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ベトナムに行った瞬間「もう無理・・・」と思った
10年前から、アジアに進出する日系企業にコンサルティングサービスを提供してきたエスネットワークス。
そのベトナム法人であるエスネットワークスベトナムを率いる樋崎康彰さんは、「世界で初めて、アジアで生まれたグローバルのコンサルティングファーム」を創ろうと奮闘しています。
その樋崎さんも、5年前の駐在スタート後すぐに、「もう無理・・・」と思ったとか。
それをどう乗り越え、個人としていかなる成長を遂げたのか。樋崎さんに聞きました。
ベトナムにて。現在はひと月のうち1週間程度は日本にいて、それ以外はベトナムやタイ、フィリピンなどで仕事をしているという樋崎さん
アジアオリジナルの新たなスタンダードを創造する
――エスネットワークスは、なぜ、アジアに展開するのですか。
樋崎:一番は「世界で初めて、アジアで生まれたグローバルのコンサルティングファーム」を創りたいという思いがあるからです。
現在、世界的に有名な戦略コンサルティングファームやBIG4は、すべて欧米発です。でも僕らは日本人だし、私もシンガポールで育ったアジア人という意識がありますし、例えばベトナム人やタイ人らと仕事をしていて楽しいし、彼らの国も伸ばしたいという思いが強いです。
そうした中で、当社が創り上げていく組織体制や仕事の進め方などは、アジアオリジナルのものになっていくと思います。欧米のコンサルティングファームに負けないような、新たなスタンダードを僕らが創造していくのです。
――外資系コンサルティングファームと違うエスネットワークスの良さはどんなところにありますか?
樋崎:外資系ですと、クライアントが大手企業中心になると思いますが、当社はベンチャーや中堅中小企業が多い。そのため、自分だけで見ることができる範囲に収まることも多く、真に「自分が経営者だったら」という感覚で現場に身を置くことができます。
この点、IPOの支援や事業再生、M&Aのアドバイザリーなど、FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)と近しい業務内容ではありますが、BIG4などの大手FASよりもさらに現場感・手触り感があるでしょう。経営者視点がまさに「身につく」という感覚です。
また、外資系の日本支社ではグローバル案件を担当できるのは、ほんの一握りといわれます。それと比べて、当社では担当できるチャンスが圧倒的に大きい。若手のうちからそのスキルを身につけることができますし、それが求められます。
――グローバルマーケットの動向と、その中でエスネットワークスが見据える未来像を教えてください。
樋崎:今、当社の海外拠点は主にベトナムとシンガポール、タイ、香港ですが、直近だとフィリピン、マレーシアにも広げようとしています。僕がベトナムに行った当時は、まずはASEAN諸国を全て攻めようという構想でしたが、それも実現の可能性が見えてきました。
そこで次は、中国とインドです。やはりグローバルファームとなるにはこの2つの大国を獲らないといけません。2050年くらいにはこの二国だけで、世界のGDPの半分に達するんですね。無論、その後は欧米進出も見据えています。
こういうイメージをリアルに持っていて、まだまだ拠点を増やします。やれる国はいっぱいある。「城」はたくさんあるわけです。僕らと一緒に、何かを自分でやり遂げたいという皆さんに集まってほしいと思っています。
強烈な現場を目の当たりにし「2年でダメなら辞めよう」
――2013年にベトナムに行かれた当時、現地はどのような状況だったのですか?
樋崎:ベトナム法人は2008年に設立され、現在は60人規模の組織になっていますが、僕が行った段階では20人規模に過ぎませんでした。役員は1人だけで他にマネージャーもいなかった。でも今後の重要拠点となる見通しだったので、僕はその組織を整えるために行きました。
――具体的には何をやられたのですか?
樋崎:基本的に全部です(笑)。ただ、自社の組織創り以外の対クライアント業務ももちろんやりながらではありましたが、主に自社内のマネジメントで苦労しました。
ベトナムに行った瞬間、「これもう無理だな・・・」と感じたんです(笑)。
問題の一つが、社内の「日本語が話せるチーム」と「英語が話せるチーム」の間の摩擦でした。どちらも主にベトナム人で、前者はクライアントの窓口となってアドバイザリーを行い、後者は会計や税務などの専門的な業務をしていました。
クライアントは主に日系企業の日本人なので、日本語のできる者が話を聞き、税金の計算などは「英語チーム」に振るわけですが、言葉の壁と専門性の壁が邪魔をする。さらにベトナムでは日本語が話せるほうが市場価値が高いため、この両者には給与水準に差があるのです。
そのような現実と背景から、業務が適切に回らないような状況でした。
――赴任して早々、かなり強烈な現場だったのですね・・・。
樋崎:ですので、各チームにマネージャーを置くことにしました。「日本語チーム」は社員の一人を昇格させました。「英語チーム」には、ベトナム人だと会計もできて日本語も話せる人材は稀有なので、まずは日本人の会計士を採りました。その後、ベトナム人も一人入れて。
でもそれも「英語チーム」の既存メンバーの反発を買いました。僕としてはマネージャーに手を挙げる既存社員がいなかったので外部から採用したのですが。当事者全員から話を聞いて試行錯誤を繰り返し、体制を維持しながら、徐々に新メンバーを増やしました。
――樋崎さんご自身も批判の矢面に立たされたと思いますが、辛くなかったですか?
樋崎:本社からは心配の声も届いてましたが、僕は絶対良くなると信じていました。事実、約1年半後くらいからは摩擦もなくなり、売上も上向いて、先が見えてきました。
しかし、元々自分でもストレス耐性にはかなり自信があったのですが、ベトナムではちょっときついなと思いました。2年間頑張ってダメだったら辞めようとすら考えていました(笑)。
日本では得られなかった、非英語圏だからこその成長
――何をモチベーションにして頑張ることができたのですか?
樋崎:元々経営をやりたい、将来的には自分で会社経営をやりたいという考えからエスネットワークスにジョインしました。また、18歳までの15年間はシンガポールで育ったことから、海外で働きたいとも思っていました。それが同時に実現したのがベトナム赴任でした。
ですので、マネジメント面で多少きつくても乗り越えたかった。それができたのは、自分が採用した人材が期待に応えて成長し、僕を信じて、支えてくれたからですね。ベトナム人も含めたマネージャー陣と密に連携して、信頼関係が生まれました。本当に助けられました。
みんなが頑張ってくれたので、自分ももっと頑張ろう、自分がみんなを守らなければいけないと。その一心だったので、モチベーションが途切れることはなかったですね。
――ご自身の成長は感じていますか?
樋崎:もしも日本にずっといたらここまでできるようにならなかったと思うのは、「任せるマネジメント」です。これはベトナムが非英語圏であり、新興国だからという面があると思います。
何かというと、海外であっても英語圏なら、僕らも英語はできるので実務を担当できます。しかしベトナムでは現地語ができなければ実務にあたるどころか、メンバーの業務を理解することすらままならない。
もちろん何とかしてエビデンスを集め、論理的に考えて「確からしいこと」を見いだしてから納得して進めるのですが、日本にいるときみたいには完璧にはできません。
また、法制度にも抜け穴が多く、関係官庁など当局次第で回答が変わることもあります。日本では最終的には自分で何とか尻拭いすればいいやという感じでやっていましたが、こうなるとベトナム人メンバーを信頼して任せるしかない。
そういう意味で、半強制的に、「信頼して任せるマネジメント」ができるようになったと思います。
――任せるマネジメント・・・不安との闘いと想像します。
樋崎:もちろん可能な限り自分でも理解しようとしてから任せるのですが、でも、日本にいたときには想像できなかったくらい任せたと思います。
モチベーションの話にもつながるのですが、日本だと自分の知識をもっとつけるとか、自分の年収を上げるとか、「自分中心」でした。でもベトナムでは自分だけでは何もできないので、完全にマネジメントだけですし、みんなが頑張ってくれないと全体としても伸びない。
自分の成長だけを考えていたときはモチベーションの浮き沈みが少なからずありましたが、他の人のモチベーションを上げる役割となってからは、自分のモチベーションが下がることはなくなりました。今後も人事制度を充実させるなど、取り組みたいことが多いです。
樋崎さん(写真右)は現地のスタッフに「任せるマネジメント」ができるようになったという
最初の3年間のジョブローテで海外駐在も
――新卒社員はいつから海外勤務ができますか?
樋崎:海外への本異動は4年目からですが、それまでの3年間のジョブローテーションに海外駐在も含まれています。現時点では、ベトナムに2人とタイに1人、2年目の社員がいます。
――樋崎さんのように海外で仕事がしたい場合、日本にいる間はどのような力を身につければいいでしょうか?
樋崎:海外に行くと、自分で実務にあたることは基本的に難しい。また、役職が上がり、マネジメントをする立場にもなります。そこでいきなり自分が経験したことのない業務を監督するのは相当難しいのです。
だからこそ、日本にいる間はまず目の前の実務をきちんとやってきてほしいです。例えばIPO支援、事業再生、M&Aのアドバイザリー、デューデリジェンス、バリュエーションなどです。それがあってこその海外駐在です。海外で活躍したい皆さん、ぜひ挑戦してください。
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