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毎年コンサルティング業界の志望者は、戦略系・会計系・総合系・ブティックファームなどファーム選択に悩むと思います。有名なファームに入社した先輩からも「想像と違った」という声を時々聞き、より悩みを深めることでしょう。
果たして、コンサルタントは最初のファームをどのように選べばよいでしょうか?
そこで今回は、アクセンチュア戦略グループに15年間にいた後にKPMGコンサルティング立ち上げに参画され、現在同社の執行役員を務める佐渡様に、業界で20年近く第一線で活躍されたコンサルタントの立場から見た 「ファーム選択のポイント」「コンサルタントが持つべき視座・心構え」 について御意見をいただきました。
1.ファーム選択でまず問うべきは「何故コンサルタントになりたいのか?」
2.「人間力×機動力」が試されるコンサルタントで居続けたい。だからKPMG立ち上げに参画した
3.会計系と総合系の違いは「実行の部分の濃さ」
4.フェルミ推定・MECEだけの人材は「つまらない」と見てます
5.ワークライフバランスを間違えて捉えている人は、伸びてない
6.KPMGは新卒にこそ、積極的にイベントやメディアに出てもらう
ファーム選択でまず問うべきは「何故コンサルタントになりたいのか?」
ーー前職のアクセンチュアではどのようなキャリアを築かれていたのでしょうか?
佐渡:前職のアクセンチュアでは15年間事業戦略・マーケティング戦略・営業戦略など戦略策定の領域をメインで取り組んできました。ただアクセンチュアも KPMGも同じ総合コンサルティングなので、その後のオペレーション改革など、戦略から実行までお客さんをべったり支援しているケースも多かったです。
またトップラインを伸ばすだけでなく、2008年から2013年までは戦略コンサルタントとしてコストを下げてキャッシュを生む調達改革などにもたくさん関わりました。2008年のリーマンショックでマーケットが傾いた時に、クライアントの経営のトップイシューとしてコスト削減に比重が置かれたからです。業界としては、金融・Public以外は幅広く携わり、家電・通信・ OA機器の三つの業界をメインに関わっていました。
ーー戦略系・会計系・総合系、規模の大小など、ファーム選択で悩む方は多いと思います。「ファーム選択で重視すべき事」について、佐渡様の御意見をいただけませんか?
佐渡:まずシンプルに問うべきことは、「何故その会社に就職したいのか?」ではなくて、「何故コンサルタントになりたいのか?」という点だと思います。
私は「コンサルタントは自分の価値で勝負する職種」だと思っているので、そういう仕事を選んだ以上は、「自分を最も鍛えてくれる会社」に入社するべきだと思っています。コンサルタントになった以上、常に自分の市場価値を高めて、その後いくらでもキャリアチェンジ、キャリアアップを狙っていくわけですから。
ーーなるほど。そう仰る理由について、是非詳しく教えてください。
佐渡:コンサルタントは自分で常にオーナーシップを持って、早いうちから自分の力を試して勝負してみたい、と思う方が多いと思います。私もそういう人間になりたいと思って走ってきました。ところが、コンサルティング業界が活況を極めて、どんどんビッグファーム化していく中において、傾向として一人一人の価値が薄まってきているように思えます。
経営上は人の価値だけに頼らずに企業を安定的に成長させる、という正しい方向性にあるのは事実ですが、コンサルタント個人に焦点を当てて考えると、30人のビッグプロジェクトの中の1人と、3人のプロジェクトの中の1人だと、絶対後者の方が“個”としての成長力は高いんですよ。もちろん、それと比例してプレッシャーは強くなりますけどね。
一昔のコンサルティング業界は後者が基本だった。「お前のせいでうまく行かないだろ!」って怒られる事も少なくなかったですね。厳しさがありました。それくらい、一人一人の付加価値で報酬が決まるんだ、という意識が強かったですね。そういう状況に身を置いて、十年も頑張るから、独立もできるし、自分の価値が高まるし、気づいたらお客さんがついてくる。コンサルタントはそういったキャリアビジョンが大きな魅力でしたね。
しかし、徐々にコンサルティング業界全体の流れとして成長至上主義に走り始めてからは、各社ビッグディールを追い求め始め、結果、大規模プロジェクトに多くの若いコンサルタントが張り付くようになってきた傾向が少なくありません。そうなった場合、そこで生きていく術は身につくけれど、自分の力・価値はなかなか思ったほどのスピードや進度で高まって行かない、そういう構造が生まれつつあると思います。
その分、様々なビジネスや役割がコンサルティングファームの中でも生まれ始め、結果、長くコンサルティングファームに在籍する事も不可能ではなくなってきたと感じています。一方で、規模が小さく、一人一人のスキルやパーソナリティーがビジネスの根幹を形成している、そういう規模感のファームでは、そうもいかない。やはり“個々人のスキル”がガラス張りであり、そこへの期待も大きい。その為、個々の育成への真剣度も違う。
こうした変化をしっかりと理解した上で、コンサルタントを目指す学生達に問いたいのは「コンサルティングファームに就職したいのか?」「コンサルタントになりたいのか?」というシンプルな問いなんです。
ーー規模が小さい方が、「矢面に立つので、早く鍛えられる」という意味ですね。
佐渡:そうです。もし「コンサルタントになりたい」ならブティックファームの方がむしろ鍛えられるかもしれなくて、リアルな力がつくんですよ。
KPMGを選んで入った新卒には、一人一人がマーケットで価値を出せるようになってほしいし、それくらいの気持ちでいてほしいと思っています。個として見られることがコンサルタントとして働く醍醐味だと思います。
ーー私は昔ブティックファームにいたんですが、30人のプロジェクトの1人だと矢面に立てない上、プロジェクト全体のイメージもあまり湧かなそうですね。
佐渡:全体像が本当に見えないです。総合ファームだとどこもそうだと思いますけど、1プロジェクト30人から50人というケースも少なくありません。当たり前です。そうなるとコンサルタントとしての成長は、昔ほどドラスティックな手応えが感じにくい人も生まれてきます。
「人間力」×「機動力」が試されるコンサルタントで居続けたい。だから、KPMG立ち上げに参画した
ーー15年間ずっとアクセンチュア戦略グループにいて、なぜ転職を考えたのでしょうか?
佐渡:基本的に今もアクセンチュアはすごくいい会社だと思っています。私は学生にどこのファームがいいですか?と質問されたら「KPMGかアクセンチュアのどちらかだね」と答えているぐらいです(笑)。ですが、KPMGコンサルティングに私が参画したのは、私は「コンサルタントの“個”」というものにもっと拘っていたかったからです。
コンサルティングファームの進化の流れを見ると、多様なビジネスに進出しながら面白みを増していく一方で、人の力を超えたグロースを創り出す、そのアクセルをどんどん踏み込んで行くんだ、という動きが見てとれると思います。先にも述べた通り、それは悪い事ではなく、経営上は正しい方向性だと私は思っていますし、長い歴史を経てそのステージに来たという事だと考えています。いつまでも人の質と数だけに依存していたら大きな成長は見込めませんから。これはコンサルティングファームの経営としては正しいのです。
アウトソーシングビジネスやシステム開発、更にはVC でファンド入れてリターンで稼ぐ、コンサルタントの個の力を超えた多様な儲け方を創り出して企業を発展させていく、そういうダイナミズムが業界全体で起きている訳です。
それはそれで面白い流れである一方で、個人個人からみたら弊害も生まれてきています。会社の成長を過剰に追求していくばかりになんとかシステムに落とし込む、大きなアウトソーシングに繋げていく、そしてそういう大きなプロジェクトにアサインされた方が評価されやすいような雰囲気など、これはどう綺麗事で飾っても力学上そうなります。
そういう成長ステージに来たことで、本質的な私の価値観とはやはり合わない部分が随所に出てきたのです。
ーー会社のステージが変わり、コンサルタントが求められるものも変わったのですね
佐渡:これは企業発展上、避けられない成長サイクルだと思います。 今でこそ大企業と呼ばれるソニーやパナソニックも草創期は規模も小さくても、おそらくもっと機動力があり、人材力があり、 みんなが一生懸命“自分の力”を梃にして会社を大きくしていくぞ、という気風があったと思います。でも企業が発展していく中で徐々にそうしたものは失われていく、これはグロースを求めて行く以上必ず辿り着く宿命なんだと私は理解しています。
私がいた2000年代初旬はどちらかと言うと、もっとコンサルタントとしての「エッジ」が立っていて、それが求められていました。 それはまだ発展途上のステージだったからだと思います。
ーーその時代のコンサルタントはどのような「エッジ」が立っていたのでしょうか?
佐渡:「機動力」×「人間力」が企業を発展させる雰囲気がそこにはありました。コンサルタント一人一人が鍛え抜かれて、一人一人の存在が重要視されて、苦しいけどやりがいがありました。ここでやれば必ず自分のキャリアがもっと無限に広がりそうだとか、将来いろんな人から頼りにされそうな自分というのがなんとなく将来像として見えていたんですよ。自分とクライアントが向かい合っている、といった構図が。
コンサルタントって自分の体ひとつでマーケットに価値を出せる人間であって、だからこそ独立的に自由に生きていける職業なんだ、って思っていましたし、今でもそう思っています。
まだまだそんな自分にはなり得ていなかったですが、それでもこの道を進んで行けば必ずそうなれるんじゃないか、という夢がなんとなく描けたんですよ。そういう先輩がたくさんいたからかも知れません。徐々にそうした個人と会社の向き合いから、会社対会社の向き合いが強く感じられるようになってきた、それは当然ですよね、ビッグディールともなれば会社対会社でしっかりと向き合わなければうまく進みませんから。
そんな事を感じ始めたころはすでに私はプロジェクトをリードする立場にいたのでまだよかったのですが、コンサルタントの門を叩いた若い人達から見たときは果たしてどのように見えているのかな?将来これぐらい自由に大胆に、機動力も人間力もあるコンサルタントになりたい、といった夢は持てているのかな・・・なんて事を考えるようになりました。
ここは個人それぞれ捉え方があるので、私の見方が絶対に正しいと押し付けるつもりはありませんが、私の価値観から見て「コンサルタントってそういう仕事じゃないよね」って思い始めたのは事実ですね。
ーーそこでなぜ、「KPMGコンサルティング」なのでしょうか?
佐渡:コンサルタントの「機動力」×「人間力」で企業を発展させていくステージがKPMGコンサルティングには存在する、と思ったからです。
他のコンサルティングファームからも有難い事に沢山お声がけ頂きましたが全く興味が湧かなかったですね。コンサルティング業界にいるならアクセンチュアでいいと思っていました。
なぜKPMGを選んだかというと、先にも述べた通り「機動力」×「人間力」という二つの泥臭さがまだまだ必要とされるステージがあると思ったからです。案件も取りに行くしマーケティングもするし採用もするし、人も育てないといけないし、そのために自分も必死で働くし…。つまり「人の価値」が全てのビジネスを左右するステージ。だからこのステージでチャレンジするということだったら、行く意味があるなと思いました。 KPMG だけは違う、ここは面白いなと。
KPMGの立上げ期から参画して約5年経ちますが、苦労は一杯していますけどその決断は間違っていなかったな、と思っていますし 素直に来て良かったと思いますね。
会計事務所系と総合系の違いは「実行の部分の濃さ」
ーー先ほどの話で「なぜKPMGなら行こう」と思ったのか、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。会計系だからでしょうか。それともKPMGはBIG4の中で違うのでしょうか?
佐渡:BIG4の中でビジネス面の違いはさほどないと思います。ただ、その中でのコンサルティングビジネスという領域においては、KPMGコンサルティングは成長ステージが違う。だからこそ、人間的に面白い人が多いな、と思いますね。「人間力」が違うと言っても良いかと思います。
それよりも会計事務所系でない他のコンサルティングファームとの違いの方が特徴的ですね。KPMGを含めて会計事務所系のコンサルティングファームというのはやはり財務的視点やリスク管理等、「ブレーキ機能」を顧客にしっかり提供している点が特徴的だと思います。
アクセンチュアのようなファームは、人種的にも風土的にも面白いことをどんどん作っていこうぜという雰囲気がとても強い。それはそれでとても面白いわけですが、その裏に存在する財務的側面やリスク、コンプライアンスの影響など、そのあたりへの専門性や感度は、あくまでも相対的な視点ですが、会計事務所系の方が強いと思います
KPMGコンサルティングでは、戦略からオペレーション、更にはM&Aの仕方だとか、税金をどうするだとか、コンプライアンスにどう向き合うかなど、グループが持っている多様な機能を結びつけると本当に経営者の視点に寄り添ってあらゆる手が提案できるんですね。
総合ファームが「戦略から実行まで」とは言いますが、実行の部分の濃さは会社によって違うなと思います。
ーーよりビジネスとしてリアルに問われるスキルも持つのが会計系なのですね。
佐渡:そうですね。将来的に経営者になりたいのなら、財務的観点も必要ですし、リスクに対する高い感度も求められます。その意味で財務的視点とか、様々なファンクションを持っていることが会計事務所系の強みだと思います。経営者が持つべき視点をバランス良く身に着けられると思いますね。
フェルミ推定・MECEだけの人材は「つまらない」と見てます
ーーここからはコンサルタントとして求められる視座・心構えについてお聞きしたいと思います。サマージョブでは学生を直接見ていましたよね。それを踏まえた上で学生に伝えたいメッセージはありますか?
佐渡:やっぱり「自分事としてビジネスを見ているのか」という点はコンサルタントを目指す学生の素養としては見ています。
イベントやインターンで、例えば「日本酒の酒造メーカーの社長の視座に立ち、経営戦略を立てよ」といったケーススタディをしてもらったりしますが、社長が考えている視座と、学生からの視座って相当違う訳です。それは当然で、その視点を合わすことは到底無理ですし、そこまでは求めてはいません。
ただ、それを理解しようとする意識を持つことは誰にでも出来るはずです。ホームページで得られた情報や手元に与えられた情報だけを表面的に整理して、解決策を簡単に発言するようなアプローチでは、さすがにコンサルタントの入り口に立つことも出来ないと思います。
つまり「自分事」として真剣に向き合わずに、小手先の「フェルミ推定」だったり「MECE」で整理しようとしている人材は「つまらないな」と思って見ています。それはあくまでも手段に過ぎないので、手段に酔っている人材には興味はありません。
きれいに構造分解をして飄々とプレゼンをしてくれる学生も少なくありませんが、コンサルタントとして最も大事な「自分事として高い視座でとらえ、問題の本質への解決策を提示出来るか」という姿勢が欠けている人からは何も感じとる事が出来ませんね。我々に依頼してくるクライアントはその道何十年のキャリアを積んでこられていて、その上で難しい課題に直面されているわけですから、それ以上の高い視座や深い考察力なしにクライアントの期待を上回る事は出来ませんから。
学生の皆さんには、手段どうこうじゃなくて、コンサルタントという職業の本質というか本分が何なのか、をしっかりと理解した上で自身の適性を見極めて頂きたいですね。
ーーよく構造分解が評価されると思いがちですよね。それだけでは駄目だ、と。
佐渡:そうです。私はそこから何を踏み込めるかというところを見ています。
「コンサルタントとしての本質」をしっかりと理解して欲しい。だから、先ほどの酒造メーカーのケースなどでは、社長にとっては、わかりきっている話やありきたりな課題解決策を提言したところで価値はない訳です。そんな事は何万回と聞かされているでしょうし、理解しているでしょうから。
もっと高い視座において「そもそも日本酒の酒造ビジネスを今後も続けて行って良いのか?」、「先を見た時に見落としてしまっているリスクや抜本的な課題はないか?」といったビューで社長は考えていると思うんです。それくらいの気持ちで課題解決にあたっているか、あたれる人材であるか、を採用時にも見るようにしています。
よく学生から「学生の間は何をしておいた方がいいですか?」と質問を受けますが、その時にはいつも同じ事を伝えています。「日頃街を歩きながら、もし自分が鉄道会社の社長だったらどうするか?」や「もし、自分が通っている大学の学長に明日から就任したら何をするか?」といった事を考えながら日々過ごしてもらいたい、と伝えています。
それが、コンサルタントが本来的に持つべき視座に近いはずだからです。そういうビューを鍛えながら学生生活を日々過ごし、それが楽しいと思えたらコンサルタントに向いていると思いますね。
ワークライフバランスを間違えて捉えている人は、伸びてない
ーー「ワークライフバランスは大事だが、重視しすぎると成長できない、悩ましい」という若手の声をよく聞きます。若手の時期はどう捉えれば良いと思いますか?
佐渡:ワークライフバランスは大切です。そして、そもそも論としてコンサルタントはワークライフバランスが取れている職業だと思っています。 私自身がコンサルタントを選んだ動機の一つもこのワークライフバランスにありました。
連日決まった時間に出社して、遅くまで働いて終電で帰る、長い休暇はあくまでもカレンダー通りでそれ以外は必ず出勤する、そういう働き方に昔から疑問を感じていました。「やる時は徹底的に、必死で働く」でもアウトプットを出して一区切りついたらその時は「思いっきり休む」そういうワークライフを実現したかったんですね。
これは、今でもコンサルティング業界で働く以上、さほど変わらないサイクルなんじゃないかな、と思っています。その日の残業時間がどうこうとか、有給取得がどうこうとか、そうした小さな粒度や制度でワークライフバランスを考えるのではなく、一年や半年といったまとまった周期の中で、自分でワークライフバランスをコントロール出来るという点がとても大事だと思っていますし、そこはコンサルティング業界の魅力だと思いますよ。
自身の若いころを振り返っても、そりゃがむしゃらに働きましたよ、プロジェクトにアサインされている間は。クライアントの社員の方以上に打ち込みましたね。でもプロジェクトが終わったら、一気に休めるんですよ。 二週間くらい休んでいましたね。一年間を通じたワークライフバランスにおいては最高の職だと思います。
だから私は今でも「アウトプット出せないなら出せるまで必死で頑張る」その代わり「やるべき事を成し遂げたなら思いっきり休む」というワークライフバランスを若い人達には意識してほしいな、と思っています。それで自分に力がつけばもっとコントロール出来るようになります。会社の制度は制度で大事ですが、やはりワークライフバランスは自分でコントロールして実現出来るのが理想じゃないですか。
ーーなぜ若いうちは「やるときやる」が重要だと思われるんですか?
佐渡:コンサルタントの仕事は、時間の制約があります。 これは私の書籍でも書いたのですが、コンサルタントは契約期間が3ヶ月なら3ヶ月という時間の制約があり、 時間の中でアウトプット出さなきゃいけないので、「時間をずらす」というレバーは動かせないんですよ。動かせるレバーは「人材の数と質」しかないんです。だから一人一人のパフォーマンスを上げることに躍起なんですよ。
その意味でいくと、「プロジェクト期間中は自分の努力で自分の力で契約を全うしなさい」というのがコンサルタントの正しい向き合い方だと思います。
ーー確かにそうですよね。アウトプット出てないのに帰るとかそもそも契約不履行なので。また、そこに成長は無い印象があります。
佐渡:成長は無いですね。一年を通じて、 ワークライフバランスをとっていくという発想が私は正しいと思っているし、 それを理解してわかっている若手が確実に伸びています。新卒の成長を何人か見てきていますけど、 間違ってワークライフバランスを捉えている人は伸びていないですね。
KPMGは新卒にこそ、積極的にイベントやメディアに出てもらう
ーーBIG4におけるKPMGコンサルティングの違いについて詳しく教えてもらえますか?
佐渡:KPMGコンサルティングは先ほど言った通り、ステージが違う。そして人間的に面白い人が多いと思います。
そして新卒への経営陣のコミットメントの強さというのは多分どのファームよりも強い。新卒を単なる“今年の新人”として捉えるのではなくて、 会社の文化を作り、 KPMGコンサルティングを率いていく「柱」になる人材である、という意識が強いです。これも企業の成長ステージから来るものです。
もちろん、中途で活躍してくれている社員にも感謝していますし、もっと頑張ってもらえるように会社としても色々と手は打っていきますが、加えて新卒に対しての思いと期待が強いんです。そこが他のファームと絶対的に違うところですよ。
ーー是非詳しくお聞きしたいです。新卒の方にとって貴社に入る意味についてを。
佐渡:当然、採用数が圧倒的に少ない。それが何を意味するかというと、期待も苦労も両方大きい事と直結します。
普通、コンサルティングファームに入れば一日も早く即戦力に仕立てるべく、入社間もなくプロジェクトにアサインされて鍛えられていくと思います。KPMGコンサルティングの新卒も当然プロジェクトでのOJTは重視していますし、現場で力を付けていってもらう志向は他社と同じです。
ただ、先にも述べた通り、「人間力」が問われるステージにいるからこそ、足腰となるコンサルタントの基礎力は徹底的に身に着けてもらいます。その為の集中トレーニングや、プロジェクトローテーション、一人一人へのスキルケアなども徹底しています。それくらい「期待」が大きいという事です。
加えて、採用活動やマーケティング活動、社内イベントなどにもどんどん参画してもらっています。人事部門がではなく、コンサルタントの若手自らがマーケットに積極的に露出してもらってKPMGコンサルティングの文化や風土、人間力を伝えてもらっています。
ーーマーケティング活動というのは営業活動でしょうか?
佐渡:営業じゃないです。会社全体のプレゼンスを上げていく活動ですね。KPMGコンサルティングの社内イベントを企画したり、学生向けのセミナーや海外キャンパスビジットなどの採用活動だったり、メディアに寄稿するといった様々な活動です。
経営陣は若手の人達には積極的に関わってほしいと強く思っています。これからも国内外問わず採用活動にも新卒自ら関わってもらいたいし、マーケティング活動にもどんどん巻き込んでいって、随所に新卒入社のコンサルタント達の露出、彼らの市場価値を上げていくことを意識してやっていくつもりです。
ーーちなみに違いの一つに「機動力」も先ほど挙げていましたが、機動力はどう違うんですか?
佐渡:他ファームに比べてセクショナリズムが弱いと思います。
例えばありがちなインダストリーの壁や、このクライアントは誰々のクライアントだからダメだとか、往々にて大きな会社では起こりがちですが、KPMGコンサルティングはまだまだ規模が大きくはないのでコラボレーションを奨励する気風が強くマーケットにスピーディーに向き合いやすいと思います。
また、昨今はやりのデジタルソリューションを開発していくようなシーンにおいても、大きなSIerとの協業ありきで組み先を決めなければならないような縛りもなく、解決に最適だと思われるパートナー企業を選定して開発することも可能です。もちろん、KPMGグローバルとしてアライアンスを組んでいるパートナー企業様を使う事も選択肢として持った上で、です。
また、依頼される案件の中身においても、売上至上主義な会社に起こりがちな「案件の大きさ」を過度に注視するわけではなく、案件の意義や発展性などを総合的に判断して比較的自由な裁量の中でマーケットと向き合えている点も「機動力」の高さを表していると思いますね。
ーーファームの中でもKPMGにはベンチャー要素がある、とよく耳にするのですが、そういうことなんですね。
佐渡:ベンチャー要素があると言われるのは個人的には嬉しい限りです。とはいえ、もう1,000人規模のファームになっていますので、立上げ早々のスタートアップ企業のようなベンチャー感ではないとは思います。今はちょうどベンチャー的な要素も持ち合わせながら、相応の規模の中でも強い個々が育ち、マーケットで活躍できるような制度・インフラを着実に整えている段階だと言えると思います。
同時に企業文化も全員で創り上げて行っている点こそが、KPMGコンサルティングならではの面白さなんだと思います。
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