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【投資銀行部門別解説シリーズ1】資本市場部・投資銀行部がやっていること

投資銀行の就職活動には業務内容の理解が必須

こんにちは、外資就活 外銀チームです。

「投資銀行研究の第一歩! 投資銀行の見取り図」でもみたように、一口に投資銀行といってもその業務内容は部門によって大きく異なり、しかもいずれの業務も非常に高度な専門知識を要します。実務を経験したことのない私たちからすれば投資銀行の業務などなじみがあるはずもなく、いざ学ぼうと思ってもとてもとっつきにくさを感じると思います。

それでも業務内容について知るべきなのは、実務の中に就職活動に生かせるヒントが隠されているからです。単純に選考を通過するためにはもちろん、自分が本当に投資銀行に適性があるか・本当に投資銀行で働きたいかを見極めるためにも業務内容を知ることは必須です。

そこでこの【投資銀行部門別解説シリーズ】では、投資銀行フロントオフィス(資本市場部・投資銀行部・債券部・株式部)のうち資本市場部と投資銀行部の業務内容をより詳しく解説していきます。

カバレッジチームとプロダクトチームの違いをおさえよう

さて、投資銀行全体を解説した記事では

・資本市場部は債券資本市場部と株式資本市場部に分かれ、
・投資銀行部はカバレッジとM&Aアドバイザリー部に分かれる

と書きました。このうちカバレッジ以外の債券資本市場部・株式資本市場部・M&Aアドバイザリー部の3つをまとめてプロダクトチームと呼びます

投資銀行では、M&Aや資金調達のプロジェクトのことを「案件」と表現します。また、案件の獲得を「ソーシング」、案件の執行を「エグゼキューション」と呼びます。客先を訪問して案件のソーシングを行うのがカバレッジチームで、カバレッジチームが獲得した案件を執行するのがプロダクトチームです

要は投資銀行も、企業に対しコピー機や電話機、プリンターを製造・販売するメーカー企業と同じなのです。カバレッジチームはその企業に対し、どの製品を売れば最適なのかを考えて営業に行きます。プロダクトチームはその企業にあったコピー機や電話機を製造(買収価格・スキームの考案)してきちんと納品(契約・ファイナンスの実行)する部隊です。

カバレッジチーム:営業活動を行うチーム

カバレッジチームの役割は、日々の顧客とのディスカッションなどを通して顧客から信頼を獲得し、クライアントが資金調達や買収合併を行うときにアドバイザーに指名してもらうことです。案件をとってくるという意味で「ソーシングがカバレッジの仕事」といわれます。

カバレッジチームは業界ごとに異なる部門を形成しています。特定の企業群を担当して営業することを「〇〇〇業界をカバーする」というように表現することがあります。カバレッジチームの部門には、たとえば次のようなものがあります。

・金融法人グループ(FIG・Financial Institution Group)
銀行や生損保に対して、資金調達や買収合併の提案活動を行うチームです。投資銀行にとって収益性の高い資金調達の案件が多く、投資銀行部門の最大の収益源となっています。

・テレコム・メディ・テクノロジー・グループ(TMT・Telecom, Media, and Technology Group)
インターネット企業やメディア、通信業などをカバーするチームです。買収合併に積極的な企業も多く、活発に案件があるチームです。

・一般事業法人グループ(GIG・General Industries Group)
食品業界や製造業など幅広い業界をカバーするチームです。他チームと比べて少しバンカーの数が多い傾向がありますが、それ以上にさまざまな企業を担当することになるので、最も多様なクライアントとかかわるチームとなります。投資銀行によっては、さらに細かくチームが分かれており「コンシューマ・リテール・チーム」や「自動車・自動車部品チーム」などがあります。

カバレッジチームは、自分が担当する業界の企業に対して、買収合併や資金調達その他の包括的なサポートを行っています。

営業の流れ

営業資料を作る

営業に持っていく資料はピッチブックと呼ばれます。10ページ程度のものですが、高い紙・フルカラー・厚手の会社ロゴ付き表紙など豪華絢爛なパッケージです。

An(アナリスト・1~3年目)やAs(アソシエイト・4~8年目)は、このピッチを作るために徹夜をすることもあります。投資銀行部門のイメージにありがちな、夜遅くまでプレゼンテーション資料などを作成しているのはカバレッジチームのバンカーです。

営業に行く

ピッチブックを携えて、プロダクトチーム(資本市場部・M&Aアドバイザリー部)とともに担当企業の営業に行きます。基本、MD(マネージング・ディレクター)もしくはVP(ヴァイス・プレジデント)、As、Anのセットで行くことが多く、MDがアイスブレーク、Asがプレゼン、Anがメモどりをします。

資金調達(資本市場部)の場合は、会社の状況をもとにして「現況スプレッド(金利)が最もよさそうだ(基本証券マンは今が最もお得だとしかいいません)」などと顧客に説明して、ファイナンスをするように迫ります。

事業買収提案(M&Aアドバイザリー)の場合は、「A社がY部門の売却先を探しているようですが、興味ありませんか」あるいは「MBO(経営陣による買収による非上場化)しませんか」などといったように、アプローチを行っていきます。「某社のオーナーがマジョリティ(50%を超える株式持分)を売りたいので、貴社でどうですか」などといった個人を絡めた提案も含まれます。

もちろん買収される提案もありえますが、売り手のアドバイザーとなる場合は、ファンドなどから「そろそろ売却しようと思っているのですが、高く買ってくれそうな買い手はいませんか。」という連絡を受けて始動することが多くあります。この場合は、売るタイミングを見極めて、買い手候補と連絡を取っていくのが投資銀行の役割となります。売り手のアドバイザーに指名された場合は、買い手のアドバイザーとの交渉の準備を行い、できるだけ高く売れるように尽力するのです。

案件につながるチャンスがあるからピッチを行う

外資系投資銀行は人数が少ないので無駄な調査を行う時間はありません。このため、資金調達やM&Aを行いそうな企業があるからピッチを行うのです。なんとなく良いと思った企業を提案しに行くわけではありません。

たとえば、経営計画で「1兆円の戦略投資を実施する」という発表があれば資金調達や買収の提案のために訪問し、「売却しそうな企業がある」という情報を得れば買い手候補にピッチを行います。

また、海外の同業他社が大型の資金調達や買収を行ったりすると、業界再編のきっかけになることが多くあります。その買収の概要や影響について説明するために訪問し、チャンスがあればその同業他社に対応するために資金調達やM&Aを行いましょうと提案するのです。

プロダクトチーム:カバレッジが獲得した案件を執行する

投資銀行が提供する様々な商品を顧客に営業するのがカバレッジチームですが、これに対しプロダクトチームはカバレッジチームが獲得したプロジェクトを執行する役割を担っています。各ソリューションについての専門家であるプロダクトチームは、資本市場部とM&Aアドバイザリー部の2つに分かれています

資本市場部:社債・株式の引き受けを行うプロダクトチーム

資本市場部(グローバルキャピタルマーケッツ)は、資金調達のアドバイザリーを行ったり、投資家にヒアリングを行ったりする部門です。クライアントの資金調達にかかわっているほか、投資銀行が引き受けた株式や債券の買い手である投資家とも積極的にかかわっています。資金調達の引受手数料を収益源としています。

株式資本市場部(エクイティキャピタルマーケット)

株式の発行を担うプロダクトチームです。株式の発行は、社債の発行やM&Aよりも頻度が少ないものの、案件1つの仕事量が多く、丁寧に実行しなければならない業務です。特に、その企業にとってはじめての公募増資である新規株式公開(IPO)は、企業のライフサイクルにおいて最大のイベントであることも多く、非常に多くの利害関係者との調整が必要になる仕事です。

ECMの収益源は株式や転換社債などの引受手数料です。転換社債は2.5%ほどの手数料が設定されることが多く、株式にはそれ以上の手数料が設定されています。同じ金額の調達であっても社債よりも多くの手数料が手に入るため、投資銀行にとっては最も稼ぎやすい商品の1つであるといえます。

債券資本市場部(DCM・Debt Capital Market)

社債の発行を担うプロダクトチームです。社債やその他の債券の発行は、株式の発行やM&Aと比べると頻度が高く、案件が豊富な部門です。

DCMの収益は社債の引受手数料です。引受ける社債の額に対して1%~2%程度の手数料が設定されることが多く、大規模な資金調達であればそれなりの手数料収入があります。さらに、社債の発行頻度は株式の発行頻度と比べて何倍もありますから、社債引受の案件をしっかり獲得していくことが投資銀行の収益基盤を安定させることにつながるとも言えます。

顧客のニーズに柔軟に応えるメザニンファイナンス

当初の株式や債券とは異なる性質をもつこのような資金調達方法のことをメザニンファイナンスといいます。メザニンファイナンスは、株式や債券以外の方法で資金調達を行いたいというニーズの多様化に伴って登場しました。

現在は無数のメザニンが存在し、転換社債を中心に多くのメザニンファイナンスが行われています。メザニンファイナンスにおいてメザニンを引き受けるのもまた投資銀行です。主に以下の2種類に分けられます。

・転換社債:株価が上昇したら株式と交換できる社債
債券を購入する人の中に「株価が伸びるかわからないから返済額があらかじめきまっている社債を購入したい。ただ、もし株価があがるのであれば株式での調達にも協力したい。」という投資家が現れました。
このようなニーズに応えて転換社債を発行すれば、投資家は儲かることが分かってから株式と交換できますし、会社にとっては株式と交換してもらうと借金ではなくなり返済の義務がなくなるので、双方にメリットがあります。

・優先株式:議決権がない代わりに配当が高めに設定される株式
株式の購入によって資金を調達してくれる人の中に、「経営のことはわからないから議決権はいらない。その代わりに配当を増やしてほしい。」といった人が現れました。
こういう投資家に対して優先株式で資金調達を行えば、既存株主の議決権を低下させることなく株式発行を行えるため、経営に対して意見したいと考える投資家にとってもメリットがあります。

M&Aアドバイザリー部:買収・合併の助言を行うプロダクトチーム

M&Aアドバイザリー部は投資銀行部唯一のプロダクトチームで、その名の通り買収や合併のアドバイザリーを行うチームです。買収に際しての企業価値算定や買収金額の交渉のほか、買収合併の契約書作成などを担います。投資銀行部門の中で唯一のプロダクトチームです(債券資本市場部、株式資本市場部はいずれも資本市場部に属します)。

MAチームは買収合併の手数料によって収益をあげています。手数料には、案件執行中に毎月もらう手数料とM&Aが無事完了したときもらう成功報酬との2つの種類があります。このうち毎月もらう手数料は、オーダーの成功報酬と比べると非常に小さくなっています。したがって、M&AプロダクトチームはM&Aの成功報酬によって稼いでいると考えてよいでしょう。

バリュエーション業務へのよくある誤解

投資銀行部門の役割を理解している学生でも、具体的な業務内容についてイメージできている学生は少ないように思います。特に、学生の間では
・投資銀行におけるバリュエーションの方法
・それが業務に占める割合についての認識

が正しくない傾向があります。

「予備的価値算定」と「本格的な価値算定」

投資銀行部門が行うバリュエーションには、買収の提案の段階で行う「予備的価値算定」と案件の執行中に行う「本格的な価値算定」とがあります。

有価証券報告書や決算説明会資料などの情報をもとにDCF法などで算出するのが予備的価値算定です。M&Aアドバイザリー部は案件を執行する役割を担うチームですから、期待されているバリュエーションは本格的な価値算定のほうです。案件開始後は、秘密保持契約を結んで非公開情報を入手し、それらを用いてバリュエーションを行います。

このため、予備的なバリュエーションとは大きく異なる業務となります。例えば、売り手企業が保有する資産を1つずつ丁寧に評価していくことや、事業のリスクを洗い出して将来どのくらいの損失を被る可能性があるかなどを検討するのです。M&Aの案件の執行中は、弁護士や会計士と情報交換を行っていたり、相手企業と交渉を行っていたり、規制その他について調べたりしている時間も多くあります。投資銀行は案件執行の中心として弁護士や会計士をコントロールし、案件全体がスムーズに進行するように尽力しているのです。

バリュエーションが業務に占める割合は決して多くない

このような案件のマネジメント業務の仕事量は非常に多く、案件執行にかかわる業務のうちの大きな部分を占めています。また、資本市場のプロとしてアドバイザリーを行っているわけですから、買収の結果を株主にどう報告すれば良いかといった点にも助言を行います。その結果、バリュエーションを行う業務は全体の2~3割しかないそうです。

就活のヒントは業務の中に転がっている

いかがでしたでしょうか。

投資銀行の見取り図では投資銀行の各部門について簡単に解説しましたが、この記事では、資本市場部と投資銀行部の各部をカバレッジチームとプロダクトチームに分けてそれぞれの業務をより詳しく説明しました。

あくまで就活生なのだから、業務内容についてそれほど詳しく知る必要もないと思う人もいるでしょう。実際どんなに詳しくなったところで、日々実務をこなす社員の方々には到底敵わないと思います。

しかし、就活のヒントの多くは業務内容の中に転がっているのも事実です。

例えば、この記事ではカバレッジチームの中で株式資本市場部、債券資本市場部、M&Aアドバイザリー部の順に手数料が高いということを書きました。では、買収提案のグループワークの際に巨大な被買収企業を選定して資金調達の提案まで含めているチームと、内部留保だけで買える小さな会社を提案しているチームとでは、どちらが稼げるバンカーになりそうに見えるでしょうか

また、バリュエーションのプロフェッショナルと言えば投資銀行ですが、投資銀行といえばバリュエーションというわけではないということも分かったと思います。これを踏まえると、パソコンの前でずっと作業をしていられるというアピールをしている学生がいたとしたら、それは投資銀行において十分なアピールになっているのでしょうか

このようなことを常に考えながら、自分が興味を持った部門についての理解を深めていってください。

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