まつもとりー氏に憧れる6年目情シス担当者です。今年の秋から大学院(修士)に留学予定です。
①現在のまつもと氏から見て、博士過程・博士号は人生においてどのような位置づけでしょうか?
②博士にとても憧れるものの、私の関心領域が社会学的な研究領域なので、キャリアに活かせるイメージがあまり持てておりません。
アカデミアではなく民間企業・行政・NPOなどを活動領域にしたいと考えているのですが、博士を、人生あるいは仕事に意味ある形で位置づけるには何を考える必要があるのでしょうか。
お考えをお聞かせいただけますと幸いです。

この質問への回答 1

相談室回答者

京都大学博士(情報学)、さくらインターネット研究所上級研究員、ペパボ研究所客員研究員、Forkwell技術顧問、ネットフォレスト技術顧問、情報処理学会各種委員、ITRC各種委員。第9回日本OSS奨励賞や2014年度情報処理学会山下記念研究賞など、その他受賞多数。2016年に情報処理学会IPSJ-ONEにおいて時流に乗る日本の若手トップ研究者19名に選出される。実績やキャリアの詳細は以下。 http://research.matsumoto-r.jp/

遅くなってすみません.ご質問ありがとうございます.それぞれについて振り返って考えを書いてみます.

1. 博士課程や博士号の位置づけですが,僕個人としては,博士号をとるために行こうと思ったわけではなく,研究や勉強をしっかりとやりたかったというモチベーションが正直なところです.その段階では,それが仕事になるかなどを考えておらず,とにかく無我夢中で博士課程にのぞみ,やりたい研究をやっていきました.ただ,そこで意識していたことは,アウトプットをし続けること,いいものを作るだけでなくちゃんとそれを宣伝して使ってもらうこと,アカデミアだけに限定することなく実務者が集うところにも参加して発表・フィードバックを得ること,でした.それが結果的にあとから繋がりはじめたように思います.

2. についてですが,私自身も漠然と仕事にしたいなとは思いつつも,キャリアに活かすイメージはありませんでした.ですが,1で述べたとおり,自分自身のブランディングをしっかりと行うということは意識していました.そのためには,アウトプットは前提として,それを色々な人に読んでもらう努力,関係するコミュニティに自ら参加していく,それを実践や社会に活かすことを意識する,など,全体としては個人のブランディングを意識することで,社会や仕事の繋がりができ,自然とキャリアや人生につながっていったように感じています.今はインターネットやSNSなどアウトプットする場は沢山ありますので,そういったものを積極的に活用していくことも大事だと思います.

以上,ご参考になれば幸いです.

回答日:2021/03/15