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目次
外資戦略コンサルが語る、グローバルで活躍するための条件とは?
説明会において必ずされる質問の1つに「海外で働く機会について」が挙げられます。それだけ海外勤務に関心を寄せている学生の方が多いのでしょう。
しかし、「海外で働き成果を出す」具体的なイメージを抱けている人はそれほど多くないかもしれません。今回は実際に海外オフィスに駐在されている方から、日本と海外オフィスとの違いについてご寄稿いただきました。
パリの新卒は強者揃い!でも「価値の出し方」は変わらない?
欧州系戦略コンサルで働くKojiと申します。
2年間、東京オフィスで働いた後、現在駐在しているパリのオフィスに移り、初めて関わったフランスでのプロジェクトが終了したところです。「海外・非日本語環境でのコンサルティングがどのようなものか」、「成果を出すためにはどうすればいいのか」について、お伝えしたいと思います。
まずは、日本オフィスと海外オフィスの両方を経験した私の所感ですが、どちらもあまり変わらない、というのが正直なところです。
使用言語は英語に変わりますが、市場の理解を深めるためにデスクリサーチやインタビューを行い、クライアントにとっての意味を考えながら粗削りのストーリーを作り、エクセルを叩き、パートナーからの指摘を受けて、またエクセルを叩いて、という一連の流れは日本でも海外でも変わりません。
基本的に、コンサルはポジションで役割が決まっていることが多いですが、特に外資の戦略コンサルではグローバルな共通事項です。国や支社などの違いよりも、案件内容によるギャップ(例えば、組織改編であれば、国ごとの特色が色濃く出る)の方が大きい気がします。
日本以上に求められる「即戦力」
もちろん日本でも、外資は即戦力を重視されますが、パリでは日本以上にその風潮が強く、研修もそこそこにday1からチームに貢献することを強く求められます。
フランスの投資銀行・コンサルでは、採用の段階で
(1)Top10の学校でビジネスまたはエンジニアリングの専攻であること
(2)長期インターン経験(3−6ヶ月)が少なくとも1回はあること
を確認されます。同僚の多くがコンサル2社、またはコンサルと投資銀行、たまに事業会社や国際機関のインターンを済ませていました。入社した時に彼らはすでに基礎的なビジネススキルやファイナンスの知識を身に付けており、仕事をこなすのも早く、3年目だった自分は、1、2年目の彼ら以上にどれだけの付加価値を出せるのか、ということを常に考えさせられました。
また、他の特徴としては、調査・分析の対象範囲の広さが挙げられます。日本オフィスでは、ヨーロッパや米国の調査について他国のオフィスに依頼することが多くありましたが、パリではヨーロッパは勿論、アフリカ、アジア、アメリカに至るまで自分たちで情報収集をするのが基本です。ほぼ同じタイムゾーンに位置しているため時差的なメリットがあること、そしてメンバーが3カ国語を話すことができるので、無理なくヨーロッパ、アジア、北米、中南米をカバーすることが出来ていました。
Noチャット!口頭コミュニケーションを促進
次に、私がパリのオフィスでバリューを出すために工夫したことについてお伝えします。
同じファームであれば、日本もパリもコンサルティングの手法自体に大きな差はないので、〇〇人というより1人の人としてどうなのかが見られます。その点では、日本で培った仕事の進め方、分析、スライド作成などギャップ無く応用可能だったと思います。
自分が付加価値を出すためにしたことの1つに「徹底した対面でのコミュニケーション」が挙げられます。対面でのコミュニケーションは、往々にして非効率を生じることもあるのですが、パリでのプロジェクトにおいてはプラスに働いた面が多々ありました。
もともとパリオフィスでは、メンバー間の席が離れていることもあり、物理的なコミュニケーションをとらずほとんどのやり取りをチャットやメールで済ませている環境でした。
しかし、文字だけのやり取りだと、どうしてもズレが生じてきます。双方が文脈を正しくとらえ、相手の意図を理解しているか、タスクに対してどれほどの期待値をもっているかなど、対面でコミュニケーションをとった方が効率的で伝わりやすい場面が意外にもたくさんあったのです。
「わからないことがあれば、直接聞きに行く」。時には分析力の高さでなく、こういったコミュニケーションの積み重ねが、着実なゴールへと導いてくれるのでないかと感じた出来事でした。こういった姿勢は、「和を尊ぶ」日本人だからこそできたのかもしれません。
コンサルで最も重要なのは「言葉」。日記を書いてコツコツ磨く
もう1点、私が「言葉」を扱ううえでの姿勢について挙げておきます。
コンサルティングは、「言葉」の相対的な重要性が高い仕事です。特定の業界・製品に特化した人同士であれば、専門知識や背景を共有しているため、国を越えてもある程度意思疎通が可能かもしれません。しかしコンサルは毎回違う業界や分野を扱うことになるので、背景知識を持っていない中で、さまざまなバックグラウンドを持ったチームメンバーやクライアントと接することになります。そのため、社内・外問わずコミュニケーションにおける「言葉」は非常に重要なファクターとなるのです。
生産性向上に日々熱意を注ぐ人たちが集まるコンサル業界において、コミュニケーションの齟齬による非効率性は無視できません。特にプロジェクトの初期段階では、気づいたら数時間同じことをしていたという事態にも陥りかねないのです。
そこで重要になってくるのが、コミュニケーション齟齬を避けるための、「言葉」への丁寧な姿勢です。一番効率的な身に付け方は、「書くこと」だと私は考えます。「文章を書く」ことは、話すことよりも、より言葉の使い方を考えさせられる作業です。自分も就活生の頃、『外資就活ドットコム』のコラムを読んでいましたが、一番印象に残ったアドバイスが、「ブログを書け」というものです。以来、ここ5年はほぼ毎日日記をつけているのですが、自分の思考のベースはこの経験から来ている気がします。
言語は違っても、丁寧なコミュニケーションをとるために必要なものは「慣れ」でしょう。私は、単語や表現力を高めることよりも、環境に飛び込んでしまい、そのまま鍛えてしまうのが一番だと思っています。
私は日本オフィス在籍時も、英語で仕事を進める環境にいました。外国語で、タイムリーに相手の言いたいことの概要を捉えて、考えて、伝える。純ジャパの自分にとって、想像よりもはるかに難しく、大変なことでした。今でも、「日本語ならもっとうまくできるのに……」と思うことは少なくありません。単に思考力を鍛えたいのであれば日本語環境でずっとコンサルをしていた方が効率が良いのではないか、と思うこともあります。
しかし、将来的に英語環境下でも活躍したいのであれば、いつかはぶつかる壁なので、苦しむなら早い方がいいのでないかと思い、日々精進しています。
最後にひとつ。例えばパリオフィスで働いてると言えば「グローバル」感がありますが、似た仕事をフランスですること、日系中小メーカーで10カ国以上と海外営業の仕事をすることのどちらが「グローバル」か。フランス人が特に外向きとも思いません。思った以上に、「グローバル」に見える外国のルールやシステムはごくごくローカルで、内向き志向の人も多いと感じます。
海外勤務に興味があれば、海外で働く、グローバルに働くことが自分にとってはどういう意味を持つのか。粗削りでいいから、5年後10年後どうなっていたいか、考え続けることは大切と思います。
おわりに
効率の良さを求められるプロフェッショナルファームにおいて、あえて対面でコミュニケーションをとることの重要性や、1つひとつの言葉に神経を巡らせることへの配慮が必要とされる実情については、納得できる反面、新たな発見もあったのではないでしょうか。
「最終目的は何なのか」に立ち返ってみると、どんな環境下であれ安定して成果を出せる人材になりえるのかもしれませんね。
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