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広がる選択肢、変化の兆しを見せる就活
固定化されたスケジュールによって、集中している活動を中断して取り組まなくてはならず、「不自由さ」や「窮屈さ」を感じる学生の声が、『外資就活ドットコム』を立ち上げた私、オトナリの耳には聞こえてくる。就職活動は、学業・留学・研究・部活動といった学生生活の真っ最中に、ある種“突然”入ってくる大イベントだ。
17卒の先輩学生からは、こんな声があがっている。
「活動時期がほぼ決まっているので、もう少し柔軟に活動できるような仕組みがほしい」
倫理憲章に関係のない外資系企業やベンチャーのみを志望する学生にとっては、関係ない話だろう。しかし、簡単に選択肢を絞れる学生ばかりではない。倫理憲章を守る企業の固定スケジュールによって、「日系企業の選考を待たずに、外資に決めた」「卒論・研究があるので就職浪人することにした」という声も最近耳にするようになった。その選択は、学生が望んでしたものなのか、疑問が残る。
こういった状況を受けて、より新しい選択肢を提供する動きが出てきた。
これまでのスケジュールに則る就職活動も1つの選択肢であるとしたうえで、「仕事を選ぶのはいつだっていい」と、今週リクルートライフスタイルから新しい採用が発表された。
「仕事を選ぶのはいつだっていい」
『ホットペッパーグルメ』・『じゃらん』・『Airレジ』など、日常消費サービスを展開するリクルートライフスタイルが発表した【新・新卒採用】とは何か。
【新・新卒採用】
これまでの就活でベストな仕事探しができなかった大学生に向けた新しい3つの提案だ。
1. いつだっていい選考、入社へ
・大学3年3月から27歳までいつでもOK 「365日エントリー」
・卒業後2年間、入社時期を選べる 「2Yearパスポート」
2. みんなに効くインターンへ
・単なる職場体験ではなく、実務を経験できるインターン 「DESHIP」
3.いつでも、だれでも、会えるように
・OB訪問より気軽に、1年中いつでも社会人に“仕事のリアル”を聞ける 「Worker ZOO」
・恋バナをきっかけに自分を深く知る、大学1,2年生向けイベント 「恋会議」
卒業してから入社前まで、会社公認のモラトリアム期間
学生にとってメリットが大きそうなのが、 「2Yearパスポート」ではないだろうか。
「入社パスポート」・「最終面接パスポート」の2種類があり、「入社パスポート」は卒業後2年以内なら、入社時期が選べるというもの。留学・研究・旅行といった就職活動で中断せざるをえなかったことに、思いっきり取り組むことができる。
リクルートライフスタイルで「入社パスポート」をもらっておけば、大学4年生になってからも新しいチャレンジに取り組むことができる、ある意味キャリアの保険にすることすら、できてしまう。
入社までのモラトリアム期間がほしい学生にとっては、会社公認でやりたいことに時間を費やせるのは嬉しいのではないか。
アルバイト感覚で弟子入りインターン。スーツを着ずに飲み物片手に社員訪問
インターンシップといえば、学生のために用意されたプログラムをこなす、選考のためのものという印象をお持ちの方もいるのではないか。
この「DESHIP」という長期インターンは、違う。社員と同じように各自目標を持ち、メンバーの一員として仕事を任される。実務に挑戦できるのだ。
「DESHIPは普通のインターンじゃない。実際に事業をやるテンションで見て意見をくれた」と商社内定を持つ参加者の声もある(インタビュー記事はこちら)。
また、「Worker ZOO」の入園無料・ドリンク自由というのは太っ腹。テーマも「給与」や「社内恋愛」などディープな話までとオープンさを感じる。選考されることもなく、リクルートライフスタイルに出入りすることができるのだ。
働く社会人は何を考えているのか、仕事のやりがいは何か。キャリアについて悩んだら気軽に訪問できるというのは、とてもありがたい。
最も謎なのは、「恋会議」だろう。なぜか【新・新卒採用】の中に、恋という就活とは無関係にみえるイベントがある。
これは、以前実施された議事録を見るか、参加してみるのが早そうだ。
「時間をかけて働く道を決める」スタイルを選ぶことができる
この【新・新卒採用】は、倫理憲章を守った条件となっている。大学1,2年から内定を出すと明言しているような企業と比較して、正直インパクトは劣る。また、30歳未満まで通年採用といっている企業と比較しても、27歳未満までというのは(博士まで出てしまうとそのくらいになるので)、限定感が否めない。
ただ、大学1年生から企業に出入りできるオープンな機会は、注目に値する。これまで「社会人の実態やその働き方」を知る機会として、多くの学生がベンチャーの長期インターンに参加していたが、新しい選択肢が加わった。
ベンチャーだけでなく大企業での就業経験を経て、「働く」をよりリアルに、より早期から考えることができる施策という意味では個人的に評価したい。就活生になる前から、「働く」面白さを知ったり、多様な企業をインターンを通して検討するといった「時間をかけて働く道を決める」スタイルも悪くないのではないか。
実際の就活生はどう考えているのか
既存の就活課題・新しい施策について、外資就活ドットコムに登録している17卒学生に対し、アンケートをとった。(回答数:235 文系:150/理系:85)
Q.就職活動を始めるにあたって、あきらめなくてはいけなかったこと・中断しなくてはならなかったこと、すべて選択してください
アルバイト・研究・勉学などがあたま1つ抜けている。
多くの学生が大学生活でやりきれなかったことを持っていることがわかる。交際もあきらめなくてはいけないとは、なかなか辛い状況だ...…。
Q.在学・卒業関わらず、30歳未満まで新卒・既卒・就業者を一律に採用する「通年採用」が2016年話題になりましたが、この施策についてどう思いますか
ポジティブに感じる学生が2/3を占める結果となった。
理由としては
・新卒1社目が必ずしも自分にフィットしているわけではないため、新たな受け皿ができたと思う
・時間に追われず、自分が本当に行きたい企業を探す余裕が出る
・新卒でいい会社に入らなければならないという心理的負担が軽減される
ネガティブに感じる学生は、以下のような理由だ。
・日系企業の多くは年齢を気にすると思う。入社年齢があがることで、何かいわくつきなのではないかと思われてしまうリスクがあると思う
・各企業が即戦力を求めることに走って、人材育成に力を入れなくなり新卒の魅力が薄れてしまう
・通年採用で既卒者と戦わなきゃいけないのは若干新卒にとって不利に思える
・自身よりも年下の上司や年上の部下を持つことになり、コミュニケーションに気を使い、仕事がしにくいのではないかと懸念する
通年採用を全員が良しとするわけでは、もちろんない。通年採用は、就活よりも優先順位が高いことに取り組んでいる学生や、企業とのミスマッチを感じた若いビジネスマンによって、嬉しい選択肢のようだ。
おわりに
2017年になって、就職活動に変化の兆しが見えてきた。
研究に没頭したい・留学したい・起業したい、多くの学生から就職活動に時間をとられず、時間を有効活用したいという声を聞いている。今後、長期インターンから通年採用まで、さまざまキャリアを探す選択肢が増える中で、学生生活に合わせた就職活動を行うことが、ますます可能になってくるのではないか。
本年以降も変化する就職活動に、注目していきたい。
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