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未知の価値を生む「ティール組織」。“外コン・外銀”ではなく、時代の最先端を生きる選択肢

今知っておきたい「ティール」の存在


複雑な階層の中で個人が競い合って成果を上げ、短期間で組織として成長する――。そんな企業が良しとされる世界観は変わりつつあるのかもしれない。“時代の最先端”においては。

次世代の組織の在り方を示した著書『ティール組織』が、世界でベストセラーになっている。上司らの細かな指示なしに目的実現に向けて各メンバーが自律的に取り組める、生命体のような組織。この「ティール組織」は、就職活動前後の学生にも決して遠い話ではない。

ティールの考え方に共感する各企業は、実際にどのような取り組みをしているのか。そこでは新卒社員はどのように扱われ、成長するのか。複数の企業や組織、研究者らに取材した。

「ティール組織」とは
次の3つの特徴のいずれか、あるいはすべてを備える組織。
自主経営(階層やコンセンサスに頼ることなく、同僚との関係性の中で動くシステム)
全体性(誰もが本来の自分で職場に来ることができ、同僚・組織・社会との一体感を持てるような風土や慣行がある)
存在目的(組織自体が何のために存在し、将来どの方向に向かうのかを常に追求し続ける姿勢を持つ)
元マッキンゼー・アンド・カンパニーのフレデリック・ラルー氏が、著書『ティール組織』(2018、英治出版)で提唱した。ティール組織の運営方法として定まったものはなく、各組織で異なる形がとられている。

 
※「ホラクラシー」との違い
ティール組織について語られる中でよく出てくる言葉に「ホラクラシー」がある。ホラクラシーとは、ティール組織を目指す組織が一部活用している手法の一つで、再現性が高いといわれている。アメリカのホラクラシー・ワン社が提唱した概念で、具体的には、“ホラクラシー憲法”の活用や“ガバナンス・ミーティング”といったユニークな仕組みの導入により、組織内の透明性を高め、上下関係を撤廃して個々の主体的な動きを促す。

 

「解のない世界に解を作る」 必然としてのティール

コンサルティングビジネスを手掛ける東証一部上場企業・シグマクシスは、2008年の創業以来、ティールに近い考え方で組織を運営してきた。

社内の階層は最低限しかない。ヒエラルキーに基づく指揮命令ではなく、プロジェクトごとのチームの中で個々の役割が定まる。メンバーの話し合いでチームごとに独自の就業ルールが決まる。社員が個々に机を持たない完全フリーアドレスで、そもそもオフィスの席数は全社員人数の3分の1にも満たない。

経費精算など書類のやり取りが必要なときだけ出社する社員もいる。それでも、社内のコミュニケーションを活性化するため、デジタルツールを駆使。経営上の重要データもリアルタイムで確認できる状態となっている。「あの数字どうなってる?」と担当の管理職に尋ねずとも把握できる。無駄が徹底的に省かれているのだ。

「一人一人が元々持っている『自分のやりたいこと』をベースに、自分のミッションとゴールを自分で決めます。チームの中でルールとアウトプットの品質基準を決め、やり切る。そして成果を出すのです」と説明するのは、同社の創業メンバーの一人でディレクターの内山そのさん。

内山さんによると、同社では「ティール」や「ホラクラシー」といった言葉は使わず、「自律型組織」と呼んでいる。なぜこうした運営方法をとっているのか。背景にはコンサル業界の変化があるという。

「私がこの業界に入ったころは、『知識の再販』か『グローバルの成功事例の輸入』によってクライアントの大抵の課題を解決できていました。つまり、すでに何かしらの解があり、それを料理して当てはめればうまくいくことが多かったのです」(内山さん)

しかし、インターネットやITの爆発的な普及で急速にデジタル化が進む中、特にここ10年くらいは「解のない依頼」が増えてきたという。内山さんは「すべてハンズオンで一社ごとに特有の解決策を考えなければ、価値の高いアウトプットを生めなくなってきました」と語る。

「こうでもない、ああでもないと言いながら、お客さんと一緒にトライ&エラーを繰り返す。やったほうがいいと思ったことは『やらせてください』とすぐ言える環境。『これをビジネス化したい』とか『A社とB社と組んでこれを立ち上げたい』とか、そんな自由な提案が次々に出てくる土壌でないといけないのです」(内山さん)

内山さんは、「『これはリスクだからやっちゃダメ』とか『お前はこれをやれ』とか言っている人間が“上”にいればいるほど、こうした自由な発想はなくなっていってしまいます」と指摘する。そのため、社内のピラミッド構造はできる限りフラットとし、情報が常に流通するような働き方を可能としたのだ。


シグマクシスのディレクター・内山さん


 

新卒でティール、「学べる環境」と「自ら学ぶ姿勢」が不可欠

そんな同社では毎年40人規模の新卒採用を行っている。新卒社員はどのように扱われるのか。

「自分の成長は自分で設計するというコンセプトをものすごく強く打ち出している」と内山さんは説明する。「自分のやりたいこと」が「やるべきこと」に限りなく近づき、高いモチベーションで仕事に向かえるようにするために、自分が何をすべきかを自身で設計することが求められるという。

ただ、自分の成長に役立てるための研修やトレーニングなど学習の場は豊富に設けられている。まず入社後半年間は新人研修がある。「初めは稼がなくていいから、自分で自分のご飯を食べられるようになってもらうため“箸の上げ下ろし”を学んでもらいます」(内山さん)。

その後は、用意されている充実したトレーニングのコースから自分が何を受講するか、すべて自ら決めることができるという。「今年はこれくらいのことができるようになりたいと思ったら、それに合わせて何を学ぶかはすべて自分で決めて、という考え方」(内山さん)なのだ。


シグマクシスのオフィス。完全フリーアドレスとなっている(写真:同社提供)

このような「育てる環境が当たり前にあるかどうかが重要」と語るのは、ティール組織の考え方に共感し、組織運営を行うBIOTOPEの代表・佐宗邦威さん。同社は、P&Gでマーケティングを経験するなどした佐宗さんが2015年に立ち上げた共創型戦略デザインファームだ。創業数年ながら大手コンサルや広告代理店と競合しても案件を勝ち得ているという。

BIOTOPEは現在30人規模の組織。「新卒採用」という採用区分は設けていないものの、大学などを卒業後すぐに採用した“新卒社員”は複数人いる。いずれもインターンシップや業務委託を経験後に社員として採用していて、入社1年足らずで主力メンバーといえるまで成長しているという。

「ティール組織は、ふつうにやると新卒よりもスキルをすでに持つフリーランスが集まってやるほうが簡単だと思います。ですが、うちはBIOTOPEという社名の通り『新しいものが生まれる場』なので、育てる環境をすごく重視しています」(佐宗さん)

ただ、自ら学び取る姿勢は不可欠だ。「無人島にヤシの実がたくさんなっているものの、初めはどう登れば取れるのか分からない状態」。佐宗さんはこう表現する。他のメンバーらから学べる機会は豊富にあり、学べる内容のレベルも高いため、「やる気があって自分からアクセスできる人ならすごく学べる環境ですが、誰が指示するわけでもない」(佐宗さん)。

この自律的な学びの環境を整えるため、佐宗さんは組織全体の関係性作りに気を配っている。農産物の生産方法に例え、「ティール組織は自然農法みたいなもの。養分の管理を徹底的に行うのではなく、自然界と同じような生命力あふれる豊かな土にすることで自然にいろいろな野菜が育つようにする。そのための“土づくり”が大事なのです」という。


BIOTOPEの代表・佐宗さん

 

「自分がハッピーになりたい人はティールに向いている」

しかし仮に環境が整えられていても、すべての人がティール組織の考え方で動けるわけではなさそうだ。どのような人間がティールに向いているのだろうか。

佐宗さんは、「『正しいキャリアは何ですか』と聞いてくる人にはティールを勧めません。ですが、『こんなことをやりたいのですがどうしたらいいですか』と聞いてくる人にはオススメです」と語る。自律的な学び方ができる人や、自分なりのキャリアを創造したい人にとってはティールはとても適した環境といえるのだろう。

一方で、社会で通用する武器が身につくまでの一定期間、さまざまなロールモデルが存在する従来型の組織の中で基礎トレーニングを積む選択肢もある。それに比べたら、ティールは「けもの道」といえる。

佐宗さんは、「ティールで育った人間は、定まった枠を超えたマインドセットで生きていけるようになる。そういう生き方がその人にとってワクワクする未来なのかは人によります。そのため、必ずしも全員に勧めるわけではないのです」という。

「自分がハッピーになりたい人はティール組織に向いていると思います」

そう語るのは、早稲田大学ビジネススクール(大学院経営管理研究科)の准教授で経営学が専門の入山章栄さん。入山さんは、ティールの最大のポイントは「メンバー一人一人が自分のビジョンを追い求め続けること」にあるという。

またティールとは「自分のビジョンを追い求める人たちが、緩やかにシェアする組織の方向性に共感して集まった集合体」であるとし、「『自分が何をしたら本当に幸せなのか』に価値を置いて楽しくやりたい人はすごく向いています」と語る。さらに、「それが『金をたくさん稼ぐこと』だという人はたぶん向いていない」と指摘する。

なぜなのか。入山さんは、「モチベーションの源泉は大きく分けると外発的なものと内発的なものがあり、ここではどちらかというと後者のほうが重要です」と説明する。つまり、金銭を与えられるという外部からの報酬というよりは、自分の何かしらの行動自体に大きな価値を感じる人が向いているというのだ。

一般に、新卒で外資系コンサルなどに入社すれば、その後生きていくための汎用性の高いスキルが身につくといわれる。「自分のやりたいこと・好きなこと」が何となくでもある人の場合、キャリアの初めの数年とはいえ、「やりたいこととは違う」などと感じながらもこうした従来型組織を選ぶが良いのか、それとも初めから好きなことを追求するのが良いのか。

「どちらが良いというよりは、方法論が先か、目的が先か、という話かもしれません。方法論が身につきそうだからと外資系コンサルに行く人は、もしかすると『本当にやりたいこと』、すなわち目的が見つからないかもしれない。逆に方法論が学べないリスクはあるものの、最初から目的を追求して楽しくやりたい人はティールを選ぶのでしょう」(入山さん)


早稲田大学ビジネススクールの准教授・入山さん

この時代に戦コンに行く人は「負け組」?

それでは、将来的に、ティール組織かどうかが企業選びの一つの軸となることはあるのだろうか。現段階では、ティール組織やホラクラシーを標榜している企業への入社を望む人であっても、「ティールだから」といった志望理由を挙げることは少なそうだ。

システム開発スタートアップ・エンゲートは、自社の人事システムとしてホラクラシーを採用していることを前面に掲げている。しかし、「ホラクラシーがまだあまり知られていないのか、それほど質問を受けることはありません」と同社広報の藤田綾子さんが語るように、働き手側の関心はまださほど高まっていない印象だ。

同社はブロックチェーンの技術力を強みとしている。そのブロックチェーン技術を中心にして集うメンバーのマインドや組織への考え方と、権限の分散化といったホラクラシーの考え方がマッチすると考え、2018年の創業時からホラクラシーを導入したという。

同社に入社すると、名刺や公式サイトなどに掲載する自分の肩書や、出勤時間を自ら決める。新卒採用も行っており、「現在はほぼ即戦力に近い優秀な学生を確保することができています」(藤田さん)という。

藤田さんは、現在の同社のメンバーについて、「新しいものに引かれる人が直観的に面白いと感じて入社してくれている」と話す。とはいえ、ホラクラシーに相応しい人事評価制度や就労規則の策定には苦心しており、「『ホラクラシーだから入社する』というところまで企業文化や制度を磨いていく過程にあります」という。


エンゲートのコーポレートサイト。ホラクラシーを導入していることが明示されている

しかし、BIOTOPEの佐宗さんは、ティールかどうかが就活の軸に「将来的になると思います」と話す。

「ティール組織は、今のネット時代に創造性を高めようと思ったら必然的に行きつく解だと思います。ただ、“時代の最先端”ではある。そのため今の時点では、外資就活ドットコムのユーザーの中でも、時代の構造変化に対して感度のかなり高い人だけがその世界観に共感している程度でしょう」(佐宗さん)

この見方は、佐宗さんが起業した背景にも通ずる。過去に自分がクライアント側として関わった戦略コンサルからは「新たな価値」や「特筆すべき成果」が出てこないことを身をもって知ったという。「イノベーティブな新しいものを生むには、今考えられている手法ではないやり方のほうが合理的だと思ったのです」と語る。

この視点には、まだ解のない依頼に対して新たな解を生むための土壌として自律型組織を選んだシグマクシスの姿も重なる。今、次代につながる新たな価値を生む組織であるためには、ティールの考え方を取り入れることが必然なのかもしれない。

早大ビジネススクール准教授の入山さんは、誰もが知る外資系戦略コンサルの名前を挙げ、「今そこに行くのは“負け組”。その時点でイノベーションを起こせない人たちといえます」と持論を語る。戦略コンサルの現役のパートナークラスにも「当時は知る人が少なかったから入ったが、今なら戦略コンサルには入らない」と言い切る人がいるという。

今の資本主義を乗り越える? ミレニアル世代の可能性

ティール組織は次世代における「必然の解」かもしれないし、たしかに新たな価値を生みやすい土壌といえるかもしれない。しかしながら、これまで見てきたような個人の自由度の高い組織で、従来のいわゆる「達成型組織」と同等以上の“成果”は上がるのだろうか。

エンゲートの藤田さんは、「従業員側に実力があることが前提ですし、経営側は権限を委譲する胆力が要ります」とポイントを示す。「“放っておいても勝手にできるスタッフの集まり”を“信じて遠くから見守る”イメージ」ともいい、主体性のない人や、スタッフ側の変化のに経営判断が追いつかないことがあると、組織がうまく回らなくなる可能性を指摘する。

「失敗もたくさんあります。事業そのものの失敗もありますし、いろいろなところで失敗します」と語るのはシグマクシスの内山さん。しかし、解のない世界に解を作るのだから失敗もあって当然、というのが同社のスタンス。内山さんは、「率先して失敗をする。やってみなければ分からないものはやってみるのです」と力を込める。

失敗も少なくないとはいえ、同社は2013年にマザーズに上場。2017年には東証一部への市場変更をかなえ、順調な成長を見せている。内山さんは、「“無秩序”ではないものの、自律性は高める。それでいて間違っていることは間違っていると言わなければいけないし、難易度は高い」と語りながらも、たしかな手応えを感じているようだ。

BIOTOPEの佐宗さんは、「短期的に成果を出せといわれたら、達成型組織のほうが出せる可能性は高いかもしれません」と率直に語る。しかし同時に、「時間軸を少し長くして見ると、ティールが生み出す価値のほうが絶対に高いと思います」と一歩引いた視点も示す。

また、達成型組織を農産物の「促成栽培」に例える。温度などを管理することで野菜の発育を促して通常よりも早く収穫する促成栽培では、「栽培する野菜をどんどん入れ替えて3年するともうそこでは育たなくなってしまいます」という。一方で、ティールに例える「自然農法」では、「土が良いため長期的に良い野菜が育つのです」(佐宗さん)。

佐宗さんはさらに、「外資メーカーとかにありがちですが、『あの人は成果をすごく上げるけど、その人が通った後にはぺんぺん草も生えない』といったことがけっこうあります。栄養分をすべて搾り取り、使い切って成果にしていくところがある」と指摘。周囲のメンバーの疲弊や離職率の上昇といった“代償”が伴うということだ。

「それらを考えたとき、特にうちのようなクリエイティブな組織では個々人のモチベーションや創造性が最重要の経営資源なので、“達成型”では疲弊していくと思いました。『休みたい』とか『別のことをしたい』、『何のためにやっているのか分からなくなった』などとなりそうだと。特に質を重視する組織には達成型は向かないでしょう」(佐宗さん)

それでは、佐宗さんが語るような「長めの時間軸」で組織が評価される未来は訪れるのだろうか。佐宗さんは、1980年以降に生まれたミレニアル世代が現場の主役になりつつある今、組織の創造性や長期的な自分の存在意義を重要視する彼ら彼女らによって、必然的に現場の雰囲気は変わりつつあるとみる。

「ネットなどインフラがさらに整えば、よりシェア型の経済に変わっていく。そのときには今の資本主義を乗り越えて、個人の存在意義が重視される世界が実現するはずです」と佐宗さんは予想する。

佐宗さんによると、同じ30代で「儲けようというよりは社会のために何をやるのかという意識の起業家」も目立ってきた。そうした世代が社会にインパクトをもたらすようになるまで「あと10年くらいじゃないか」と考えているという。

現時点では、ティール組織が答えかどうか分からない。そもそもティールとしての定まった運営方法や組織形態があるわけでもない。しかしながら、そこは時代の最先端であり、これまでにない新しいことをやっているのは間違いなさそうだ。今この時代に自ら答えを作っていく取り組みそのものが、ティールという現象なのかもしれない。

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