない現実主義者にはなってはいけないとも思っています。そして決してあきらめない姿勢が何かを生み出すきっかけをつくるだろうと捉え、“日本を変える、世界が変わる”という目線で取り組みを進めます。
非常に大きな言葉ですし、本当に難しいことでもあります。ただ、我々があきらめずに様々な取り組み、発信をしていくことで、共鳴してくださる方も現れ、世の中が良い方向に少しでも変わればと思っています。
企業として、個人としての今後の戦略
“日本を変える、世界が変わる”を実現するためには、基本的には集中、ほどよく分散をしていきます。我々の力は、日本のGDPの約50%をカバーする大企業20社に注力させようと考えています。A.T. カーニー90年以上の歴史の中で、日本だけではなくグローバルにも、様々な業界の主力企業と長く深い関係を築いていますので、その関係性を大事にしながら、日本のGDP 50%を占めるような大企業をより良い企業に変革をしていく支援をします。同時に、先ほどお伝えしたベンチャー、ユニコーン企業群にも、貢献をしたいと考えています。
では我々個々人としてはどうなっていくことで、その実現への貢献ができるか。外資系コンサルティングファームには、3~5年と短い時間軸で卒業していく方々が多いです。
そこを、我々のファームの中では、10年単位、20年単位に延ばしていきたい。例えば、ファームに入って10年経ったタイミングで、本当に日本の大企業の経営陣が務まるかというと、難しいと思っています。日本の大企業の中には多くの事業を持ち、様々なノウハウがあり、細部も理解をした上で、世界の視点を持つ必要もあり、非常に高度な能力が求められます。
そう考えると、経営コンサルティングのプロジェクトはもちろん、最先端の技術に触れ、海外事業の経験も必要であると考えています。出産、育児などの場面で、当たり前に休暇を取り、新たな働き方を確立し、人間的魅力も高めて、“強い個”になっていく。“強い個”の先へのステップを全コンサルタントには経てもらえるよう、そのための人材育成、出向プログラム、海外トランスファープログラム、などを今年に入ってからますます充実させています。
このような取り組みを組織的にもどんどん加速していけば、10年後、20年後、30年後、そのタイミングまでに皆さんは日本の大企業を変革する、あるいは、日本に大きな影響をもたらすような企業を創造する力が付けられるのではないかと思っています。
A.T. カーニーを創造と変革のリーダーの輩出プラットフォームにしていきたいと考えています。それぞれの個人がプロフェッショナルとしてつながり、より意味や価値のある大きなプロジェクトを仕掛けて、活躍していく時代が来ると考えています。その中で、我々は“日本を変える、世界が変わる”という目線をもちながら、コンサルティング業界自体のDisruptionと創造をしていく気持ちでいます。
A.T. カーニーではあくまで少数精鋭集団というものを貫きながら、多くの尖った個とつながって、世の中に価値をもたらしたいと考えていますし、時間軸は2050年ということで、皆さんに入社してもらうタイミングから10年20年経つと、非常に面白い世の中になってくるのでは、と感じています。
A.T. カーニーが今、取り組んでいること、そして目指している方向感をお伝えできたのではと思っております。
ご清聴ありがとうございました。
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