「IBM=ITコンサル」ではない。戦略コンサルタントが語る、“事業会社だからこそ”の先進性と説得力
2019/12/24
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「日本アイ・ビー・エム(IBM)のコンサルティング=ITコンサル」との固定観念にとらわれている外資就活ドットコムのユーザーは少なくないだろう。同社の戦略コンサルティング部門で活躍中の山本大輔氏も、学生時代にはそう考えていた一人。ところがキャリアを重ねるごとに「事業会社IBM」の戦略コンサルにしかない独自の魅力が見えてきたという。山本氏のキャリアストーリーを通じ、IBMコンサルの正体に迫る。
「コンサルは虚業」ではなく、しっかりと実業だった
――学生時代の就職活動の軸はどのようなものだったのでしょうか。
山本:商学部で経営戦略論や経営組織論を専攻していましたが、テクノロジーに興味があって、それを世の中に広めるような仕事をしたいと思っていました。必ずしもITでなくてよかったんですよね。化学系でも自動車部品でも、技術そのものが優れていれば何でもよくて、それらで面白い世界を実現する手助けができたらいいなと。
例えばメーカーなら、完成品を作るというよりはもう少し前の段階で関わることができるほうがいいと思っていました。その部分で使われている技術に触れることで、将来的にはその技術を活用したビジネスを創出したいと考えていましたね。
――そうした中で、コンサルティング業界を志望したのですか。
山本:必ずしもコンサル志向ではなかったのです。当時はむしろコンサルにいいイメージばかりを持っていたわけでなく、「虚業」って言われたりしますし、それだったら実業の世界に入っていったほうがいいのではないかと考えていました。だから、就活ではあまりコンサルティングファームを受けていなかったんですよ。
ただ、IBMという事業会社が持っているコンサルティング会社(当時のIBMビジネスコンサルティングサービス株式会社)には興味を持ちました。そして、その選考が進んでいく段階で、テクノロジーの可能性や、社員が楽しそうに仕事をしている様子に触れるにつれて、志望度が上がっていきましたね。
――コンサルは虚業ではないかという不安は残っていなかったのですか。
山本:確かに、そういった懸念も少しは残っていましたが、あくまで学生が外から見ただけの感覚ですから。それよりも仕事や会社に強い興味を抱いたので、実際に飛び込んでみて、自分で確認してみればいいかと思いました。
先に結論を申しますと、実際に中に入ってみて、IBMのコンサルは虚業というイメージとはかけ離れていました。実際のプロジェクトを経験するうちに、お客様の株価が上がったり、業績が回復している事実を目の当たりにしました。虚業ではなく、しっかり実業だったのです。
4年目で50人規模のタスクフォースリーダーに。専門家集団を束ねる醍醐味を意識
――学生のころは、IBMのコンサルに対してどのようなイメージを持っていましたか。
山本:当初はITコンサルというイメージを持っていましたね。現に最初に担当したのが、ERPという統合基幹システムの導入。お客様の業務をシステムに置き換えていくという、まさにITコンサルタント然とした仕事でした。そこではテクノロジーに関する基礎的な知識やお客様のビジネス、業務プロセスへの理解を深めることができました。
――その後のキャリアについて教えてください。
山本:4年目に入って、50人規模のプロジェクトのタスクフォースのリーダーを任されるようになりました。
本当の意味でIBMが強さを発揮するためには、デザイナーやデータサイエンティスト、ITアーキテクトなど複数のスペシャリストを束ねる必要があります。さまざまな領域の専門家が集うことの醍醐味を入社4年目で経験できたのは、今振り返ればよかったと感じています。当時は、大人数で一つのゴールに向かって力を合わせてプロジェクトを進めること自体が、単純に楽しいと思っていました。
その後、組織・人材変革コンサルティングチームに異動しました。組織変革や人材育成といった領域にシフトして、これまでとはまったく違う仕事になりました。
人材育成や組織の課題って、業務システムと違って、いわば正解がない世界。単純にシステムを入れ替えればすぐに改善されるような話ではありません。お客様の会社の中でどういった人が働いていて、どういう思いを持っていて、何に困っているのかを、文字面ではなくて、実際に頭の中で人を動かしながら考える必要があります。
この仕事には、分析力も必要ですし、体系的あるいは構造的に物事を捉える力も問われます。とはいえ抽象的になりすぎないように、しっかりお客様と目線を合わせなければいけません。抽象的な世界と具体的な世界を行き来するような感覚です。
「いかに思ってもみなかった経験を生めるか」 偶然を楽しむ心意気
――かなり順当にステップアップしてきた印象です。こうしたキャリアは個人で描いて自ら獲得していくものですか。それとも個々の適性によって会社が提供してくれるのですか。
山本:私の場合、あまり自分の意思ではなかったのですが、とはいえ、会社がキャリアを用意してくれたわけでもなく、ちょうどその中間点のような感覚です。
実は、組織人材コンサルタントに変わったきっかけは、先輩の誘いです。IBMという会社は基本的に、人事によるローテーションはほぼありません。どちらかというと自分で「この部署に行きたい」と申し出て、受け入れ先の部署がOKであれば成立します。
自分が理想とするキャリアを築いていくことも可能ですが、私自身は、特に明確なキャリアビジョンを持っていませんでした。最初に配属となった部署の仕事も十分に楽しかったので、“ここでキャリアを積んでいくだろう”と思っていました。ですから、先輩に誘われなかったら、今でもその部門に在籍し続けていたと思います。
――先輩の誘いがあったとはいえ、迷いはなかったですか。
山本:単純な話、組織人材のコンサル部門に移ったほうが面白そうだと思ったのです。元々、大学で組織論も勉強していたので、その実務に取り組むチャンスが得られるのであれば、舵を切るいいタイミングなのかなと思いました。
―― “こういう風に成長しよう”と具体的にキャリアを描いているわけではないのですね。
山本:正直、「将来こうなりたい」というよりは、「面白い仕事がしたい」という思いが強かったと思います。この気持ちを表現するのに、もっとも近い言葉は「IBMを楽しみたい」という感覚でしょうか。様々な種類のプロジェクトがあるので、知的好奇心があって、好き嫌いが少ない人であれば絶対に楽しめます。
――自分の好奇心に導かれるままにキャリアを選んでいくと、ときには「間違えてしまった」という事態に陥りませんか。
山本:「計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」という考え方があって、それが自分のキャリアに合っていると思っています。要するに、偶然性によってキャリアは形成されているし、それを楽しめるほうが、充実した社会人生活を送れるのではないかと。いかにして、思ってもみなかった経験を生み出せるかということを意識しています。
例えば、入社3年目に新入社員研修のインストラクターを任されたのですが、これもまさに偶然の産物。たまたま出席した飲み会に私の新入社員研修を担当したリーダーが来ていて、その人と話す中で「こいつにやらせたら面白そうだ」というノリで始まりました。
そして今度は、その新人社員研修で一緒になった別の先輩に誘われて、先ほど説明した組織人材コンサルの部署に異動することになったのです。
――確かに偶然が偶然を呼んでいますね。
山本:はい。7年目に戦略コンサルタントになるのですが、これもまた、たまたまといいますか・・・。当時の上司が退職することになって、次のステージを考える機会を与えられたのです。
人材に関わるプロジェクトには非常にやりがいを感じていたのですが、それ以上に面白そうだと感じたのは、テクノロジーを起点として、お客様のITの在り方全体の構想を描いていく業務。要するにテクノロジーという武器を用いた技術戦略コンサルティングにチャレンジするのも面白いのではないかと思って異動を決意しました。
前回の異動時もそうでしたが、今回も、7年目というタイミングで、上司が退職するという外部環境の変化が起きた。これもまさに偶発です。
現在は企業のIT戦略やプロジェクトのシステム企画の構想を担当するチームに所属しています。今後、ますますITと戦略の結びつきが強まる時代になっていくのは間違いないので、まさに企業の心臓部に携わっているような感覚があります。
振り返ってみると、最初に業務システムを担当し、次に人材に関わるコンサルティングで経験を積みました。そして今は、さらに上流である企業の戦略に携わっているということで、過去の経験がすべて役に立っています。
IBM自身の成功や失敗、独自の研究開発。説得力ある提案につながる
――IBMの戦略コンサルティング部門は、お客様からどのような期待や評価をされていると感じますか。
山本:これまでIBM自身が事業会社として成功も失敗も経験してきました。だからこそ、お客様が同じような課題に直面している場合、自らの「実体験」に基づいた具体的な課題解決策をご提案できるのです。
またIBM東京基礎研究所では最先端の研究を行っており、それをビジネス化していく最前線に立てるのもIBMの戦略コンサルティングの醍醐味と思っています。競合他社から転職してきた方からも、そういう点でIBMという環境を満喫しているという話を聞きます。
――IBMの戦略コンサルティング部門で活躍するためには、どのような力が必要でしょうか。
山本:単なるロジカルシンキングだけでは不十分だと思います。大きなビジョンを描く構想力も必要で、右脳と左脳の両方を駆使する必要があります。
また、「こいつのためなら一肌脱ごう」と思ってもらえるような人間関係を構築する力は必須です。全世界のIBMにいるスペシャリストたちが「面白そうじゃん」と思って協力してくれるように自らが振る舞うこと。いかにIBMの力を結集して面白い仕事をしていくかというのが、今後の私のテーマでもあります。
スペシャリストを束ねるのは実に難易度が高いのですが、実現できる土壌はあると感じています。協力的な人ばかりですし、楽しそうに仕事している人が多いんですよ。やはり、個人がやりたいと思ったことをサポートする雰囲気があるので、皆仕事を楽しめるのでしょうね。そういった風土が根付いています。
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