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ESGやSDGsという言葉に代表されるように、社会全体としてサステナビリティ領域への関心は加速度的に高まっている。もちろんそれは企業経営にも大きな影響を及ぼしており、現代における経営をサステナビリティと切り離して考えることは不可能だと言ってもいいだろう。
そうした領域で高い専門性を武器に企業成長を支援しているのが、PwC Japan有限責任監査法人のサステナビリティコンサルタントだ。マネージャーとしてプロジェクトをリードしている大菅勇人氏に、この仕事のやりがいや社会的意義の高さについて語ってもらった。
※内容や肩書は2024年8月の記事公開当時のものです。
明確な正解のない領域で、短期間にアウトプットを出し続ける
――まずは入社動機から聞かせてください。
大菅:学生時代にサステナビリティ経営のゼミに入っており、この領域で専門性を磨きたいと思ったことが直接的な入社動機です。事業会社も検討しましたが、より早いタイミングで、そして確実にサステナビリティ領域で働けるのがPwC Japan有限責任監査法人(以下、PwC Japan監査法人)だと感じ、入社することを決めました。
――なぜサステナビリティ領域に興味を持ったのでしょうか。
大菅:ゼミを選んだ時はサステナビリティという言葉もあまり浸透していない時期でした。当時はCSR、つまり大企業は社会的な責任として本業とは別の形で環境保全に貢献すべきだという考え方の方が強かったと思います。しかし私の入ったゼミの教授は環境会計が専門分野で、企業の環境や社会的な取り組みを財務の観点から研究している方だったのです。学生ながら非常に新鮮で興味深いテーマだと感じ、進むべき道を決めました。
――ということは、学生時代の研究が今の仕事にも生きているのですね。
大菅:ゼミでは企業のサステナビリティレポートを分析し、どういう取り組みを行っているかを事例ベースで研究していました。企業ごとに個別の事情やそれぞれの意思決定プロセスがありますから、学問と仕事は大きく異なるというのが率直な印象です。ただ、学生時代の経験は、実際のプロジェクトに直接的に生きているというよりも、基本的な考え方を学び、サステナビリティ領域に対する私自身の興味関心を強めたと思います。そう考えると、今、私がこの業界で働く基盤として役立っていますね。
――入社後にどうやって実践的な知見を身に付けてきたのでしょうか。
大菅:PwC Japan監査法人では社内外の豊富な研修を受講することができます。知識のインプットという意味で不便を感じることはないでしょう。そして、最も大きいのはプロジェクトを通して学べるところですね。若手であっても裁量権を持って仕事に取り組むことができるので、創意工夫を楽しみながら成長することができたと思っています。
――そういった挑戦的なプロジェクトの事例を教えてもらえますか。
大菅:ある小売業界のクライアントでのプロジェクトが印象深いですね。いわゆる戦略案件で、ビジネスの長期ビジョンを策定することが私たちのミッションでした。当時はまだマネージャーにもなっていませんでしたが、明確な正解のない領域で短期間にアウトプットを出し続ける経験は大きな成長につながったと感じます。
いくつかの軸を定めた上でどんな世界を目指すのかという複数のシナリオを策定し、最終的な方向性をご決断いただきました。クライアントは社会に大きな影響力を持つ大企業ですから、そういう意味でも意義のあるプロジェクトだったと思います。
インプットした情報に自分なりの見解を持つことが、コンサルタントの必須条件
――改めて、PwC Japan監査法人のサステナビリティコンサルタントが提供しているサービスについて教えてください。
大菅:監査法人と聞いて多くの皆さんが最初にイメージするのは、恐らく公認会計士でしょう。公認会計士の業務は、企業が適正な会計処理・決算業務を行い、正しく開示していることを保証する仕事だと思います。そして私たちサステナビリティコンサルタントも、この「情報に信頼性を付与する」スキルを共通して保有しています。財務情報の代わりにESGパフォーマンスという非財務情報を評価・報告し、ステークホルダーに透明性の高い情報を提供することが第一の使命です。
もちろんそれだけではありません。そもそも開示すべき情報がない、つまり適切な取り組みを実行できていないクライアントに対しては、戦略立案やマテリアリティ分析、長期ビジョンの策定なども提供しています。
――マテリアリティ分析とは何でしょうか。
大菅:その企業にとって中長期的に重要な環境・社会・経済の課題を特定するプロセスです。世の中にはさまざまなサステナビリティの課題がありますが、各企業のビジネスやミッションと照らし合わせ、どの課題にフォーカスして資源を配分するか決めていきます。
――なるほど。この仕事のやりがいはどんなところだと思いますか。
大菅:私が思うやりがいは二つあります。一つは非常にシンプルで、お客さまからありがとうと言われること。幸いにも、日々のプロジェクトで「ありがとう」や「御社に頼んで良かった」と言っていただく機会があり、そういう時は素直にうれしく思います。
もう一つはやはり社会に貢献している実感を持てることです。私たちの役割はクライアント企業の中長期的な成長を支援することですが、テーマがサステナビリティですから、間違いなく社会にポジティブなインパクトをもたらすことにつながります。プレスリリースが出ることも多いですし、自分の仕事が目に見えて世の中の進化につながっていると感じられることは、大きなやりがいになっています。
――社会にそうしたポジティブインパクトを生むために必要な素養についても聞かせてください。
大菅:私自身が重要視しているのは、自分なりの見解を持つことです。サステナビリティ領域は非常に変化が速く、常にインプットすることは必須なのですが、それだけでは価値を提供することはできません。例えば国際的に新しくこういう動きができました、というのはただの知識です。その動きは何を目的にしているのか、企業にとってどんな意味を持つのか。そういった見解を持っておくことが、コンサルタントとしては必須なのではないでしょうか。
もちろんそれが独り善がりの考えになってはいけませんから、チーム内ではパートナーも含めて頻繁に議論しています。それを目的にミーティングするというよりは、雑談に近い感覚で議論しながら、お互いの見解を高め合っていますね。
幅広い専門性を持つメンバーに刺激を受けて、自分自身も成長し続けていく
――近年のマーケットの変化やトレンドについて教えてください。
大菅:間違いなく大きく変わってきているのは、サステナビリティ領域に関心を持つ方がどんどん増えていること。さらに正確に言うなら、役職上位の方の関心が高まっていることです。一部門を超えて、経営アジェンダとしてサステナビリティに取り組む企業が急速に増えています。
そしてこの流れは、世界の人口が増え続ける限りなくなることはないでしょう。残念ながら人が増える以上はサステナビリティの課題がゼロになることはありませんから、少なくともあと数十年はマーケット規模も注目度も伸びるのではないでしょうか。
また、先ほど財務情報と非財務情報という区切りでお話ししましたが、この二つが統合されていく流れも起きています。2013年にIIRC(国際統合報告評議会)が統合報告のフレームワークを発表したものの、本当の意味で統合できている企業はまだ多くないはずです。この課題に対する取り組みも、今後加速していくものと考えています。
――なぜ財務情報と非財務情報を統合することが求められているのでしょうか。
大菅:一つは、投資家に向けた情報提供のためです。投資家サイドは従前、財務情報を中心に企業評価を行ってきたわけですが、財務情報とはつまり過去の実績と言えます。しかし非財務情報には過去ではなく、将来のポテンシャルが含まれています。企業としてはトータルで捉えてマネジメントするべきですし、投資家をはじめとした外部のステークホルダーはそこまで含めて意思決定したいというニーズを持っているわけです。
非財務情報はプレ財務情報と呼ばれることもありますね。過去の実績と、いずれ実績に反映される将来の可能性。その両方を統合した報告書を出してほしいというのは、時代の要請とも言えるのではないでしょうか。
――さまざまな側面から重要度が増しているのですね。サステナビリティコンサルタントに求められる人物像についても教えてください。
大菅:教育・育成の仕組みはしっかり整えていますから、入社時点での知識は全く求めていません。それよりも大切なのは、仕事に対する向き合い方です。一つは、まずは単なる慈善活動ではなくビジネスだと理解しておくこと。私たち自身もクライアントも、慈善活動としてのみサステナビリティを推進しているわけではありません。中長期的な企業成長を追い求めるクライアントを支援して、PwC Japan監査法人としてもしっかりと対価をいただく。その先に社会貢献という結果があると捉えていただければ幸いです。
もう一つは、コンサルタントは型を教える先生ではなく、クライアントに合わせてやるべきことも優先順位も柔軟に変化させるサービス業だということです。自身の理想を押し付けるのではなく、お客さまの真の課題を抽出し、世の中の動きも踏まえた上でお客さまの“あるべき姿”を共に模索していく。お客さまに合わせた解決策を提供していく必要があるということを、ぜひご理解ください。
――最後に、就職活動中の学生たちにメッセージをお願いします。
大菅:人によって価値観はそれぞれだと思いますが、私自身は何をやるかと同じくらい誰とやるかも重視していました。PwC Japanグループは性別や国籍はもちろんのこと、専門性も本当に人それぞれです。気候変動、自然資本、人権といったテーマごとに特化したスキルを持つメンバーもいれば、情報開示やサプライチェーンといったテーマ横断で知見を提供できるプロフェッショナルもいます。電力やインフラなど特定の業界に関する専門知識を持つ人もいますね。自分が身に付けたい専門性が決まっている方はもちろん、これから見つけていきたいという方にとっても大いに刺激を受けられる環境です。
就職活動のミスマッチをなくすためにも、気になる企業はできるだけ多くの人と会ってみることをお勧めします。その会社にどんな人がいるのか、その人たちから何を学べるのか。自身の目で確認してほしいです。希望される方には喜んで時間を確保しますから、気軽にお声掛けください。お会いできることを楽しみにしています。
募集情報
インターン
2026卒
PwC Japan有限責任監査法人
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