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sponsored by 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
今の時代は、「ビジネスとして経済的価値を生み出すこと」と「社会課題の解決に貢献すること」を同時に追求することが求められている。だからこそ、シンクタンクとコンサルティングの両機能を持つファームの存在意義が、これまで以上に高まっている。そう語ってくれたのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下、MURC)の名藤大樹氏(コンサルタント)と渡部博光氏(研究員)だ。新卒入社からキャリアを駆け上がってきたお二人へのインタビューを通じて、この言葉の真意を探る。
※内容や肩書は2024年6月の記事公開当時のものです。
一人一人の知恵や最先端の知見を武器として、社会課題に立ち向かう
――今日はコンサルティング事業本部と政策研究事業本部からお二人に来てもらいました。まずはMURCという会社の使命や提供しているサービスについて聞かせてください。
名藤:両部門にはそれぞれの特徴がありますが、全社共通の方針としては、「社会課題の解決を通じて三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)への信頼を象徴する企業になる」ことを掲げています。
われわれはMUFGの一員ですが、全体としては非常に大きな金融グループですから、売り上げ規模やサイズだけで見れば当社がグループに与える影響はそれほど大きくありません。
しかし、一人一人の知恵や最先端の知見を武器として、金融だけでは解決できない社会課題解決に貢献するという点では、グループ内においてもユニークな存在だと言えるでしょう。
コンサルティング事業本部は当然ながらクライアント各社の経営課題に向き合い、解決をご支援するわけですが、現代においては経営課題と社会課題はかなりの部分でリンクしています。個々の企業への貢献の先にある、産業全体、社会全体への貢献を見据えたコンサルタントが当社では多く活躍しています。
渡部:全社の方針はその通りですね。一般的には、シンクタンクは政策の立案や評価、改善等の調査・分析をして、政策決定に関する情報の提供や実行支援をする組織です。政策研究事業本部は、その活動を主に中央官庁、地方自治体からの受託調査等により行っています。政策を通じて社会課題を解決することがミッションです。
政策研究事業本部で特徴的なのは、各自の研究テーマを一人一人の研究員が決めて活動をしていくこと。本来、知的活動、思索活動は本人の興味関心に基づく活動が起点だと考えていますので、研究員が持つロマンを追求する熱量を生かして経営を組み立てていく体制を取っています。
世の中のトレンドだけではなく研究員の興味、関心を起点として研究をスタートするので、圧倒的に早いタイミングで各領域に入り込んでいることが多いと思います。
私自身を例に取ると、1991年にMURCの前身となる会社に入社していますが、当時から知的財産に興味を持っていました。後に弁理士資格も取得していますが、1991年から知財をテーマにしていたと言うと、行政や企業の方にも驚かれますね。
他にも産学連携や医療、宇宙等のテーマにも長く携わっており、大学の助教授や経団連の委員、JAXA事業の委員、学術学会の論文賞の選考委員等を務めています。もちろん私が特別というわけではありません。私以上にもっと多様な活動を行っているメンバーもいます。社会に対して公共的な役割を果たすために、外部への情報発信も奨励されています。
コンサルタントと研究員の専門性を掛け合わせ、チームで価値を提供する
――両部門がタッグを組んでプロジェクトに入るケースもあるのでしょうか。
渡部:日常的にあるケースです。脱炭素ビジネスやヘルスケア、宇宙等の先端的な分野は特に協働が起こりやすいですね。チームとして一緒にプロジェクトを進めることもありますし、時系列的に前後してバトンタッチすることもあります。
後者でいくと、私たち研究員がさまざまな機関の委員や調査研究をして提言等をしていく中で、国の方向性も固まっていき、その方針や国際的な動向も踏まえながら、事業を策定していく民間企業をコンサルタントが支援する、といったパターンです。社会の未来像を調査研究するところから、クライアントと共に社会実装するまで一気通貫でできる企業は、稀有な存在だと言えるのではないでしょうか。
名藤:同時に動くケースでいくと、地方創生やメディカル、ヘルスケアの領域が最近増えています。私たちコンサルタントと研究員だけでなく、自治体や大学も一緒になって4者合同で進めているプロジェクトも少なくありません。
例えば高齢化や人口減少に伴い地方の移動手段がなくなってしまうという課題に対してモビリティー関連のプロジェクトを起こしたり、食品ロスの有効活用と観光を掛け合わせたテーマを検討したり。再生医療の案件もあります。世の中でも相対的に新しい社会課題テーマに取り組む際は特に、2つの部門の力を結集する機会が多いですね。
だったら、最初から同じ部門にすればいいじゃないかと思われるかもしれませんし、実際にそういう体制を取っている会社もあります。しかしわれわれは、あくまでもそれぞれの部門の強みを最大化した上で、必要に応じて強い個がタッグを組む方がいいという考え方です。
渡部:コンサルタントも研究員も専門職ですからね。それぞれが持つ知見や専門性も違いますし、社会課題から解決策の社会実装までのフェーズの中で、主に役割を発揮するタイミングや対象にも違いがあります。個々人がしっかりプロフェッショナルとして成長しつつ、お互いの良さを掛け合わせることが重要だと思います。
――長いキャリアを持つお二人から見て、近年の世の中やマーケットの変化を感じることはありますか?
渡部:最も劇的に変わっているのは、SDGsという言葉に代表されるように、地球環境や公共的な観点を踏まえなければ、事業活動やマネジメント、さらには社会活動全般が成り立たなくなっていることです。CSRという言葉がはやっていた頃は、本業での利益を使って環境保護や地域社会に貢献する企業も多かった記憶もありますが、現在はビジネスそのものに公共的な思想が組み込まれていなければなりません。
だからこそ、未来志向での公共的・政策的な思考が重要になっていますし、われわれのようなシンクタンク・コンサルティングファームの存在意義がさらに大きくなっています。
名藤:これから先の変化という観点で話をすると、AIによってコンサルタントの業務も分解され、再構成されていくといわれています。それは私もその通りだと思います。ではコンサルタントは不要になるのかというと、そうではない。AIが出してきた回答が正しいかどうかを判定する人、感情面も含めて人を動かす人は絶対に必要だからです。
ただしこれらができるレベルに到達しているコンサルタントは、業界の中でも限られていると思います。言葉は悪いですが、肩書だけで「コンサルタント」と名乗っているだけの人材は淘汰されていくことになるでしょう。もちろん私たちはそれができる高いレベルにあり続けるつもりですし、これから入社してくれる方もしっかり成長できるようにサポートします。
受け身の姿勢でいる人には、どれほど丁寧な育成支援も意味はない
――新卒ではどんな人材を求めていますか。
名藤:その時点での完成度より、ポテンシャルを見ています。できるだけ早く成長したいという思い自体は悪いことではありませんが、20代前半で「器用に立ち回る」ことをそれほど重視はしません。学歴・資格だけで判断することもありません。むしろ、将来の伸びしろを見るために、本人の主体性を重視しています。
今自分が何をすべきかを考えて、自分でサイクルを回していく。その上で長期的な目線で自分を高めていける人には、間違いなくポテンシャルがあると感じます。そもそも、長期的に物事を考えられることが一つのビジネスコンピテンシーなのです。
最近、学生の皆さんから、当社は人材育成が丁寧な会社であるというイメージをいただいています。確かにそれは事実なのですが、受け身の姿勢では本当の意味で成長するのは難しいでしょう。複雑で難しい経営課題や社会課題に立ち向かえる人材になってもらうために、私たちも全力で支援しますが、あくまでも起点は自分自身です。自分の頭で考えて、試行錯誤できる人に来てもらえればうれしいですね。
渡部:非常に近い感覚です。シンクタンクでは、大学時代の研究テーマに沿った領域に取り組むことも多いですが、大学での研究というのはあくまでも過去の事象を精緻に体系化することを目的にしています。一方でわれわれは、何の文献もないところから5年後10年後の未来を議論しなければなりません。
そのためには、自分の専門性を使って社会にどう貢献したいのか、どんな分野で価値を発揮したいのかを自分自身で考え抜く必要があります。自分で決めたテーマに対し、長期にわたって熱意を持って取り組めることが最も重要です。
――ありがとうございます。最後に、そういった人材に対してメッセージをお願いします。
名藤:近年コンサルティングファームが就職先として人気であることは承知しています。とりあえずコンサル、なんていう言葉も聞きますね。ただ、そういった軽い気持ちで仕事を選んでしまうと、お互いに幸せにはなれないでしょう。とても面白い仕事で社会的意義もありますが、大変なことも、勉強しなければいけないことも多く、決して楽な道ではありません。それでも興味を持って究めてみたいという方に、お会いしたいと思っています。
もちろん皆さんが働きやすい環境は整えているので、その点は不安に思われなくて大丈夫です。私自身、2016年から2017年にかけて、約1年間の育児休暇を取得したことがあります。妻が仕事でボストンに行く機会を得られたため、その期間は現地で専業主夫として暮らしていました。それぞれの状況に合わせて休んだり調整したりできる制度も文化もあります。社会課題を踏まえた経営コンサルティングに本気で取り組みたい方は、ぜひMURCへの入社をご検討ください。
渡部:先ほどもお伝えした通り、当社は非常に自由な環境で、自分の専門性や研究テーマを自分自身で決めることができます。肩書は関係ありませんし、将来的にはとても多くのチャンスが巡ってくるでしょう。ただし、それをつかめるかどうかは、どれだけ準備できているかに懸かっています。熱意とビジョンを十分に持ち、常に準備を怠らず、チャンスが来た時に飛び込んでいく勇気を持つ。それができる方であれば、間違いなく大きく成長することができるでしょう。
名藤から長期的な目線を持つことの重要性についても話がありましたが、すぐに役に立つものは、すぐに使えなくなります。本当に社会から必要とされる人材になるためには、10年単位で究めたいと思えるテーマを見つけ出し、粘り強くそれに取り組むしかありません。皆さんが心からそう思える領域に出合えることを祈っています。
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