【就活の逆説 第20回・最終回】内定数で勝った友人と、1社で終えた友人の、1年後──就活の勝敗は、入社後に書き換わる

【就活の逆説 第20回・最終回】内定数で勝った友人と、1社で終えた友人の、1年後──就活の勝敗は、入社後に書き換わる

2026/09/02

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eyecatch

大手デベロッパーで働く社会人1年目です。就活の「直感に反する現象」を採用側の論理から解剖してきたこの連載も、最終回を迎えました。

最後に取り上げる逆説は、就活という営みの全体にかかる、一番大きなものです。就活には、暗黙の採点基準があります。内定の数、内定先の格、内定の早さ。この基準で「勝った」学生と「負けた」学生が生まれ、勝敗は卒業まで、本人たちの自己評価に影を落とし続けます。ところが、この採点表には重大な欠陥があります。入社して1年経つと、順位表がまるごと書き換わるのです。

📌 この記事の要点(30秒サマリー)
・内定数で勝った友人と、1社で終えた友人の、1年後
・その背景・理由:就活の勝敗は、入社後に書き換わる
<シリーズ「就活の逆説」全20回>
📖 シリーズ目次(全20回)はこちら
◀ 前回:第19回 「特技も実績もない普通の学生」を、大手が毎年採り続ける理由
(本記事が最終回です)

内定を七つ集めた彼と、一社で終えた彼女

私の就活仲間に、対照的な二人がいました。

一人は、内定コレクターと呼ばれた男です。要領が良く、面接に強く、業界を横断して内定を七つ集めた。仲間内の飲み会では、常に武勇伝の中心にいて、彼の就活は誰の目にも「大勝」でした。もっとも、最後の意思決定は、あっさりしていました。「まあ、一番名前が通ってるところにしとくわ」。七つの選択肢を並べた末の決め手は、知名度でした。

もう一人は、対照的に地味な就活をした女性です。序盤に業界を広く見たあと、志望を早々に一つに定め、選考もその周辺に絞った。得た内定は一社。彼女の就活は、内定の数という採点基準では、明らかに「小勝」か、人によっては「辛勝」の部類でした。本人も当時、内定自慢の飛び交う場では、少し居心地が悪そうでした。

1年後の今、二人の景色を書きます。彼は、会社への愚痴が増えました。「こんな仕事だと思ってなかった」「他の内定先にしとけばよかったかも」。一方の彼女は、忙しそうですが、仕事の話をするときの目が生きています。「思ってたのと違うことだらけだけど、思ってたのと違う方向が、だいたい面白い方向なんだよね」。

就活の順位表の上位にいた彼が揺らぎ、下位にいたはずの彼女が安定している。この逆転は、二人の運や能力の問題ではありません。そもそもの採点基準が、間違っていたのです。

誤解のないように書いておくと、彼は今も優秀で、腐りきっているわけでもありません。ただ、彼自身がこう言っていました。「就活のとき、選考に受かることばっかり考えてて、選ぶことを考えてなかった。受かる技術と選ぶ技術って、別物だったんだな」。この一言が、この最終回で書きたいことの、ほとんどすべてです。

内定の数は、就活の「得点」ではなく「途中経過」だった

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