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松本大氏「“古い社会”との交渉は我々に任せろ。若者は新たな技術で世界を変えてくれ」~慶應三田祭講演会ダイジェスト


(写真はいずれも経済新人会提供)

マネックスグループ株式会社の松本大・代表執行役社長CEOが2018年11月、慶應義塾大学の学園祭「三田祭」で講演しました。

この記事では、その講演内容から、特に外資就活ユーザーの皆さんにシェアしたいことをまとめてお伝えします。

講演会は慶大公認団体・経済新人会が主催。会場には約650人の学生らが集まり、現場は熱気に包まれました。

〈Profile〉
松本大(まつもと・おおき)
マネックスグループ株式会社代表執行役社長CEO、マネックス証券株式会社代表取締役社長。
1987年、東京大学法学部卒業。ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ)を設立し、以来CEOを務める。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、上場企業数社の社外取締役を歴任。現在、米マスターカード、株式会社ユーザベースの社外取締役、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。

 

「経済の事件を間近で見たい」 だから金融の世界に入った

私は1963年生まれ、今は54歳。大学卒業後に金融の世界に入り、その後、自分でインターネットの証券会社を作りました。そして、ブロックチェーンや仮装通貨といった新たなテクノロジーが登場してきた今、会社を大きく変えようとしています。

今日は、ブロックチェーンや仮装通貨がどのように世界を変えるのか、をお話しします。ですが、まずは自己紹介から。

私は大学時代、本当に遊んでばかりで、だらしない学生でした。いわゆる意識低い系(笑)。お酒を飲んでばかりいました。

だから、就職活動の時期になっても、どういう会社でどういう仕事に就くか、全くイメージがなかった。ただ、「経済の動きを見たい・経験したい」という気持ちは強くありました。

各々の会社は様々な事情があって浮き沈みする、つまりバイオリズムがあります。そのような中で、金融は、調子の良い会社と悪い会社の間に入って、それらを横から見る仕事だと思っています。

一般的な経済や景気に左右されず、ダイナミックな動きを見ることができる。金融の世界に身を置けば、数年に一度しか起きないような経済の事件を、毎日見ることができるんじゃないかと思いました。

そのため、新卒ではソロモン・ブラザーズというウォールストリートの証券会社に就職しました。今はなくなってしまいましたが、当時は“キング・オブ・ウォールストリート”と呼ばれていた会社です。

入社3年後、ゴールドマン・サックスに転職しました。ゴールドマンでは、30歳で最年少パートナーになり、合計で12年間勤務しました。その間、様々な仕事をしましたが、最後は不良債権を買い取って価値化していくという複雑な仕事をしていました。

実際に、金融の世界で働いてみると、とてもダイナミックで、大変に面白い仕事でした。そのような仕事を通して経済の裏側を見て、金融を成り立たせるには下記の3つの要素があると気付きました。

1)リスクを買う人:お金を出して、リスクを取って、リターンを得る投資家
2)リスクを売る人:手持ち資産を売って、お金をもらう人
3)システムを作る人:金融のテクノロジーを知り、ノウハウを作る人

この中で、一番大切なのは何なのかと考えました。

3)に関しては、ノウハウは、コピーできる。

2)に関しては、ホンモノの現金なら、誰に売っても同じ。投資銀行からすると、売る人とのリレーションシップは関係ないのです。それはゴールドマンで不良債権処理をしている時によく分かりました。

当時は、日本の大手証券会社である野村證券の方が、日本企業に優位性を持っていました。でも、よりたくさんのお金を持ってきたゴールドマンが買うことができた。結局、高く買ってくれる人に、売るのです。

すなわち、1)の投資家に対するアクセスが一番大切なのではないかと思いました。つまり、機関投資家やファンドです。でも、なぜ彼らがお金を運用しているかというと、そのお金が個人から出ているからです。昔は、個人では投資に関する情報が取りづらいから、機関投資家などに運用させていました。

でも、インターネットの登場で、個人でもいろんな情報を取ることができるようになった。これからの投資銀行は、インターネットを用いて、最終投資家である個人にアクセスすることが大切だと思いました。

そのため、ゴールドマンに、個人の投資家にアクセスしようと提案したのですが、却下されたので、マネックスを作りました。これが約20年前の話です。

 

20年前、インターネットが世界を変えた。
今、ブロックチェーンが世界を変える

そして今、ブロックチェーンや仮想通貨が登場してきました。これは、20年前にインターネットが一般化されたときと同じくらい大きいショックがある。むしろ、もっと大きな変化があるのではないかと考えています。

今この会場で、ビットコインを持っている人は、5%くらいでしょうか。「実体がない」「胡散臭い」と思うはずです。その通り。現状におけるビットコインは、社会的意味がない活動で、ギャンブルの部分が強いと思います。

でも、本当は仮想通貨を使うといろんなことができます。

例えば、発展途上国に対する支援や寄付の問題が解決できます。今は、寄付をしても、現地国の政府が抜いてしまって、実際の国民にお金が届かないという問題が起きています。

発展途上国では、銀行口座を持っている国民は5%程度。でも、スマホは持っている。だから、スマホにデジタルキャッシュを直接入れればいいという議論もあります。でも、スマホが盗まれるかもしれないリスクはある。

それを、仮想通貨なら、お金に何らかのデザインを施すことで解決できます。本人しか使えないようにする、あるいは、ミルクや薬しか買えないようにするなど、限定したシチュエーションしか価値を生み出せないようにデザインできるのです。

また、仮想通貨を使えば、海外送金も変わります。今は、日本から海外に送金する際には、日本の銀行で手続きし、世界的な銀行の元締めのような存在であるコルレス銀行を通って、世界中の銀行に送金するというシステムになっています。

そのコルレス銀行の手数料収入は約20兆円。なのに、海外送金には3日くらいかかるし、着金したかどうかも分からないような状況です。

それが、仮想通貨ならリアルタイムで送金できる。理論的には、コストもほとんどかかりません。そうなると、インターネット上で売買するのが簡単になります。特に、デジタルコンテンツの売買は簡単です。

とはいえ、今の仮想通貨はボラティリティが高い。そのため、日本円や米ドルのような感覚で使える仮想通貨の開発が進んでいます。

また、仮想通貨の普及が進むと、国は、関税や消費税、相続税や贈与税を取りづらくなります。そのため、シンガポールやカナダでは、ナショナルデジタルキャッシュ(国家が発行する仮想通貨)の開発が、今、真剣に検討されています。

実は今使っているお金も、最初から硬貨と紙幣があったわけではありません。硬貨は偽造が簡単だったため、紙幣を作ったという経緯があります。それが今度は、ブロックチェーンを使ってお金を作るようになるかもしれない、ということなのです。

インターネットがない時代は、情報の発信元は国かメディアしかなかった。でも、インターネットができて、個人でも情報を発信できるようになりました。それでも国家が権力を持っているのは、戸籍・年金・不動産登記といった全国民のデータを管理しているからです。

ブロックチェーンは、これらのデータを国よりも安全に自分たちで管理できます。ブロックチェーンを使えば、例えば公的年金の情報改ざんなどは起きません。

ブロックチェーンは国家権力の源泉を国から個人に移す可能性があります。だから、国は、ブロックチェーンは素晴らしい技術だとすぐには認められないのだと思います。仮想通貨も一緒で、否定的な見解を示している一方で、研究はしています。

アメリカの大きな金融機関も、表向きは仮想通貨をバッシングしています。でも、実は特許を一番多く持っていると思われるのは、彼らなんです。研究もしている。

Amazonやグーグルは、世界で最もテクノロジーに友好的な会社だと思われていますが、ブロックチェーンや仮装通貨には見解を表明していませんし、仮想通貨のCMは禁止しています。

その理由を推測すると、どちらもデータ保管をするクラウドサーバービジネスを脅かすからです。クラウドはハックされるけど、ブロックチェーンは3人以上が承認しないとデータが書き換えられない仕組みになっている。おそらく、真剣に研究していると思います。

今はブロックチェーンを使ったビジネスは、仮想通貨しかありません。しかし、ボラティリティの低い、ステイブルな仮想通貨ができたら、一気に世界は変わる。私にはそう見えます。

だから、コインチェックをマネックスグループに迎え入れて、エンジニアもたくさん採用しています。それは、ビットコインのトレーディングだけではなく、新しいデータ管理の方法を開発できると思っているからです。

また、お金の使い方も変わってくると思います。今まで投資銀行は、主にお金を増やすことを手伝ってきました。でも、お金だけ増えても意味がない。使うために増やしているのであって、そこはワンセットであるはずです。お金の使い方が変わるに従って、新しいサービス、つまり新たな決済方法などを作る必要があると思っています。

 

好奇心を常に「105%」で回せ

私は常に好奇心が大切だと思っています。好奇心を80%で回すのではなく、常に105%くらいで回さなければいけない。

例えば、今朝の日経新聞で、「影響」という単語が1カ所あるから探すようにと言っても、見つける前に寝ちゃう人がほとんどです(笑)。でも、「最初に見つけた人に100万円」といえば、本気を出してすぐに探す。全く違う結果になります。

ゴリラと人間のIQは、実はちょっとしか違いません。好奇心があるかどうかの違いの方が、IQの違いよりも遙かに大きくなります。

新卒入社したソロモン・ブラザーズの著名なトレーダーであるジョン・メリウェザーは、今でも頻繁に会うのですが、最大の特徴は「好奇心の鬼」だということです。当時から、些細な出来事を聞きに、しばしば東京に来ていました。会うと質問攻めです。

また、明神茂さんという上司も、あらゆる情報を知っていました。呆れるくらい、隅から隅まで読んで知っているのです。

私は、マネックスグループの代表執行役社長CEO以外に、グローバルのマスターカードの社外取締役や、ヒューマン・ライツ・ウォッチのヴァイスチェアマンもやっています。以前は、東京証券取引所の取締役も5年間していました。

でも私は、ああいう風になりたいとか、こうあるべきとか、思ったことがありません。ただ、「カッコ良くて大きい靴を履いてもダメ。自分の足のサイズに合う靴を履いて、遠くまで歩いていかねばならない」と考えています。自分に合うサイズや形の靴を選んで、自分の能力を最大限に出し切り、使い切ってきたのです。

デジタルエンジニアリングで、新しい世界を作ってほしい

今、デジタルエンジニアリングの世界は、本当にすごいと思っています。何がすごいかというと、スポーツや音楽の世界と同じように、18歳でも世界一になれる。エンジニアリングの世界では、いいガソリンエンジンを作るには50年かかるといわれますし、ビジネスでも芸術でも、経験や蓄積が必要となる分野は多いものです。

でも、デジタルエンジニアリングは、蓄積の必要はありません。才能のある人が努力すれば世界一になれる。これは、今までとは全く違う世界。高校生や大学生が、企業の役員よりいい仕事をすることができるのです。

世界を根底から変える技術を持った若い人が、未来を作ると思います。元からいる我々大人は邪魔をせず、政府との交渉のような、「古い社会」との取り決めを担当しようと思っています。皆さんには、ぜひ新しい技術で、新しい世界を作ってほしいです。


※経済新人会について
慶應義塾大学の文化団体連盟に所属する経済系の学術サークル。その起源は戦後まもない1946年にさかのぼり、戦後日本の復興・再建の中でこれからの社会・経済を支えていこうという志を持った塾生の集まりから始まった。現在部員は約550名ほど在籍しており、慶応義塾大学最大のサークルとして活動を行なっている。公式サイトはこちら。

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