戦略コンサルの枠を超えビジネスプロデューサーへ。新卒入社の若手がDIで経験する「社会を変える仕事」とは
2024/05/23
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「社会を変える 事業を創る。」をミッションに、新規事業創出を軸に戦略コンサルティングを展開するドリームインキュベータ(DI)。新たな事業の創出を「ビジネスプロデュース」と称し、所属するコンサルタントはその担い手として「ビジネスプロデューサー」を名乗るのが特徴だ。
新卒2年目のShiori K.さん(*1)いわく、ビジネスプロデューサーは「既存の制度やルールにとらわれない」仕事。また新卒6年目でマネジャーを務めるKaoru Y. (同)さんは、「戦略コンサルタントがクライアントを目的地に導くためのナビだとしたら、DIのビジネスプロデューサーは助手席に座って一緒に進むイメージ」と表現する。
2人の発言の真意とは。そして、ミッションに掲げる社会変革を、どのように実現しているのか。両者へのインタビューから、そうした問いへの答えや、DIに新卒入社した若手の働きぶりが見えてくる。
*1 所属先の意向によりローマ字、かつ一部イニシャル表記
※内容や肩書は2024年5月の記事公開当時のものです。
「未来のソニー・ホンダを100社創る」という姿勢に引かれ、新卒でDIに入社
──2人とも新卒でDIに入ったと聞いています。その理由・背景を教えてください。
Shiori:学生時代、インターン先のつながりでコンサル業界で働く人と知り合いました。その人にはとてもお世話になって、進路の悩みなどいろいろな相談をさせてもらったんです。
その中で印象的だったのが、あらゆる返答が論理的で、理解しやすかったこと。時には、こんがらがった私の思考を整理して、驚くほど分かりやすく言語化してくれることもありました。
「コンサルタントってすごい」って思いましたね。
──それでコンサル業界に興味を持ったと。その中でDIを選んだ理由は、どんなものでしたか。
Shiori:就活でDIのジョブに参加したのですが、その時に前向きなプロジェクトが多いことを知りました。それが理由として大きいですね。
──前向きなプロジェクトとは。
Shiori:マイナスをゼロにするのではなく、ゼロをプラスに、時にはプラス幅をさらに大きくする仕事。そんなイメージを抱き、魅力を感じて入社を決めました。
Kaoru:私は、一つの企業のために働くというよりも、元々日本の社会や産業を強くしていく仕事をしたくて、コンサルのほか中央省庁などにも興味を持っていました。
就職先を検討する中で思い当たったのが、「とがった強み」を生むという意味では、民間の方が自由に動きやすそうだということ。自分にはそちらの方が合っていると感じ、企業への就職に絞っていきました。
そんなことを考える中、出合ったのがDIです。当時 DIが掲げていた「未来のソニー・ホンダを100社創る」といった意味のミッションに、強く共感しました。他社と比較しての決断というより、「ここだ!」とピンポイントで引かれ入社を決めました。
入社して6年たつ今も変わらず「社会を変える 事業を創る。」ということを本気で考え続けている稀有な会社だと、感じています。
新卒1年目に海外プロジェクトと国内大企業の支援に参加。異なる2つのプロジェクトで経験値を得る
──入社後の仕事内容について聞かせてください。
Shiori:2023年4月に入社してから、大きなプロジェクトは2つ経験しました。1つ目が、中南米で事業拡大を目指す日本のスタートアップに対する、支援プロジェクト。議事録や資料の作成といった基礎的な業務を担いつつ、時には作った資料について、自分でクライアントへプレゼンテーションする機会を得ることもできました。
──入社していきなりグローバルプロジェクトなのですね。
Shiori:私の場合はそうですね。中南米は日本から見たら、ある意味ニッチな市場かもしれません。だからこそ発見も多く、興味深い経験になりました。
──2つ目はどんなプロジェクトですか。
Shiori:クライアントの業態は金融系で、新規事業の創出を目指すプロジェクトです。こちらは、リサーチや定量分析に携わることが多かったですね。
あとは分析で割り出した数値を基にスライドを作って、クライアントに見てもらったり、それに対する反応に沿って修正を加えたり。
──全く違うプロジェクトですね。
Shiori:はい。1つ目は、どちらかというと実行フェーズ。事業が実際に創り上げられる様子を、間近で見ることができました。
2つ目は戦略立案のフェーズだったこともあり、クライアントとの会議で上司が論点を整理して課題解決の方向性を示すといった、いわゆる戦略コンサルらしい仕事ぶりを学ぶことができました。
Kaoru:私は2019年に入社して以来、30件近くのプロジェクトに関わっています。分野でいうと、医療・ヘルスケア、エネルギー、IT、環境などですね。
──多様ですね。
Kaoru:はい。幅広い経験をさせてもらっています。中でも多く携わっているのが、医療・ヘルスケア関連のプロジェクトです。例えば、医薬品メーカーが既存技術やアセットを生かして新事業を開発するのを支援したり、新たな市場の創出を促したり。最近関わっているプロジェクトでも、技術に強いあるメーカーが異分野に参入するのを、サポートしています。
産業構造や社会を変えるのが、ビジネスプロデューサー
──DIの特徴の一つが、コンサルティングに携わるメンバー全員が「ビジネスプロデューサー」を名乗ることかと思います。ビジネスプロデューサーはコンサルタントとどう違うのですか。
Kaoru:当社の役員も言っていることですが、戦略コンサルタントがクライアントを目的地に導くためのナビだとしたら、ビジネスプロデューサーは助手席に座って一緒に進むイメージですね。時には、自分でハンドルを握ることもあります。
──コンサルタントは後方支援、ビジネスプロデューサーは伴走や共創といった感じでしょうか。
Kaoru:まさにその通りです。ビジネスプロデューサーは、いろいろな人たちを巻き込みながら、オーナーシップ(*2)を持って事業を創ることが求められます。
*2 ビジネスでは当事者意識の意味で使われることが多い
自分でハンドルを握ると、時に予想外の事態にも直面します。そういったことも乗り越えつつ、クライアントと共にゴールを目指します。
もう一つビジネスプロデューサーの特徴を挙げると、特定の競合に「勝つ」ことを目指す仕事が、必ずしも多くないことですね。
──どういうことでしょうか。
Kaoru:既に業界トップに立っている企業に対して、新しい市場を創ることを支援するプロジェクトが多いんです。そのためスケールが大きいテーマになることが多く、大抵多様なステークホルダー(利害関係者)と関わることになります。
そうしたステークホルダーに配慮しつつ、Win-Winの関係にしていくこともビジネスプロデューサーの仕事です。
──実例を挙げて説明してください。
Kaoru:社会インフラ的な事業を展開する大企業がクライアントで、少子高齢化による市場の縮小という、難しい課題に直面していました。
──少子高齢化、確かに大きなテーマですね。
Kaoru:はい。そのクライアントの業界だけの問題ではなくて、日本全体に関わる深刻な課題です。時には政府関係者などとも意見を交わしながら、社会の未来について考えました。
──政府とも連携するのですか。
Kaoru:そうですね。この課題に向き合うとなると、介護関連などの法制度について、考えないわけにはいきません。
Shiori:今出た例のように、国内外の政府と連携して社会そのものを動かすような話は、社内でよく聞きます。そうやって、自分で制度やルールを変えにいける点は、ビジネスプロデューサーの特徴の一つです。「そんなこともできるの!?」とビックリすることも、少なくありません。
“卒業”して、ファンドや事業会社で活躍する例も。「人の心を動かす経験」が、キャリアパスを広げる
──仕事をする上で大変なこと、またそれを踏まえて心がけていることも聞きたいです。
Shiori:入社直後は初めての経験ばかりで、苦労することが多かったです。議事録を作るにしても、最初は上司が求めるアウトプットを出すことができなくて。
──求められることと実態の間で、どんなギャップがあったのですか。
Shiori:私は研修で習った議事録作成の方法論に近づけようと、細かい部分は省きつつ、できるだけ読みやすくなるよう整えて提出しました。しかし上司のフィードバックは、細部も省かず、あらゆる内容をカバーしてほしいというもので……。
恐らく、私のプロジェクトに対する理解度やコンサルティングの知識が足りず、細部を省くにしても正しい取捨選択ができていなかったのだと思います。確かに議事録は読みやすく整ったものが理想ですが、当時の私はそのレベルを目指せる段階ではなかった。
どんなにさまつに見える仕事でも、クライアントの問題解決を前に進める意識を持って取り組むことが大事だと、学ぶ機会になりました。
焦らず、一歩一歩力を高めていくべきだと学び、その後は仕事への向き合い方も改善したのではないかと思います。
Kaoru:私が特に苦心するのは、どうしたら関係者に積極的に協力してもらえるか。精緻な戦略も大事ですが、それだけじゃ足りないんです。
──戦略以外に大事なこととは。
Kaoru:人の心を動かして、提案するプランに共感してもらうことです。そのために必要なのが、社会や産業に将来起こり得ることをストーリーとして組み立て、表現して、伝え切る力。時には良いシナリオ、時には悪いシナリオも組み上げて、提案内容の意義を理解してもらえるように伝えます。
資料を作るときなども、伝える力、つまりメッセージ性を大事にしますね。
──新卒でビジネスプロデューサーとして入社した若手のキャリアパスについても教えてください。
Kaoru:DIの職位は大まかに、ビジネスプロデューサー、マネジャー、他社でいう役員クラスのオフィサーに分かれます。新卒で入ったビジネスプロデューサーはジュニア、ミドル、シニアと昇格していき、入社から5〜6年くらいでマネジャーに就きます。
その過程で、私の医療・ヘルスケアのように得意分野ができていくことが多いですね。例えばグローバル、IT、サステナビリティーなど、さまざまな強みを持ったマネジャーがいます。
マネジャーとして成果を出した後は、オフィサーを目指す人もいれば、DIを出て社外で力を発揮する人もいます。社外の話でいうと事業会社の経営企画、VC(ベンチャーキャピタル)、PE(プライベート・エクイティ)ファンドにキャリアチェンジする人のほか、自ら起業する人もいますね。それ以外も含めたさまざまな企業で、DIの“卒業生”が活躍しています。
──DIで得られる経験の中で、他社で特に生きるのはどんなものですか。
Kaoru:少し前に触れた、人の心を動かして共感してもらい、“巻き込んでいく”経験でしょうか。特に会社の経営や起業では、とても大事な要素だと思います。
DIに向くのは「さまざまなことに興味を持てる人」。選考でも、柔軟な知的好奇心を高評価
──DIには、どんな人が向くと思いますか。
Shiori:社会課題への関心の強い人が、合うと思います。日本が抱える特定の課題に着目して、「もっとこうなればいいのに」と問題意識がある人なら、最適だと思います。社会への影響度が高くて、スケールの大きいプロジェクトが多いので。
Kaoru:あとは、プロジェクトに対して自分ごととして取り組める人。言い換えると、オーナーシップを持てる人ですね。
既に述べたように、時には自分でハンドルを握って突き進む仕事なので、「自分ならこれができるか?」と自問しながらプロジェクトに向き合う必要があります。
関連する話として付け加えると、興味・関心の対象が狭過ぎないことも大事です。つまり、さまざまなテーマに対して好奇心を抱けること。
DIでは、多様なプロジェクトに携わることになります。そして新規のプロジェクトが始まるたびに、何らかの新しい経験をする。そんなときでもさまざまなことに興味を持ち、楽しめる人にはDIはぴったりだと思います。
──新卒採用の選考でも、そのような資質があるかを見るのですか。
Kaoru:そうですね。一例として挙げられるのが、ジョブ選考のグループワークです。クライアントの経営課題の解決策を考えてもらうことが多いのですが、テーマはDI側が提示する形になります。
つまり候補者は、元々あまり知らなかった分野の話でも、テーマとして向き合わないといけない。しかもグループワークは大抵数日間行われる長丁場で、思考体力も要します。
そうした中、たとえ畑違いのテーマでも食らいつき、日を追うごとにキャッチアップしてパフォーマンスを上げていく人は、高く評価されます。
──この記事を読む学生に伝えたいことはありますか。
Kaoru:私はDIに入って6年目になりますが、プロジェクトでは毎回新しい知識や経験が得られ、刺激の多い毎日です。知的好奇心の強い人やスケールの大きい仕事に携わりたい人は、ぜひDIの門をたたいてもらえるとうれしいです。
Shiori:DIは少数精鋭ということもあり、幅広い経験が得られる環境だと日々感じます。多様な業界の戦略から実行まで、さまざまな業務に携わってみたいという好奇心の強い人にぴったりの企業だと思います。
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