若手でも"尖れる"環境で、複数の専門性を磨き続ける

若手でも"尖れる"環境で、複数の専門性を磨き続ける

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2026/03/06

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大切なのは、「今できること」よりも、「これからどう成長したいか」。そう考えた伊藤雄哉氏は、IT未経験の状態から外資系ITの世界へ飛び込んだ。クラウドを起点に専門性を磨き、現在はSRE(Site Reliability Engineering:サイト信頼性エンジニアリング)など新たな領域にも挑戦。自身の成長だけでなく、若手の育成にも積極的に関わりながら、「あなたに任せたい」と言われる存在を目指してキャリアを広げている。その歩みには、これからの時代に求められるエンジニアキャリアのヒントが詰まっている。

〈Profile〉
伊藤雄哉(いとう・ゆうや)
コンサルト・プラクティス事業本部
クラウドアーキテクトとして、AWSを中心にクラウド移行やハイブリッドクラウドの設計・構築を担う。インフラ基盤からAI活用まで幅広い技術領域に携わり、国内外のプロジェクトを経験。AWSコミュニティーの運営や技術書の執筆、外部登壇など社外発信にも積極的に取り組む。技術力の向上だけでなく、学び続けた知見を周囲へ還元する姿勢を大切にし、次世代エンジニアの成長を支えている。

※内容や肩書は2026年3月の記事公開当時のものです。

IT未経験から外資ITへ。海外経験と"挑戦したい気持ち"が導いたキャリアの選択

――学生時代はどんなことに力を入れていましたか。

伊藤:中学・高校はオーストラリア、大学はアメリカで、ずっとテニスに打ち込んでいました。大学もテニスの奨学金を受けて進学しています。専攻は経済学で、ITはほぼ未経験です。学生時代は、勉強よりもテニスに費やしていた時間の方が圧倒的に長かったと思います。

――就職先はどのような基準で決めたのでしょうか。

伊藤:実は、就職するかプロとしてテニスを続けるか、ギリギリまで悩んでいました。それだけ本気でテニスに取り組んできましたし、簡単に区切りをつけられるものではありません。ただ、長い目で自分の人生を考える中で、競技を続けるよりも社会に出て新しい世界で挑戦する道を選びたいという気持ちが次第に強くなっていきました。

その上で重視したのは、「自分自身がどんな働き方をしたいのか」という点です。同じことを繰り返すより、新しいことに挑戦しながら自分で考えて動く方が合っていると感じていました。そうした働き方ができる業界を探してたどり着いたのが、IT領域です。ITは変化のスピードが速く、常に最先端に触れられる業界ですから。

――最終的にキンドリルを選んだ理由も聞かせてください。

伊藤:中高大と海外で生活していたので、語学力や海外文化への適応力を生かせる環境で働きたいと考えていました。英語でコミュニケーションを取りながら、年次や立場に関係なくフラットに意見を言い合える環境は自分に合っているだろうと。そういう点で、外資系企業は自然な選択だったと思います。

最終的にはキンドリル(当時IBM)ともう1社で悩んだのですが、決め手になったのは面接で感じた雰囲気ですね。「この人たちとなら素の自分で働ける」と感じたことを、今でもよく覚えています。

――実際に働いてみて、入社前のイメージとギャップはありましたか。

伊藤:ほとんどありません。入社後およそ半年でキンドリルとして分社独立しましたが、多少の不安はありつつも、「新しい会社を一からつくるフェーズに関われる」点に大きな魅力を感じていました。グローバルな環境や挑戦できる風土はむしろ想像以上で、自分の選択は間違っていなかったと感じます。

現在も、アメリカやインド、ヨーロッパなど、さまざまな国のメンバーとコミュニケーションを取りながら仕事をしています。日本の技術の良さを海外に伝えることもあれば、海外の先進的な取り組みを日本に持ち込むこともある。そうしたやりとりの中で、語学力や海外経験が自然と生きている実感があります。
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問い、学び、挑戦する。その繰り返しが、確かな成長につながる

――現在はどのような仕事を担当しているのでしょうか。

伊藤:クラウドアーキテクトとして、AWSを中心にクライアントのシステム設計や構築を支援しています。プリセールスの段階でクライアントの要件を整理し、最適なアーキテクチャを設計・提案するのが主な役割です。

案件によってはそのままデリバリーフェーズに入り、実際の構築や技術支援まで関わることもあります。自分が考えた設計について、「なぜこの構成にしているのか」を共有しながら一気通貫で支援できるプロジェクトは、非常にやりがいがありますね。

――キンドリルならではの特徴はどんなところだと感じますか。

伊藤:最大の特徴は、製品を持たないマルチベンダーであることです。自社製品を売らなければいけない、という制約がなく、フラットに「クライアントのニーズを満たす最適解は何か」という視点で提案できるのは、キンドリルの大きな強みだと思います。

さらに、社内にはIBM時代から培われてきたナレッジや実績が豊富に蓄積されています。インフラ、クラウド、アプリケーション、運用といった幅広い領域の知見がそろっているので、特定の技術に閉じず、複合的な視点でクライアントの課題に向き合うことができます。さまざまな領域を横断しながら価値を提供できるのも、当社ならではの特徴です。

――それだけ幅広い領域に対応するには、知識量も重要だと思います。IT未経験から、どのように成長してきたのでしょうか。

伊藤:正直、入社当初はかなり苦労しました。配属された部署は経験豊富で技術力の高い先輩ばかりで、学ぶべき点は非常に多い一方、会話についていくのも大変でしたね。意識していたのは、分からないことを分からないままにしない、という姿勢です。新人のうちは質問できること自体が一つの強みだと前向きに捉え、遠慮せずに聞くようにしていました。

また、キンドリルの「年次に関係なく任せてもらえる」文化も大きかったと思います。1、2年目からクライアントと直接やりとりする機会もありますし、自分の提案がそのままプロジェクトの方向性に影響することもあります。そうした経験を積むことで、若手も大きく成長できるのではないでしょうか。

――なるほど。業務以外で意識して取り組んだこともありますか。

伊藤:資格取得のための勉強にも注力しました。資格が全てではありませんが、IT未経験から基礎を身に付ける上ではとても有効だったと思います。会社として資格取得を支援する制度もありますし、トレーニングコンテンツや外部研修なども充実しています。業務での学びと並行して勉強を進めることで、着実に知識を積み上げることができました。

その結果、2024年には若手エンジニアを対象とした「Japan AWS Jr. Champions」、2025年には「Japan AWS Top Engineers」に選出され、継続してきた学びが形になったと感じています。

幅広い知見に触れられる環境や制度があり、分からないことは気軽に聞ける。自分がどう成長したいのかを真剣に考えて手を挙げれば、適切なチャンスをもらえる風土もあります。そうした環境の中で、これからも成長していくつもりです。
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複数の専門性を磨き上げ、「あなたに任せたい」と言われる存在へ

――これまでのキャリアを踏まえて、今はどんなテーマに取り組んでいますか。

伊藤:最近は、クラウドの設計や構築だけでなく「システムをいかに安定的に動かし続けるか」に強く意識が向いています。SRE(Site Reliability Engineering:サイト信頼性エンジニアリング)というコンセプトも注目されており、このテーマは今後ますます重要になるでしょう。

SREの中でも特に重要な指標が、可観測性です。何か障害が起きた際に、「何が起きているのか」を検知するだけでなく、「なぜ起きているのか」「どこを直せばいいのか」がすぐに分かる状態を作っておく。そうした仕組みがあれば、深刻な影響が出る前に問題を修正できますし、安全かつスピーディーに新しい機能を開発することもできるようになります。

ニーズの高いテーマですし、私自身も新たな領域へのチャレンジを楽しんでいるところです。

――そうした新しい領域への挑戦は、自分の意思で進めているのでしょうか。

伊藤:もちろんです。入社してからクラウドやAWSを軸にキャリアを積んできましたが、「AWSだけ分かる人」で終わりたくないという思いはずっと持っていました。

よくT字型人材といわれますが、個人的には縦の専門性を1本だけではなく、複数持ちたいと考えています。これまで身に付けたAWSという柱を武器にしつつ、次はSREという別の軸も立てていく。その繰り返しで、自分の引き出しを増やしていきたいですね。

キンドリルには、特定の領域に腰を据えて深く掘り下げられる環境があり、若いうちから「ここは誰にも負けない」と言える強みをつくることができます。同時に、手を挙げれば新しい領域に挑戦するチャンスも与えられる。そうした環境があるからこそ、自分次第で"尖った"強みを増やしていけるのだと思っています。

将来的には「この分野なら伊藤に任せたい」と思ってもらえる領域をいくつも持っている状態が理想です。

――ここまで経験を重ねてきて、以前と比べて役割の変化を感じる場面はありますか。

伊藤:技術的なチャレンジはもちろん続けていますが、最近は「自分が成長すればいい」というフェーズではなくなってきたと感じています。これまで自分が悩んできたことや、時間をかけて乗り越えてきた経験を、次の世代にどう還元できるか。自然とそうした視点を持つようになり、最近は若手の育成にも積極的に関わっています。

例えば、新人を対象としたAWS研修プログラムの企画・運営。私自身が最初につまずいたポイントをベースにカリキュラムを組んでいるので、IT未経験のメンバーでも取り組みやすいと思います。また、社外の表彰制度についても、特定の部署だけでなく全社から優秀な若手を発掘できるよう、応募の仕組みを再構築しました。若いエネルギーが可視化され、正しく評価されることで、個人のモチベーションも会社全体の成長スピードも、さらに高まっていくと考えています。

――そうした環境で挑戦したいと考える人たちに、メッセージをお願いします。

伊藤:大切なのは、「この分野なら任せてほしい」と言える自分自身の強みを持つこと。そして、そのために新しい場所に飛び込むことを恐れない姿勢です。学生時代に学んだ内容と、将来目指したい姿が一致していなくても、過度に気にする必要はありません。「今できること」以上に、「これからの社会でどういう人材が求められるのか」を考えてみてほしいですね。

キンドリルには、挑戦したいという気持ちを受け止め、後押ししてくれる環境があります。自分の可能性を広げたいと考えている人は、ぜひチャレンジしてください。
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