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「エラーは失敗ではない。考える問題を与えてくれる」。人と機械の新たな関係構築に挑む矢倉大夢が見いだした境地

人間とコンピューターがより良い関係を築き、互いに補い合うにはどうしたらいいだろうか——そんな未来像に向けて研究に取り組む傍ら、グローバルリーダー育成を行う企業、株式会社チームボックスでビジネスにも携わっているのが、矢倉大夢さんだ。

矢倉さんの経歴は輝かしい。兵庫県神戸市の灘中学校・高等学校でパソコン部に所属しプログラミングに没頭した。その傍ら、未踏IT人材発掘・育成プロジェクトに最年少で採択されたのを皮切りに、U-20プログラミングコンテストをはじめさまざまな大会で入賞するほか、国際大会にも出場してきた。そんな多才な矢倉さんにとって重要なのは、研究と現場の両輪の経験だという。

25歳にしてさまざまな経験をしている矢倉さんが導き出した、研究とビジネスに対する取り組み方について、話を聞いた。【高橋睦美、斎藤公也】

〈Profile〉
矢倉大夢(やくら・ひろむ)
日本学術振興会特別研究員。
1996年大阪府生まれ。灘中学校でパソコン部に在籍し、以降、アルゴリズムやセキュリティに関する国際大会での入賞、未踏プロジェクトでの採択など、幅広い領域で活動する。筑波大学入学と同時に株式会社チームボックスに参画。2015年からCTO(最高技術責任者)を務め、2021年4月からは、筑波大学大学院理工情報生命学術院博士課程に在籍し、日本学術振興会特別研究員としても研究活動をしている。

「機械はミスをしない」前提で人間との関係を構築してはならない

――今、矢倉さんが取り組んでいることについて教えてください。

矢倉:現時点では、研究に重きを置いています。筑波大学大学院の博士課程一年として、また日本学術振興会特別研究員として、ヒューマン・コンピュータ・インタラクションという分野を研究しています。簡単に言えば、「人間とコンピューターの新たな関係性を探していく」ことがテーマです。

このテーマに興味を抱いた大きな理由の一つが、ビジネスの現場でリーダー育成を支援するというチームボックスでの経験です。チームボックスでは、CTOのような役割を担ってきていますが、現実の人間の課題を見ながら、コンピューターで遂行可能なことと、遂行が難しいこと、より優れたコンピューターの使い方をテーマとして取り組んできたことが、今の研究にも生きています。

――プロフィールを拝見すると、中学生の頃の矢倉さんには、「プログラミングが大好き」という印象を持ちました。今のテーマは、方向性が違うように思えます。

矢倉:高校の授業で倫理政経や思想史を勉強する中で、「人が物事をどう考えてきたか」ということに興味を抱いたことがきっかけかもしれません。それを機に、コンピューターを使うことで、人間がより考えを深められるのではないかと思い始めました。

その頃から、機械学習(ML)や人工知能(AI)技術への注目も集まってきました。そこで、自分のプログラミング技術をML技術に生かし、「人間がコンピューターをどう使えるか」「人間がそれに対してどう反応するか」を見ていけたら面白いと思いました。

――大学生活も興味を広げる契機になりましたか。

矢倉:いろんな学部があって、気の向くまま、講義を気軽に受けられたのは良かったなと思います。研究分野に関係なく、学びたい講義を自由に受けられました。例えば中世絵画史や判例を読む授業などを興味のままに受けることができました。

――絵画史とは、意外です。今、矢倉さんが背景にしているのも抽象画ですね。

矢倉:カンディンスキーですね。僕は結構、いろいろなものに興味を持つところがあるんです。絵画史の授業を受けたら、美術館に行くのが面白くなりましたし、最近は、茶碗など日本の作品を集めた美術館も面白いと思っています。

判例の方は、プログラミングと共通する部分があるなと思っています。法律家の方々には怒られるかもしれませんが、ルールがあって、それを、どう推論していくかという、パズルを解いていくような感覚に共通性を感じて、そこが面白かったですね。

――もう少し詳しく、今の研究テーマについて教えてください。

矢倉:今、あちこちでAIやMLが取り上げられています。確かに、コンピューターや機械で置き換えられる部分はありますが、全てが置き換えられるとは思っていません。どれだけ精度を上げてもエラーは起きます。「機械だからミスをしない」という前提で人間との関係を構築してしまうと、期待値を高めてしまうため、ミスが出たときにコンピューターへの信頼性が低下する恐れがあると思います。

そこで、「どういう場面でコンピューターに委ねるのか」「どういう判断を人間が下すべきか」についてうまく線引きをしながら、両者の橋渡しをするようなインタラクションを考えています。

機械への任せ方にもコツがある

――すると、人間がより良く学べるようになるのでしょうか。

矢倉:不得意なところをサポートしてもらったり、人間があまりそこに時間をかけなくてもよくなったりすると考えています。ポイントは、その任せ方にもコツがあることです。

以前、カウンセラーやコーチングをする人たちを、機械でどう助けられるかをテーマに研究をしました。MLを使って、相手の表情や動きを解析し、例えば腕組みをしていると、「相手が怒っている」「言いたいことを言えずにいる」などと検知する仕組みがあります。

しかし、本当に怒っている場合もあれば、単に腕組みがその人の癖だったり、たまたま疲れて姿勢を崩しただけだったりする、ということもあり得ます。人間はこれまでの経験に基づいて、ほとんど頭のリソースを使わずに処理できますが、機械が逐一それを検知してしまうと、かえってうまくいきません。ただそれだけが理由で、「MLは実社会ではまだ有用ではない」と評価されてしまうのはもったいないと考えています。

そこで、一定時間のうちに相手の行動が急に変わったことを、コンピューターで検知すればいいのではないかと考えました。人間が検知結果を見て、ただの偶然か、それとも意味のある行為なのかを判断すればいいです。人間の認知のワークフローに上手にデザインして組み込めば、うまくコンピューターと人間の関係性を構築して、互いの良いところを引き出せる仕組みができるのではないかと考えています。

――それは既に実用化されているのでしょうか。

矢倉:はい。関連する特許を取得し、現場でも使い始めました。

――コンピューターと人間のより良い関係を考えていくと、インターフェイスやデバイスの在り方も変わってくるかもしれませんね。

矢倉:それもあり得ますね。最近の技術では、例えばオンラインの授業を受けている人がずっと違う方向を見ている、ということがある程度分かるようになっています。しかし、そこでコンピューターが直接、「授業に集中していません」などとアラートを出したら、怒ったり、授業を聴くモチベーションが下がる可能性がある人の方が多いと思います。

そこで、フィードバックに関する実証実験をやってみました。注意が途切れていることを検知したら、話している人の声を、相手に気付かれない程度に自動的に一瞬大きくします。そうすると、自然にそちらに注意が向きます。このような方法でしたら、受講生の気にあまり障ることなく、自然に注意を向けさせることができるかもしれません。

これを発展させて、会話中に自分が集中して聞きたい話をより聞けるようにしたり、聞き取りにくい人の声をコンピューターの力を借りて聞き取りやすくしたり、自分が集中していないときに自動で介入してくれたり、といった具合に、デバイスとひも付けたやり方はあり得ると思います。例えばAirPodsやHoloLensの進化形のようなものが流行っていくと、可能性はさらに広がると思います。

――プログラミングだけではできないことですね。

矢倉:そうですね。こうした仕組みを、いかにユーザーにとって使いやすい形で作るかを、MLやデバイス、人間といったファクターをうまく組み入れながら考えていきたいと思っています。

プログラムが書ければコンピューターを自由自在に制御できる

――研究やビジネスに興味・関心が移っても、矢倉さんの原点は、プログラミングではないかと思います。コンピューターやプログラミングに興味を抱いたきっかけを教えてください。

矢倉:プログラミングを始めたのは中学一年生の時です。気が付けばもう10年以上プログラミングをやっていることになりますね。子どもの頃から電子工作が好きでいろいろ作ってきましたが、中学に入学し、パソコン部という部活があることを知って、面白そうだなと思って入ったことがきっかけです。

のめり込んだ理由は、やっぱり、プログラムが書ければコンピューターを自由自在に制御でき、何でもできてしまうところです。世界を全て制御できる自由度、その感覚が非常に楽しかったところだし、今も楽しいところです。

エラーが出ても諦めず、きちんとコードを読んで調べていくことが重要です。問題があったら、早く次の仮説を立てて別のやり方を試す、素早くフィードバックループを回すということは、プログラミングにも必要だし、研究にも必要だと思います。

――エラーが出ると諦めてしまいそうですが。

矢倉:思い通りに動かなかったり、コンパイル(※)が通らなかったりするときに「失敗」と考えてしまうと、大変かもしれません。僕はそれを失敗ではなく、別のやり方を探すきっかけや、別の解決策で何ができるかを問われる場面だと考えます。むしろ、新たにいろいろ考える問題を与えてくれることが面白いと思います。

(※)プログラミング言語で書かれたソースコードを、コンピューター上で実行可能なオブジェクトコードに変換すること

プログラミングを極めていこうと考える上で後押しになったのは、中学三年生の時に、Linuxの中核となるプログラムであるLinuxカーネルの開発に携わったことです。といっても、バグを1個か2個修正したくらいですが、世界中の人たちにそれをメールで送って、カーネルに取り入れられて、自分の使っているAndroidスマートフォンにも反映されて……ということができる、コミュニティという仕組みがあります。それに携わる経験をしたことは、プログラミングの力を感じる上で大きなイベントでした。

――ちなみに、最初に学んだのはやっぱりCからでしたか。

矢倉:そうです。もう絶滅危惧種かもしれませんね。最近の若い人はPythonやRubyから始めているようですし、僕自身も最近では、研究やWebアプリケーション開発では主にPythonを使っています。

研究とビジネスの両方を知ることで、地に足の着いた取り組みが可能になる

――研究を突き詰めながら、ビジネスと両立させるのは難しいように思えます。

矢倉:両方やるからこそ見えてくる部分がある、という気がしています。私が研究しているヒューマン・コンピュータ・インタラクションは、理論派というよりは、どちらかというと応用派の研究です。ですので、実際の現場で、どういう課題があるのかが見えないと、地に足の着かない研究になってしまう可能性があります。現場の課題が見えた上で研究することで、新しいものが生まれてくるように思います。

同時に、研究を通して最先端の動向を知ることで、ビジネス側で必要なことや、先人が失敗してきた箇所が見えてくることもあります。研究とビジネスの両方を知っていることで得られるものは大きいと思います。

――理論と現実の両方を知ることで、双方に良い影響が生じているんですね。

矢倉:そうですね。自戒も込めていうと、片方だけ、例えば研究だけを突き詰めていくと、研究のための研究になってしまい、誰にとっても、幸福ではない状況が生じてしまう可能性があると思います。やはり両方見ていくことのメリットは大きいと思います。

――矢倉さん自身としては、研究とビジネスをどのように両立していましたか。単に時間で区切ればいいというものではありませんよね。

矢倉:あまりスマートな答えはありません。締め切りが近いものから進めていくという感じですね。あとは自分の性格もあります。同じことだけを扱っていると飽きてしまい、どちらの領域でもいいから新しいものを見つけたいと思ってしまいます。自然と新しいことに興味を持ちますので、それで抵抗なく2つの分野を両立できているという気がします。

――お話を聞いていると順風満帆のキャリアに思えますが、過去に失敗したことはありましたか。

矢倉:研究にもビジネスにも共通する部分があるんですが、やはり地に足の着いていないことをやると良くないなと、何度かの経験を経て思います。「こんな機能があれば有益ではないか」と自分の頭の中だけで考えて作ってみても、全く使われなかったことはたくさんあります。

研究面でも、何とか論文にはなったものの、「結局誰に利益をもたらす研究なのか」が分からないものになってしまったこともあります。研究やビジネスが自分にとって楽しいだけでよいのではなく、他者にとってどんな利点があるかを追求するようになりました。

――今後、どんなことに取り組んでいきたいと考えていますか。

矢倉:研究はしっかり続けていきたいと思います。新しいものを見つけ、他の人がまだ気付いていないところに光を当てる面白さと使命感、というと大げさかもしれませんが、そういう気持ちを持って取り組んでいきたいです。

研究を続けるためにも、現場は必要だと思います。現場にどんな課題があるか、まだ誰も考えていないものは何かを、きちんと地に足の着いた形で見つけていくためにも、研究だけをずっとやっていくのではなく、両方に取り組んでいきたいと思います。

ただ、僕は、プログラミングは大好きですから、この先もどんな形にせよ、ものを作らずにいることはできないでしょう。研究でもビジネスでもしっかり手を動かしていきたいです。

昨年からのコロナ禍で、必要とされるテクノロジーが変わってきているのを感じます。その一例が、接触確認アプリです。世界中の人たちがデバイスを持っていて、接触の可能性を教えてくれるなんて、10年、15年前には、夢の技術でした。それが今や実世界でデプロイできたのはとても良い話ですし、公衆衛生にテクノロジーが役立つという観点でも、非常に価値のあることだと思います。一方で、オペレーションがうまく回らなかったり、理解が進まなかったりする部分もあり、まだまだ考えるべきところがたくさんあると思いました。

柔軟に行き先を変えられるプロダクトの作り方や考え方は、非常に重要だと感じました。そして、こうしたソフトウェアやプロダクトの作り方は、変わり続ける社会の中で、不確実性に立ち向かって生きていく上でも、共通する部分はあると思います。


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