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sponsored by 三井化学
はじめに
グローバル化が進む化学業界の大手、三井化学。前編(「入社しなくてもいい、グローバルリーダーになれ」伝説インターンに迫る(前編)【三井化学】)に引き続き後編では、話題は就職活動に。就活生、企業双方から見た現在の就職活動の問題点について熱く語っていただきました。最後に、三井化学のインターンシップで出会ったお三方の描く今後のキャリアについてもお話しいただきました。
「いいこと」しか言わない企業が多すぎる
--- 次に、いよいよ「就職活動」についてお話を伺いたいと思います。小池さんは新卒採用市場というものを、通常経験する就活生側だけでなく採用企業側からもご覧になっている訳ですが、何か感じることはありますか。
小池:新卒採用向けのリクルーティングの場では、まず情報量が圧倒的に少ないという問題点があります。採用担当という立場からは少し言いにくいのですが、採用側の企業の中には、自社の利益になるような情報、要するにいいことしか言わないところも少なくありません。加えて、かなり情報が限定的です。A社の説明会なら、A社の話しかしない。学生は、選考を受けている企業のプラスの情報しか知らないので、判断がしにくいと思います。
弊社は化学業界で言うとリーディングカンパニーでもないですし、利益率も低い、でも良いところもある。といったように悪いところも良いところも包み隠さず、噛み砕いて伝えるようにしています。受けるなら「リアル」を知って、その上で受けに来てほしいからです。
A:小池さんは本当にフラットなスタンスが感じられました。マッチングを非常に重視されていて、学生によって「三井化学より他の会社に行った方が幸せだよ」とも「うちが合うと思うよ」とも言うので本当に正直なんだと思います。
小池:良いことばかりを言って、言葉は悪いですが学生を丸め込むこともできるかもしれません。しかし、それを信じて入社してもらった後に、想定外のことが起こる訳です。それではせっかく三井化学を選んでくれた学生にとっても不幸ですし、すぐに離職されたら会社としても不幸です。誰のためにもならないと思いませんか? 常に自分が思うところは告げて、お互いが幸福になるように努めています。
B:私は迷いに迷って三井化学に入社しましたが、最後の最後まで「お前は総合商社にいけよ」と言われていました。両社から内定をもらった後に小池さんから「総合商社と三井化学の内定者懇親会をはしごして、それでどっちが自分に合うか決めたら」と言われ、両社の内定者懇親会に行ったのですが、結果として三井化学の方が合っているなと感じて入社を決めました。
--- 小池さんの取り組みは、情報の質と量をきちんと適切なものを学生に届ける、つまり「就活生と企業との情報の非対称性を解消する」ことだと言えそうですね。
小池:三井化学が特に意識して行っていることはおっしゃる通りです。質はこれまでお伝えしてきた通りですが、情報量でいっても桁違いに多くて、私がくたくたになるくらい話します。聞いてる学生も大変かと思いますね(笑)。でもたぶん、他の会社説明会よりは意味がある情報だと自負していますが。
強いのは、意志を持っている人
--- より良いマッチングを実現するために、採用担当として重視する資質は何でしょう。
小池:シンプルに、意志を持っている人は強いなと思います。先程、就活生を応援する理由を「夢、志、意志を持って頑張ってきている人に、就活をより良い転機にしてほしいからだ」と話しました。意志というのはさまざまなバックグラウンドから形成されるものだと思っています。そのようにして形成された意志が「ああなりたい」「こんなことをしたい」と目的思考を生む訳ですよね。意志があれば人間はそれに基づいてアクションを起こしていきますし、モチベーションやバイタリティも意志の大きさに準じます。ですから、何を大切にしていて、どんな意志を持っているのかが一番気になりますね。
--- そういう意味では、インターンシップもやはり選考の一過程なのではないですか?
小池:いや、よく言われるんですが、インターンシップでは本当に選考していません。評価をしていないんですよ。Bを含め、インターンから入社につながった者がいるのはたまたまです。
ただ、化学業界の面白さや三井化学の姿を伝えるブランディングの役割は、果たせているはずです。学生の言葉を借りれば「理系しか活躍できないだろう」というような、地味なイメージを払拭するような取り組みはできていると思います。同業他社の採用担当者には感謝をしてほしいくらいですね(笑)。
--- 社会人1年目の AさんとBさんは、学生にとって理想の就職活動とはどんなものだと思いますか。
B:僕もマッチングが一番大事だと思います。就職活動時には「地位と名誉と金」を如何に得るかしか考えていませんでしたが、会社は自分の人生の大半を過ごしていくところで、やりがいや楽しみを持って働けるかが一番大事だと今は思っています。しかし、それを就職活動期間のわずか1年半くらいで判断するのはほぼ無理だと思います。だから企業は、小池さんが言ったように自社のいいところも悪いところも伝え、リアルな姿を学生に伝えてほしいと思いますね。
A:僕はどういう判断基準で会社を選ぶかが大事だと思っています。学生という立場で会社を見るのと、社会人という立場で会社をみるというのでは、観点がかなり変わってくると思います。それこそ地位と名誉と金とか、学生って単純なので、キャッチーなものしか目がいかないんですよね。
安易な基準でしか判断ができないので、逆にどういう観点で会社を見たら、自分とマッチする会社を見分けることが出来るのか、判断基準をたくさん示してくれる三井化学のような会社は就活生にとっては貴重だと思います。
ダイナミズムは総合商社にも負けない
--- Bさんは三井化学入社後、どんなお仕事をされていますか。
B:モビリティ事業本部 コンパウンド管理室 PPコンパウンドグループに所属し、インターンシップと完全に同じ、自動車材料のPPコンパウンドというものを扱っています。自動車部品で幅広く扱われる汎用性の高いプラスチックなのですが、世界8拠点に生産拠点を持ちグローバルに事業を展開しています。僕はここで、一言で言うと、海外でのPPコンパウンド事業の統括みたいなことをやっています。
メールは英語ですし、毎日、中国、タイとやり取りをしていて、グローバル感のある部署に入れていただいたなと思います。事業の主役は営業だとも思うのですが、その戦略を考えるのが企画であり、より広い視野でいろいろなことを考えてクリエイティビティを発揮できる仕事内容にはやりがいを持っています。
小池:PPコンパウンド事業は、ビジネスとして追い風になっています。排気ガス低減の規制強化の動向があり、車を軽量化するために、鉄などの化学素材より重いものをPPコンパウンドに切り替えるトレンドがあります。今後、AIなどの自動運転技術がより進化すれば、交通事故そのものが減少すると言われています。そうなると安全性重視で作っていた車体が頑丈である必要はありません。燃費を向上させるために重い素材を軽い化学素材に変えられますから、ここにもビジネスチャンスがあります。もちろん競合とのせめぎ合いも激化するのでより緻密な戦略企画が求められます。
--- 追い風もあるけど脅威もあるということですね。まさに頭脳戦ですね。
小池:外部環境と内部環境は常に目まぐるしく変わっていきます。大局的にものを見るのが企画の仕事なので、そこがBの言うような醍醐味なのかもしれませんね。
--- 三井化学の業務の醍醐味や、小池さんご自身の具体的なエピソードをお聞かせください。
小池:私は世界で三井化学しか扱っていないオンリーワンの製品の事業担当でした。同製品を扱う競合他社がいないため、コストリーダーシップは取れますが、自分たちでマーケットを切り開かなければなりません。その中で要求される資質としては企画力、マーケティング力、交渉力といった総合的な力が試されると思います。
製品の特徴としては3つあり、熱に強い・透明・剥がれ易いというものです。国内外の既存顧客のフォローをするのはもちろんですが、新しいお客様をどんどん増やさなくてはいけません。そのためにはこの特徴を活かせる用途を自ら考えてお客様にアポイントメントを取り、提案をするということを繰り返します。
株式会社マーナの「立つしゃもじ」という製品をご存知でしょうか。炊き立てのご飯は熱いです。また、お茶碗にご飯をよそう際、しゃもじに米粒が残ってはストレスです。ここで弊社の製品の熱に強い・剥がれ易いという機能が活きてきます。この1つの提案が実需化して、年間数千万円の売り上げ貢献に繋がっております。自らの発想をお客様といっしょにカタチにすること「素材を通して新しい価値を創造する」ことが一番の醍醐味かと思います。
メーカーの本分としては、創って・作って・売ることです。まず、ビジネスモデルを創り、次に投資をしてプラントを建設し、そこでモノを作ります。そして一社員である小池でも、
1つでも多く売るべく世界中を飛び回ります。また、投資といっても時には数百億という大規模となります。当然現地の雇用も生みますし、化学メーカーは製造業の川上に位置するので、影響の範囲がとても大きく簡単に事業撤退出来ません。ですから、事前準備と戦略検討は綿密に行う必要があります。この地域貢献性とダイナミズムはモノを持っているメーカーのあまり知られていないおもしろさですね。
--- モノを持っていない商社では感じられないおもしろさの一面ですね。新規の海外案件も開拓するのでしょうか。
小池:そうですね。どこか1つのお客様で採用になった場合、他社でも使われる可能性はあります。先ほどのしゃもじの例を挙げると、温かいご飯を食べる文化圏であれば、十分展開出来るポテンシャルがあります。この場合であればアジア圏の日用品メーカーがターゲット顧客になるので、現地のスーパーマーケットに視察に伺い、販売メーカーを特定してアポイントメントをとったりもします。そういう意味でも全世界が舞台で活躍出来ますね。
と言っても新しい提案を実用化するのが難しいのですが(笑)。
--- Bさんは総合商社を蹴って三井化学を選ばれた訳ですが、入社前後で三井化学とか化学の仕事への印象は変わりましたか。
B:良い意味で変わりました。事業面でいうと、インターンシップで経験した机上のグローバル感よりももっともっとグローバルだと思いました。入社してすぐに海外とやり取りをして、つい最近も海外から社長やナショナルスタッフの人達が集まる会議を僕がアレンジしたりしています。些細なことのようですが、会食の二次会会場の選定には頭を悩ませました(笑)。グローバルが気張った感じじゃなくて日常的にあるんです。すごく新鮮だし、その中で自然と働くことが出来るというのは想像していた以上でしたね。
インターンシップが教えてくれたグローバルマインド
--- 最後に、皆さんが今後目指すキャリアについて教えて下さい。まずAさん、Bさんからどうぞ。
A:自分でビジネス・事業を生み出せる人間になりたいです。多くの人がそうであるように僕は評価されると嬉しいと感じる人間です。人に認めてもらうということがどんなことか考えたときに、人が欲しかったものを創ってあげるとか、困っている人を助けられるとか、それで利益を上げられるのがビジネスなんだと思います。
そう言った行為で評価されるために何が必要かと言ったら、グローバルリーダーにばっちり当たるわけです。小池さんのインターンシップに参加して、自分の意思がしっかり確立しました。グローバルリーダーになって、世界で新しい事業を立ち上げられたらいいな、と思ってから自分のキャリアが見えてきました。
起業するということにこだわりはないのですが、自分のアイディアでいろんな人を巻き込んで、みんなの役に立つような新しいビジネスができたらいいなと思います。そのきっかけになったのが、三井化学のインターンシップでした。今は違う業界の違う企業にいますが、小池さんには感謝しています。
B:まずは一人のビジネスマンとして一人前になって、人に頼られるような人間になりたいです。それをもとに海外に出て、グローバルリーダーとして三井化学の技術やマインドを広げていきたいという強い思いがあります。
三井化学に入る前までは、自分は何でも出来ると思っていました。総合商社の内定を蹴って入社したくらいですから(笑)。でも、会社に入ってみたら自分が何もできないなと実感しました。1つの事業でもとても範囲が広くて、いろいろなことを知っている必要があります。そこを全部把握するまでに多く時間がかかるなと思いました。自分の入った事業を1つ極めないと次の道は見えてこないと思います。今自分のいる足場から固めていきたいと思っています。
小池:ずいぶんリアリストになったね。この6ヶ月で圧倒的に成長しています。
--- 違う会社に入社した方から、未だにインターンシップの話題が出てくるのはそれだけインパクトが強烈だったのでしょうね。最後に、その仕掛け人の小池さんからも、思い描いているネクストステップを教えて下さい。
小池:兎にも角にもいい組織を作り続けたいなと思います。いい組織ってどんな組織かというと、ありきたりですが、ハイタッチとか出来て、苦しみとか喜びを分かち合えるような組織です。そんな組織に居る人間は充実感や満足感があって、いろんな困難に立ち向かっていけるのではないかと思っています。
私が人事に来て良かったと思うのは、戦略を創るのもヒトですし、実行するのもヒト。経営戦略の次に人事戦略がくるので、経営資源の中で最も重要なヒューマンリソースについてこの年齢で学べたのは非常に貴重でした。
今後は、組織の構成員としてリーダーシップを発揮してボトムアップをするのもいいですし、ポジションが上がっていくと3人のチームの長となりより強いリーダーシップを発揮しているかもしれません。そして、気が付いたら600人くらいの海外関係会社の社長となり重要な経営判断やエッジの効いた戦略を立案しているかもしれませんが、どのような立場に置かれても良い組織を作っていけるような人になりたい。それがテーマですね。
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