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「革新的な情報通信技術でも、人間が使えなければ役に立たない」。ビジネスと研究を行き来する男のキャリア論

「これまでの学びや研究にどう向き合い、これからどんなキャリアを築いていくべきなのか」。それは、ITエンジニアを目指す学生・院生が抱える悩みであり、将来、幸福なキャリアを実現できるかどうかを左右するテーマともいえる。さくらインターネット研究所にて上級研究員を務めている松本亮介氏は、ビジネスで活躍する道と研究を突き詰める道、その双方を行き来してきたキャリアの持ち主だ。

大学卒業時に民間企業で活躍する道を選んだ後、再び研究の場に戻り、修士課程を経ずに博士課程へ進んだ。その後、GMOペパボ株式会社のチーフエンジニア、ペパボ研究所の主席研究員を経て、現在に至る。稀有なキャリアを構築してきた松本氏に、その思考や行動原理について、聞いた。【上野真理子、斎藤公也】

〈Profile〉
松本亮介(まつもと・りょうすけ)
さくらインターネット研究所 上級研究員。
2008年大阪府立大学卒業後、ホスティング(サーバー貸し出し)を手掛ける企業にエンジニアとして入社。2017年京都大学博士(情報学)の学位取得。GMOペパボ、ペパボ研究所主席研究員などを経験、2018年11月から現職。複数企業の技術顧問も務める。

「世の中の課題を解決し、多くの人を幸せにする技術を身に付けたい」と就職を選択

――もともとPCやITに興味があったのでしょうか。

松本:高校時代までは、それほど興味はありませんでした。ですが、大学に入学し、自分のPCを手に入れた後は、その仕組みに興味を持つようになり、自作PCをひたすら作り続けました。

PCが増えたため、「増えていくPCを活用できないか」と考え、サーバーに転用できることを知りました。そこからはWebサーバー、メールサーバー、DNS(Domain Name System)サーバーなどを立てていきました。1年間で8台くらいになったと思います。

プログラミングにも興味が湧き、やがて運用・監視にも手を出すようになりました。そこで、大学のゼミではネットワーク・セキュリティーの研究をしようと思いましたが、当時はまだ専門の研究室がありませんでした。そこで、自由度の高い研究室に入り、24時間、セキュリティーの研究に熱中する日々を過ごしました。

――どのような研究をしていたのですか。

松本:例えば、ネットワークの異常を検出する手法についての研究です。

コンピュータウイルスやサイバー攻撃の一種であるDoS(Denial of Service)などが増え、ネットワークの運用や管理においてセキュリティーへの対応が重要になっていました。注目されていたのが、インターネット上で起こるセキュリティーインシデントを分析するシステムです。

通信回線やネットワーク上で送受信される信号や、データであるトラフィック情報に含まれるヘッダー情報(各種の属性情報)から、ネットワークの特徴を抽出し、その特徴から時系列データを作成し、変化するポイントを検出することで、異常を知る手法を研究していました。

――そうした日々が現在につながっていくわけですね。

松本:いえいえ、僕のキャリアにおける一つのターニングポイントになったのは、“留年”だったと思います。

自分の得意な分野だった情報工学系の実験の単位を落としてしまいました。短期間で課題を済ませ、余った時間は同級生に教えることに使っていましたが、提出する成果物を取り間違え、下書き状態のものを出してしまったからです。正直、絶望しましたし、この失敗をどう取り戻そうかと必死で考えましたね。

――そこからどんなことに取り組まれたのでしょうか。

松本:インターネットやサーバーについてもっと学ぼうと考え、レンタルサーバー会社でフルタイムのアルバイトをしました。同僚と触れ合った際、彼らの認知力の高さや幅広い知見に驚きましたし、何より、実社会に役立つ技術を実現していることが素晴らしいと感じました。

世の中で起きている課題に対し、それを解決するサービスを提供し、多くの人々が幸せになる。そんな世界があるのだと実感したことで、「現実的な問題や課題に向き合って、身近なところで役立つことがしたい」と考えるようになりました。大学卒業時、「修士課程に進まず、まずは企業で現場の技術を学ぼう」と決めたのは、この経験があったからです。

研究開発の根底は「技術をどう使いやすくするか」

――新卒の就職活動では、どういった視点で企業を選びましたか。

松本:やはりネットワークやサーバーに興味があったので、レンタルサーバーを手掛ける大手の企業を調べ、技術力と規模感を併せ持つ2社に絞りました。その2社というのは入社したファーストサーバと、現在所属しているさくらインターネットです。

入社した企業では、レンタルサーバーに携わり、新たなサービスの実現や、性能・セキュリティーの改善などに取り組んでいました。この頃は、クラウドサービスが出てきた時期でもあり、クラウドサービスやホスティングサービスなども作っていました。開発の方向性に責任を持つプロダクト・オーナーのような立場も経験する中、現場におけるリアルな課題を実感することができました。

たとえ研究開発で革新的な技術を生み出したとしても、実際に組織やチームで運用できるもの、つまり人間が使えるものでなくては役に立ちません。技術を使うのはあくまで人間であり、そこに価値を見いだすのも人間です。「研究によって生み出された技術が、実際にどう使われるのか、どう使いやすいものとするのか」が大事なのだと学びました。今でも、この考え方は僕の研究開発の根底に流れています。

写真はイメージ

「誰も実現していないこと」に向かうハードルは高い。だからこそ刺激がある

――修士課程を経ずに、博士課程に進学しています。どんな経緯がありましたか。

松本:もともと研究者を目指していたので、現場の技術や課題を3年程度学んで、研究の場に戻ろうと決めていました。担当教員にこれまで取り組んだことを伝え、「インターネットの基盤技術の研究がしたい」という思いを話しました。すると、「やりたいことが明確にあるなら、博士課程からスタートしてはどうか。修士相当の力があることを証明すればいい」というアドバイスをいただきました。

それ以降、半年間、査読付きの論文発表や研究報告、国際会議への論文提出に取り組み、博士課程への入学を認めてもらえました。

――大学院ではどのような研究をされましたか。

松本:Webサービスを安定して提供するためには、Webサーバーのソフトウエアの機能の拡張が必要となる場合があります。生産性やセキュリティーを考慮して、簡易的なプログラミング言語であるスクリプト言語を使って機能を拡張する手法がありますが、速度やメモリ容量、安全性の面で課題がありました。

そこで、世界で最も使われているサーバーのソフトウエアの一つである「Apache HTTP Server」に組み込むスクリプト言語であるmrubyを組み込むことで、高速かつ小容量でサーバーの機能拡張を実現しました。

どんなサービスでも、性能や安定性などの項目において、何かを生かすなら、何かを犠牲に
しなければいけない、いわゆるトレードオフの状況があります。かつ、使う側の事業者にとって運用しやすいものとしなくてはならないというハードルもあります。

例えば、クラウドサービス上のセキュリティーを高めると、速度や使いやすさなどの性能が低下することがあります。僕としては、セキュリティーと性能を両立する研究に力を入れてきました。

――そこからなぜ、再度ビジネスの場に戻られたのでしょうか。

松本:実社会に役立つ技術を生み出せるようになったので、それを企業のサービスに役立てながら、より良い形に変えていきたいと考えたからです。オープンな開発に取り組める企業がいいと考えていたところ、GMOペパボに声を掛けていただきました。

入社後は、OS(基本ソフトウエア)、サーバー・ソフトウェアなどの領域で技術的な課題解決や新技術の開発に取り組み、1年後には、現在のCTO(最高技術責任者)と一緒にGMOペパボ研究所を立ち上げました。

――松本さんにとって、「研究」と「ビジネス」は、それぞれどういう存在なのでしょうか。

松本:正直、僕が得意なのはビジネスだと思っています。これまで、事業を統括していく中では、さほど苦労することなく成果を出すことができましたし、多様な立場の人たちと一緒に成果を出していく面白さも感じました。

一方、研究では、毎回新しいことに挑戦しなくてはならない苦しさを感じますし、海外での論文発表にもストレスを感じます。ですが、苦労するからこそ面白いです。

例えばゲームでは、クリアできない難しいものほど、熱中してやり続けるものですよね。研究もそれと同じだと感じています。終わりはなく、まだ誰も実現していないことに向かうハードルは非常に高い。だからこそ刺激がありますし、常にやり続けていきたくなる面白さがある。

何より、目標を達成したときや実現できたときの喜びには、代えがたいものがありますね。僕にとって研究は得意なことではなく、ただ単純に好きなことなのだと思います。

さくらインターネット研究所に入ったのも、僕自身がやりたい研究にもっと中長期的な視点で取り組みたかったからです。入社後は上級研究員として、サーバーやクラウドサービス領域の研究に従事しています。

具体的には、セキュリティーも含めた、各種性能をトレードオフにしないバランスや、運用・管理技術と両立させる落としどころの模索をしています。大学機関と連携する共同研究や、自社研究所内のメンバーと連携する研究プロジェクトなども進めています。

エンジニアのキャリアで重要なのは、自分の技術力や思想を外の世界に伝える行為

――「ビジネス」と「研究」を行き来してきた松本さんのキャリアは、特殊に思えます。どんな指針を持ち、どのように行動すると、そうしたキャリアを築くことができるのでしょうか。

松本:本質的に、僕は「自由でいたい」と思っています。明日、会社が無くなっても、その次の日には別の会社で仕事ができるくらいの自分でありたい。

だから今、自分の取り組んでいることが企業の枠を超えて通用するのか、あるいはどれくらい汎用性のある技術やノウハウを身に付けられているのかを常に意識し、勉強を続けてきました。そして、自分がそのような状態であることを、さまざまな人たちに知ってもらうことも意識してきました。

――「さまざまな人たちに知ってもらう活動」についても教えてください。

松本:自分のやっていることをコツコツとブログに書き、ソースコードを発表していく中で、さまざまな人たちとの関係性が次第に広がっていきました。SNSやブログの発信を誰かが見いだしてくれるケースは少なくありませんし、研究者やエンジニアが集まるコミュニティーに参加して、さまざまな話をすることも大事ですね。

そうするうちに、然るべきタイミングで自分のキャリアに良い影響を与えてくれる人と出会い、新たな道が開けるものです。自ら情報をアウトプットし、自分の技術力や思想を外の世界に伝える行為は、エンジニアのキャリアにおいて非常に重要であると思います。

――とはいえ、松本さんのように優れた発想力がない場合は、なかなか難しいように思います。エンジニアを目指す学生が今のうちからやっておいた方がいいことは何でしょうか。

松本:僕はもともと発想力があるタイプではありません。ただ、自分が興味を持ったことに対しては、とにかく数と量の実践を続け、それらをできる限り文章にまとめ、ブログや論文で発表する“言語化”を続けてきました。するとあるとき、意識していなくても、言語化してきた内容全てが“創発”的に結び付きます。

ここで重要なのは、一つのことだけでなく、寄り道したり、興味の対象を変えたりしながら多様な挑戦をすることです。そして、自分がそこで感じた課題感や納得感を、人に説明できるように言語化し、アウトプットしていくことが大事です。

そうすると、やがて一つのつながりが見つかって、新しい発想が出てくるようになります。その積み重ねは、自分が目指すエンジニアリングや、研究開発の方向性へとつながっていくと思います。

ただし、モチベーションとしては、「自分のため」であることが大事ですね。これは僕自身も経験したことですが、誰かのため、組織のため、人のためを目的とすれば、外的環境の影響を受けやすく、簡単にやめることができてしまいます。だからこそ、「自分にとって価値があることは何なのか」を考えることがまず重要だと思います。

――松本さんご自身が目指すキャリアについてはいかがでしょうか。

松本:自分のキャリアとしては、研究を一生涯続けていくことが目標ですね。自分の研究で社会に貢献することに加えて、「多様な専門性を持つ人と協力し合うことで、どんな未来を作っていけるのか」ということに強い興味を持つようになりました。研究者や技術者が集まるコミュニティーに参加しつつ、さまざまな領域の知見を知り、重ね合わせていければと思っています。

学生の皆さんに対しても、ぜひ早い段階でこうした世界を知ってほしいし、刺激や影響を受けながら変化を遂げていくことに期待しています。若い皆さんのこれからが世界を変えていくと思いますし、それによって、僕自身も新しい世界に出会える。新たなエンジニアや研究者から刺激や影響を受けて、また大きく変わっていくことが楽しみです。

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