
業界の激動期に最前線を走る。「ロールモデルのない希少なキャリア」を築いた今、目の前に広がる景色とは
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2025/01/23
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SMBCグループに属する日本総合研究所(日本総研)。国内を代表する大手シンクタンク系コンサルティングファームとして、官民の枠組みを超えてコンサルティングや政策提言活動を続けている。
近年、さまざまなプレーヤーが台頭するコンサルティング・シンクタンク業界において、同社はどのような価値を生み出し、その中で活躍するコンサルタントたちはどのようなキャリアを築いているのか。エネルギーや資源分野を専門領域に、同社の環境・エネルギー・資源戦略グループで活躍する早矢仕廉太郎氏に話を聞いた。
※内容や肩書は2025年1月の記事公開当時のものです。
「通知表でいえば得意教科では5を飛び越えて10を取ってしまう人たち」。強烈に引かれた日本総研の社風
――日本総研に入社するまでの経歴を教えてください。
早矢仕:大学時代は大阪大学で土木工学を専攻していました。卒業後も同大学の大学院で、橋梁や線路といった社会インフラの維持管理に関する研究に従事し、修士課程を修了しています。大学院での研究は、実験や調査よりも、自治体や企業から共有されたデータを基にしたデータ解析や提言活動が中心でした。そのため、現在の仕事に近い部分もあり、コンサルタントとしての素地を養うことができたと思っています。
――日本総研への入社を決めた理由を聞かせてください。
早矢仕:大学院での研究を生かせるということもあって、就職活動では当初からコンサルティング業界を志望していました。ただ、当時からコンサルティングファームは数多く存在していて、「日系か外資か」「戦略系かシンクタンクか」などの選択にはかなり悩みました。
その中で日本総研を選んだのは、自由な社風に魅力を感じたのが理由でした。就職活動では複数のコンサルティングファームを訪問したのですが、日本総研は個性の強い人たちが多かったです。通知表で例えると、他の会社は「オール5」な人たちが多かったのに対して、日本総研は、ある教科では2でも得意教科では5を飛び越えて9や10の成績を取るような人たちが多い印象でした。私は自分の専門知識を生かし、他とは違うキャリアを築きたいと考えていたので、強みを生かせる日本総研の社風にはとても引かれました。
また、情報発信や社会への提言の機会があるのも入社の動機でした。大学院時代には、学会発表の機会で社会への提言を行うことも多く、政策や世論にも影響を与える仕事内容にも魅力を感じました。
――入社後の配属や担当した業務について教えてください。
早矢仕:入社後は、現在の所属と同じ環境・エネルギー・資源戦略グループに配属されました。その後、電力会社やガス会社などの民間事業者や自治体の案件に複数携わっています。特に印象に残っているのは、東京都の水素エネルギー活用に関する計画の支援プロジェクトです。東京都のある街区における水素ステーションの開所や都営バスへの水素供給などを目的にした、水素エネルギー活用の先進的プロジェクトでした。入社1~2年目ほどで社会的意義の大きい案件に参画できたことに、日本総研の業界における存在感の大きさを実感しました。
当時の主な業務は、プロジェクトマネジャーである上長のサポートでした。ただ、日本総研は良い意味で職階に縛られない社風で、入社間もない若手社員でも上長の仕事を部分的に担うことがあります。私も、サポート役ではありながら上長の仕事を代行することが度々ありました。今振り返ってみると、そうした経験は良い成長の機会だったと思います。年次や役職の枠を超えて、レベルの高い仕事を経験できるのも、日本総研の魅力の一つではないでしょうか。
経済産業省機関への出向を通じて「ロールモデルのないキャリア」を築けた
――キャリアの転機になる出来事や仕事があれば聞かせてください。
早矢仕:入社3年目に経済産業省の関係機関である電力・ガス取引監視等委員会に出向しました。電力・ガス・熱供給の小売り自由化に伴って、取引市場の監視などを担い、事業者間の健全な競争を促すことを目的にした組織です。
私が出向したのは2017年4月。ちょうど、電力の小売り全面自由化から1年ほどが経過し、民間事業者が電力取引市場に続々と参入している時期でした。それまで規制産業であった電力の小売り事業にプレーヤーが急増したため、事業者間の摩擦や制度面の不備も顕在化するようになっていました。市場の自由化に伴い、不可避的に発生するトラブルを解消するのが、私の仕事でした。その経験はキャリアを歩む上で今なお大きなアドバンテージになっています。
――具体的にどのような経験がアドバンテージになっているのでしょうか。
早矢仕:「受注側」と「発注側」の両方の視点を持てたことです。基本的にコンサルタントの仕事は受注側です。企業や国、自治体などから依頼を受けて、戦略を立てたり、手を動かしたりします。一方で、電力・ガス取引監視等委員会は経済産業省傘下の国の機関であるため、常に発注側として関係先と関わります。
この違いが日々の業務にどのように影響してくるかというと、仕事における「主体性」の度合いです。国は何らかの事業を推進するにしても、どのような事業を、どのような目標に向けて、どのような方法でと、問いの部分から築き上げなくてはいけません。もちろん問いを立てるためには、常日頃から世の中の変化の兆しに目を光らせておく必要があります。こうした発注側ならではの思考スタイルを身に付けることができたのは貴重な収穫でした。
例えば、私が関わった案件でいえば、LNG(液化天然ガス)の受け入れ基地利用に関するガイドライン改正を手掛けた際に、発注側視点の重要性を痛感しました。電力に続いて、2017年にはガスの小売り全面自由化がスタートしたのですが、その当時は民間事業者の参入を妨げる障壁が少なからず残っていました。
その一つが、受け入れ基地の第三者利用の問題です。電力と異なり、ガスは海外からLNGを輸入して受け入れ基地のタンクに貯蔵してから市場に供給されます。しかし、新規参入の事業者が受け入れ基地を建設するのは困難なため、既存のタンクを第三者でも利用しやすくするスキームが必要でした。そこで、このスキームを整備するためのガイドラインの改正を手掛けることになりました。
しかし、ガスの小売り全面自由化は日本の歴史上初めてのこと。国内に先行事例は存在せず、事業者間の競争を阻害しない規制の形をゼロから構想しなければいけません。そこで、私は事業者の意見聴取を入念に実施し、類似の事例が存在する欧州各国への調査にもあたりました。その結果、ガイドラインの改正にこぎ着け、改正後には受け入れ基地の第三者利用の実績も生まれています。この案件では、ゼロから問いを立てて、その問いを検証するための工程も自ら設計する経験ができ、コンサルタントとしてのレベルを一段上げることができたと思います。
――その経験は、日本総研への帰任後、どのような形で生かされていますか。
早矢仕:自ら問いを立てる思考スタイルが身に付いたことで、容易には答えの出ない、難易度の高い案件にもひるむことなく向き合えるようになりました。
2021年10月に、「2030年度までに温室効果ガス排出量46%削減」を掲げた「第6次エネルギー基本計画」が閣議決定されました。それ以降、再生可能エネルギーに関する案件や問い合わせが急増しています。しかし、エネルギー市場は国、自治体、民間が絡み合う複雑な領域のため、支援に携わるコンサルタントには官民双方の視点が必要です。現在両方の組織で実務経験を積んだ人材は少ないため、それが私のコンサルタントとしての付加価値になっています。
民間の電力会社で長年勤務しているエキスパートの人でも、国の電力政策の審議プロセスには通じていないことが少なくありません。そのため、民間の立場からではなかなかうかがい知れない政策立案のプロセスや見通しを私がアドバイスし、再生可能エネルギーの導入計画の策定を支援しています。他の人材では担えない立場で顧客に貢献できるのは、コンサルタントとしての誇りにもつながっています。
――早矢仕さんは今後のキャリアの展望をどのように描いていますか。
早矢仕:希少価値の高いコンサルタントになれた半面、キャリアのロールモデルになる存在が少ないという悩みはあります。今後はコンサルタントとして活躍しつつ、情報発信や政策提言といった有識者としての立場を目指したいです。そこまでの道のりはまだ明らかではありませんが、一定の経験を積んでもキャリアに開拓の余地があるのは、幸せなことだとも思います。これまでと同様、他にはない独自のキャリアを築くため、活動を続けていくつもりです。
「あえて勧誘はしない」。専門分野を極める熱意を持って飛び込んできてほしい
――日本総研の魅力は何だと思いますか。
早矢仕:これまでも話した通り、「独自のキャリアを築ける」のは他社と比べても特異な点だと思います。私に限らず同僚たちの多くも、自らの興味関心に沿った専門性の高いキャリアを築いています。分野も医療・介護、環境・エネルギー、まちづくり・地方創生、交通・モビリティ、インフラ、情報・通信、経営戦略、サステナビリティ戦略など、さまざまです。
それを可能にしているのは、やはり日本総研の社風によるところが大きいです。日本総研は日系のシンクタンクですが、世間的なイメージでいえばむしろ外資系コンサルティングファームに近いと思っています。メンバーそれぞれの興味関心を尊重してくれますし、先ほど話した国の組織への出向についても、私の意向を確認した上で決定を下してくれました。
また、給与体系が業績連動型で実力主義の傾向が強いのも外資系に近いですね。日系の企業には、年功序列とはいわないまでも、職階や入社年次で給与テーブルの等級がある程度決まってしまう印象があるかもしれません。しかし、日本総研に関しては全くそんなことはありません。他社から転職してきて日本総研の給与水準に驚く方が多いのは事実です。
ちなみに、私自身も給与については十分満足しています。日本総研の人々は活躍すればするほど社会的意義のある仕事に関心が向く傾向にあるのですが、それは給与水準の高さが影響しているのではないかと個人的には考えています。自分の暮らしにある程度満足していないと、私的な利益を忘れて公共的な出来事に向き合うのは難しいでしょう。社会的意義のある仕事に取り組むためにも、給与水準は一定水準以上に保たれている必要があると思います。
こうしたことから考えても、自らの専門性や興味関心を突き詰めつつ、その上で社会的にも金銭的にも評価されたい人には、日本総研はかなり水が合う組織なのではないでしょうか。
――日本総研で働く上で欠かせない素養はありますか。
早矢仕:自らの興味関心でキャリアを築いていくには、自らで道を開拓していかなければいけません。加えて、大きな成果を出すのであれば、自分だけでなく、仲間や取引先などの外部組織の力も借りる必要があります。その環境をつくるための工夫やコミュニケーション、それを継続するためのモチベーションは絶対に必要だと思います。
少し厳しい言葉にすると「会社の駒」として働くことに満足する人材はあまり向いていないのかもしれません。自らの専門性を極める熱意と、その道を歩むための環境形成を同時に行える人に仲間になってもらいたいですね。
――最後にこの記事を読んでいる読者に向けてメッセージをお願いします。
早矢仕:私が入社した時から変わらず、日本総研は人材を強く勧誘しないところがあります。「もし良かったら入社してみてはどうでしょうか」という感じでしょうか。入社前から、その人物の自主性を尊重しているわけです。
私もコンサルティングファームやシンクタンクへの入社を検討しているのであれば、さまざまなファームをリサーチして比較するのが良いと思っています。現在は、多種多様なファームが存在しているので、自分の志向や適性に合った組織は見つかるはずです。その上で「自らの専門性を高めたい」「希少なキャリアを築きたい」「学生時代に熱意を注いだ分野で社会的な評価を得たい」といったモチベーションのある人には、日本総研をおすすめしたいです。
