
タフな交渉も乗り越え、世界で勝負する。100億円超のプロジェクトに若手が挑む鉄鋼商社のリアル
Sponsored by 住友商事グローバルメタルズ
2025/04/01
会員登録すると
このコラムを保存して、いつでも見返せます
sponsored by 住友商事グローバルメタルズ
※内容や肩書は2025年4月の記事公開当時のものです。
スケールの大きな商談を、若いうちから任される。それが、「大変だけど楽しい」理由
――若竹さんが担当している仕事について聞かせてください。どんな商材を扱って、どのように業務に取り組んでいるのでしょうか。
若竹:厚板建材事業部に所属しており、主に分厚い鋼板(厚板)のトレードを行っています。厚板は造船やエネルギー、インフラ分野などで幅広く使われる素材です。近年は特に欧州で洋上風力発電向けの需要が急拡大している中、私もその需要を捕捉すべく営業活動を行っています。
扱う商材の特性上、大企業対大企業の交渉になるケースが多いので、一つ一つの案件が非常にダイナミックです。一方で当社は若手にも裁量権が与えられる風土なので、そうした大規模プロジェクトを「任されている」と早期から感じられるのは大きな魅力だと思います。
――海外案件となると、出張もかなり多そうですね。
若竹:そうですね。最近は少し減っていますが、ヨーロッパのお客さまと直接やりとりするために、2週間から1カ月ほど現地に行くこともありました。語学は元々それほど得意とは言えませんでしたが、使わざるを得ないので必然的に身に付いてきたという印象です。
――入社してからの10年間を振り返ると、楽しかった記憶と大変だった記憶、どちらの方が強いでしょうか。
若竹:もちろんどちらもありますが、正直しんどかった記憶の方がよみがえります(笑)。鉄鋼業界は大手メーカーやオイルメジャーなど大企業同士の商談が日常的で、交渉もタフになりがちです。ただ、その分スケールが大きくて面白い。3年目くらいから案件を任されるようになりプレッシャーも感じますが、上司や先輩がしっかりサポートしてくれるので、比較的自由にチャレンジできます。若いうちから大きな案件を動かす難しさと面白さを同時に味わえる、そこが「大変だけど楽しい」理由かなと思います。
――確かに若手にとっては刺激的な環境ですね。若竹さんは、そもそも入社の動機は何だったのでしょうか。
若竹:就職活動の時は「グローバルで活躍できる人材になりたい」「自分自身の魅力を高められる環境に身を置きたい」と思っていて、それが商社を第一志望にした理由です。特に素材や原料に近いような商材なら、“商品の色”ではなく“自分自身”で勝負できるんじゃないかと考えていました。
その中で当社に入社を決めたのは、面接や座談会で出会った方々と「素で付き合える」と感じたから。実際に入社しても人間関係に苦労することはなく、熱くて温かい人が多いので、そこは間違いなかったですね。
未知の土地でゼロからビジネスを作り上げる。モスクワ赴任がもたらした圧倒的な成長
――10年の中でのターニングポイントや、「ここで一気に成長した」と感じた局面はありますか。
若竹:大きいのはやはり海外トレーニー制度でモスクワに2年間赴任させてもらった経験ですね。最初はロシア語も全くできないし、市場としても未知の部分が多くて、本当に手探り状態でした。でも自分なりに現地のスタッフと一緒にお客さまのニーズを探って、どうやってトレードを実現するかを考えていく。そのプロセスで、仮説を立てる→アクション→検証→修正といったサイクルを徹底的に回す力が身に付いたと感じます。
途中で新型コロナウイルスによるロックダウンが始まってしまったので、やりたかったことを全て形にできたわけではありませんが、あの経験が自分にとって大きな成長機会になったのは間違いありません。
――語学面も含めていろいろと苦労は多そうですが、今後もう一度海外に行ってみたいと思いますか。
若竹:はい、思います。現在の目標は将来的にまた海外に赴任して、今度はより大きな成果を出すことです。モスクワに赴任した当時と比べると、「関係者を巻き込み、統率する力」や「顧客の要望や心情を想像する力」に自信が付いてきました。経験を積んだ今なら、海外に行ってもさらに大きな成果を残せるはずだと思っています。
――厚板をはじめとする鉄鋼がどれほど私たちの暮らしに根差しているのか、改めて教えてください。
若竹:鉄はまさにインフラ中のインフラというか、生活の基盤になっていますよね。自動車や家電はもちろん、造船・海洋構造物、橋梁、建築など、あらゆるところで使われています。私が担当しているような厚板は特にエネルギー開発や大型インフラに欠かせないので、自分の仕事が遠い国の人々の生活を支えていると思うと、強い使命感を感じます。
そしてこの仕事の醍醐味(だいごみ)は、何といってもスケールの大きさ。時には取引額が100億円を超えるような商談をまとめることもあり、その瞬間はやはり身が引き締まります。さらに造船所や海洋構造物の建造現場を訪れると、サッカーコート何面分もある巨大な建造物が、ほぼ自分たちが扱う厚板でできている。その壮大さに圧倒されると同時に、「自分が関わった素材がこういう形で世界を支えているんだな」と感じられるので、喜びも非常に大きいです。
――タフな交渉や大きな金額が動く取引で、成果を出すために大切なことは何でしょうか。
若竹:一番は「自責で考える姿勢」だと思います。たとえどれほど難しい相談であっても「自分にできることは何か」をまず考える。その意識があるかどうかで、相手との信頼関係が大きく変わってきます。
実際に私が2年目の頃に担当した案件で、お客さまの都合で再手配が必要になり、通常より大幅に短い納期で商品を納めてほしいと言われたことがありました。メーカーさんにもかなり無理なお願いをして、最初はお互いに「これは難しい」という雰囲気でしたが、最後は「若竹がそこまで言うなら協力しよう」と動いてくれました。お客さまにも感謝されて、自分の中でも「これまで実直にやってきて良かった」と強く感じましたね。こういう「無理難題にも協力してもらえる」関係は、日頃から真摯に取り組んでいるからこそ築けるものだと思います。
この仕事は、「人との信頼関係をどれだけ築けるか」が勝負です。鉄鋼は品質面の差別化が難しい商材ですが、それでもお客さまが「あなたと商売がしたい」と言ってくれるかどうかは、人と人との信頼関係にかかっています。
時には自ら新たな取引先と信頼関係を築き上げ、時には先輩たちが何十年も築いてきた関係を引き継ぎながら、さらに自分の代でプラスアルファの価値を提供して次の世代につなげていく。そんなリレーを通じてこそ、会社も個人も成長し続けられるのではないでしょうか。
“答えを教え過ぎない”育成方針。失敗を許容し、挑戦を後押しする風土でこそ人は成長できる
――最近は若手の育成にも携わっているそうですが、指導する上で気を付けていることはありますか。
若竹:「必要以上に答えを教え過ぎない」ように注意しています。私自身、若い頃に「好きなようにやってみろ」と任せてもらった経験が大きな糧になっているので、後輩にもなるべく自分で考えて行動する機会を与えたいと思っています。
やはり自分で仮説を立てて動き、失敗しながら学ぶプロセスが一番身に付きますよね。もちろん当社の案件は扱う金額も大きいので、大事故だけは防ぐよう最終チェックは行います。でも小さい失敗なら、むしろ歓迎するくらいのスタンスで見守っています。
――若手のうちから主体的に動けることで、成長スピードも上がりそうですね。
若竹:その通りですね。自分で自分に上限を設けることなく、「まだまだ伸びしろがあるんだ」と思えれば、自然とチャレンジしたくなるでしょう。そういう意味でも、当社は若手が成長しやすい環境だと思います。
――とはいえ誰でもいいわけではないと思いますが、この仕事に向いているのはどんな人でしょうか。
若竹:まずは探求心を持っている人です。鉄鋼業界は歴史が長く、成熟したマーケットだと思われることもありますが、洋上風力発電のように新しい需要が次々に生まれていますし、既存のビジネスにも改善の余地は大いにあります。「自分でまだ見ぬ可能性を突き詰めたい」「市場の変化にワクワクする」というタイプの人は、大きく活躍できるのではないでしょうか。
入社時点では、専門知識や語学力がなくても大丈夫です。私もTOEICのスコアがあまり高くなくて、最初は英語に苦手意識がありましたが、実践の中で身に付けてきました。大事なのは、新しい領域でも物おじせずに自ら動き出す姿勢です。商社は“人で勝負”とよく言われますが、前向きに動けばチャンスは必ずあるので、そこに飛び込んでいく気概を大切にしてほしいと思います。
――ありがとうございます。最後に、これから就職活動が本格化する学生たちにメッセージをお願いします。
若竹:就職活動は、ゴールのようでいて実はスタートラインに過ぎません。どの会社に入るかももちろん大切ですが、それ以上に「入社後に自分がどう成長していくか」を考えることこそが大事だと私は思います。
だからこそ、就活では自分の価値観や人柄を飾らずに伝えてほしいですね。周りに合わせて無理をしても、入社後に大きなギャップが生まれるだけです。その点、当社は多様な個性を歓迎し、チャレンジを後押しする風土があるので、ぜひ「自分らしさ」を武器に飛び込んできてほしいと思います。
また、学生時代は家族や友人と時間を気にせず過ごせる最後の期間でもあります。社会人になってからは予定を合わせるのが難しくなることも多いので、就活に追われ過ぎず、周りの大切な人や自分自身を見つめ直しながら、今しかない時間をしっかり楽しんでください。皆さんの思い切った挑戦を、心から応援しています。